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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果56件

カテゴリー「普通」のレビュー

90年代にミリオンヒットを連発した音楽ユニット・ザード(ZARD)が初めてミリオンセラーを記録したアルバム。

サウンドは王道J-ロック・J-ポップをベースにしたものとなっており「強烈にノーマルなサウンド」である。ザード(ZARD)というユニットの魅力は「内向的な綺麗なお姉さん」坂井泉水の心のドアにアクセスしたような気分に浸れる過去の回顧をベースにした歌詞にこそあると筆者は考える。インターネットがまだ普及していない時代において「女性の本音」には非常に価値があった。

またほとんど全ての曲に言えることだが優等生的なバランス感覚をもっており「激情」や「刹那」に流されることなく一般的な「ノーマルさ」を保ち続ける。当時の日本ではリスナーに「非日常」を提示するアーティストが注目される事が多かったと思われるが、ザード(ZARD)が持つ強烈な「ノーマルさ」は多くの人たちに支持された。

    「要点」

  • ・ザード(ZARD)というユニットの魅力は「内向的な綺麗なお姉さん」坂井泉水の心のドアにアクセスしたような気分に浸れる過去の回顧をベースにした歌詞にこそあると筆者は考える
  • ・「激情」に流されない優等生的なバランス感覚

「曲解説」

1 揺れる想い

「眩しい季節」のような雰囲気を感じる王道J-ロックで「揺れる想い」という浮遊感溢れるワードを力強く歌いあげるサビがインパクト大で強烈な歌謡性を感じる。サウンド的には「何気なく過ぎ去る日々」のように鳴り響くシンセやBメロの裏で鳴る空間系ギターサウンドが清涼感を演出している。
2 Season

「眩しい10代の記憶」を回顧するようなバラードで歌詞にも「アルバム」「輝く季節」というワードが登場する(2:35〜)ギターソロは「叙情的なハードロックフレーズをJ-ポップ化」したようなものでありメロディックな旋律を奏でる。
3 君がいない (B-version)

リラックスした雰囲気のミニマムなアコギのコードワークを中心に展開されるヒットシングル。歌詞に登場する「君が嘘をつくなんてね」「刺激というスパイス」などのラインから考察すると、おそらくではあるが「無口な彼氏の浮気」によって関係が破綻した過去の恋愛テーマにしていると思われる。「君がいない」という虚無感さえ感じるワードをシンプルに歌い上げるサビでは、ボーカルラインの後ろで「君との思い出」のような華やかなホーンセクションが鳴り響き「君の不在」の大きさを逆説的に演出している。
4 In my arms tonight

チューブ(TUBE)のギタリスト・春畑道哉が作曲を担当したJ-ロックバラードで空間系のエフェクトをかけたギターサウンドが浮遊感を演出している。歌詞は「忘れられないあの人」に対するエモーショナルな思いをテーマにしたもので「揺れる想い」なるワードも登場する。
6 負けないで

「パステルカラーの季節に恋した彼」に対して「負けないで」とエールを送るヒットシングル。当時は「負けないで」というワードから受験生に対する応援歌的な扱いを受けていた。イントロでは何故か60年代サイケのようなキーボード(オルガンかも?!)が登場する。
7 Listen to me

分厚いベースラインがリフレインされる曲で「そよ風」のようなコーラスや「HEY!HEY!」という威勢の良い掛け声が曲にポップネスを与えている。歌詞は満員電車に揺られてオフィスに向かうOLの憂鬱な気持ちを代弁しつつも、エネルギッシュに「ありふれた日常のキャパシティを超えなくちゃ」と自分自身を奮い立たせるという内容。
9 I want you

「ハードでゴージャスなギターの刻み」と「アーバンな音響」が同居している曲で本作の中で最もロック的な熱を感じる事ができる。歌詞は「マンネリ気味の二人の関係性」を良い意味で壊したいという内容。
10 二人の夏

空間系のエフェクトをかけた透明なギターサウンドが印象的なセンチメンタル・バラード。歌詞はザード(ZARD)得意の「過去の回顧」をベースとしたものとなっており「夏を一緒に過ごした元カレ」をバス停で偶然見つけた主人公が、「あの頃には戻れない」というセンチメンタルを感じつつも、形はかわってしまったけど大事な人だからあなたの写真はずっとしまっておくという内容。

90年代にミリオンヒットを連発した音楽ユニット・ザード(ZARD)が初めてミリオンセラーを記録したアルバム。 サウンドは王道J-ロック・J-ポップをベースにしたものとなっており「強烈にノーマルなサウンド」である。ザード(ZARD)というユニットの魅力は「内向的な綺麗なお姉さん」坂井泉水の心のドアにアクセスしたような気分に浸れる過去の回顧をベースにした歌詞にこそあると筆者は考える。インターネットがま

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「アーバンで浮遊感を感じるサウンド」が魅力であった前作から大きくサウンドを変換させたアルバムで気だるくルーズなギターサウンドや「突き抜ける」「エモーショナル」といった表現がピッタリのサビのボーカルラインは90年代初頭に音楽界を席巻した「グランジムーブメント」からの影響を感じる要素である。

グランジ系アーティストは「気怠く・陰鬱なヴァース」→「叫ぶようなエモーショナルなサビ」という構造が特徴であるが、ヒムロックはグランジ的な方法論を理解しつつもモノマネにはならないように細心の注意を払っていると思われ、サウンドがハードになってもサビのボーカルラインは氷室京介特有のメロディックなものとなっている。

本作をシンプルにまとめると「グランジ以降の感覚で再構築されたハードなビートロック」と言えるのではないだろうか。

    「要点」

  • ・「エモーショナルなサビ」「ルーズなギターサウンド」からグランジムーブメントからの影響が感じる
  • ・グランジ以降の感覚で再構築されたハードなビートロック」

「曲解説」

1 VIRGIN BEAT (Re-mix)

「高層ビルの屋上にいる」ような熱い風とビートを感じるサウンドは「ビートロック」をハードにしたイメージであり、前作には気薄であったロック的なエッジが強調されている。タイトルをシンプルになぞるサビのボーカルラインは「ミニマムなギターリフ」のようであり洋楽的(3:00〜)ギターソロは「ハイウェイを走るスポーツカー」を連想するスピードを感じる。
2 BREATHLESS

「モダンでシャープな建築物」のようなミニマムな電子音が印象的で「淡々としたヴァース」→「突き刺さるサビ」に移行するという構造がニルヴァーナ的であるロックソング。サビのメロディーは「洋楽グランジロック的な叫び」ではなく「これぞ!ヒムロック」というグッドメロディーで非常に耳に残る。
3 SHAKE THE FAKE

冒頭で氷室京介による「犬の鳴き声」を思わせるのシャウトも飛び出す曲でグランジ的な「気だるさ」と「ザラついた質感」を大胆に取り入れている。ボーカルは生々しいものとなっており掠れ声もパッケージングされている。「グランジ旋風」が氷室京介に与えた影響は決して少なくないのかもしれない。
4 LOST IN THE DARKNESS

「何もない真っ白な空間」のような空気を感じるロックバラード。ドラムサウンドは手数こそ少ないが「大粒の雨」のようで存在感がある。この曲のサビのボーカルラインはエモーショナルであり非常に熱を感じるものとなっている。またイントロや間奏で登場する「宇宙船」を連想するシンセサウンドは不思議なプログレ匂を放っている(4:02〜)ギターソロは非常にワイルドで「全てを吹き飛ばすトルネード」のようであり早弾きフレーズも飛び出す。
5 HYSTERIA

「酔っ払い」のようなルーズさを感じるダーティーなロック。ギターサウンドは「古着」のようなヨレた質感を演出する音響として機能しているイメージだ。ベースラインは「沼」ような「ダークな湿気」を感じさせるものとなっており、曲の持つダーティーな質感に大きく貢献している。最後はタイトル通りジャンクでヒステリーな悲鳴風サウンドで締めくくられる。このアバンギャルドなサウンドはソニック・ユース(Sonic Youth)を意識しているかもしれない。
6 FOREVER RAIN

「雨後」のような湿り気を感じるバラードでミニマムなストリングスとピアノを導入しておりギターサウンドは泣き系の音色で珍しく?!ブルージーなテイストである(2:50〜)マーチ風のドラムが現れそこから「名作大河ドラマのオープニング」のように弦楽器が重厚で優雅な旋律を奏でる(4:10〜)「全てが終わった」ような静けさの中、独り言のような氷室京介のボーカルがメランコリックに響く。
7 DON’T SAY GOOD BYE (Re-mix)

「海で過ごした短い夏休み」のような開放感を感じる曲でギターサウンドは「揺らめく」ようなサイケ感を演出している。歌詞の内容は開放的なサウンドとは対照的で「過去のさよなら」がだけが消えないというナイーヴなものとなっている。
9 LONESOME DUMMY

「夜のハイウェイ」のようなスピードを感じるノリの良いロックチューン。ハードロック的なリフがリフレインされるがその合間を縫うように鳴り響く煌びやかなキーボードサウンドは「夜空に輝く星々」のようだ。サビではポップでファンキーな女性コーラスを導入しており、曲に華やかさを与えている。
11 TRUE BELIEVER

「夏の終わり」のようなセンチメンタルと熱さが同居しているロックバラード。リスナーに「何事も遅くはない、動き出せ」「愛だけを追いかけて」と熱いメッセージを送る曲でサウンドは「主張少なめのスローなハードロック調」となっており「歌を届ける」ためのサポートという謙虚さを感じさせる。

「アーバンで浮遊感を感じるサウンド」が魅力であった前作から大きくサウンドを変換させたアルバムで気だるくルーズなギターサウンドや「突き抜ける」「エモーショナル」といった表現がピッタリのサビのボーカルラインは90年代初頭に音楽界を席巻した「グランジムーブメント」からの影響を感じる要素である。 グランジ系アーティストは「気怠く・陰鬱なヴァース」→「叫ぶようなエモーショナルなサビ」という構造が特徴であるが

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「クリアでアンビエントな音響」を前面に押し出した前作「極東 I LOVE YOU」とはうってかわり、「ロックンロール」や「パンク」がもつダイナミズムを「90年代を通過した感性」で再構築したサウンドが聴ける13枚目のアルバム。

過去の遺産(R&R、パンク)をナチュラルに奏でる懐古主義ではなく、初期衝動的なスタンスで細かい事よりもノリを重視した曲が多いと感じる。「1 ナカユビ」高速デジタルハードコアチューン、「4 LIMBO」アンダーワールド(Underworld)を彷彿とさせる「憂鬱なダンスミュージック」、「7 Sid Vicious ON THE BEACH」「おもちゃ」のような明るさを感じるニューウェイブソングetc

2000年前は「ロックンロール・リバイバル」なるムーブメントが世界的なトレンドとなったが、 今作はサウンドとしてのロックンロールというより、どちらかというとアティテュード面での 「ロックンロール」=「ノリが良くてかっこよければなんでもアリ」を具体化したアルバムと言える

    「要点」

  • ・「7 Sid Vicious ON THE BEACH」「おもちゃ」のような明るさを感じるニューウェイブソング
  • ・サウンドとしてのロックンロールというより、どちらかというとアティテュード面での 「ロックンロール」=「ノリが良くてかっこよければなんでもアリ」を具体化したアルバム

「曲解説」

1 ナカユビ

強烈なフラストレーションをダイレクトに叩きつける高速デジタルハードコアチューン。櫻井敦司(vo)と今井寿(g)によるツインボーカルは数えられないほどに「I HATE YOU SO FUCK IT」というフレーズを繰り返す。非難GO-GO時代(B-Tインディーズ初期)にこの曲の原曲が作られていたとしても筆者は全く驚かない。それ位イケイケの曲。
2 BUSTER

アシッドハウス的な潤いを感じるハードチューン。この曲でも今井寿(g)はボーカルを披露しており、歌詞の内容は今井寿(g)らしい「未知の生物」をテーマにしたシュールなものとなっている。
3 残骸 -Shape2-

ナチュラルに歪んだギターリフを中心に展開されるロックンロール。ニューウェイブ・テクノをルーツにもつバクチク(BUCK-TICK)がここまでストレートなロックンロールを鳴らすのは非常に感慨深く、歌詞も「深く、もっと深く」というフレーズをリフのように繰り返すものとなっている。
4 LIMBO

アンダーワールド(Underworld)を彷彿とさせる「憂鬱なダンスミュージック」をB-T流にアレンジしたような曲。サビのボーカルラインは淡々とした語り調であるが、「強烈なボディーブロー」のように「ドシッ」「ドシッ」と響く「ヘヴィなギターサウンドの断片」が登場して非常に目立つ。
6 GIRL -Shape2-

「妄想のリゾート」のような空気感が新鮮なエレクトロポップ。祝祭性を感じる電子音はまるで「ネオンカラー」のように眩しくバンドサウンドはメロウなUKロックのようなシンプルな音をだしている。
7 Sid Vicious ON THE BEACH

今井寿(g)がメインボーカルを担当するポップなニューウェイブソングで「おもちゃ」のような明るさがある。セックス・ピストルズ(Sex Pistols)の名曲「アナーキー・イン・ザ・U.K.」のリフを引用しており(wiki)いろんな意味で遊び心に溢れる曲となっている。「退屈な星がくるくる回るメリーゴーランド」という表現で何気ない日常を表現する今井寿(g)の作詞センスはやはり非凡である。
8 BLACK CHERRY

ブルージーでシンプルなロックサウンドと「跳ねる」ようなトリッキーな電子音が並行する曲でサビでは前作「極東 I LOVE YOU」に収録されていた 「21st Cherry Boy」とも共通する「春風」のようなコーラスが曲にポップネスを与える。
10 MONSTER

「頭の中にいるぶっ壊れた化け物」について歌ったハードチューン。「鉛」のような重みを感じる歪みギターリフを中心としたシンプルな曲だが(1:30〜、2:57〜)サビのバックでは「光の世界」を連想する眩しいサウンドレイヤーが登場して曲に浮遊感を与えている。
12 Continuous

ビートの粒が「ガラスの破片」のように突き刺さるインストで前作「極東 I LOVE YOU」のオープニングチューン「疾風のブレードランナー」を再構築している(wiki)「海の中にいる」ようなディープさを感じる曲で前衛的なビート・アーティスト「オウテカ(Autechre)」からの影響を感じさせる。

「クリアでアンビエントな音響」を前面に押し出した前作「極東 I LOVE YOU」とはうってかわり、「ロックンロール」や「パンク」がもつダイナミズムを「90年代を通過した感性」で再構築したサウンドが聴ける13枚目のアルバム。 過去の遺産(R&R、パンク)をナチュラルに奏でる懐古主義ではなく、初期衝動的なスタンスで細かい事よりもノリを重視した曲が多いと感じる。「1 ナカユビ」高速デジタルハ

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シリアスで張り詰めた空気感があった前作・全前作の反動からか全体を通してラフな印象をうけるアルバムとなっており、ミニストリー(Ministry)やナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)などからの影響を感じる強烈に歪んだインダストリアル・サウンドやエイフェックス・ツイン (Aphex Twin)以降のエレクトロニカ・サウンドなどを曲に反映させている。

また本作は「シリアスなサウンドにシュールな歌詞を乗せるという方法論」を試した作品でもあると思われ「2 キャンディ」「3 チョコレート」の歌詞は「櫻井敦司(vo)どうしたの?!」と 一瞬思ってしまう「不気味な甘さ」を感じるし「5 Tight Rope」における「ゆらゆらら」というラインはコミカルですらある。

本作を一言で言うなら「模索」という表現がぴったりではないかと思う。

    「要点」

  • ・前作の反動からか全体を通してラフな印象をうけるアルバム
  • ・これまでにはない「不気味な甘さ」を感じる歌詞が登場

「曲解説」

1 Maria

不思議な重力感を感じる歪んだロックチューン。ドラムの音色が非常に鮮やかでリスナーの耳にダイレクトに突き刺さってくる。ギターサウンドは前作とは異なる質感で「ダーク×耽美」なB-Tクラシカルなトーンとなっている。
2 キャンディ

ミニストリー(Ministry)やナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)からの影響を感じる「インダストリアルな歪み」を強調したノイズチューン。ザラつくノイズサウンドとは対照的に櫻井敦司(vo)のボーカルには半透明のように響く音響処理が施されている。凶暴なノイズサウンドにのせて歌われる歌詞は「キャンディー=君」という前作からは考えられない色んな意味で甘い内容となっている。
3 チョコレート

「地を這う」ような低音ギターリフが印象的なインダストリアル・チューンでまるで「戦場にいる」ようなカオス感を感じる曲となっている。歌詞の内容は意味不明(0:56〜、2:36〜)「DJスクラッチをサイケ×メロディックにアレンジした」ようなセンス抜群のギターサウンドが「濃厚なチョコレート」のように響き渡る。
5 Tight Rope

「雲の中にいる」ような白さを感じるアンビエントテクノソング。曲を通してシリアスで神聖な雰囲気を感じるサウンドが展開されるが、反面、歌詞は軽やかで「ゆらゆらら」なるラインが登場。シリアスなサウンドにシュールな歌詞をのせる方法論は、鳴っているサウンドは全く異なるが「2 キャンディ」「3 チョコレート」と同様であると感じる。
6 idol

表情豊かでデリケートな電子音とシンプルなギターロックが並行する曲。本作の中で最もシンプルであり、サビは「破壊」「神」というワードが登場するがメロディックでつい口ずさみたくなる類のものとなっている。
7 Living on the Net

「ストリート感のあるHIP HOPをB-T流にアレンジした」ような曲でジャンクで壊れたなサウンドで埋め尽くされている。今井寿(g)によるラップ風・早口歌唱も登場。
9 IN

リバーヴのかかった音響が印象的な耽美ギターポップ。揺らめくスローなギターサウンドが終始鳴り響き「ハワイの海辺」のような空気感を演出している。
10 Ash-ra

タイトなビートとド派手なサビのボーカルラインが印象的なスピードチューン。ベースがミニマムなリフを奏でツインギターは「サイバー×耽美」な空間構築に徹している。「全て呪うような愛のリズムで熱いダンスを踊ろう」という無理難題をあなたに提案する歌詞はミステリアスとしか言いようがないものである。(3:50〜)これまでの激しさが嘘のように「バラの花びらが揺れて床に落ちるまでを超スローにしたようなピアノによる静パートが挿入される。
11 COSMOS

「夢見心地な音響」と「全てを包み込むような優しさ」が同居した浮遊感たっぷりのB-T流エレクトロニカソング(3:58〜)「ラストソングだからこのまましっとり終わるだろう」というリスナーの気持ちを見透かすように縮れたノイズサウンドが空気を乱す。最後は「全てが宇宙にかえる」ような静けさで幕をとじる。

シリアスで張り詰めた空気感があった前作・全前作の反動からか全体を通してラフな印象をうけるアルバムとなっており、ミニストリー(Ministry)やナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)などからの影響を感じる強烈に歪んだインダストリアル・サウンドやエイフェックス・ツイン (Aphex Twin)以降のエレクトロニカ・サウンドなどを曲に反映させている。 また本作は「シリアスなサウンド

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浅倉大介が人気ユニット・アクセス(access)を活動休止後にプロデュースした西川貴教による一人ユニットT.M.Revolutionの大ヒット3rdアルバム。

アクセス(access)時代のゴージャスで装飾感満載のキーボード・シンセサウンドは少なくロック色を強めたサウンドとなっている。歌詞の内容はユーモラスとシリアスが両極端に存在しているという印象をもつ。例えば「1 蒼い霹靂」などは人間不信を思わせるシリアスな歌詞だが「急ブレーキの音がしたらきっと君は逃げるね?」というフレーズにはどこかコント的な響きがあるし「6 LEVEL 4 -LEVEL→V MIX-」は「男の馬鹿げた欲望」を歌っているように見えて「自分に限界を設けるな、欲望に忠実であれ」的な自己啓発要素も感じられるといった具合だ。

大ヒットを記録したシングル曲「3 WHITE BREATH -MORE FREEZE MIX-」「11 HIGH PRESSURE -MORE HEAT MIX-」は共に非常にシンプルで西川貴教のパワフルな歌声を引き立てるようなサウンドとなっており、おそらくではあるが「これまでと違うサウンド」を模索しているが中々答えが見つからないというダイスケ的に苦悩していた時期であると思われる。

    「要点」

  • ユーモラスとシリアスが両極端に存在する歌詞
  • 「1 蒼い霹靂」における「急ブレーキの音がしたらきっと君は逃げるね?」というフレーズにはどこかコント的な響きがある

「曲解説」

1 蒼い霹靂

ガラケーの着信音SEで始まる色んな意味で90年代な質感が濃厚なデジロック。歌詞の内容は生々しいものとなっており 「昔は相手にしてくれなかったのに自身がいわゆる有名人になったら露骨に手のひらを返してくる相手に対する嫌悪感を表している」 「急ブレーキの音がしたらきっと君は逃げるね?」のフレーズにはコント的な響きがある。
2 OH! MY GIRL, OH MY GOD! -MORNING SURPRISE MIX-

ゴージャスな質感のギターリフが印象的なポップソング。サビでは西川貴教(vo)のボーカルラインのバックで「待ちわびたクリスマス」のような軽快さを感じるシンセサウンドが曲に華やかさを加えている(3:08〜)聴かせる系ギターソロが登場するが、その後ろで西川貴教(vo)による高速ぼやきが炸裂。歌詞は「色々問題はあるけど結局可愛いから許してしまう」というおのろけテイストである。
3 WHITE BREATH -MORE FREEZE MIX-

高速のスピードを感じるデジタルロック。サウンド自体は「切り裂くようなギターサウンド」をフィーチャーした非常にシンプルなもので、 西川貴教(vo)のハイテンションでパワフルな歌唱を聴かせる為の曲であると言える。
6 LEVEL 4 -LEVEL→V MIX-

「これぞ!浅倉大介」という装飾感満載のキーボードサウンドが印象的なヒットシングル。歌詞の内容は「男の馬鹿らしい妄想」と「色んな意味で現状に満足するな的な側面」を描いていると思われる。確かに自分が魅力的になるにはレベルの高い相手と付き合うべきだが「何も持たない自分」は知らぬ間に「諦めの馴れ合い」のような恋愛をしている。傷ついてもいいから自分の欲望に忠実に生きろということですね。きっと。
7 Slight faith

耽美なアルペジオ風サウンドをフィーチャーしており、他の収録曲よりワンランクハードなギターサウンドが鳴り響く曲(1:32〜)オクターブ奏法による煌びやかで直線的なギターサウンドは「スマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)」などのオルタナ系アーティストからの影響を僅かに感じさせる(3:03〜)気怠い質感のグランジーなギターソロが登場、90年代後半は日本のアーティスト中でニルヴァーナ(Nirvana)などのオルタナ・グランジ系アーティストの影響をモロにうけた曲が数多く存在する。それは浅倉大介も例外ではなくしっかりと気怠い質感を曲に反映させている。
8 MinD ESCAPE

「遠い日の夏」のような透明感を感じるポップソング。アナログな質感のシンプルなバンドサウンドで構成されており、「yeah,yeah,wow」というコーラスはコミカルでリラックスした曲のムードにマッチしている(2:48〜)ギターソロはサーフ・ミュージック的な響きを持ちどことなく「南国の海辺」を連想するサウンドとなっている。歌詞の中に出てくる「ベストチョイスのMD」がいかにも90年代後半という感じで時代を感じる。
10 Twinkle Million Rendezvous

「夕暮れ」のような脱力感を感じるセンチメンタルなバラード。サビの歌声は非常に熱量がありバックでは壮大なストリングスがしっとりと流れている。歌詞の内容は時代や周囲に流されず自分のポジションを探せというメッセージだと思われる。それにして「本名も知らず増える友達の輪」というのはSNS中心の世界に対する警告のようだ。
11 HIGH PRESSURE -MORE HEAT MIX-

強烈な雨風がインパクト大のプロモが印象的なヒットソング。「3 WHITE BREATH -MORE FREEZE MIX-」同様にシンプルなデジタルロックではあるが西川貴教(vo) のパワフルな歌声は非常にインパクトがあり印象に残る。「カゲキにさあ行こう」における「さあ行こう」は間違いなく「最高」とかけている。
12 JUST A JOKE

「楽しかった夏休みを1日で振り返る」ようなインスト。中間部までは愉快なメロディーが全面に押し出されているが後半は「明日からの登校を憂う」ような暗さを感じる展開となっている。

浅倉大介が人気ユニット・アクセス(access)を活動休止後にプロデュースした西川貴教による一人ユニットT.M.Revolutionの大ヒット3rdアルバム。 アクセス(access)時代のゴージャスで装飾感満載のキーボード・シンセサウンドは少なくロック色を強めたサウンドとなっている。歌詞の内容はユーモラスとシリアスが両極端に存在しているという印象をもつ。例えば「1 蒼い霹靂」などは人間不信を思わ

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