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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果62件

カテゴリー「名作」のレビュー

初期のデジタルビートは希薄でアナログな音色を多く取り入れた作品。誰でも一度は聴いたことがあるキャッチーなボーカルラインの数々が収録されており 「2 TONIGHT(Is The Night)」「6 もう一度キスしたかった」「10 ALONE」などの曲は音を聴いていると景色がしっかりと浮かんでくる。「リスナーのイマジネーションを刺激するポップネスを持つ」という点においてはビーズ(B’z)の作品の中でもトップレベルなアルバム。

コクのある独自のギターサウンドはシティポップやソウル風の曲とも相性が良くまたハードなギターリフが鳴り響く「3 快楽の部屋」のような曲もサラリとポップスとして成立させてしまうアレンジセンスは脱帽。ゴージャスな空気感が漂う曲が多いのはやはり時代によるものだろう。

    「要点」

  • アナログで良質な音を取り入れた作品
  • イマジネーションを刺激するポップネス
  • ハードな曲もサラリとポップにするアレンジセンス

「曲解説」

1 Wonderful Opportunity

カラフルでファンキーなホーンセクションで始まるノリノリな曲。歌詞は男女が迎えるシリアスな「ピンチ」に対して「どのように向き合うべきか?!」を自問自答するという内容。また「ピンチ」を乗り越えたあとの前向きな希望にも言及し「トラブル」=「チャンス」だと定義つける。悩みをテーマにした曲でここまで愉快な雰囲気の曲は筆者が知る限り存在せず、稲葉浩志(vo)の歯切れのよいボーカルはもちろんだが、「チャンス!」という愛らしい女性コーラスもノリの良さに拍車をかける(2:48〜)煌びやかでコクのあるギターソロ、ソロの後は渋いサックスが登場してポップでノリノリな曲に少しだけアダルトな雰囲気を醸し出す(4:06〜)「it’s all right」という稲葉浩志(vo)の伸びやかなシャウトが炸裂し最後までノリノリなポップチューンとして突き進む。
2 TONIGHT(Is The Night)

「高層ホテルの窓から見える夜景」のようなアーバンなギターフレーズが哀愁漂うサックスと絡むイントロで幕をあける。曲全体を通してアーバンなソウルのような雰囲気であり、サビの稲葉浩志(vo)のボーカルラインはイントロのギターフレーズと同様のメロディーを奏でる。歌詞の内容は一人でクリスマスは過ごせないと部屋で「君」を待つ男のキザな心情といったところだろうか。
3 快楽の部屋

「ワァ〜ン、ワァ〜ン」という「バイクのエンジン音が歪んだ」ようなギターフレーズで幕をあける。スローでコクがある歪んだ松本 孝弘(g)のギターリフを中心に進行する曲で歌詞の内容は「飲んではっちゃけるエロい夜」みたいなイメージ。曲の雰囲気もハードで蒸せるような暑さを感じる(3:08〜)陶酔のようなミニマムなギターフレーズが登場、ジャジーなピアノと絡んで優雅な風を吹かせるのだが(3:35〜)「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」という高笑いがこの空気感を壊し(3:42〜)ローバト・プラント風のシャウトが炸裂。最後はハードなリフが唐突に途切れ終わる。
5 Crazy Rendezvous

車のエンジン音がSEで流れる。ミニマムなダンスビートの上を金属的なエッジのたったギターフレーズと夜空を連想するサックスが絡み鳴り響く曲。歌詞は「好きだからしょうがない」という理由で無理に朝まで付き合わせるエゴイスティクな内容。
6 もう一度キスしたかった

物悲しいピアノの調べで始まる有名曲。映画を見ているように「物語」が目に浮かぶ煌びやかなシティーポップ。
6 もう一度キスしたかった

物悲しいピアノの調べで始まる有名曲。映画を見ているように「物語」に浮かぶ煌びやかなシティーポップ。
8 それでも君には戻れない

ゴージャスなダンスミュージックのようなホーンセクションと松本 孝弘(g)のコクのあるギターサウンドが絡むイントロではじまる(0:18〜)ポップなスラッシュメタルのようなザクザクリフも鳴り響くが「星空」のようなキーボードが曲に色彩を与えハードロック匂を和らげてポップな質感を与える(4:46〜)曲が「パタン」と止まりメルヘンなオルゴールが流れ始める。そこに80年代ブリティッシュメタル風の叙情ギターソロを90年代風にアレンジしたような音が鳴り響き哀愁のある雰囲気を醸し出す。
9 あいかわらずなボクら

カントリーギターのコードストロークと太陽のように眩しいスケールの大きいボーカルラインが特徴(1:12〜)控えめな泣きのギターフレーズと手拍子が曲に加わりリラックスした雰囲気を醸し出す。最後はリラックスした仲間の集まりのような雰囲気のSEが流れる。
10 ALONE

雄大なコーラスで幕をあける「沈む夕日」のような曲(0:52〜)リスナーの頭に眩しい夕日を連想させるブルージーで哀愁漂うギターフレーズが流れる。眩しい夕日のようなギターフレーズとは対照的なしっとり降り注ぐ小雨のようなキーボードの音色がこの曲の別格なエモさを作り出している。この曲のギターフレーズだけ明らかにまぶしさが違うのはそのせいだろうと思われる。歌詞の内容は男女の愛情というよりはもう「二度と会えないアイツ」に向けられたようなイメージで、終盤は泣きのギターソロと憂いのある稲葉浩志(vo)のボーカルで締めくくられる。

初期のデジタルビートは希薄でアナログな音色を多く取り入れた作品。誰でも一度は聴いたことがあるキャッチーなボーカルラインの数々が収録されており 「2 TONIGHT(Is The Night)」「6 もう一度キスしたかった」「10 ALONE」などの曲は音を聴いていると景色がしっかりと浮かんでくる。「リスナーのイマジネーションを刺激するポップネスを持つ」という点においてはビーズ(B’z)

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グランジ・オルタナ系ギターバンドの中で最も「耽美」「浮遊感」「メルヘン」という形容が似合うアーティストであり、ハードなギターサウンドをフィーチャーしたサウンドではあるのだが、他のUSグランジ・オルタナ勢に見られるような「ヘヴィネス」や「グルーヴ」といった要素はあまり感じられず、直線的な轟音がなんとも言えない浮遊感を醸し出している。

「静」→「動」のダイナミズムを生かしたサウンドも得意とするバンドではあるが、真骨頂やはり「破壊的な轟音」と「メルヘンな質感」を同居させる事にあり、「轟音ニューウェイブ」と言いたくなる独自の音楽であると言える。ビリー・コーガン(vo)の特有のダミ声は「轟音ニューウェイブ」と奇跡の相性をみせ、どれだけ轟音を重ねても不思議な浮遊感を感じる一つの要因になっている。

    「要点」

  • 「耽美」「浮遊感」「メルヘン」を感じるハード系バンド
  • 「轟音ニューウェイブ」と言いたくなる独自の音楽

「曲解説」

1 Cherub Rock

これから始まる激情を予感させるマーチ風のシンバルではじまり、ニルヴァーナ(Nirvana)やサウンドガーデン(Soundgarden)etcとはやや異なる少し「金属的なきらめき」を感じることができるギターリフが鳴り響くが「ヘヴィ」という印象ははなく「轟音」という表現がぴったりのサウンド。タイトル和訳は「天使のロック」おそるおそる歌詞の和訳を見てみるとファンタジーな内容ではなく生々しい音楽産業批判であった。
2 Quiet

SEは「センサーが不法侵入者の発見を知らせる」ような不穏な残響音。その後は「地に張り付く砂鉄」のような重低音リフが終始鳴り響く (1:50〜)ブラックホールに吸い込まれるような音の後にこれからの爆発を予感させる手数の多いドラムフレーズが鳴り響き(2:02〜)「空気をナイフで引き裂く」ような金属的でエフェクティヴなギターソロ飛び出す。
3 Today

日本のミクスチャーバンド「ドラゴン・アッシュ(Dragon Ash)」がヒットシングル「Grateful Days」のイントロで本曲のアルペジオをサンプリングしている事でも有名。おとぎ話のような少しセンチメンタルなアルペジオが終始鳴り響くが、メインリフはそれとは対極の地を這うような轟音となっている。両極端なフレーズが見事に絡み、油絵のような浮遊感を感じる事ができる。
4 Hummer

ヒップホップ風のリズムに激しいモザイクような音が絡んだようなSE(0:55〜)異なる音色がハモるツインギターは轟音だがやはり浮遊感を感じる(1:18〜)透明でクリアなアルペジオは同時期のグランジ・オルタナバンドではあまり聴けない。その後は「透明でクリアなパート」と「油絵のような轟音」パートを交互に繰り返す(4:30〜)流れるようなアルペジオはメランコリックさが強調されており、特に後半は「水面に広がる波紋」のような美旋律が堪能できる。
6 Disarm

柔らかいアコギのコードストロークとストリングスとビリー・コーガン(vo)の歌声だけで構成される壮大な曲。本曲におけるビリー・コーガン(vo)のボーカルはエモーショナルでセンチメンタル。ボーカルラインの美しさは筆者がこれまで聴いた全ての曲の中でもトップ10に入る位の神ライン。教会の鐘を思わせる音もセンチメンタルな雰囲気を助長する。
7 Soma

「何も起きない平凡な日常」のような淡々とした静かなアコギの音色が心地よく、そこにビリー・コーガン(vo)の繊細なボーカルラインが加わる(2:25〜)徐々にボーカルラインに抑揚がつき始め平凡な日常に色彩が加わる(3:30〜)轟音ギターサウンドが鳴り響きグランジサウンドに変貌(6:00〜)全ての感情を放出した後のような静けさに包まれ「浅い夢」のようなメルヘンなメロディーが流れる。
11 Silverfuck

ブラッシングノイズをうまく取り入れたザクっとした質感のノイズギターがメインリフ(1:00〜)テンポダウンして原始的なリズムとビリー・コーガン(vo)の囁くような歌声だけで構成される展開に移行するが(1:37〜)直線的なギターリフが鳴り響き一気に熱量マックスのグランジサウンドに変貌。鳴り響くフィードバックノイズが凶暴な雰囲気を演出(3:02〜)世界の果てを思わせる静寂に包まれエフェクティブなノイズの断片が挿入されるが(6:46〜)ハードな展開に戻りその後は視界に映る全てを木っ端微塵に破壊するようなノイズの渦に包まれる。
12 Sweet Sweet

ニューウェイブ直系のガラス細工のような透明で耽美的なギターサウンドとビリー・コーガン(vo)による「淡い炎」のようなボーカルラインのみで展開される浮遊感あるの曲。ほとんど全ての曲に言える事だが異なる世界観や質感を1曲の中に同居させている。

グランジ・オルタナ系ギターバンドの中で最も「耽美」「浮遊感」「メルヘン」という形容が似合うアーティストであり、ハードなギターサウンドをフィーチャーしたサウンドではあるのだが、他のUSグランジ・オルタナ勢に見られるような「ヘヴィネス」や「グルーヴ」といった要素はあまり感じられず、直線的な轟音がなんとも言えない浮遊感を醸し出している。 「静」→「動」のダイナミズムを生かしたサウンドも得意とするバンドで

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轟音ギターサウンドが鳴り響くバンドだと思っていたのだが(もちろん轟音もある)、実際よく聴いてみるとニューウェイブ的な浮遊感やダークさを感じることができ、またソニックユース的な「斬新な響き」を持つチューニングやコード進行が面白い。

「5 Flying Cloud」で聴けるコード進行などはこれまで聴いたことがない類のものだ。J・マスシス(vo , g)の気怠く不思議な哀愁を持つ声とダークで浮遊感と壊れた質感が同居した雰囲気はまさに「オルタナ」。グランジが大爆発した91年にブレイクしたバンドだけど、グランジ勢とはあまり関係のない音だと感じる。90年代初頭のUSバンドの中では突出したメロウなメロディーセンスを持っていると思う。

    「要点」

  • 摩訶不思議なコード進行
  • ニューウェイブ要素強め、メロウなボーカルライン

「曲解説」

2 Puke and Cry

ニューウィブのようなダーク×耽美で煌びやかなコードストロークが印象的。ダイナミックな展開はなく浮遊感のある展開で淡々と進行する(3:33〜)リズムがスローになり一瞬だけU2を彷彿とするアンビエントなギターサウンドが鳴り響き、最後はメロウなメロディーに乗せて「come on down」というフレーズが繰り返され終わる。
3 Blowing It

憂鬱な夏のような浮遊系ギターリフがエモく、べースが高音でメロディックなフレーズを歌う。ニューオーダー的なフィーリングのする曲でグランジーな歪みギターは一切登場しない。
5 Flying Cloud

循環コード(Asus Cmaj7 Dmsus Dm)が終始鳴り響きコードストロークの強弱で抑揚をつける曲。J・マスシス(vo , g)の気怠いボーカルと「結婚式と葬式が同時開催された」かのような「祝祭と絶望が混在した」オルタナな雰囲気をもつコードの響きが秀逸。
6 Water

モノクロームな青空を思わせるコード進行が特徴の曲(コード進行もそうだけどそもそもチューニングが変則かも?!)で「爽やかさと憂鬱さ」が混在しておりエモい気分に浸れる。
7 Muck

ダイナソーJr.(Dinosaur Jr.)流ファンク。16ビートのファンキーでダークな質感のあるギターカッティングの間を縫うようにJ・マスシス(vo , g)と女性ボーカリストの気怠くメランコリックなボーカルラインが聴こえる。最後はアコギのコードストロークのみが流れ静かに終わる。
10 Green Mind

本作の中で最もオルタナっぽい曲。冒頭は壊れた質感のギターサウンドを中心に進行するが、サビのボーカルラインの裏では疾走感のあるカッティングギターが鳴るという展開(2:40〜)感情が乗ったエモーショナルで哀愁のあるギターソロが爆発する。

轟音ギターサウンドが鳴り響くバンドだと思っていたのだが(もちろん轟音もある)、実際よく聴いてみるとニューウェイブ的な浮遊感やダークさを感じることができ、またソニックユース的な「斬新な響き」を持つチューニングやコード進行が面白い。 「5 Flying Cloud」で聴けるコード進行などはこれまで聴いたことがない類のものだ。J・マスシス(vo , g)の気怠く不思議な哀愁を持つ声とダークで浮遊感と壊れ

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今や誰もが知っているビッグアーティストとなったコールドプレイ(Coldplay)が2000年にリリースした1stアルバム。メランコリックだが力強いボーカルラインと叙情的なギターサウンドが特徴でアルバムでギターロック期のレディオヘッド(Radiohead)に多大な影響を受けたと思われる叙情的なサウンドを聴かせてくれる。

メランコリックでダウナーな質感はありつつもボーカルラインに「力強い生命力」を感じる事ができる点が彼らの最大の魅力。本作がリリースされた当時は「90年代に活躍したUKアーティスト達」がアーティストエゴを爆発させ「シンプルなギターロック」をしなくなっていた。そんな中に現れたのがコールドプレイ(Coldplay)であり、叙情的でシンプルなギターロックを時代が求めていた「内省」と共に鳴らした。レディオヘッド(Radiohead)ファンの筆者としてはコールドプレイ(Coldplay)は認めたくはないが、認めざるを得ない「良質なバンド」という存在であるというのが正直なところだ。

    「要点」

  • 「力強い生命力」を感じるボーカルライン
  • 時代が求めていた内省的な美メロ
  • ベンズ期のレディオヘッド(Radiohead)好きにはおすすめ

「曲解説」

1 Don’t Panic

「憂鬱な月曜日の朝」のようなコードストロークではじまり(0:25〜)「まだ夢の中にいる」ようなドリーミーなギターサウンドが響き渡る。1stアルバムの1曲目から破格のクオリティを見せつける流れるような美旋律が堪能できるオープニングソング。ラスト10秒のクリス・マーティン(vo)の囁くような歌声は「夢の終わり」を告げるかのようだ。
2 Shiver

ギターロック期のレディオヘッド(Radiohead)彷彿のギターフレーズが印象的。コールドプレイ(Coldplay)とレディオヘッド(Radiohead)との違いは、「オルタナ的な壊れたノイズ感」の有無だと思う(どちらが良い悪いではなく)「夕暮れの空を自由に飛び回るコンドル」のようなスケールの大きなボーカルラインが素晴らしい。
4 Sparks

「真っ暗な部屋でベットに横たわっている」ような雰囲気の曲でまさに「内省」という言葉を音楽化したような曲。ラスト20秒の少しだけ温かみのある「ラララ〜ラ〜」というボーカルメロディーがせめてもの救いと言える。
5 Yellow

暗い部屋でメランコリックな気分に浸っていた少年(少女でもいいけど)が、外界にに向けて力強く1歩を踏み出したような力強くシンプルなオクターブ奏法が特徴のギターロックソング。歌詞カードの和訳を見るとメランコリックな要素はなく普通にラブソングだった。
10 Everything’s Not Lost

ピアノをフィーチャーしたしっとりとした冒頭から徐々に熱量の高いギターロックに変貌を遂げる今作のラストを飾る曲。曲が終わったと思ったら10秒ほどのブレイクがあり全く異なるメロディーを歌い始めるという粋な展開を見せる。

今や誰もが知っているビッグアーティストとなったコールドプレイ(Coldplay)が2000年にリリースした1stアルバム。メランコリックだが力強いボーカルラインと叙情的なギターサウンドが特徴でアルバムでギターロック期のレディオヘッド(Radiohead)に多大な影響を受けたと思われる叙情的なサウンドを聴かせてくれる。 メランコリックでダウナーな質感はありつつもボーカルラインに「力強い生命力」を感じ

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デビュー作でメディアから「オアシス以来のベスト・デビュー・アルバム」と絶賛(wiki)されたマンサン(Mansun)。その評価も納得の耽美だが力強いメロディーセンスを持つアーティストでありポール・ドレイパー(vo)の歌声には艶がある。

ブラー(Blur)やスピリチュアライズド(Spiritualized)が「プログレッシヴ」や「アバンギャルド」とも言ってもいい作品をリリースした97年〜98年の音楽シーンにおいてマンサン(Mansun)もまた彼らに負けない位の手の込んだ作品をリリースした。全編を通して「転調」や「1曲の中に対照的な展開を盛り込む」事をデフォルト化しているかのような作品。アルバムジャケットで気難しそうな男が辞典のようなものを読んでいるが、「本の世界を旅する」ような音楽が今作のテーマなのでは??と思われる。それ位に様々な情景やイメージが湧いてくるプログレッシヴなサウンド。色んな意味で過剰(収録時間70分超)な作品なのでリスナーの気分によって評価が左右されると思うが、2ndアルバムでビジネス的に一番大事な時に「プログレな大作」をリリースした彼らのアーティスト魂にはおそれいる。

    「要点」

  • 「本の世界を旅する」ような音楽
  • 2nアルバムでプログレ大作

「曲解説」

1 Six

1曲目から収録時間8分超えのプレグレ曲。透明感のあるミニマムなピアノの旋律が鳴り響く中、ポール・ドレイパー(vo)が耽美的だがキャッチーなボーカルラインを歌い上げる。時折、ハードでアグレッシヴなギターロックサウンドが挿入される(2:40〜)唐突に「本の世界に迷い込んだ」ような「何もない真っ白な空間」を思わせる静けさがやってくるが、また唐突にハードなギターロックに戻るという展開を見せバーストしたようなギターノイズが鳴り響く。ノイズが鳴り響いた後は「これまでの事」が何もなかったかのようにポール・ドレイパー(vo)が耽美的なボーカルラインをしっとりと歌いあげるという色んな意味でやりすぎな展開だが抜群のボーカルラインと艶のあるポール・ドレイパー(vo)の声がこの展開をポップスとして成立させている。
2 Negative

タイトルがNegative(ネガティブ)そしてアンプのハウリングからはじまるという展開から一瞬「グランジへの回答」と思わせるのだが、その期待はわずか15秒で裏切られグランジの「グ」の文字もない、スピリチュアライズド(Spiritualized)の名作Ladies and Gentlemen We Are Floating in Space(宇宙遊泳)と共振するかのようなスペーシーで時空が歪んだようなアバンギャルドなサウンドを展開する。だがこれもまた不思議とポップとして成立している。
3 Shotgun

スーパーグラス(Supergrass)のようなメロウなメロディーをもつギターポップではじまる曲。「1曲目2曲目凝ってたから3曲目はストレートポップソングか?!」と思ったのだがやはりこのバンドはそんなに甘くなかった。1分頃から10倍の重力空間に放り出されたような不思議な重さがある展開になり1:30分頃からは、オリエンタルな雰囲気のアルペジオと枯れたギターサウンドが顔を出しバックでは「ビデオテープを早送りしている」かのような音が流れ、そして3:05分頃からはシュールな夢でも見ているようなぼやけた光のような音に包まれる。最後は「見知らぬ異国を一人さまよい歩く老人」のような孤独な音色で幕を閉じる。
4 Inverse Midas

物悲しいピアノとボーカルだけで構成されポール・ドレイパー(vo)がボーカルラインをしっとりと歌い上げる。「シンプルにそのまま終わるわけがない」というリスナーの心理を逆手にとり「フェイクしない事が逆にフェイク」になっている曲。
9 Witness to a Murder

オリエンタルでミニマムなアルペジオのループをバックにヒステリーな女性オペラの歌手のボーカルと「ニュースキャスター」を思わせる男の語りだけで構成された曲。タイトルは和訳で「殺人を目撃した」ん〜なるほど。
11 Special / Blown It

北欧の自然を連想する荒涼感のあるエレクトロニカ以降のサウンドとアグレッシヴなギターロックが交互に繰り返される曲。最後はバンド演奏がピタリととまり鳥のさえずりが聴こえる。

デビュー作でメディアから「オアシス以来のベスト・デビュー・アルバム」と絶賛(wiki)されたマンサン(Mansun)。その評価も納得の耽美だが力強いメロディーセンスを持つアーティストでありポール・ドレイパー(vo)の歌声には艶がある。 ブラー(Blur)やスピリチュアライズド(Spiritualized)が「プログレッシヴ」や「アバンギャルド」とも言ってもいい作品をリリースした97年〜98年の音楽

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