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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果62件

カテゴリー「名作」のレビュー

代表曲「KISS ME」 が収録されており氷室京介のキャリア史上最もセールス的に成功したアルバム。

アーバンで浮遊感を感じる大人なロックサウンドを中心に構成されており、多くの曲でU2(ユートゥー)からの影響を感じさせるディレイサウンドを大胆に取り入れている。また本作の歌詞はアルバムタイトル通り「過去のメモリーを大人になった氷室京介が回顧・内省する」という質感のものが多いと感じる。歌詞は「過去の回顧」がメインとなっているがサウンド的には「過去=ボウイ(BOØWY)」と良くも悪くも距離を置いているような気さえ感じさせ、ボウイ(BOØWY)を彷彿とされる曲は布袋寅泰風のギターソロが登場する「6 SON OF A BITCH」、直線的なビートロック「9 GET READY “TONIGHT” TEDDY BOY」位であり、「10 WILL」の歌詞にもある通り「過去の瓦礫に消えてしまいたくない」という強い意思を感じさせる。

    「要点」

  • ・氷室京介のキャリア史上最もセールス的に成功したアルバム
  • ・歌詞は「過去の回顧」だが、サウンド的には「過去=ボウイ(BOØWY)」と良くも悪くも距離を置いている

「曲解説」

1 KISS ME

イントロで登場するカッティング・ギターリフは、ミニマムなギターリフのお手本のようなフレーズでギターキッズ必聴のフレーズとなっている。氷室京介と言えばこの曲をあげる人も多く、氷室京介のパブリックイメージに最も近い代表曲となっている。歌詞の内容は「イケない関係の男女がホテルで密会して熱い夜を過ごす」ようなイメージの歌詞で「メビウスのハイウェイ」「凍えてる三日月」などのナルシスティックな表現も登場する。「バブルの名残」のような装飾感のあるシンセとU2(ユートゥー)的なディレイ・ギターサウンドを中心に構成されており「メビウスのハイウェイ」のような浮遊感を感じる整合性の取れたロックサウンドとなっている。
2 YOU’RE THE RIGHT

「浅い夢の中にいる」ような雰囲気を醸し出すディレイサウンド・オリエンテッドな空間系バラード。「心を求めすぎて傷つくだけの恋愛」を歌っており、 最後は「一人で生きるために」なる歌詞も登場。「もう恋なんてしない」という切なさを感じる(2:19〜)「二人の眩しかった思い出」を回顧するような華やかさと甘さが同居したサックスソロが登場。
3 Memories Of Blue

「真冬の夜空」を連想するジャジーなサウンドをディレイサウンド・オリエンテッドな耽美ロックに絡めた曲。サビはロック的な熱量を感じさせるボーカルラインだがバックでは軽やかなシンフォニーが「あの頃の俺たち」のように切なく鳴り響くという展開。「10代の繊細さと弱さ」を大人になって回顧するような歌詞が秀逸である。
4 Good Luck My Love

「思い出にできない過去の恋愛」を後悔と共に切なく振り返るバラードでやはりこの曲でもU2(ユートゥー)彷彿のディレイギターがサウンドの中心となっている。筆者が知る限りここまで曲のタイトルをリフレインする曲は非常に珍しく、おそらくではあるが「Good Luck My Love」というフレーズを曲中に20回くらい言っているはずである。
6 SON OF A BITCH

「大粒の雨」のようなドラムとタイトなビート感を感じさせるギターリフを中心に展開されるアーバンなギターロック(1:58〜)イケイケのシャウトの後に登場するギターソロは布袋寅泰が弾いていたとしても不思議ではない位にボウイ(BOØWY)的なラインでありボウイ(BOØWY)ファン必聴といえる。
8 Urban Dance

ゴージャスなシンセポップと浮遊系ギターロックを融合させた曲で「高層ビルの最上階から見下ろす都会」のような煌びやかさを感じる。「波紋のようなアルペジオ」「終幕感を感じる伸びやかな単音フレーズ」「残響サウンド」など、多様な音色のギターフレーズが収録されている。
9 GET READY “TONIGHT” TEDDY BOY

直線的なビートが強調されておりアルバムの中で最もロックンロール色が強い曲となっている。「いじけてる暇があれば早く行動を起こせ」と 10代の不良少年・少女にエールを送る歌詞には元不良の氷室京介なりの優しさを感じる。
10 WILL

「ガラス越しの雨の街」のような湿り気を感じるラストソングで氷室京介の歌声は時折「魂の叫び」のように生々しく響き渡る。「過去の瓦礫に消えてしまいたくない」というラインはからは、過去の栄光にしがみつかず「これからも自分らしさを貫いてサバイブする」という強い意思を感じさせる。

代表曲「KISS ME」 が収録されており氷室京介のキャリア史上最もセールス的に成功したアルバム。 アーバンで浮遊感を感じる大人なロックサウンドを中心に構成されており、多くの曲でU2(ユートゥー)からの影響を感じさせるディレイサウンドを大胆に取り入れている。また本作の歌詞はアルバムタイトル通り「過去のメモリーを大人になった氷室京介が回顧・内省する」という質感のものが多いと感じる。歌詞は「過去の回顧

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ボウイ(BOØWY)解散後に程なくしてリリースされた布袋寅泰のソロデビューアルバム。

デジタルサウンドを大胆に導入してデヴィッド・ボウイ(David Bowie)やロキシー・ミュージック (Roxy Music)からの影響を感じさせるグラマラスでノリの良いロックンロールをモダンにアップデートしたようなイメージの作品であり、ビッグになり過ぎた後期ボウイ(BOØWY)では表現できなったリスナーのイマジネーションを刺激するアーティスティックな音響や音が多く登場する。

「実験的な作品」というのはリスナーに驚きを与える反面、ポップ・ミュージックとしての強度を欠くケースがままあるのだが、この難しい課題を布袋寅泰はソウルフル・オペラ調の女性コーラスを大胆に活用するという手法で解決している。「5 DANCING WITH THE MOONLIGHT」「6 WIND BLOWS INSIDE OF EYES」「8 STRANGE VOICE」などは女性コーラスが曲のクオリティーを大きく左右する程の存在感を放っており「曲に何が必要であるか?!」を冷静に見極めるプロデューサーとしての才覚を発揮している。本作「GUITARHYTHM」はソロ活動のスタートとして文句なしのクオリティーを誇り、ボウイ(BOØWY)ロスのファンにとっては当時救いの1枚であったと思われる。

    「要点」

  • ・デジタルサウンドを大胆に導入してグラマラスでノリの良いロックンロールをモダンにアップデートしたようなイメージの作品
  • ・ビッグになり過ぎた後期ボウイ(BOØWY)では表現できなったリスナーのイマジネーションを刺激するアーティスティックな音響や音が多く登場

「曲解説」

2 C’MON EVERYBODY

「これぞ!布袋寅泰」という疾走感のあるギターリフと東洋的な浮遊感を感じるテクノポップ風シンセサウンドが並行するノリノリのロックンロール(1:30〜)ロックンロール感を強調するバイクのエンジン音も登場する。
3 GLORIOUS DAYS

伸びやか歪みギターサウンドを中心に展開されるメロディックなロックンロール。珍しく?!煌びやかアルペジオをプレイしており曲にカラフルな彩りを与えている。
4 MATERIALS

「シュールな異空間」のような音響を感じる曲でギターサウンドは金属的なきらめきを感じるものとなっており少しだけヘヴィメタル的である(1:30〜) 「ホラー映画」のようにダークでおどろおどろしい音響が不気味さを演出(1:53〜)「蜃気楼」のように揺らめく音響の中で「カラフルなガラス細工」のようなビートが踊る。
5 DANCING WITH THE MOONLIGHT

「真夜中」のようなベースラインと「太陽」のような眩しさを感じるシンセサウンドの対比が面白い曲でボーカルラインは渾身の出来であると思われ、繰り返しリフレインしたくなるグッドメロディーとなっている。サビではソウルフルな女性コーラスが「華やかな風」を運んできてポップソングとしての強度を劇的に向上させている。このコーラスの有無は曲のクオリティを大幅に左右するほどの存在感があると感じる。
6 WIND BLOWS INSIDE OF EYES

「ミステリアスにどこまでも追いかけてくる影」のような不穏なループがインパクト大でボーカルは「ヒステリーな語り調」となっている。 時折、挿入されるシンセサウンドは幽玄な光を感じさせる(3:30〜)「大空を羽ばたく巨大な鳥」のようなオペラ調の女性コーラスが曲に優雅な風を運んでくる。終盤は「古びた渋いバー」のようなジャズサウンドを中心に展開される。1曲を通してリスナーに様々なイメージを連想させる曲となっている。
8 STRANGE VOICE

オペラ調の女性ボーカルを大胆に導入した曲でミニマムなインダストリアル・ビートの上でイマジネーション刺激する様々な音が次々と現れる(2:05〜) 「テクニカルなタップダンス」のようなリズムアプローチが鳴り響き、その後はエレクトロニカ的な音響が「ダイヤモンド」のようにチカチカと輝く。88年にこのエレクトロニカ風サウンドは新しすぎる。
10 GUITARHYTHM

「中華の風」を感じるテクノポップサウンドをバックに実験的なロックバンドが演奏したようなフリーな曲でサビは布袋による「HEY!Cocoon」というファンキーなボーカルが炸裂する。布袋本人もお気に入りの1曲であると思われ後に「今井寿」「永井聖一」「雅-MIYAVI-」などの個性派ギタリストをゲストに招き新バージョンを再録音している。
11 A DAY IN AUTUMN

「長い戦の終焉」のようなストリングスが中心となり「神秘的な和」を演出するラストソング。布袋寅泰の声は「ガラス越し」のような質感であり歌というより音響の一部として機能している。

ボウイ(BOØWY)解散後に程なくしてリリースされた布袋寅泰のソロデビューアルバム。 デジタルサウンドを大胆に導入してデヴィッド・ボウイ(David Bowie)やロキシー・ミュージック (Roxy Music)からの影響を感じさせるグラマラスでノリの良いロックンロールをモダンにアップデートしたようなイメージの作品であり、ビッグになり過ぎた後期ボウイ(BOØWY)では表現できなったリスナーのイマジ

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デジタルサウンドを大胆に導入して「無機質な質感」を強調したサウンドは「地下の実験室」のような静けさを感じさせ、様々な前衛音楽からの影響を受けていると思われるが「B-T独自」としか言いようがないオリジナリティーの塊のようなアルバムとなっている。

本作の素晴らしい点はデジタルサウンドを導入したアルバムによくありがちな「情報過多」に陥る事なくコンパクトな音数にまとめられている点である。また過去のレビューでも触れた「アブノーマル・マニアックなサウンド」をポップソングに落とし込むB-Tマジックは本作でも健在であり、ほとんどの曲で「狂った動物」のようなエッジの効いた音響を聴くことができるが同時に不思議なポップネスも感じる事ができる。

名作「Six/Nine」で頻出したヘヴィなの質感ギターサウンドは本作にはほとんど登場しない。常に変化し続けるB-T(とりわけ今井寿(g))のアーティスト魂には恐れ入る。特に「10 MY FUCKIN’ VALENTINE」はモンスター級の破壊力で全ての音楽ファン必聴のアナーキーソングと言える。

    「要点」

  • ・デジタルサウンドを大胆に導入しており無機質な質感を強調したサウンドは「地下の実験室」のようだ
  • ・「10 MY FUCKIN’ VALENTINE」はモンスター級の破壊力で全ての音楽ファン必聴のアナーキーソング

「曲解説」

1 タナトス

「地下の実験室」のような不穏さを感じるサウンドをデジタルロックに大胆に反映させたオープニングチューン(1:47〜、3:12〜) 「狂った電気ネズミ」のような質感のデジタルサウンドが曲にメタリックなうねりを加える。終盤は今井寿(g)による「レーザービーム」のようなノイズギターが「迷い子」のように空間を彷徨う。終始これまでのB-Tソングにはない「無機質な静けさ」を感じる曲となっている。
2 SEXY STREAM LINER

ミステリアスな音響が「油絵」のように揺らめくジャンクなインスト。リズムアプローチは「アナーキーなタップダンス」のようで無秩序そのものである。 (2:15〜)ニュースキャスターの声をサンプリングしたと思われる声が挿入されミステリアスな雰囲気を助長する。この曲を2曲目に配置するセンスは面白すぎるといしか言いようがない。
3 ヒロイン -angel dust mix-

濃厚なエロスを感じる今井寿(g)のギターサウンドがインパクト大のヒットシングル。リズムはブレイクビーツ風であり「鋭角的」という表現がピッタリである(2:55〜)「珍獣たちが暴れ始めた」ような質感のアシッドハウス・ビートが登場。その後は「眩しすぎる光」のようなギターサウンドがリスナーの視界を真っ白にして最後のサビに移行する。サビの歌詞における「流れるアクエリアス」とは涙の事だろう、多分。
4 無知の涙

ずっしりとした重さを感じるB-T流インダストリアルチューン。「カチッ」としたサウンドとは裏腹に歌詞には「テディベア」「綺麗な髪の少女」などの歌詞が登場。戦場に「綺麗な髪の少女」が一人孤独に佇むビジュアルがイメージできる曲となっている。
6 螺旋 虫

「海の中にいる」ような揺らめきと浮遊感を感じるアンビエントロック(1:56〜)「海底」のような気怠さを感じるギターサウンドが櫻井敦司(vo)のボーカルラインをそっと包み込む。歌詞は非常に文学的で「夜に迷う螺旋の観覧車」なるラインはインパクト大。
7 蝶蝶

「ブタ」になったと思ったら最終的には「バタフライ」になるという歌詞が意味深な曲。作曲はバラードが得意な星野英彦(g)が担当しているが、 本曲はバラードではなくデジタルビート強調したインダストリアル・ロック風となっている。
9 迦陵頻伽 Kalavinka

「マニアックな四文字熟語」のようなタイトルがインパクト大でサウンドはオリエンタルな煌びやかさと優雅さを感じる「独自過ぎるテクノサウンド」となっている。櫻井敦司(vo)のボーカルラインは曲を通して「メロディックな語り調」である(2:54〜、4:33〜)「頭の中に電流が走る」ような電子音が登場し、 そこから「黄金のメリーゴーランド」を思わせる煌びやかな音響フレーズが展開される。
10 MY FUCKIN’ VALENTINE

無機質なテクノサウンドと今井寿(g)のぶっとんだアナーキーラップが最高すぎるアッパーチューン。歌詞がとにかく素晴らしく「頭の中に思い浮かんだバーチャルな衝動」を全て叩きつけたようなものとなっており、「ル」で韻を踏む「病める」「バーチャル」「繋がる」「ケーブル」「乱れる」「ウイルス」などのワードが登場する(2:02〜)「この世を憂う」ようなダークさを感じるアコースティックパートが一時挿入される。
12 キミガシン..ダラ

「夜空を舞う」ような軽やかさを感じるデジタルロックでタイトルとは裏腹に本作の中で最もサビに疾走感がある曲となっている。歌詞は「キミ」に対する愛情をテーマにしたもので間違いないのだが、表現がB-Tらしく捻くれまくっており「ボクガシン..ダラ ヤミニナル」という表現で愛情を表している。

デジタルサウンドを大胆に導入して「無機質な質感」を強調したサウンドは「地下の実験室」のような静けさを感じさせ、様々な前衛音楽からの影響を受けていると思われるが「B-T独自」としか言いようがないオリジナリティーの塊のようなアルバムとなっている。 本作の素晴らしい点はデジタルサウンドを導入したアルバムによくありがちな「情報過多」に陥る事なくコンパクトな音数にまとめられている点である。また過去のレビュー

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過去、最もレコーディングが難航し「コーラン」の逆回転を無断で使用した事でも一悶着あった問題作。

「90年代へヴィネス」「トリップホップ」「シューゲイザーサウンド」をバクチク(BUCK-TICK)流にアブノーマルに再構築したサウンドは、世界的に見ても「95年当時の最先端」である。今井寿(g)は常に先端音楽をチェックし続けているのだろう。アルバムタイトルは一見すると卑猥だが「音楽業界がsix sideなら自分たちはnine sideに行ってやる」という反逆的な意味合いがあると思わる(筆者の考察)事実、彼らは本作リリース後に自分たちの事務所(有限会社バンカー)を立ち上げ翌年にはレコード会社を移籍している(wiki)

「フラストレーション」「諦念」「偏執的な感情」をテーマにしたものが多く、ある種痛々しいがシリアスにクリエイティヴィティーを突き詰めた結果なのであろう。ヘヴィなサウンドを曲に反映され痛々しい歌詞をもつ本作はファンの中でもおそらく賛否両論あったはずではあるが、筆者としては彼らの「我流を貫く孤高のスタンス」を最大限スペクトしている。

    「要点」

  • ・世界的に見ても95年当時の最先端サウンド
  • ・アルバムタイトルは「音楽業界がsix sideなら自分たちはnine sideに行ってやる」という反逆的な意味合いがある

「曲解説」

1 Loop

「中東的な音響」と「スペーシーな質感」をもつエレクトロニカサウンドをバックに「自然とあなたに対する感謝」を淡々と朗読する衝撃のオープニング。オルタナ・グランジ以降の乾いたカッティングギターは「宇宙を彷徨っている」ような浮遊感と静けさがある。
2 love letter

大胆に90年代へヴィネス導入したロックチューンでヘヴィなリフが目立つ曲ではあるがHR/HM的なグルーヴ感はなく、「ヘヴィなB-Tニューウェイブ」という感じのサウンドとなっている。
3 君のヴァニラ

「ヨレたエロス」を感じるミニマムなオルタナチューン。歌詞の内容はおそらく「刹那的でアブノーマルな恋愛」についてである。(2:31〜)エロティックな展開から「メロウな夏休み」のようなギターソロが登場するが、そこに「B-Tらしい不穏なノイズサウンド」が登場しなんとも言えない空気感が出来上がる。
4 鼓動

「幻」のような雰囲気を感じるB-T流シューゲイザーソング。サビで「感情を解き放つ」ような展開にはレディオヘッド(Radiohead)的なダイナミズムがある。歌詞は「母とこの世に生きる全て」に対する感謝を歌っており、最後は「これまでの事が全て夢であった」かのようなドリーミな揺れる音響に包まれる。
5 限りなく鼠

アリス・イン・チェインズ(Alice in Chains)を彷彿とさせる「泥水」のような重さと気怠さを感じるスローなヘヴィリフを中心に構成されている曲で櫻井敦司(vo)のボーカルは「ホラー映画」のような質感で過去最高レベルにおどろおどろしい。歌詞は「不条理な世の中に対する」諦めにも近い感情を吐き出しており、「道しるべに騙されたように」というラインは秀逸で「救いようのなさ」を端的に表している。
6 楽園(祈り 希い)

全ての音響から「泥酔」のような揺らめきを感じるルーミーでマニアックな曲。「戦争や殺戮が終わらない世界に対する」馬鹿らしさを「神の子が殺し合う愛の園」という歌詞で批判しつつも、そんな世界に対して「何もする事ができない自分」に対する虚無感を歌っている。
9 相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり

今井寿がメインボーカルを担当する曲でアルバムタイトルにも深く関係している強烈な歌詞がインパクト大。歌詞の内容は「腐りきった音楽業界」を批判したもであり、「six side is heaven nine side is go」なる歌詞はおそらくではあるが「独立」を暗に宣言していると思われる。それにしてもかっこ良すぎるラインである。
11 密室

ダビーな音響とタイトル通りの密室感を感じる偏執的なラブソング。マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)からの影響を感じる「揺らめくサイケサウンド」を中心に構成されている(1:17〜、2:50〜)狂おしい愛情を歌うボーカルラインの後ろでは「砂嵐」のようにザラついたノイズサウンドが吹き荒れる(1:58〜)ギターソロは「蜃気楼」のようなフィーリングでリスナーの鼓膜に絡みつく。
12 Kick(大地を蹴る男)

グランジをエレクトロポップ化したようなアブノーマルなロックチューン。この曲の歌詞も「9 相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり」同様に「独立の決意」を表したものだと思われる。サビのライン「道化師躍れ、それが運命」なる歌詞をここまで楽しそうに歌うシンガーは櫻井敦司(vo)だけであろう。
15 見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ

ニルヴァーナ(NIRVANA)のギターリフを今井寿(g)流にワンコードで再構築したリフが終始リフレインされるダークなギターロック。サウンド自体はシンプルでダイナミックなサウンドであるのに対して、歌詞の内容は非常に癖が強く一聴すると「捻くれすぎた男の嘆き」のようなものに聴こえるが「不条理なこの世界に染まるのは危険だ」と警笛を鳴らすような内容ともとれる。深読みかもしれないが。
16 Loop MARK II

宇宙から「美しい奇跡の星」を静かに眺めるようなスペーシーさと静けさを感じるエンディング。櫻井敦司(vo)が「り・ん・ね」というフレーズを時間をたっぷり使って囁く。

過去、最もレコーディングが難航し「コーラン」の逆回転を無断で使用した事でも一悶着あった問題作。 「90年代へヴィネス」「トリップホップ」「シューゲイザーサウンド」をバクチク(BUCK-TICK)流にアブノーマルに再構築したサウンドは、世界的に見ても「95年当時の最先端」である。今井寿(g)は常に先端音楽をチェックし続けているのだろう。アルバムタイトルは一見すると卑猥だが「音楽業界がsix side

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「1 悪の華」
「自分たちの進む方向性が完全に見えた」と言わんばかりの勢いとダークさを感じるヒットシングル。「シンプルなエイトビートロック」と「バクチク(BUCK-TICK)独自のギクシャクしたニューウェイブサウンド」を融合させ、ボウイ(BOØWY)以降のギターロックシーンの中で圧倒的な個性とデカダンスな新感覚を提示している。当時の日本の音楽シーンで「ダーク×デカダンス」な質感のロックソングがオリコンチャート1位を記録する事はとてつもない快挙でありバクチク(BUCK-TICK)の存在がなければ90年代のV系ムーブメントはまた違ったものになっていたと思われる。

リフレインされる「ミニマムでメタリックなニューウェイブリフ」
「メロディックな東洋音階を駆使した不思議な音程感があるギターソロ」
「ギターソロの直後に登場する「不気味な静けさ」を感じる単音フレーズ」

「悪の華」の魅力はなんといって今井寿(g)のギターサウンドで「覚醒前夜」のキレキレなフレージングを聴かせてくれる。 歌詞の内容は「これからが本当の自分たちのスタート地点である。」という熱い内容であると思われ、彼等らしくアブノーマルに「狂い出したBLUE BOY」という表現で熱量を表現している。

「2 UNDER THE MOON LIGHT」
樋口 豊(b)が初めて作詞にトライしたバラード。 最低限のB-Tらしさを守りつつも「恋人を失った喪失感と悲しみ」をストレートに表現した歌詞は、B-Tソングの作詞を担当する櫻井 敦司(vo)・今井寿(g)が描くアブノーマルなものとは異なる個性があり「good-bye my love , good-bye your love」というワードを中心に展開されるサビは非常にポップである。

サウンド的にはシンプルでラフなカッティングギターと「星々」のような質感のエフェクティヴなギターサウンドを中心に構成されている曲であり、B-Tソングには珍しく「ナチュラルな浮遊感」を感じるサウンドとなっている(1:26〜)ビートルズ(The Beatles)からの影響を感じる「フゥ〜」というメロウなコーラスが登場(2:00〜)ギターソロは「夕暮れの海辺」を連想するサウンドでありサーフミュージックのような質感がある。 他の曲にはない質感や雰囲気を感じるこの曲は「作詞者=樋口 豊(b)」の意向が大幅にサウンドに反映されているのかもしれないと感じる。

アルバム「悪の華」にもヤガミトール(dr)が作詞を担当した「DIZZY MOON 」という曲が収録されている。「DIZZY MOON 」もまた最低限のB-Tらしさをまもりつつ独自のテイストを打ち出している佳作である。普段、作詞を担当しない人に作詞者を任せるのは「面白い化学反応を生みだす」最もシンプルな方法論なのかもしれない。

    「要点」

  • ・覚醒前夜」のキレキレなフレージングを聴かせてくれる今井寿(g)
  • ・異色バラード「2 UNDER THE MOON LIGHT」は樋口 豊(b)が初めて作詞にトライ

「1 悪の華」 「自分たちの進む方向性が完全に見えた」と言わんばかりの勢いとダークさを感じるヒットシングル。「シンプルなエイトビートロック」と「バクチク(BUCK-TICK)独自のギクシャクしたニューウェイブサウンド」を融合させ、ボウイ(BOØWY)以降のギターロックシーンの中で圧倒的な個性とデカダンスな新感覚を提示している。当時の日本の音楽シーンで「ダーク×デカダンス」な質感のロックソングがオリ

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