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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果75件

カテゴリー「良作」のレビュー

「ハードコアパンク、ヘヴィメタルからの影響を全く感じさせない空間的なサウンド」「神秘的でマニアックに尖っている歌詞」などが印象的で、本人たちが望む望まないは別としてルナシー(LUNAEA)の伝説のインディーズアルバム「LUNASEA」と共にV系クラシックとして後続のアーティストに多大な影響を与えたインディーズアルバム。

「眩しすぎる光」のようなken(g)のギターサウンドは他のダーク系バンドでは中々聴けない類のものであり曲に不思議な開放感を与えており、ニューウェイブ的なミステリアスさやダークさを強調したサウンドであっても閉ざされた感があまりしないのはken(g)のセンスによるところが大きいと思われる。

93年リリースのインディーズアルバムではあるが後のラルクサウンドの原型が砂漠の砂に埋もれて存在している、そんなアルバム。

    「要点」

  • V系クラシックとして後続のアーティストに多大な影響
  • 神秘的でマニアックに尖っている歌詞

「曲解説」

1 Shutting from the sky

「これぞラルク!」という煌びやかさと浮遊感を感じるオープニングソング。ユートゥー(U2)からの影響を感じさせるイントロのディレイサウンドは、 ルナシー(LUNASEA)の名曲「MOON」と並びディレイを活用した名フレーズであると思う。歌詞の内容はネガティブにダークに塞ぎ込んでいた主人公が 光の世界の美しさに惹かれ「もう過去には戻れない」というニュアンスの内容。「高速のメトロノーム」のようなディレイサウンドが奏でるモノトーンな響きと 「光が降り注ぐ」ような伸びやかなギターサウンドの対比が印象的でインディーズアルバムの1曲目からして既にken(g)サウンドが完成されている。
2 Voice

耽美的なギターフレーズが空を舞うニューウェイブチューン。マイナー調のコードストロークは「酸性雨」のような煌びやかさがあり(2:55〜)ミステリアスな響きのアルペジオのバックで「天に届く光」のようなアンプのハウリングが鳴り響く。
3 Taste of love

「夜の砂漠」のような雰囲気をもつダークなギターポップ。歌詞の内容はとにかく強烈で濃厚なMの匂いがするものとなっており、絶対的な美を持つ者に対する狂おしい愛情というところだろうか(2:50〜)ギターソロは「闇を舞う紫色の蝶」のようにダークな質感で曲のミステリアスさを助長する。
4 Entichers

メランコリックで「雨が降るパリの街」のような質感の曲(1:15〜)「狂おしい」というワードの登場と共に「脅迫観念」のような黒い影が現れ転調がはじまる。中間部では不気味さを演出する鐘の音が鳴り響く。「メロウなシャンソン」のようなサウンドが不穏な音を更に強烈に引き立てている。
5 Floods of tears

「比喩に比喩を重ねた意味が分かりそうで分からない歌詞」が美しいサイケな曲。終始「ガラスの破片」のような質感のアルペジオがリフレインされ、ベースラインは「うねる波」のような存在感を放つ。ギターソロは「夕暮れの海辺」を連想するようなメロウさと輝きを放つ(4:14〜)コーラスをかけ多重録音されたクリーンなギターサウンドは「終幕」のように退廃的である。終盤は「二度と戻れない夏」のようなセンチメンタルさをもつストリングスが登場して 最後はサビのメロディーを奏でるオルゴールが静かに流れる。
6 Dune

砂の街を舞台にした禁断の愛をテーマにした耽美ギターチューン。「月」「砂丘」「宴」という言葉がリスナーの想像力を強く刺激。歌詞の内容はhyde(vo)以外のシンガーが歌うのは許されない「灼熱の恋」のようなイメージ。サウンドはザ・スミス(The Smiths)のサウンドにロック的なエッジを効かせたようなイメージで流れるような旋律が見事である。
7 Be destined

「神」「園」「十字架」というフレーズがミステリアスではあるが、サウンドはサクッとしたハードなニューウェイブといった感じの曲(2:31〜)tetsuya(b)による早弾きベースラインは「長い蛇」のような存在感がある(2:41〜)現実と空想の境目がグチャグチャになっているようなhyde(vo)の語りはルナティックで恐怖すら感じる。
8 追憶の情景

「古いアルバムをめくりセンチメンタルな思い出に浸る昼下がり」のような質感のアコースティックバラード。後の名曲「Singin’ in the Rain」と同様に「しっとりと雨が降り注ぐ街角」を連想する雰囲気がある(3:47〜)「迷子」のような質感のスパニュシュなギターソロから空間的でエフェクティブなコードストロークが鳴り響く展開に移行。終盤はtetsuya(b)のベースラインがhydeのボーカルラインに「黒蛇」のようにディープに絡みつく。
9 As if in a dream

hyde(vo)が「ラルク史上最高の曲」だと言い(wiki)、グレイ(GLAY)のリーダーTAKUROに多大な影響を与えたラストソング。「退廃的な世界に僅かな光が差し込む」というV系なら誰もが目指すサウンドを最小限の手数で描いている(1:25〜)「海面に浮かぶ光」のようなディレイサウンドがセンチメンタルな質感の曲に光沢を与えている。終盤に登場する「ネオンカラー」のような電子音には彼らの音楽的な懐の深さを感じる。

「ハードコアパンク、ヘヴィメタルからの影響を全く感じさせない空間的なサウンド」「神秘的でマニアックに尖っている歌詞」などが印象的で、本人たちが望む望まないは別としてルナシー(LUNAEA)の伝説のインディーズアルバム「LUNASEA」と共にV系クラシックとして後続のアーティストに多大な影響を与えたインディーズアルバム。 「眩しすぎる光」のようなken(g)のギターサウンドは他のダーク系バンドでは中

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「透明感や氷のような冷たさを感じる音響」や「ビビッドに歪んだ電子音」を大幅に取り入れた5thアルバム。

一つ一つの音の強度が格段に上がっており前作・前々作に存在した「閉ざされた感」を打破しているという印象で、エレクトロニカやヒップホップのからの影響を曲に反映させポップ・ミュージックとして明らかな飛躍を遂げていると感じる。

ただしアンダーワールド(Underworld)が元気のよい健全なダンスミュージックをやるはずもなく「ビビッドに歪んだ電子音」や「氷のような冷たい音響」がさらに活きるように「不吉な影」や「どんよりした雨雲」を連想するダークなサウンドが今作でも聴くことができる。

ダークなサウンドの登場頻度はこれまでの作品と比較して減ってはいるのだが、登場する回数が少ないほどにそのダークさが際立つという構造になっている。このダークさこそが「不機嫌なダンスミュージック」を鳴らす彼らの最大の個性と言えるだろう。

    「要点」

  • ポップ・ミュージックとして明らかな飛躍を遂げている
  • エレクトロニカやヒップホップからの影響を曲に反映させた
  • ダークなサウンドは登場回数こそ減ったがキーであることにかわりない

「曲解説」

1 Cups

前作・前々作とは明らかに異なる透明感を感じるアッパーチューン。ダークな質感のミニマムなビートの上を氷のような質感の電子音が踊る。 ボーカルは相変わらず無機質なロボット風ボイスである。中盤以降はBPMが早くなりダンスミュージックらしいアッパーさを持ち始める。終盤は「電子バリア」のような歪みと「ネオンカラーのビーム光線」のようなシンセが空間を支配する展開となり、様々な人の声を早送りしたような音響も挿入される。
2 Push

「難解なエレクトロニカ」のような立体的でミニマムなビートと冷たいピアノがリフレインされる曲。カール・ハイドのボーカルはメランコリックでダークなラップのような趣である(2:10〜)「不吉な影」のようなもやっとした電子音が遠くのほうでダークに鳴り響く。終盤は「電撃」のような電子音などが存在感を発揮するが最後は唐突に途切れるように終わる。
3 Jumbo

「夏の海」を思わせる透明でブルーな音響と「ビビッドに歪んだビート」が共存しているサウンドでどことなく三ツ矢サイダーを連想する曲。中盤からは「きらめくバブル」のような電子音がループされ目の前が光で溢れる。アナログな音は入っていないが「メロウな80年代ギターポップ」を聴いた後のような清涼感と晴れやかさを感じる。
4 Shudder / King Of Snake

「電撃」のような切り裂く電子音がリフレインされるアッパーチューン(2:50〜)清涼感を感じるピアノ風ミニマムリフが「電撃」のような電子音をさらに激しく響かせる。カール・ハイドのボーカルはマークパンサー的な「ファンキーな語り」のようなものとなっており、中盤以降はストリート感のある音の断片が挿入され曲にさらなるスピードを与えている。最後はシリアスな雰囲気が漂う独り言で幕を閉じる。
5 Winjer

「空を飛んでいる」ような浮遊感となんとも言えない不穏さが同居している曲。ビートは「鼓動をテクノ化」したような質感であり、ボーカルは囁くような呪文風ボイスである。
6 Skym

「マニアックな儀式」のような雰囲気をもつ幽玄なバラード。「地球儀を指でクルクル回す」ような質感の電子音がループされ、ボーカルラインは「異空間」のように不穏である。
7 Bruce Lee

金属的な響きを持つ無機質なアンダーワールド(Underworld)流ヒップホップ。DJスクラッチやカール・ハイドのラップも歪んでおり、まるでインダストリアルロックを聴いているような気分になる曲(3:47〜)熱量が高くファンキーな展開の裏で「どんよりした雨雲」のような陰鬱な電子音が姿を表す。この辺りのニューウェイブ的センスはアンダーワールド(Underworld)ならでは。
9 Push Downstairs

「氷の世界」のような冷たいサウンドをバックにメロディックな呪文が不穏に鳴り響くミステリアスな曲。
10 Something Like a Mama

Something Like a Mama(ママのようなもの)というタイトルとは裏腹に「何もない真っ白な空間」のような空虚さをもつサウンドが展開される。 中盤以降はビートの粒がタイトに鳴り響き、歪んだ電子音なども登場するが空虚な雰囲気は終始保たれる。
11 Moaner

「酸性雨が降るジャングル」のような質感の極彩色なアシッドハウス。リズムはディープな四つ打ちでビビッドに歪んだ電子音はリスナーの頭の中で縦横無尽に暴れる。カール・ハイドのボーカルは扇動のようなテンションとなっている

「透明感や氷のような冷たさを感じる音響」や「ビビッドに歪んだ電子音」を大幅に取り入れた5thアルバム。 一つ一つの音の強度が格段に上がっており前作・前々作に存在した「閉ざされた感」を打破しているという印象で、エレクトロニカやヒップホップのからの影響を曲に反映させポップ・ミュージックとして明らかな飛躍を遂げていると感じる。 ただしアンダーワールド(Underworld)が元気のよい健全なダンスミュー

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「BPM以上のスピード感を演出する高速ループ」や「ビビッドな電子音」など様々な情景を連想するサウンドが印象的でニューウェイブ的なダークさとミステリアスな雰囲気があった前作よりクリアーな音が多くなった4thアルバム。

カール・ハイドのボーカルは相変わらず無機質で脱力感のあるものが多いが、ラストソング「8 stagger」ではレディオヘッド(radiohead)のようなエモーショナルを感じる。またエイフェックス・ツイン(Aphex Twin)やオウテカ(Autechre)などのエレクトロニカ系アーティストから影響をうけたと思われる「冷たく透明な質感の音」や「神経質なブレイクビーツ」なども柔軟に受け入れており、アルバムジャケット同様に「ダークで陰鬱な黒」を開放的に表現したようなアルバムとなっている。

    「要点」

  • エレクトロニカ系アーティストからの影響をうけている
  • 「ダークで陰鬱な黒」を開放的に表現したようなアルバム

「曲解説」

1 juanita : kiteless : to dream of love

「深夜の首都高速をドライブする」ようなスピード感を感じる16分超えのオープニングチューン。序盤に登場するボーカルラインは一切の感情がなく「暗号」のように無機質である(3:40〜)「眩しいネオン」のような電子音が高速でループされ、体感速度を大幅に上げる(6:02〜)「回りながら落下」するような電子音が存在感を放つミステリアスな展開となり、その後はリバーヴのかかったギターサウンドの断片が登場。10分を超えたあたりから曲はアシッドハウスのようなディープさを持ち始める(12:12〜)「透明なクリスタル」のような質感のシンセサウンドが光の速さで美しい旋律を奏でる。このサウンドをバックに「人間らしい暖かい感情を持ったボーカルライン」が登場。そこに「電気的な歪み」を感じるエッジのたった電子音やアシッドハウス的な「鳥類の鳴き声にエフェクトをかけた」ようなサウンドが絡む。最後は「壊れたロボット同士の会話」のような声の断片がミステリアスに響く。
2 banstyle/sappys curry

序盤と中盤で曲の雰囲気がガラリと変わるプログレな曲。時折挿入されるカール・ハイドのボーカルは脱力感がありメロウなものとなっている。0~6分頃までは「雲の上」のような浮遊感を感じる音響とシャープなジャングル風ブレイクビーツが印象的な展開でエイフェックス・ツイン(Aphex Twin)以降の神経質な音響も登場する。6分頃〜 アナログな暖かさを感じる立体的なスラップベースがミニマムなフレーズを奏でて、そこに「さざ波」のような質感の電子音が絡まり「メランコリックな夏の海」を連想するような空気感が出来上がる(11:53〜)「シュールな世界にワープできる泉」のような質感のサイケデリックな音響がリスナーの頭の中をグシャグシャとかき乱す。終盤はこれまで曲中に登場した全ての音と雰囲気が絡まるカオスな展開で幕を閉じる。
3 confusion the waitress

「ミニマリストの部屋」を思わせるミニマムでメランコリックな質感の曲。リズムは規則正しい四つ打ちとブレイクビーツが交互に鳴らされるイメージで、 ボーカルラインは相変わらず「独り言」のようなものとなっている。
5 pearls girl

「どんよりした曇り空にモザイクをかけた」ような空気感の曲。エレクトロニカ風の神経質なブレイクビーツやバグったコンピュータボイスが時折挿入される。この曲でのカール・ハイドのボーカルはインダストリアル的に歪んでいる(5:28〜)「crazy、crazy」というワードを高速ループするシュールな展開となり、そこにバグった質感の細切れの女性ボイスも加わってリスナーをトランス状態にする。終盤は「神聖で真っ白なストリングス」が全てを包み込むがそこに神経質なブレイクビーツが「蛇」のように動き回りアクセントを加える。
6 air towel

ビビッドな音色の電子音が終始「ギターリフ」のようにリフレインされるシンプルな曲。「囁き」のような無機質なボーカルはメランコリックでメロディーを聴かせる気などまるでない。中盤以降はエレクトロニカ的な冷たい音像が曲に冷気を与える。
8 stagger

モノトーンでシリアスな空気感を持つダウナーソング。物悲しくダークなピアノ風の旋律は「氷の迷路」のようであり、カール・ハイドのボーカルはレディオヘッド(radiohead)のようにエモーショナルである。終盤〜最後は歪んだビートだけが「重い足取り」のようにスローに鳴り響く。

「BPM以上のスピード感を演出する高速ループ」や「ビビッドな電子音」など様々な情景を連想するサウンドが印象的でニューウェイブ的なダークさとミステリアスな雰囲気があった前作よりクリアーな音が多くなった4thアルバム。 カール・ハイドのボーカルは相変わらず無機質で脱力感のあるものが多いが、ラストソング「8 stagger」ではレディオヘッド(radiohead)のようなエモーショナルを感じる。またエイ

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前作以上に「ロック的な直線さと過激さ」が全面に出ている2ndアルバム。「5 Setting Sun」ではノエル・ギャラガー(オアシス(Oasis)をゲストボーカリスに迎えオアシス(Oasis)自身が3rdアルバムで表現したかったのでは?と思われる「壊れた質感の極彩色サイケサウンド」が炸裂。

本作は「ロック」と「テクノ」がガッチリと手を組み合い条約が成立したような記念碑的なアルバム。「ロック的な直線的ビートを持つ90年代テクノサウンド」といえば本作と「The Fat of the Land / ザ・プロディジー(The Prodigy)」が代表作に挙げられる。この2枚のアルバムは共に97年にリリースされ「普段あまり電子音楽を聴かないロックファン」からも支持を集めビッグセールスを記録した。3rd以降もケミカル・ブラザーズ(The Chemical Brothers)はこの「ロック路線」を突き進むのだろうか?気になるところである。

    「要点」

  • ロック的な直線的ビートを持つ90年代テクノサウンド
  • 「5 Setting Sun」はノエル・ギャラガー(オアシス(Oasis)をゲストボーカリスに迎えている

「曲解説」

1 Block Rockin’ Beats

「同じところをクルクルと回る」ような分厚くミニマムなベースラインとロック的なタイトなビートが印象的なヒットチューン (1:22〜)「火炎放射」のように焼き尽くす直線的で歪んだシンセサウンド(1:42〜)侵入者を感知して鳴らされるセンサーを歪ませたような音(3:00〜)「激しい豪雨」のように連打されるビートなどがUSミクスチャー勢にも通じるロック的なストリート感を演出している(2:42〜)連打されるタイトなビートと共に鳴らされる電子音は「迫り来る影」のようにダークである。曲中を通してメロディックなパートは存在しないがキャッチーで一度聴くと耳に残るパンチ力がある。
2 Dig Your Own Hole

「黒い蛇」のようにうねるディープなベースラインが印象的なアッパーチューン。冒頭は「コンクリの上にある水面に反射する光」のような眩しい電子で幕をあけるが、すぐにストリート感のあるBPM早めのアッパーな展開に移行。この曲でも直線的なブレイクビーツは健在でリスナーの脳にダイレクトに突き刺さる(2:15〜)「スローな竜巻」のような風を切るサウンドが少しシューゼイザー風(2:30〜)「ラップの断片」のようなボイスがファンキーなテイストを加え、間奏部では「UFOが着陸した」ような少し不気味な音が鳴り響く。この間奏部の存在があるので終盤はビートがこれまで以上に直線的にリスナーの脳裏に突き刺さる。
4 piku

「浅い夢の中にいる」ような幻想感を持つビート・オリエンテッドチューン。「ラップの断片」や「アンビエントな美音響」などをサンプリングし音遊びしている趣の曲である。
5 Setting Sun

「どこまでも追いかけてくる追跡ビーム」のようなアシッドなシンセサウンドが鳴り響くファンキーなサイケデリックソング。「カラフルな蝶々の大群」を思わせる「アヤヤ〜、アヤヤ〜」は名コーラスでリスナーの頭の中を極彩色に染め上げる。反面、本曲のビートは「ロック以上にロック的」でゲストボーカルで歌っているノエルギャラガーの「尻を蹴り上げる」ようなパンチ力があり、オアシス(OASIS)が97年発表したBe Here Nowで表現したかったと思われるハードでサイケなサウンドをテクノ化したようなイメージである。
6 It Doesn’t Matter

「大量のエラーを吐き出すバグったコンピューター」のような曲。無機質な人造人間風ボイスで無限ループされる「Doesn’t Matter」というフレーズや 「壊れそうな旧式エアコン」のような空気感がアングラな雰囲気を醸し出している(5:15〜)「ロボット風ボイスを千切りにした」ようなサウンドと「バグり果てた」ようなカラフルなシンセサウンドが展開される。
8 Get Up On It Like This

ゴージャスなホーンセクションとソニックなDJスクラッチの対比が印象的な曲(1:50〜)ビートが強度を増し複数のリズムアプローチが順番に展開され、終盤は「赤ちゃんの泣き声」のように聴こえる「キャー、キャー」というアグレッシブなサウンドがリフレインされる。
9 Lost In the K Hole

「真夏の夜に見た夢」のようなドリーミーなサウンドレイヤーが幻想的な曲。ビートは「電子チップ」のようにミニマムでカチッとした音色、ベースラインはリフといっていいものになっておりドリーミーな雰囲気の曲に熱量を与えている。最後は「全てが時の砂に消える」ような儚なさを感じる音響で締めくくられる。
11 The Private Psychedelic Reel

「夜の砂漠」のようなオリエンタルな雰囲気を持つハードチューン。甲高い電子ノイズが「鳥類の泣き声」のようにリスナーの鼓膜に絡みつき「ジェット機」のような音や「蛇使いが吹く笛」ような音などが空間を自由に踊る。中盤以降はミニマムミュージックのように「メタリックなドアノブを回すような音」がループされ陶酔感を感じるサウンドが展開され、ビートはハードロック的とも言っていい位にワイルドでパワフルである。最後はカラフルな音が「洪水」のように次々に溢れ出し最高潮のところで曲が終わる。

前作以上に「ロック的な直線さと過激さ」が全面に出ている2ndアルバム。「5 Setting Sun」ではノエル・ギャラガー(オアシス(Oasis)をゲストボーカリスに迎えオアシス(Oasis)自身が3rdアルバムで表現したかったのでは?と思われる「壊れた質感の極彩色サイケサウンド」が炸裂。 本作は「ロック」と「テクノ」がガッチリと手を組み合い条約が成立したような記念碑的なアルバム。「ロック的な直線

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90年代的なジャンルのクロスオーバーを象徴するようなアーティストの1つであるケミカル・ブラザーズ(The Chemical Brothers)。本作はそんな彼らのデビューアルバムにあたり、ハードなロックミュージックをテクノやハウスの文脈で再構築したようなサウンドは圧倒的に個性的である。

「「ロックの直線的な破壊力」をテクノサウンドに見事に反映しておりリズム面はロックドラム的なパワフルさを持つブレイクビーツが多く使われており硬質な質感だが、ストリート感のある遊び心のある音や「メロウ」「サイケ」な質感を曲に与えるサンプリングされた女性ボーカルの使い方が抜群にうまく、硬質でミニマムなフレーズをループするタイプであっても不思議なポップネスがあると感じる。

アルバムタイトルの邦題は「さらばダスト惑星」は彼らの改名前のグループ名「ダスト・ブラザーズ (The Dust Brothers)」から名付けられている。デビューアルバムで過去に対して「さらば」と別れを告げた彼らは次作以降より刺激的なサウンドを展開する事となる。

    「要点」

  • 「ロックの直線的な破壊力」をテクノサウンドに見事に反映
  • 改名前のグループ名は「ダスト・ブラザーズ (The Dust Brothers)」

「曲解説」

1 Leave Home

70年代ハードロックバンドによるリフ・オリエンテッウドな曲をテクノ化したような硬質な1曲。リズム面はタイトでパワフルなロックドラム風のブレイクビーツとなっている。「流れ星」のようにきらめく電子音やサンプリングされたメロウな女性ボーカルが時折挿入され、シンプルで硬質なサウンドではあるのだがポップに響く。最後は「次元の違う空間にワープする」かのようなサウンドが登場する。
2 In Dust We Trust

「霧」のようなモヤっと歪んだ空気感が心地よいファンキーな曲でDJスクラッチが所々に盛り込まれアクセントとなっており、分厚くディープなベースリフが曲をグイグイと引っ張っている。ベースがメインリフを弾く方法論はニュー・オーダー(New Order)のようだ(4:05〜)「コンピューターのモニターが突然、真っ白になった」ような静寂パートが挿入され、終盤は躍動感のあるリズムと「空気を切り裂く疾風」のようなサウンドが強調される。
3 Song to the Siren

「面白い音を集めてミックスジュースを作った」ようなサウンドが面白い曲。オリエンタルな香りがする「呪縛」のようなサンプリングされた女性ボイスや脳みそをグシャグシャとかき乱す「縮れたビーム」のようなサウンドが特に印象に残る。
6 Chemical Beats

「スライム」のような弾力感を持つミニマムな歪み系・電子音がループされるテクノ。「ハッ、ハッ」というサンプリングボイスが少しコミカルでシリアスな曲にリラックス感を与えている(2:15〜)間奏部で瞬間に「早朝のビーチ」のようなメランコリックなパートが挿入される、このあたりUKっぽい。終盤はこれまで以上に横揺れを促すようなダンサブルなビートが強調される。
8 One Too Many Mornings

マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)彷彿の白昼夢のような曲。全ての音が「ガラス越しに鳴り響く」ような質感をもっており(1:40〜)サンプリングされた女性ボーカルの歌声は「今にも消えてしまいそう」に儚い。ベースラインは底で鋭角的にメロディックなフレーズを奏でている。
11 Alive Alone

ダークでアラブ的な雰囲気が印象的なラストソング。神秘的な女性ボーカルをフィーチャーしており本作の中で最もボーカルラインが目立つ曲である。ディープな低音と時折現れる「黄金の宮殿」を連想するサイケギター風フレーズがミステリアスさを醸し出している。終盤は「うねる蛇」や「そびえ立つ太陽」のようなサウンドがこれまで以上にサイケデリックに響き渡る。

90年代的なジャンルのクロスオーバーを象徴するようなアーティストの1つであるケミカル・ブラザーズ(The Chemical Brothers)。本作はそんな彼らのデビューアルバムにあたり、ハードなロックミュージックをテクノやハウスの文脈で再構築したようなサウンドは圧倒的に個性的である。 「「ロックの直線的な破壊力」をテクノサウンドに見事に反映しておりリズム面はロックドラム的なパワフルさを持つブレイ

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