検索画面を消す
検索画面を消す
live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果62件

カテゴリー「名作」のレビュー

前作までの初期三部作のサウンドの良い部分を継承しつつもポップミュージックとしての強度を劇的に高めた名作。

これまでセルフプロデュースでアルバムを制作してきた彼らが「岡野ハジメ」や「佐久間正英」などの実力派プロデューサーを招いて作成された初めてのアルバムであるが、次作以降も「岡野ハジメ」をプロデューサーに迎えている事からメンバー的にも確実な手応えを感じたアルバムであると思われる。

ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)が得意としている80年代UK耽美ギターポップのような曲も極限までサウンドをシンプル化し歌詞の内容を最大公約数化する事でこれまでとは別次元のポップネスを感じることができる。「4 flower」「8 風にきえないで」などは90年代を代表する素晴らしいギターポップ曲と言えるだろう。

インディーズ時代からのファンの中には今作の「ポップな変化」に戸惑ったファンも多く存在するかもしれないが今作がなければダークで耽美的だが力強いポップネスが存在する傑作アルバム「HEART」は生まれなかったと断言できる為、ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel) のキャリアの中でターニングポイントと言えるアルバムとなっている。

    「要点」

  • 実力派プロデューサーを招いて制作されたアルバム
  • ポップミュージックとしての強度を劇的に高めた傑作
  • キャリアの中でターニングポイントと言えるアルバム

「曲解説」

1 Fare Well

前作「heavenly」に収録されている「4 ガラス玉」に通じるバラードからエモーショナルで壮大なメロディーを持つロックに移行するオープニングソング。初期3部作にはないタイプの熱量があり、曲を通して「卒業式」のようなセンチメンタルさと力強さがある。
2 Caress of Venus

これまでのラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)からは考えられないカラフルなダンスビートが印象的なアッパーチューン。ノリノリのダンスチューンではあるが80年代耽美派UKギターロックのような「海辺」を連想する雰囲気を持ち、前作までのサウンドの良いところを踏襲しつつも新機軸を試みた曲と言えるだろう。
3 Round and Round

90年代グランジを意識したであろうと思われるダークでヘヴィなロックチューン。歌詞はロックな曲にピッタリの「大人に対する拒絶」を歌っているがサビのボーカルラインは弾けており、コーラスの「round in merry world♩」は非常にポップで同年代のルナシー(LUNASEA)や黒夢の曲には絶対に出てこないテイストである。このポップに対する柔軟な姿勢がラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)の個性と言える。
4 flower

全てのティーンエイジャーに聴いてもらいたい胸キュン・ギターポップな名曲。男性の女々しさを全面に押し出した「起こされるのを待っているのに」という歌詞は当時斬新な響きをもっていた。サウンド的には彼らが得意とするメロウなギターポップを極限まで削ぎ落としたものとなっている。
5 “good-morning Hide”

「渦巻き」のようなベースラインが新鮮なグルーヴィーな曲。グルーヴィーではあるがハードロックやサイケのような質感はなくカラフルで軽やかなハウスミュージックのような雰囲気がある。終盤は「はしゃいだ後に感じるわずかな喪失感」のようなメランコリックなアルペジオが存在感を増す展開となる。
6 the Fourth Avenue Café

「雨音」のようなピアノとゴージャスなホーンセクションを導入した「アーバンな街角」のような質感の曲。ken(g)のギターサウンドは「4 flower」同様に最小限の手数でメロウなフレーズを奏でている。
8 風にきえないで

ポップなボーカルラインが弾けるギターポップ。サウンド的には前作「heavenly」にも通じるメランコリックさもあるが、 「答えを見つけた」かのようなアグレッシヴな演奏もありポップに突き刺さる。歌詞の内容は恋に恋する十代の爆発しそうな感情といったところだろうか。
10 Dearest Love

「光が降り注ぐ」ようなken(g)のディレイサウンドが印象的な眩しすぎるバラードでhyde(vo)のボーカルは叶わぬ願いのように儚い(1:50〜)レディオヘッド(radiohead)の名曲「creep」を参考にしたと思われる唐突なブラッシングノイズが挿入され(3:08〜)バイオリンが「むせび泣き」のような旋律を奏で曲に優雅な渋みを与える。中盤以降は壊れた質感のグランジギターが空間を切り裂きアクセントとなっている。

前作までの初期三部作のサウンドの良い部分を継承しつつもポップミュージックとしての強度を劇的に高めた名作。 これまでセルフプロデュースでアルバムを制作してきた彼らが「岡野ハジメ」や「佐久間正英」などの実力派プロデューサーを招いて作成された初めてのアルバムであるが、次作以降も「岡野ハジメ」をプロデューサーに迎えている事からメンバー的にも確実な手応えを感じたアルバムであると思われる。 ラルク アン シエ

READ MORE

「シューゲイザー」「ポストロック」「オルタナ」「インダストリアル」などの前衛的なロックミュージックからの影響を彼らの独自のディープで耽美的なサウンドに反映させた3rdアルバム。

相変わらずのクオリティの高さを見せるが「ダビーなリズムアプローチ」「ジャジーなテイスト」が減少、 また「灼熱の砂漠」や「インド」を連想するような質感の音が多く登場しサイケデリックな表現の模索も感じ取ることができる。

この「前衛的なロックへの接近」はグループ内で亀裂を生み出しメンバーのマッシュルームが脱退する。1st 2ndアルバムで圧倒的に「クールな新感覚サウンド」を鳴らした彼らがクオリティを落とさずに次なる1手を打つことは並大抵ではなく、実際、今作は2ndアルバム「Protection」から4年の歳月を経た98年にリリースされている。

筆者としては苦悩の末に生まれたであろう今作の変化をポジティヴに受け止めている。

    「要点」

  • 前衛的なロックミュージックに影響を受けたサウンド
  • ロックへの接近」はグループ内で亀裂を生み出しメンバーが脱退
  • サイケデリックな表現の模索

「曲解説」

1 Angel

ダイナミズムを感じる歪んだオルタナなギターサウンドを大胆に導入した破壊的な曲で、ディープな質感のシンプルなリズムアプローチと「灼熱の砂漠」のような空気感が特徴である。「love you , love you , love you」というコーラスはディレイをかけたように規則正しくリフレインされる。
2 Risingson

マッシヴ・アタック(Massive Attack)クラシックとも言えるダビーなヒップホップ。「雨雲」のようなダークでディープなベースラインがゆったりとリフレインされる(2:47〜 , 3:16〜)ディープな空気感の中、アルペジオ風サウンドが耽美的な美しい旋律を奏でる。この旋律はこの曲のキーポイントといっていい位に存在感がある。中盤以降はサイケなギターサウンド風の音響も絡まり熱力を高めていく。
3 Teardrop

「インド」を連想するサイケな音響を持つミドルテンポの耽美バラード(3:38〜)シューゲイザーのような音響を持つギターサウンドが「地平線」のようにどこまでも伸びていく。終盤は「雨雲」のような質感のミニマムなピアノが曲にダークな彩りを与える。
4 Inertia Creeps

「乱反射する光」のようなイントロから「ひどい二日酔い」のような質感を持つ展開に移行するダークソング。ミニマムでサイケな残響が次から次に現れてリスナーを見知らぬ異国に導く(3:12〜)「熱帯夜」のような気怠い質感のギターサウンドが転がるようにリフレインされる。終盤はアシッドハウスのような歪んだ低音が存在感を増し曲に弾力感を与える。
5 Exchange

「夢の国」のようなもやっとした音響のシンセポップなインスト。「空に浮かぶ」ような浮遊感と「大地を思い切り蹴る」ような質感のブレイクビーツの対比が印象的であり、最後はバグった電話のコール音が唐突に登場するミステリアスな展開を見せる。
6 Dissolved Girl

トータス(Tortoise)の曲をマッシヴ・アタック(Massive Attack)がリミックスしたような曲。ダークな空気感の中を立体的で躍動感のある音が次から次に現れる展開から(2:38〜)グランジバンドもびっくりの「全てを焼き尽くす」ようなディストーションギターが炸裂(5:04〜)終幕感を感じるシリアスなアルペジオが「時を刻む針」のように静かに流れる。
8 Black Milk

「氷の世界」のような質感のトラックをバックに「女神」のような透明な声を持つボーカリストがメランコリックに囁くボーカルラインを聴かせる。時折、挿入されるソニックなDJスクラッチはポーティスヘッド(Portishead)と共通する質感である。
9 Mezzanine

「サイケな音や歪んだ音響で構成されたアバンギャルドな貼り絵」のような曲。この曲でも「太陽光線」のようにどこまでも伸びる直線的なギターサウンドやインダストリアルロックのように強烈に歪んだ音響が登場する。
11 (Exchange)

「曇りの早朝」のような気怠く透明な空気感をもつ曲。「濃厚な煙」のようなシンセサウンドがサイケな質感を曲に与える。終盤はレコードに落とされた針が「小雨」のようなノイズを奏で静かに終わる。

「シューゲイザー」「ポストロック」「オルタナ」「インダストリアル」などの前衛的なロックミュージックからの影響を彼らの独自のディープで耽美的なサウンドに反映させた3rdアルバム。 相変わらずのクオリティの高さを見せるが「ダビーなリズムアプローチ」「ジャジーなテイスト」が減少、 また「灼熱の砂漠」や「インド」を連想するような質感の音が多く登場しサイケデリックな表現の模索も感じ取ることができる。 この「

READ MORE

「パンク以上にパンクなテンション」でアグレッシヴに畳み掛けるザ・プロディジー(The Prodigy)のデビューアルバム。デビューアルバム時点からすでに完成されているハイクオリティーなアッパーチューンの数々は名作「The Fat of the Land(1997年) 」にも劣らないテンションとエッジを持っており、高速のブレイクビーツがデフォルト化されているジャングルなサウンドは理屈抜きでフィジカルを刺激する。

またメロディーやアクセントとしてではなく「扇動者」のようにアグレッシヴなサンプリングボイスが印象的で多くの曲で「アニメのキャラ風のコミカルなラップ」が登場して曲にBPM以上のスピード感を与えている。

ロックとテクノのクロスオーバーで語られる事の多いザ・プロディジー(The Prodigy)だが、本作を聴く限り彼らから感じるロック感はサウンド面ではなく徹底したアグレッシヴさを貫く姿勢からきていると思われる。

    「要点」

  • 「パンク以上にパンクなテンション」でアグレッシヴに畳み掛ける
  • 高速のブレイクビーツがデフォルト化されている

「曲解説」

1 Jericho

「ヤバいモノを大量生産している工場」のような不穏さを持つアッパーチューン。ブレイクビーツは「早足で駆け抜ける」ようなBPMとなっており「ガラスの破片」のような透明な電子音が目に刺さる。「アニメ風のコミカルでアグレッシヴなラップ」がポップソングとしての強度を高めている。
2 Music Reach(1/2/3/4)

「レイヴサウンドにモザイクをかけた」ようなアッパーチューン。「1 Jericho」同様に「アニメキャラ風のコミカルなサンプリングボイス」が印象的で「ボタンのかけ違いのように微妙にタイミングがずれた」カラフルな電子音や「縮れた髪の毛」を思わせる歪んだ質感のサウンドがミニマムに響き渡る。リズムはジャングルで時代を先取りしている。
3 Wind It Up

「小室哲哉」のように手数の多いシンセフレーズが印象的な曲で、ダンスミュージックのアグレッシヴさと80年代UKギターポップのような軽やかさを持つ(1:58〜)強烈に歪んだ低音が存在感を増しアグレッシヴに攻める展開になるが(2:38〜)そこに清涼感がある「そよ風」のようなシンセフレーズが表れる。
4 Your Love

「ネオンカラー」を連想する電子音が咲き乱れるダンスチューン(1:26〜)高速ジャングルビートのバックで「真っ白」な質感のストリングスが鳴り響く(1:46〜)メタリックな音の破片が無造作に鳴り響きハイテンションな展開に移行。局面ごとに多様なサンプリングボイスが使われており、まるで「貼り絵」のようである。
5 Hyperspeed

「真っ白なキャンパスに尖ったノイジーなアイデアを全てぶちまけた」ようなバンギャルドな曲。高速ブレイクビーツで疾走する曲ではあるが「精神と時の部屋」のような神聖な音響も感じ取ることができる。女性ボーカルによるラップはまるで「扇動者」のようにアグレッシヴである。
6 Charly

「アグレッシヴでハイテンションをヒップホップを1.5倍速にしてエレクトロなビートでズタズタにした」ような曲。「アナーキーなアニメキャラ風ラップ」や「子猫の鳴き声」のような可愛い音がBPM以上のスピード感を生み出す。
7 Out of Space

1曲の中に複数の曲が同居しているかのような展開を見せるアバンギャルドな曲(0:54〜)カエルが飛び跳ねるようなサウンドの登場と共に「古典的なポップス」のような哀愁感溢れるメロディーが流れるまさかの展開。そこに「ド派手なネオンカラー」を連想する電子音が絡まり、またしても「アナーキーなアニメキャラ風ラップ」が曲を引っ張る(2:26〜)氷の質感を持つ電子音がミニマムに鳴り響く展開はまるで「氷の迷宮」のようだ(3:08〜)またしても唐突に哀愁感漂うボーカルラインが登場して意表を突かれる。
10 Fire

ピアノの連打と優雅なストリングが印象的で「散らかった部屋」のような質感の曲。「ワイルドな雄叫び」のようなサンプリングボイスはとてもパンチ力があり「キャッチーな呪文」のようなラップはやはりアニメ風に響き渡る。
12 Death of the Prodigy Dancers(Live)

「ハードコアテイストのアシッドハウス」のような曲のLive音源。随所で鳴り響くホイッスル、「扇動者」のように煽るラップにはロック的な熱量があり「スライムが飛び跳ねた」ような弾力感のある低音が縦横無尽に暴れる。

「パンク以上にパンクなテンション」でアグレッシヴに畳み掛けるザ・プロディジー(The Prodigy)のデビューアルバム。デビューアルバム時点からすでに完成されているハイクオリティーなアッパーチューンの数々は名作「The Fat of the Land(1997年) 」にも劣らないテンションとエッジを持っており、高速のブレイクビーツがデフォルト化されているジャングルなサウンドは理屈抜きでフィジカル

READ MORE

ゲストボーカリストにノエル・ギャラガー(オアシス(Oasis)と ボビー・ギレスピー / プライマル・スクリーム(Primal Scream)を招いてレコーディングされた3rdアルバム。

本作では「クラフトワーク(Kraftwerk)のようなクラシカルなテクノ」「ミニマムミュージックのようなトランス状態を体感できるハードコアテクノ」「アシッドハウスにモザイクをかけて再構築したサウンド」など幅広いサウンドが展開されているが、多くの曲で「眩しすぎる光」や「酩酊のような揺れ」を感じる事ができサイケデリックに対する傾倒を感じる。

1st 2ndアルバムで聴けたロック的で直線的なブレイクビーツは今作ではあまり登場しないが、今作のバグったサイケな音響サウンド1st 2nd以上の激しさでリスナーの脳を刺激する。

    「要点」

  • 「眩しすぎる光」や「酩酊のような揺れ」を感じるサイケデリックサウンド
  • ピコピコテクノ〜ハードコアテクノまで多様なサウンドを展開

「曲解説」

1 Music:Response

1st2ndアルバムには収録されていないタイプのピコピコ系スペーシーテクノ。 「Music:Response」というタイトルを呟く無機質ボイスはクラフトワーク(Kraftwerk)風。 煌びやかな電子音が浮かんでは消え「カラフルな蛍光灯が張り巡らされた空間」を連想する。
2 Under the Influence

空間系電子音が高速でループされるBPM速めのハードコアテクノ。ミニマムミュージックのように同じフレーズをリフレインすることでリスナーをトランス状態にするという類の曲となっている。リスナーを突き放すようなエッジを感じる曲ではあるが、随所に挿入される女性のサンプリング・ボイスが不思議なポップネスを演出している。
3 Out of Control

サイケな光に包まれるスペーシーな名曲。ゲストボーカルであるボビー・ギレスピー / プライマル・スクリーム(Primal Scream)が、神作「Screamadelica/プライマル・スクリーム(Primal Scream)1991年」彷彿の気怠いボーカルを披露(4:26〜)恍惚すら感じる「白昼夢」のような眩しすぎる光に包まれ、まるで体が宙に浮くような錯覚を感じる。それ以降に展開される「時空が歪んだような電子音」や「スライムのような弾力性があるビート」との絡み合いはプログレ的ですらある(6:16〜)インドの宮殿のような雰囲気を醸し出すギターフレーズが登場してアクセントになっている。
4 Orange Wedge

「歪んだ空間」に放り込まれたようなイメージのサイケソング。全ての音が酩酊時のように揺れており、やはりここでも真っ白な光が目の前に浮かんでくる。
5 Let Forever Be

前作「5 Setting Sun」同様にノエル・ギャラガー(オアシス(Oasis)をゲストボーカリスに迎え「蜃気楼」のような揺らめきを感じるサイケな名曲。 立体的なブレイクビーツは「レッド・ツェッペリン(LED ZEPPELIN)的なドラムリフ」のようである。BPMはゆったりとしているが「頭の中を通り過ぎる光」のような直線的な音響はリスナーにマッハの速度を感じさせる。
7 Asleep from Day

囁くような儚い女性ボーカルの歌声をフィーチャーした曲で「オルゴール」のようなキラキラした音やミニマムなアルペジオなど他の曲ではあまり聴けないタイプの音も登場する。足元が微妙に浮いているような浮遊感は新機軸と言ってもよく最後はキラキラしたオルゴール風サウンドが物悲しく孤独に鳴り響く。
8 Got Glint?

アシッドハウスに強烈なモザイクをかけて再構築したような曲。リズムはディープで淡々とした四つ打ちとなっている(1:25〜 , 2:33〜 , 4:32〜)モノトーンな空間を「太古の風」のような質感の美しい旋律がすり抜ける。この美しい旋律は本曲のサビと言っていい位にインパクトがある(2:50〜)「終焉」のようなラッパが「懐かしい思い出」のようなメロディーを奏で(3:08〜)歪んだサンプリングボイスは「溢れ出す液体」のようにドロっとした質感である。
9 Hey Boy Hey Girl

「Hey Boy , Hey Girl , sister DJ , here we go!」というフレーズがキャッチーなダンスチューン。 「陽炎」のような揺らめきと「二日酔いの朝に見る太陽」のようなチカチカした眩しさを感じる雰囲気があり(2:48〜)「渋みのあるサックスの音の断片をループさせた」ような強烈なサウンドが登場、非常に耳に残る。
11 Dream On

「センチメンタルな夏の思い出」のようなドリーミーなシューゲイザーソング。アコースティクギターと儚いボーカルラインをフィーチャーしたサウンドは「早朝の海辺」のような質感であり、デリケートで揺らめくようなサウンドレイヤーはリスナーに様々なエモい風景を連想させる。

ゲストボーカリストにノエル・ギャラガー(オアシス(Oasis)と ボビー・ギレスピー / プライマル・スクリーム(Primal Scream)を招いてレコーディングされた3rdアルバム。 本作では「クラフトワーク(Kraftwerk)のようなクラシカルなテクノ」「ミニマムミュージックのようなトランス状態を体感できるハードコアテクノ」「アシッドハウスにモザイクをかけて再構築したサウンド」など幅広いサ

READ MORE

「テクノ」「アシッドハウス 」「アンビエント」「トランス」は元より「オルタナ」「グランジ」「インダストリアル」など「ロック的な歪み」までを取り入れた自由度の高いサウンドが魅力の3rdアルバム。

キャッチーなメロディーなどはあまりないのだが非常にメロディックな印象をもつ。多くの曲で登場する「春風」や「空」を連想する存在感抜群のストリングスが曲に「華やかさ」「彩り」を与えている。また「イビサ島×レイヴ」を連想するような開放感も感じる事ができ、「3 All That I Need Is to Be Loved」などは「ザラついた質感のロックソング」ではあるが体を思わず揺らしてしまうレイヴ感が魅力であると思う。

様々な音楽の要素を楽曲に反映させつつもアルバム全編を通して「海」「宇宙」などを感じる統一感があるように思う。このあたりの「まとめるセンス」はベック(BECK)に近いものがあると感じる。

    「要点」

  • 音楽的自由度が高い開放的な電子音楽
  • ロック的な歪みも楽曲に取り入れている
  • 多くの曲で「春風」や「空」を連想するストリングスが登場

「曲解説」

1 Hymn

「透明なクリスタル」のようなミニマムなピアノが終始リフレインされるアンビエントな質感のオープニングソング。「荒涼とした風」のようなシンセサウンドが曲をシリアスな雰囲気にしている。
2 Feeling So Real

「高速の列車に乗って宇宙を旅する」ようなイメージのスピードチューン。サンプリングされたラップやソウルフルな女性ボーカルの声がファンキーなテイストを曲に与えている。「宇宙」を連想する曲は重くシリアスになりがちだが本曲はポップに弾ける。最後は夢の終わりのように「パタン」と唐突に幕を閉じる展開となっている。
3 All That I Need Is to Be Loved

テクノアーティストが敬遠しがちな「歪んだオルタナ・ギターサウンド」を取り入れた疾走ソング。全編を通して「ざらついた質感」ではあるが「閉ざされた」感覚はまるでなくキャッチー(1:30〜)ギターソロまで飛び出すまさかの展開(1:52〜)目の前が光に包まれる「光線」のようなシンセサウンドが現れる、これを境に歪んだギターサウンドの後ろで「リキッド」のような潤いを持つミニマムなシンセサンドが鳴り響き、最後はフィードバックノイズで締めくくられるグランジー展開である。シンプルな歪みソングではあるのだが不思議なワクワクを感じる点が秀逸。これがレイヴ上がりミュージシャンの魔力だろうか。
5 Everytime You Touch Me

「アンビエント」「テクノ」「アシッドハウス 」「HIP HOP」を融合している1曲。「春の訪れを告げるフルート」のような質感のストリングスとサビにおけるキャッチーなボーカルラインがポップ。様々な要素を詰め込んだ曲ではあるが気難しさはなくむしろ開放的で「イビサの香り」がする名曲。
6 Bring Back My Happiness

ジャジーなテイストのピアノが「ミニマムなギターリフのように転がる」スペーシーな曲。サンプリングされた「It’s hard to let you go」がループされ、時折、挿入されるキラキラした電子音は「地球に降り立ったUFO」のようであり(1:10〜)間奏部は突然、「宇宙」→「ジャングル」に瞬間移動したかのような錯覚に陥るBPM早めのアシッドハウスサウンドである。
7 What Love

サイバーな歪み感を持つインダストリアル・テイストのハードコア(1:40〜)テンポがスローになり本家グランジもびっくりな泥沼のようなグルーヴを感じるパートが挿入される。終盤は「酔っ払いによるアドリブソング」のようなボーカルラインが飛び出し哀愁を感じる。
8 First Cool Five

マッシヴ・アタック(Massive Attack)を思わせるディープさとダークネスを感じる1曲。ディープでミニマムなベースラインは「モダンでモノトーンな部屋」を連想させる。この曲でも「空を舞う」ようなストリングスをフィーチャーしており、ダークではあるが同時に開放感も感じるサウンドになっている。サンプリングされた女性ボーカルのボーカルラインは「メロウな祈り」のようであり、名作RPGゲームのエンディング曲にぴったりな質感を持つ。最後は「闇に降る雨」のようなビートが降り注ぐ。
9 Into the Blue

「海の中に浮かんでいる」ような浮遊感と重力を感じるメロウな曲。やはりこの曲でも「海中に差し込むわずかな光」のようなストリングスが流れている。 女性ボーカルによるボーカルラインは儚さと力強さが同居したものとなっており、「メロディアスな祈り」風である。
10 Anthem

「イビサ島での楽しい思い出を高速で振り返る」ようなアッパーソング(1:18〜)「思い出が走馬灯のように頭の中を通り過ぎる」ようなワープ風の電子音が曲にこれまで以上のスピードを与える。時折、挿入される子供の歓声のようなサンプリングボイスがリスナーに「バカンス」を連想させる。
13 When It’s Cold I’d Like to Die

「卒業式」のような重さと終幕感を持つバラード。リズムレスで重層なストリングスをバックに女性ボーカルが「どこまでも続く地平線」のように果てし無いボーカルラインを聴かせてくれる。歌声は祈りのような幽玄さがある。最後は全ての音が「無に吸い込まれる」ように静かに終わる。

「テクノ」「アシッドハウス 」「アンビエント」「トランス」は元より「オルタナ」「グランジ」「インダストリアル」など「ロック的な歪み」までを取り入れた自由度の高いサウンドが魅力の3rdアルバム。 キャッチーなメロディーなどはあまりないのだが非常にメロディックな印象をもつ。多くの曲で登場する「春風」や「空」を連想する存在感抜群のストリングスが曲に「華やかさ」「彩り」を与えている。また「イビサ島×レイヴ

READ MORE

1 8 9 10 13