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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果57件

カテゴリー「傑作」のレビュー

「1 gravity」
ルナシー(LUNA SEA)らしい退廃的な質感を残しつつも、これまでにはない「色鮮やかさ」を感じさせる名曲で曲そのものから「雨の匂い」を感じる事ができる。

歌詞はINORAN(g)が中心となって書かれたもの(wiki)らしく「置き忘れたアスファルト」なるワードに破格のセンスを感じる。またRYUICHI(vo)のボーカルはアルバム「SHINE」に収録されていた数曲で「河村隆一以降の伸びやかな歌声」がミスマッチとなっていたが、 ポジティヴな意味で曲の世界観にマッチするように低音をうまく活かしたボーカルとなっている。

サウンド面ではツインギターはソロ活動前と比べるとエフェクティヴではないが色鮮やかで「アナログで生々しい音」にトライしたアルバム「SHINE」以降のギターサウンドとなっている。そしてベースラインである。この曲で聴く事ができるJ(b)のベースラインは硬質でソリッド。プレイ自体は「静かに佇む」ような渋めのベースラインとなっているのだが、非常に立体的でインパクトがある。

98年にリリースされたアルバム「SHINE」のジャケットにはトンネルの先に「光」が描かれていた。

この曲はマイナー調の曲だが「光に満ちている」かのような突き抜けた感があり、ベタな言い方だが過去のルナシー(LUNA SEA)サウンドの魅力を残しつつもモダンにアップデートされている。またこの曲のサウンドはアルバム「SHINE」での音楽的なチャレンジなくしては生まれないと断言できる。

賛否両論を呼んだアルバムの後に「音楽的充実」が用意されているからこそルナシー(LUNA SEA)というアーティストは面白い。

「2 inside you」
インダストリアルな質感のヴァースと「光の国」のような開放的なサビの対比が印象的な曲。歌詞に「神様の庭」なるV系ワードも登場する。この曲は作詞・作曲共に真矢(dr)が担当(wiki)しており「会えない夜は景色さえもにじむ」ラブソングとなっている。

「3 My Lover」
ギターリフがアルバム「MOTHER」に収録されている「7 IN FUTURE」に少し似ているが音が過去のサウンドより音が太く立体的になっている。

この曲でも「2 inside you」同様にサビで「光の国」のような開放的なパートが挿入され曲を色鮮やかなものにしている。この曲で聴く事ができる「DJスクラッチ」のようなSUGIZOのギタープレイは、トム・モレロ/レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)のプレイを参考にしているハズである。

RYUICHI(vo)のボーカルにはエフェクトがかかっており、強烈なサウンドの中でも全く埋もれていない。

    「要点」

  • ・「1 gravity」・・・歌詞はINORANが中心となって書かれたもの(wiki)らしく「置き忘れたアスファルト」なるワードに破格のセンスを感じる
  • ・「3 My Lover」・・・「2 inside you」同様にサビで「光の国」のような開放的なパートが挿入され曲を色鮮やかなものにしている。

「1 gravity」 ルナシー(LUNA SEA)らしい退廃的な質感を残しつつも、これまでにはない「色鮮やかさ」を感じさせる名曲で曲そのものから「雨の匂い」を感じる事ができる。 歌詞はINORAN(g)が中心となって書かれたもの(wiki)らしく「置き忘れたアスファルト」なるワードに破格のセンスを感じる。またRYUICHI(vo)のボーカルはアルバム「SHINE」に収録されていた数曲で「河村隆一

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ルナシー(LUNA SEA)絶頂期の96年にリリースされた傑作アルバムで「日本における二ューウェイブ系ギターロックの独自進化」の一旦の完成形という内容となっている。

前作「MOTHER」との違いは90年代以降に彼等がインスピレーションを受けたであろう「グランジ」「トリップホップ」「シューゲイザー」「実験的な電子音楽」などからの影響を大胆に反映させ点であり、サウンド・歌詞共に「ディープ」な内容となっている。

歌詞の内容は一言で言うと「愛」をテーマにしたものが大多数を占めているが、彼等らしくどこか「狂気的」である。

音楽的な充実を一気に放出した「94年〜96年の絶頂期」を経て翌年97年に彼等は1年間のソロ活動を行ったが、97年には彼等の音楽性や美意識に多大な影響を受けたと思われるアーティスト達が大量に発生し「ビジュアル系」というワードが「お茶の間レベル」にも広がりを見せた。

下世話な話だがこの「ビジネス的に最も良い時期」に活動休止する彼等のスタンスはやはり「孤高」である。

    「要点」

  • ・「日本における二ューウェイブ系ギターロックの独自進化」の一旦の完成形。
  • ・歌詞に内容は一言で言うと「愛」をテーマにしたものが大多数を占めているが、彼等らしくどこか「狂気的」である。

「曲解説」

1 WITH LOVE

レコードに針を落とす音から始まるオープニングチューン。揺らめく気怠い音響が「ディープな静けさ」を演出しており、このような実験的な曲をアルバムの1曲目に収録できる点に当時の彼等の自信と充実ぶりを感じる。歌詞はこの時期の彼等らしく「狂おしい愛」をテーマにしており「この愛が冷めてしまうのでは?!」という強迫観念に追われている男の心情を歌っている。曲の中盤で聴く事ができるSUGIZO(g)のアバンギャルドノイズは「ポップミュージックの体裁」に反発するかのような暴れっぷりである。
2 G

「バーンと何かが弾け飛ぶ」ようなギターフレーズで幕をあけるハードチューン。90年代以降のUSグランジ/オルタナのダイナミズムをダイレクトに反映しているサウンドとなっており、コアなルナシー(LUNA SEA)ファンであればイントロから20秒もあれば「作曲者」が誰か分かってしまうだろう。ハードで低音が強調されたサウンドではあるが、エフェクティヴで空間構築に徹するツインギターは相変わらず左右でバラバラのフレーズを弾いる。タイトルの「G」とは「God」の「G」であり、初期の歌詞に登場した「神」をモダンに洗練させた形で表現している。
3 HURT

ルナシー(LUNA SEA)らしからぬヘヴィリフを前面に押し出したハードチューン。一聴する分には非常にシンプルな構造となっているが、J(b)のベースラインにはマニアックな空間系エフェクトが掛けられており、サウンドに「宇宙的な無重力感」を与えている。
4 RA-SE-N

「独白」のような歌詞の内容に思わず「ハッ」とさせられるスローテンポの名曲。「静かで淡々とした展開」から「一気に熱量を放出する展開」に移行する曲なのだが、海外のハード系アーティストの「それ」とは明らかに異なる空気感があり「繊細な緊張感」が常に保たれている。この曲のギタープレイは宇宙的なサウンドを求めるSUGIZO(g)にとって、一つの理想形い言えるものとなっており特に「ディープな感情を解き放つ」ような短いギターソロは抜群のクオリティを誇る。
6 FOREVER & EVER

90年代に最も評価されたギターロックアーティストの一つであるレディオヘッド(radiohead)のエモーショナルな名曲と比較しても全く負けていない10分超えの大作。「ゆったりと流れる大河」のような雰囲気がある曲で歌詞の内容は「今までの自分達とこれから羽ばたこうとする自分たち」についてであり曲の途中でJ(b)による「英語の語りパート」が挿入される。「語りパート」の和訳は「あの頃に感じた永遠と希望を思い出そう、時間の経過と努力は僕を確かに変えたが熱いアティテュードはあの頃と変わらない。そして人生はこれからも続く。あの頃感じた永遠をずっと感じていたい」このようなイメージの内容となっている。落ち込んでいる時や迷っている時に聴きたくなるこの「語りパート」だけでも非常に価値があると筆者は思う。
7 1999

INORAN(g)のアルペジオがミステリアスな存在感を放つ2分弱の曲でSUGIZO(g)とJ(b)のベースラインがユニゾンしており、なんとも言えない不穏な空気感を演出している。「ディープでシリアスなアルバムの前半」から「爆発するアルバムの後半」にスムーズに繋げるような「橋渡し」的な立ち位置の曲となっている。
10 IN SILENCE

「万華鏡」のような幻想的なディレイサウンドが素晴らしく、海に佇み「過去の切ない恋愛を回顧する」ような歌詞を歌う RYUICHI(vo)のボーカルラインと複雑に絡まる。ディレイを上手く活かしたお手本のような曲である。「真っ白な羽が空浮かんでた、何かを告げるように」というラインは文学的でこの後に起こる「活動休止」を示唆していると思われる。
11 SELVES

「終幕感を演出する鐘の音」「神経質で冷たいリズム」などトリップホップからの影響を感じるディープなラストチューンで 完璧主義のSUGIZO(g)をして「理想に近い」(wiki)と言わしめる完成度を誇る。歌詞は相当読み込んで考察しないと正しい意味を解釈できそうにない「非常に深く宇宙的な内容」となっている。

ルナシー(LUNA SEA)絶頂期の96年にリリースされた傑作アルバムで「日本における二ューウェイブ系ギターロックの独自進化」の一旦の完成形という内容となっている。 前作「MOTHER」との違いは90年代以降に彼等がインスピレーションを受けたであろう「グランジ」「トリップホップ」「シューゲイザー」「実験的な電子音楽」などからの影響を大胆に反映させ点であり、サウンド・歌詞共に「ディープ」な内容となっ

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シリアスでアーティスティックな作風であった前作・全前作の(KID A / Amnesiac) 反動からか「プリミティヴな生々しさ」が感じられる6thアルバム。

ロックンロール衝動をエレクトロニカ以降の彼らのセンスで表現したような「1 2 + 2 = 5」「2 Sit down. Stand up」「12 Myxomatosis」。アルバム「The Bends」に収録されていたギターロックを洗練させたような「5 Go to Sleep」「9 There There」etcなどを収録しておりバラエティーに富んだ内容となっている。

2000年代前半は「ロックンロールリバイバル」「二ューウェイブリバイバル」などがトレンドとなっており、また繊細な感情をエモーショナルに歌い上げるレディオヘッド(Radiohead)フォロアーが大量発生した時期なのだが、彼らは音楽シーンのトレンドやフォロアーの存在などをあまり気にすることなく本作でも確実に新たな歩を刻んでいる。

本作は神作である(KID A / Amnesiac)と比較すると色んな意味で「少しパンチが足りない」事は間違いないのだが「リスナーの脳裏と感性に刻まれる曲」が何曲か収録されており「間違いなく名盤」であると言える。リスナーの期待値が高すぎて真っ当な評価を受けていない可哀想なアルバム。それが「Hail to the Thief 」である。

    「要点」

  • ・ロックンロール衝動をエレクトロニカ以降の彼らのセンスで表現したような「1 2 + 2 = 5」「2 Sit down. Stand up」「12 Myxomatosis」
  • ・リスナーの期待値が高すぎて真っ当な評価を受けていない可哀想なアルバム

「曲解説」

1 2 + 2 = 5

「シールドをアンプに突っ込むノイズ」で幕をあけるアグレッシヴなロックチューン。アルバム「Ok Computer」以降は封印していた節すらある「プリミティヴでノリのよいロックンロール衝動」を前面に押し出している。だが、レディオヘッド(Radiohead)というアーティストが「ただの古き良きロックチューン」をやる訳がない(1:53〜)トム・ヨーク(vo ,g)の「Because!」という掛け声からアグレッシグなギターロックに変貌を遂げるのだが、バックでは「光の洪水」のようなエレクトロサウンドが鳴り響き曲に高速のスピード感を与えている。
2 Sit down. Stand up

「ゴスをエレクトロニカ風にアレンジした」ような展開から強烈なエレクトロビートが「酸性雨」のように降り注ぐアグレッシヴなエレクトロチューン。中盤以降はトム・ヨーク(vo ,g)が「THE raindrops」というフレーズを「何かが狂ったか」のように淡々と連呼する。サウンド的には歪んだギターやシャウトなどは一切登場しないが「1 2 + 2 = 5」同様に生々しいロックンロール衝動を感じる曲である。
5 Go to Sleep

アルバム「The Bends」に収録されているトリプルギター期のレディオヘッドソングを「KID A以降のセンス」で再構築したような曲。過去と比べて歪んだ音は控えめになっているが一音ごとのフレージングのセンスと強度が増しており、初期の曲より「オーガニックな生々しさ」を感じる。
6 Where I End and You Begin

ブレイクビーツ風のビートとうねるベースラインが中心となって展開される曲で音響は「ホラー」のようなダークさを醸し出している。 時折、挿入されるジョニー・グリーンウッド(g)の鋭角的なカッティングギターが曲をズタズタに切り裂く。
9 There There

ダイナミックでエモーショナルなギターロックを洗練させれた最小限の音で表現している。過去の焼き回しなどではなく2枚の名作(KID A / Amnesiac)で習得した「エレクトロニカ以降の質感」を曲に反映しており、初期のギターロック以上にダイナミックに響き渡る。歌詞は意味深だが「自分たちは歩く災難であり、事故が起こるのを待っている」というラインから「平和を望みながら平和を最も拒んでいるのは自分たち人間なのだ」という意味なのでは?!と感じた。
12 Myxomatosis

「強迫観念」のような強烈に歪んだ音響が鼓膜を刺激するエレクトロハードロック。「Myxomatosis」というタイトルは「粘液腫症」という意味がある。米英でアルバムチャートNO,1を獲得するビッグアーティストがこのようなシュールなタイトルを普通につける点が素晴らしい。レディオヘッド(Radiohead)はキュアー(CURE)などと同様に「アーティスト過ぎてそれがエンターテイメントとして成立している」というアーティストとして最も理想的な成功のパターンであると言えるのではないだろうか。
14 A Wolf at the Door

ジョニー・グリーンウッド(g)がほとんど一人で作曲した(wiki)名バラード。トム・ヨーク(vo ,g)のボーカルは他の曲とは明らかに異なるタイプのメロディーを奏でており「プログレ化したラップ」のようである。曲全体から「おとぎ話」のようななんとも言えない「古風な浮遊感」を感じる。

シリアスでアーティスティックな作風であった前作・全前作の(KID A / Amnesiac) 反動からか「プリミティヴな生々しさ」が感じられる6thアルバム。 ロックンロール衝動をエレクトロニカ以降の彼らのセンスで表現したような「1 2 + 2 = 5」「2 Sit down. Stand up」「12 Myxomatosis」。アルバム「The Bends」に収録されていたギターロックを洗練させ

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前作「Kiss Me, Kiss Me, Kiss Me」がキャリアの集大成的な大ボリュームな内容であった為「次はどんなサウンドを聴かせてくれるのだろう」と多くの音楽ファンが注目したに違いないキュアー (The Cure)の8thアルバム。

「世界的な成功を収めてビジネスのレールに乗って丸くなるのだろうか?!」というファンの不安をあざ笑うかのように、原点回帰的なミニマリズムを強調したサウンドを展開している。「ダーク」「ミステリアス」「耽美」「メランコリック」と形容したくなるキュアー (The Cure)サウンドだが本作に収録されている全ての曲から「豊かな色彩」を感じる事ができる。

キュアー (The Cure)がアメリカで大成功を果たした要因は様々あるのだろうが「唯一無二な耽美サウンド」だけではなく「シュール過ぎる詞の世界」の存在も非常に大きいのだと思う。筆者は音楽レビューを書く際は音楽を聴きながら歌詞も当然チェックするのだが、正直、キュアー (The Cure)ほど意味不明な歌詞で溢れているアーティトは中々いない。

彼らは「アーティスト過ぎて、その商業性のなさが「レアキャラ」としてセールスに繋がる」というアーティストとしての理想的なモデルケースなのかもしれない。

    「要点」

  • ・原点回帰的なミニマリズムを強調したサウンドを展開、収録されている全ての曲から「豊かな色彩」を感じる事ができる。
  • ・「アーティスト過ぎて、その商業性のなさがセールスに繋がっている」というアーティストとして理想的なモデルケース

「曲解説」

1 Plainsong

「ゴージャスで耽美なテーマパーク」のようなキラキラ感が眩しいスローなオープニング。高音が強調されたエフェクティヴなベースラインがゆったりとした旋律を奏で神聖なストリングスが曲に奥深さを与えている。
2 Pictures of You

初期のサウンドを彷彿とさせるミニマムな構造の曲だが、キャリアを重ねた余裕なのだろうか?!非常にディープでスローな展開となっている。ギターサウンドは時折「キラメク星々」のように眩しく響き渡る。この眩しい質感は初期のキュアー (The Cure)サウンドにはないものである。
3 Closedown

「神秘の祭典」のようなミステリアスな雰囲気を醸し出す曲でシンセが「透明な光の壁」のようなサウンドを奏でる。
4 Lovesong

「耽美」と「ビーチ」のような開放感が同居しているメランコリックチューン。ツインギターは「左右で全く事なる鋭角的なフレーズ」を奏でている。この辺りの方法論はルナシー(LUNASEA)などの日本のV系アーティストにも影響を与えたと思われる。またロバート・スミス(vo)の声は「性行為後」のような脱力を感じさせるものとなっている。
5 Last Dance

シンセが奏でる「神秘的で真っ白な音響」の中をベースラインがクネるように動きまくる曲。歌詞は相変わらず意味不明である。
7 Fascination Street

立体的でツヤのあるベースが「刻むリフ」を奏で、コーラスをふんだんに効かせたギターサウンドが「異空間」のような雰囲気を演出するキュアー (The Cure)らしい曲で終盤は「万華鏡」のような「雅」でバグったサイケを感じる事ができる。
9 The Same Deep Water as You

「大雨が降り注ぐ」ようなアシッドな音響と壮大なストリングスを中心に展開されるバラード。歌詞にも「深海」(deep water)というフレーズが登場する。「キスします」というフレーズが頻出するがワードのポップさとは裏腹にポップの「ポ」の文字もないサウンドとなっている。タイトル通りの「深海」を思わせる「ディープな音世界」が見事である。
10 Disintegration

硬質なビートとディープにうねるベースラインを中心に展開される耽美チューン。「沈む」ようなダークな音響が印象的ではあるが、直線的なデジタルビートを上手く取り入れており、メランコリックではあるが「ダンスミュージック」のようなノリの良さもある。8分超えの長尺ではあるがダレる事なく最後まで「シリアスな緊張感」が保たれている。
12 Untitled

「どこまでも続く田園風景」のようなメロウチューン。歌詞は救いようのないものとなっており「自分の中にいるモンスターが自分の心をかじる為、二度とあなたの夢を見ない」というものである。本曲に限らずキュアー (The Cure)の歌詞は難解なものが多く「一般的な感性」の人が一聴しただけでは意味が分からないモノが多い。

前作「Kiss Me, Kiss Me, Kiss Me」がキャリアの集大成的な大ボリュームな内容であった為「次はどんなサウンドを聴かせてくれるのだろう」と多くの音楽ファンが注目したに違いないキュアー (The Cure)の8thアルバム。 「世界的な成功を収めてビジネスのレールに乗って丸くなるのだろうか?!」というファンの不安をあざ笑うかのように、原点回帰的なミニマリズムを強調したサウンドを展開

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アメリカを中心に世界で大ヒットを果たしザ・キュアー (The Cure)が世界的なアーティストとなるキッカケとなったアルバム。

内容としてはこれまでのザ・キュアー (The Cure)の「キャリアの良いところ取り」をしたような内容となっており、収録曲も盛りだくさんの17曲である事から「ザ・キュアー (The Cure)ってどんな音楽をやっているの?!」と興味をもった人に最もオススメ出来る内容となっている。

タイトルは「俺たちの魅力を詰め込んだ作品だから是非愛して欲しい」(kiss me)という意味からきているのではないだろうか?!

神作「Pornography」に収録されていてもおかしくない濃厚なサイケ「1 The Kiss」全ての音が油絵のように美しく溶け合う「6 How Beautiful You Are..」神秘的でありながら完璧なポップチューンとして成立している代表曲「8 Just Like Heaven」などバラエティー豊かな曲が収録されており、また「ファンク」の要素を取り入れた曲なども存在するのだが、もはや「何をやっても嫌な位に自分たちのサウンド・音楽になる」という領域に突入していると本作を聴いて実感した。

    「要点」

  • ・アメリカを中心に世界で大ヒットを果たし世界的なアーティストとなるキッカケとなったアルバム。
  • ・もはや何をやっても嫌な位に自分たちのサウンド・音楽になるという領域に突入している。

「曲解説」

1 The Kiss

サイケギターが「蜃気楼」のように揺らめき「リスナーを幻想の世界に誘う」オープニングチューン。 「神秘のベール」のようなシンセサウンドが唸るギターサウンドを優しく包み込む(3:50〜)これまでロバート・スミス(vo)のボーカルラインが全く登場しない為、「サイケな実験インスト」かと思っていたのだが、突如、ロバート・スミス(vo)のボーカルが登場する。メロディーラインは「天から降りてきたメロディーを即興で無秩序に歌いあげる」ようなものとなっている。
2 Catch

クラシカルな弦楽器が奏でる牧歌的な音色が印象的なアコースティックソングで「海辺で寝そべって過ごす秋の午後」のようなリラックスした雰囲気を醸し出している。ボーカルラインは派手なフックなどはないのだが、抜群のメロディーセンスがあり耳に残る。
3 Torture

オリエンタルな音響を前面に押し出した王道キュアー (The Cure)チューン。「眩しすぎる光」のようなギターサウンドが音響を構築し「暗躍」のようなベースラインが曲にダークで立体的な疾走感を与えている。
5 Why Can’t I Be You?

弾けるホーンセクションをフィーチャーしたカラフルなポップチューン。ギター・ベース共にミニマムなフレーズをリフレインしており、キュアー (The Cure)ソングの中ではトップクラスに「ノーマルな体裁」を保っているのだが、ロバート・スミス(vo)が「ご機嫌にノリノリで歌えば歌う」ほどに不気味さを感じるというタイプの曲である。
6 How Beautiful You Are..

「夏の憂鬱」のようなメランコリックと「秋が近づく海辺」のようなメロウさが同居するポップソング。前作から導入しはじめたピアノがモダンでミニマムな耽美性を演出し、クラシカルな弦楽器が優雅で美しい旋律を奏でる。中盤以降は全ての音が「油絵」のように溶け合いリスナーの脳裏に「ビビッドなイマジネーション」を与える。
8 Just Like Heaven

「神秘的な空間にいる」かのような浮遊感が心地よい代表曲。軽快なギターのコードストロールの合間を縫ってアンビエントなピアノサウンドとエフェクティヴなギターサウンドが「蝶」のように空間を舞う。音数的に絶妙なラインを保っている曲であり、ミニマムなポップソングのお手本のような曲である。
9 All I Want

「グランジ」のような「混沌とした響き」を奏でるギターのコード進行と「クリスタル」のような神秘的な音響が奇妙に同居している曲。他のアーティストであれば「マニアック」の一言で終わる曲になると思うのだが、この曲を「異端なポップ」として成立させてしてしまう点に「破格のセンス」を感じる。
10 Hot Hot Hot!!!

流麗なファンクギターとディープなベースラインを全面に押し出している曲ではあるが、ブラックテイストを感じさせつつも「キュアー (The Cure)以外の何者でもない耽美チューン」となっている。どんなタイプの音楽に接近しようとも最終的に「自分たち以外の何者でもない音楽」として成立してしまう感じは、レディオヘッド(Radiohead)に近いものがある。
11 One More Time

「視界を真っ白に染め上げる」空間系アルペジオが淡々と響き渡る曲で、時折登場する吹奏楽器がラテン的な牧歌旋律を奏でる。歌詞は珍しく「凡人にも意味が分かる」ものとなっており「空に触れたいからもう一度抱きしめて」という内容である。
13 Icing Sugar

原始的で無造作なビートと濃厚なアラブの旋律が印象的な曲。キュアー (The Cure)らしくマニアックな曲だが「上質なジャズ」を聴いたような口当たりの良さがある。
16 Shiver and Shake

屈折したビート感を押し出したキュアー (The Cure)らしいロックチューンでBPMより遥かに速いスピードを感じる事ができる。ギターサウンドは意地でも「ロック的な歪みリフなど弾くものか!」と言わんばかりの空間的なアプローチとなっている。
17 Fight

70年代ハードロック的なブルージーを感じるギターリフがキュアー (The Cure)らしからぬラストチューン。ハードなリフが繰り返される展開ではあるが、全体的にはしっかりと「迷宮」のようなミステリアスムードを醸し出している。

アメリカを中心に世界で大ヒットを果たしザ・キュアー (The Cure)が世界的なアーティストとなるキッカケとなったアルバム。 内容としてはこれまでのザ・キュアー (The Cure)の「キャリアの良いところ取り」をしたような内容となっており、収録曲も盛りだくさんの17曲である事から「ザ・キュアー (The Cure)ってどんな音楽をやっているの?!」と興味をもった人に最もオススメ出来る内容となっ

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