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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果57件

カテゴリー「傑作」のレビュー

再結成前にリリースされた最後のオリジナルアルバムでありデッドエンド(DEAD END) のキャリアの中で「最高傑作」との呼び声も高い傑作4thアルバム。

前作を聴いて感じた「密室感」が大幅に後退し「ダークではあるのが空間的な広がりを感じるサウンド」を聴かせてくれる。 本作における足立祐二(g)のギタープレイはもはや「神の域」であり、ルナシー(LUNASEA)やラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)に多大な影響を与えたであろうと思われる。「耽美」「ミステリアス」と形容したくなるアルペジオがほとんど全ての曲で登場して一筋縄ではいかないマニアックな雰囲気を醸し出している。特に「1人V系ツインギター」と表現したくなる「2 SLEEP IN THE SKY」は全てのV系ファン必聴である。

80年代ハードミュージックとUKニューウェイブを掛け合わせた方法論は、鳴っているサウンドは異なるがUSオルタナの創始者の1つである「ジェーンズ・アディクション(Jane’s Addiction)」に近いものがあると感じる。

    「要点」

  • ・「ダークではあるのが空間的な広がりを感じるサウンド」
  • ・「1人V系ツインギター」と表現したくなる「2 SLEEP IN THE SKY」は全てのV系ファン必聴

「曲解説」

1 I WANT YOUR LOVE

ドラムンベース風のドラムプレイで幕をあける浮遊系ギターロック。「大空を駆け巡る」伸びやかなボーカルラインと「アンプ直」のようなウォームな歪みが心地よいギターサウンドを中心に展開される曲でタイトルは「MORRIE(vo)らしからぬノーマル」なものとなっている。サビでは足立祐二(g)のアンビエントなアルペジオが曲にミステリアスな空気感を与えている。
2 SLEEP IN THE SKY

ルナシー(LUNASEA)のプログレ曲「serach for reason」におけるツインギター・アプローチに多大な影響を与えたと思われる足立祐二(g)のギタープレイが素晴らしすぎる耽美チューン。「神秘的でミニマムにループされるアルペジオ」「ウォークでコクのあるトーン」「幽玄で半透明な煙を連想するギターサウンド」などを自由自在に操る様はまさに「1人V系ツインギター」と言っても過言ではない。
3 BABY BLUE

コクのあるベースラインが目立つシンプルなリフロックではあるのだが、時折挿入される「脳みそをグシャグシャとかき乱す」ような刻むギターリフと「迷宮」のようなアルペジオが圧倒的な存在感を放っている(2:05〜)「忍者」のようなダークさと瞬間的なスピードを感じるCRAZY COOL- JOEのベースソロが披露される。最後は「途切れたメロディー」のように唐突な静寂に包まれる。
4 SO SWEET SO LONELY

ユートゥー(U2)彷彿のディレイサウンドが存在感を放ち「恍惚の光」を感じられるバラード。歌詞の内容は「愛しすぎるが故に破滅に向かう2人」と言ったところだろうか。この曲のギターソロの音色はどこかグレイ(GLAY) に近い響きがある。
5 CRASH 49

「砂の街」のようなオリエンタルな響きが印象的なアルペジオがループされるダークソング。歌詞は「砂の街」とは正反対の「CRASH」した内容で「コンピユータゲームと現実がごっちゃ混ぜになった」ようなカオティックなものである。
7 HYPER DESIRE 

デッドエンド(DEAD END)流パンクソング。リスナーのイマジネーションを刺激する足立祐二(g)のギター音色が、シンプルなこの曲に「アバンギャルドでカラフルな色彩」を与えている。
9 I SPY

ゆったりとしたヘヴィリフと高速の早弾きフレーズが印象的なメタルチューン。「Am I a spy? Are you a spy? Who is a spy?」という掛け声コーラスが珍しく?!「健全なハードロック的ワイルドさ」を醸し出している。
10 I’M IN A COMA

終幕感を感じる音響と眩しすぎる光が同居しているミドルテンポの耽美チューン。ボーカルラインは「しなやか」という表現がピッタリな上質なものとなっており、途中から「どこからどこまでがサビなのか」が分からなくなる程である。MORRIE(vo)のボーカルラインの後ろで「螺旋階段」のようなディレイサウンドが鳴り響き曲にミステリアスな深みを与えている。
11 SERAFINE

文学性を感じる歌詞がとにかく素晴らしい名バラード。歌詞の内容はおそらくではあるが「解散」と大いにリンクしていると思われ、空に浮かぶ「あの船」とは日本の音楽シーンの事で「オマエ」とはMORRIE自身がかつて憧れたアーティストの事ではないだろうかと筆者は考える。メジャーシーンで活動する中で感じた虚しさなどをキッカケに「オマエのもと=アメリカに行きたい」という決意をMORRIEは固めたのではないだろうか?!

再結成前にリリースされた最後のオリジナルアルバムでありデッドエンド(DEAD END) のキャリアの中で「最高傑作」との呼び声も高い傑作4thアルバム。 前作を聴いて感じた「密室感」が大幅に後退し「ダークではあるのが空間的な広がりを感じるサウンド」を聴かせてくれる。 本作における足立祐二(g)のギタープレイはもはや「神の域」であり、ルナシー(LUNASEA)やラルク アン シエル(L’

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「1 THE LAST SONG」
「激動の過去を静かに冷静に振り返る夜」のような雰囲気が漂う再結成前のラストシングル。

ピアノの旋律は「自分の命はそう長くないと悟った老人」のようにゆったりとそして深い響きをもっており、ストリングスは「星さえも見えない都会の夜」のようにディープである。歌詞は生々しく、そして繊細なものとなっており「血まみれになりながらも激動の音楽シーンを駆け抜けたYOSHIKIの心の葛藤と傷」が描かれているのだが「傷つくだけ傷ついてわかったはずの答えをどうしてまだ問いかけてる」というラインをTOSHI(vo)が歌うとまた別の意味合い(洗脳の団体とX JAPANの間で揺れる心)にも聴こえるから不思議である。「繊細な感情を全て絞り出した」この歌詞は非常に美しく、そう何度も出てくるような内容ではないと思われる。

またこの曲はエックスジャパン(X JAPAN)の曲ではあるのだがYOSHIKIによる「シリアスな語り」が曲の中で大きなウエイトを占めておりTOSHIのボーカルが聴けるのはサビのみとなっている。だが、この曲におけるTOSHIのボーカルは登場時間こそ短いが過去最高レベルにエックスジャパン(X JAPAN)ファンの心に突き刺さる(3:12〜)ギターソロはhide(g)が最も得意とする「ボーカルとバトンタッチして続きのメロディーをギターで歌う」メロディックなものとなっており孤独に震えるYOSHIKIを眩しい光で包み込む。

(6:25〜)BLUE(悲しみ)、RED(怒り)を見たYOSHIKIが濡れたままの心で次章に進もうとするが、やはり心の葛藤と傷は消えずに最後まで明確な答えを見つけられないという「内省の極み」のような歌詞が続き出口は見えない。終盤は「自分の命はそう長くないと悟った老人」が青春時代を思い出し1人で海辺を散歩するようなイメージで淡々とそして静かにピアノの旋律だけが鳴り響く。

    「要点」

  • ・「傷つくだけ傷ついてわかったはずの答えをどうしてまだ問いかけてる」というラインをTOSHI(vo)が歌うとまた別の意味合い(洗脳の団体とX JAPANの間で揺れる心)にも聴こえるから不思議である。
  • ・血まみれになりながらも激動の音楽シーンを駆け抜けたYOSHIKIの心の葛藤と傷が描かれている歌詞が秀逸

「1 THE LAST SONG」 「激動の過去を静かに冷静に振り返る夜」のような雰囲気が漂う再結成前のラストシングル。 ピアノの旋律は「自分の命はそう長くないと悟った老人」のようにゆったりとそして深い響きをもっており、ストリングスは「星さえも見えない都会の夜」のようにディープである。歌詞は生々しく、そして繊細なものとなっており「血まみれになりながらも激動の音楽シーンを駆け抜けたYOSHIKIの心

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ルナシー(LUNASEA)サウンドに宇宙的で神聖な雰囲気を持ち込んでいる「音楽マニア」SUGIZOのソロデビューアルバム。

「ドラムンベース」「トリップホップ」など当時の前衛音楽からの影響をSUGIZOなりに解釈した「アバンギャルドでダークなサウンド」が堪能でき、「5 Le Fou」「16 LUNA」などではスティーヴ・ライヒ(Steve Reich)彷彿のミニマリズムを導入している。97年にこのサウンドは斬新を超えており、現在のように「全世界がオンラインで繋がっている環境」が97年当時に存在すれば、間違いなく海外のコアな音楽ファンに大絶賛されていたはずである。また同年にリリースされたルナシー(LUNASEA)のもう一人のギタリスト/イノラン(INORAN)のソロアルバムも「トリップホップ」からの影響を大胆に反映させた耽美サウンドとなっており「神作」となっている。

本作に収録されているほとんど全ての曲で「ミステリアスなダークさ」と「耽美さ」がナチュラルに漂っておりV系サウンドのベーシックはSUGIZOが生み出したと言っても過言ではない。偉そうなことを言って恐縮だが本作はSUGIZO自身がボーカルを務めた曲で一部ミスマッチな質感があったので惜しくも「傑作」だが、一部のボーカルのミスマッチさえなければ文句なしに「神作」であった。どのような音を鳴らしても「SUGIZO流」になる「個の強さ」は圧巻であり日本が世界に誇れる才能である。

    「要点」

  • ・「ドラムンベース」「トリップホップ」など当時の前衛音楽からの影響をSUGIZOなりに解釈したアバンギャルドでダークなサウンドが堪能できる
  • ・V系サウンドのベーシックはSUGIZOが生み出したと言っても過言ではない

「曲解説」

1 LUCIFER

ヘヴィなギターサウンドの断片がミステリアスな浮遊感をもつ空間で輝き、リズムアプローチは「迷走」のようなドラムンベースという「音楽マニア」SUGIZOらしい前衛的なアッパーチューン(2:52〜)SUGIZOらしいロングローンのギターソロが空間をアブノーマルに支配する(4:04〜)「can I fly?can you fly?」という宇宙的な響きのコーラスが登場、このコーラスは後にリリースされるルナシー(LUNASEA)の曲「LOVE ME」のコーラスのプロトタイプ的な響きがある。
2 THE CAGE

たっぷりとリヴァーヴをかけた残響ギターサウンドが心地よいドラムンベースチューン(2:40〜)ディープで耽美的なアルペジオが鳴り響く中、SUGIZOによるミステリアスな語りがはじまる。その後は「わずかに燃える炎」のような幽玄なバイオリンサウンドが挿入されるという「凝りに凝られた」展開をみせる。最後は静寂の中「強烈にモザイクがかかった液体」のようなサウンドだけが鳴り響く。
3 KANON

「UK産ダークなヒップホップ=トリップホップ」からの影響を感じる耽美チューン。ボーカルはゲストボーカリストが務めSUGIZOはコーラスを担当している。SUGIZOのコーラスは「メタリックな水面」のような質感でセンス抜群、曲に「ヘブン」のような浮遊感をもたらしている。
4 EUROPA

クリアで「水晶玉」のような神秘性を感じるアルペジオがインパクト大のインスト。全編に渡りSUGIZOらしい「凝りに凝られた」ギターサウンドで埋め尽くされている。終盤はマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)彷彿の「ディープでエロスな音響」が存在感を放つ。
5 Le Fou

アンビエントなアルペジオがミニマムにループされる神インスト。神聖でシリアスな音響は「暗闇の中に天使が舞い降りる」イメージを連想する。時折、挿入されるSUGIZOのバイオリンサウンドの断片が神聖な音響の中でヒステリーに響き渡る。
6 BEAUTY

「金属ボックスをハンマーで叩いた」ようなパンチの効いたリズムがインパクト大の我流トリップホップで「酔っ払いが吹いた」ようなバグったサックスサウンドが曲にサイケな揺らめきを与える(2:00〜、4:10〜)唐突な転調が入り「退廃的メルヘンワールド」のような静パートに切り替わるという意外性のある展開(3:48〜)ギターソロはトム・モレロ/レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)のアバンギャルドサウンドにSUGIZOが「宇宙的なアレンジ」を施したような内容となっており、リスナーをアナザーワードルへと誘う。
7 CHEMICAL

「不気味な影に追いかけられる」ような切迫感を感じるリズムオリエンテッド・チューン。この曲でも「6 BEAUTY」同様に唐突な転調が入り「メルヘンティックな静パート」が挿入される。空間を漂うように流れる「和の旋律」が非常にミステリアスである。
9 MISSING

浮遊感溢れる音響と「アバンギャルドなタップダンス」のようなドラムンベースの対比が面白い曲(1:58〜、4:18〜)無条件に宇宙を連想する残響ギターサウンドが挿入される。歌詞は哲学的な内容で「果てない宇宙」をテーマにしていると思われる。
11 KIND OF BLUE

「天空」を連想する音響の中を「孤独」なサックスが自由に舞うインストでリズムはドラムンベース風である。時折、挿入されるギターサウンドは「直線的なネオンカラー」のような質感で曲に彩りを与えている。ギターソロは勿論の事、アバンギャルドで「巨大な鳥の狂った鳴き声」のようである。
13 DELIVER…

フレンチポップのようなメロウネスが印象的な空間系ソングでゲスト・女性ボーカリストの声は曲と非常にマッチしている(2:22〜)金属的でパンチの効いたビートが挿入される、その後に登場する歪んだギターサウンドはまるで「戦争が始まった」かのような壊れっぷりで「良質なフレンチポップソング」として成立していた曲をズタズタにする。良くも悪くもSUGIZOの「捻くれイズム」が凝縮されたような曲となっている。
16 LUNA

ミニマムなアルペジオがループされる幻想的なラストソング。歌詞はSUGIZOの娘「LUNA」の誕生に伴う感動を言語化したものである(3:50〜)子供の泣き声と「寂れた街」のような孤独を纏ったピアノの旋律が静寂の中で響き渡る。最後は幻想的な音響の中で波の音だけが流れる。

ルナシー(LUNASEA)サウンドに宇宙的で神聖な雰囲気を持ち込んでいる「音楽マニア」SUGIZOのソロデビューアルバム。 「ドラムンベース」「トリップホップ」など当時の前衛音楽からの影響をSUGIZOなりに解釈した「アバンギャルドでダークなサウンド」が堪能でき、「5 Le Fou」「16 LUNA」などではスティーヴ・ライヒ(Steve Reich)彷彿のミニマリズムを導入している。97年にこの

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「これまでのキャリアからの劇的な変化」という文脈においては過去最高レベルのインパクトがあり、男性ボーカリストのソロアルバムとして破格のセールスを記録した河村隆一1stフルアルバム。

成功したバンドのメンバーのソロデビューアルバムは大きく2つのケースに分類できる。1つ目は「ナチュラルにやりたい事をやるケース」ルナシー(LUNASEA)のメンバーでいうとスギゾー(SUGIZO)とイノラン(INORAN)のソロデビューアルバムはこれ該当。もう1つは「ルーツミュージックをフィーチャーするケース」本作は後者に該当する。

ルナシー(LUNASEA)ファン20年越えの筆者の考察では、河村隆一という人は不器用な人間なのだが他者からは器用に思われるというタイプであると思われる。本作のサウンドは歌謡曲テイストも強い良質なポップ・ミュージックが主となっており、考えようによっては「売れ線に走った」という見方も可能ではあるのだが、それは間違った見解である。河村隆一は「ハマってしまうと徹底的にハマる」という性分をもっている。要はルーツを掘り下げるとなると本当にルーツ(幼少期〜少年時代に触れた音楽)まで辿ってしまうのである。このあたりのちょっとズレた「やりすぎ感」が河村隆一の魅力だと思う。

「ルナシー(LUNASEA)のボーカリストという先入観を一切排除して本作に触れてみると本作がいかに素晴らしいポップアルバムであるという事が理解できる。好き嫌いは別として河村隆一の声は嫌になる程に耳に残るのである。

    「要点」

  • ・「1 I love you (Album mix)」相変わらず都会に対するネガティヴな感情を歌っており、「壊れそうなこんな街も」とディスっている。
  • ・ルーツを掘り下げるとなると本当にルーツ(幼少期〜少年時代に触れた音楽)まで辿ってしまう「やりすぎ感」が河村隆一の魅力

「曲解説」

1 I love you (Album mix)

ゆったりとした波の音から始まるファーストシングルで歌詞は「恋に疲れていた2人」が出会った熱いラブソングとなっている。この曲でも相変わらず都会に対するネガティヴな感情を歌っており「壊れそうなこんな街も」とディスっている。
2 好き

「遠い日の夏」のようなノスタルジーを感じるアコースティックソング。「愛し方をしらない孤独な少年」が主人公の物語であり、この孤独な少年はおそらくではあるが河村隆一自身であろうと思われる。「首にさげた部屋の鍵が鎖みたいで」というフレーズは「少年の壊れそうな繊細さ」が端的に表されている。
3 涙色

河村隆一が「愛の伝道師」のようなスタンスで愛の重要性を説くポップチューン。「果てしない愛に触れたら争いはなくなるかな?!というラインは「純粋な子供」のように無邪気ではあるが不思議と考えさせられる。ギターサウンドはディレイを活用しており若干SUGIZO風/ルナシー(LUNASEA)。
5 Love song

「幼少期の無邪気な恋愛」をテーマにしたエモーショナルバラードで「河村隆一特有のハイトーン」が非常に美しくパッケージングされている。歌詞に「変な顔して笑わせるよ」なる歌詞が登場する。
6 BEAT (Album mix)

色褪せない夏のメモリーをビビットなポップソングにのせて河村隆一が熱唱するヒットシングル。「過去の恋愛を回顧する曲」は得てして暗くなりがちだがこの曲はメロウで軽やか。最後は失恋を100%ポジティヴに捉えた「歩き出すよ、君を知ったこの場所から」というフレーズで締めくくられる。
7 蝶々

「幼少時代の切なすぎる初恋」に対する後悔をエモーショナルに歌い上げる名バラード。「2 好き」「5 Love song」同様に幼少期の恋愛をテーマにしているが「名前も知らないあなた」というフレーズから恋の対象はおそらく年上であると思われる。曲を通して素晴らしいノスタルジアを感じる事ができる。
8 Love

果てしない海を見て「孤独な少年時代」を回顧しつつも「今までとは違う君」に対して「帰る場所になってくれたら」と願うバラード。作曲はアルフィー(THE ALFEE)の高見沢俊彦が担当(wiki)。
9 Evolution

ミニアルバム「Cranberry Soda」に収録されている「4 REAL」と同様に「何かが壊れてしまった若者のヤバいリアル」を歌っている曲。本作の中でも最もルナシー(LUNASEA)に近い質感のサウンドでミステリアスなアルペジオを中心に構成されている。歌詞は「リアルとバーチャルの感覚がバグった若者に対するアラーム」のようなイメージである。
10 小さな星

宇宙船が地球を出発する発射音で幕をあけるキラキラ・ポップチューン。「少年時代の恋の妄想」をダイレクトに叩きつけたイマジネーション豊かな歌詞が素晴らしい。「2人きりだからこの気持ちを法律にしよう」なる歌詞が許されるシンガーはそう多くはないだろう。曲中にキザな言葉を連発する主人公ではあるが、相手の女性がこの星について来てくれた真の狙いは「波」であるという事を知っているというオチまで用意されている。
11 Glass (Album mix)

「ナイーヴな男の独白」のような歌詞がインパクトの名バラード。ヒロイックなピアノの旋律、「大粒の雨」のようなビートから無条件に「夜の街」を連想するが、優雅なストリングスをフィーチャーした間奏部は「草原に一人孤独に佇む」かのような開放感を感じる。
14 Love is… (Album mix)

1人の女性に対する熱すぎる恋愛感情が印象的なラブソングであり「河村隆一=Love is」という位にインパクトのある曲となっている。冒頭の天使を思わせるコーラスはスピード(SPEED)のwhite loveに少し似ている。
16 Hope

壮大なストリングスにのせて「いつまでも新たな光を求める自己願望」を高らかに歌い上げるラストソング。「宇宙はコーヒーカップ」なる意味深なラインも登場。最後は静かに波だけが流れる。

「これまでのキャリアからの劇的な変化」という文脈においては過去最高レベルのインパクトがあり、男性ボーカリストのソロアルバムとして破格のセールスを記録した河村隆一1stフルアルバム。 成功したバンドのメンバーのソロデビューアルバムは大きく2つのケースに分類できる。1つ目は「ナチュラルにやりたい事をやるケース」ルナシー(LUNASEA)のメンバーでいうとスギゾー(SUGIZO)とイノラン(INORAN

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akko(vo)独特の透明感のある歌声の魅力をさらに引き立てるべくサウンドがクリアにそしてディープに進化した2ndアルバム。

耽美派UKアーティストからの影響が感じられる「3 My sweet lord」や「10 YES 〜free flower〜」などは前作に収録されていた曲とは明らかに異なる質感であり、歌詞はマイラバのブレイクを決定付けた神曲「5 Hello, Again 〜昔からある場所〜」で「大失恋を経験した男女の数年後を描いた」ようなイメージのものが多く喪失感を全面に押し出している。悲しいkissはまだ胸にあるのにアッパーなドライブで弾ける「5 Shuffle」メランコリックな気持ちを抱え苦笑いでも前に進もうとする「8 NOW AND THEN 〜失われた時を求めて〜」喪失感と真正面から向き合う内省的な「10 YES 〜free flower〜」など。

本作は90年代の日本のポップシーンの中でも異彩を放っており、喪失感を描きつつもリスナーに前向きな光を与える素晴らしい作品となっている。

    「要点」

  • ・歌詞は「5 Hello, Again 〜昔からある場所〜」で大失恋を経験した男女の数年後を描いたようなイメージのものが多い
  • ・サウンドがクリアにそしてディープに進化

「曲解説」

2 空の下で

「静寂の中をクリアでアンビエントな質感のアルペジオが踊るヴァース」と「ナチュラルでウォームなサビ」によって構成されるギターポップ。中盤以降は「空の下で」というフレーズにぴったりなストリングスが曲に涼しい爽やかな風を運んでくる。
3 My sweet lord

UK耽美派アーティスト・キュアー(CURE)のダークなポップソングをマイラバ流にアレンジしたような曲。akko(vo)のボーカルは脱力的なものとなっており「よく晴れた日のピクニック」のようである。歌詞に登場する「狂ったダンス」なるフレーズはUKニューウェイブを意識していると思われる。
5 Shuffle

「乗り気ではないドライブ」のような気だるさと「花束」のように華やかさが同居しているアッパーチューンで、終始ホーンセクションが曲に色彩を与えている。過去の悲しいキスを引きずり新しい季節に乗り遅れた主人公が、センチメンタルな心情を「愛とは宇宙の果てのようで」と文学的に語りつつも「涙の彼方へ行こう」と前向きなスタンスを示す歌詞が気だるくも華やかなサウンドと見事にマッチしている。
6 Naked

「深夜のオフィス街」のようなダークさと「プリズム」のような輝きを感じるサウンドがakko(vo)の歌声が持つ透明感をより引き立てている(4:40〜)エフェクトのかかった歪んだ声で歌われる「快楽のドアを叩く」というフレーズにはドキッとする。歌詞の内容はおそらくではあるが「いけない恋=不倫」をテーマにしていると思われる。
8 NOW AND THEN 〜失われた時を求めて〜

「シュールな夢の国」のようなサイケな音響がインパクト大のポップソング。歌詞は神曲「5 Hello, Again 〜昔からある場所〜」で失恋を経験した主人公が数年後に「過去の重くシリアスな恋愛感情」を内省し「苦笑いでも前に進もう」と 自分を奮い立たせるようなイメージである。「地球儀を回したらいくつもの街角でいくつもの君と出会える予感がした」というラインはセンチメンタルと喪失感が同居した素晴らしいラインである。この曲のギターサウンドは最小限の手数で曲に豊かなコクを与えている。終盤は静寂の後にサイケなハードロックサウンドが展開され、これまで脇役に徹していたギターがブルージーなソロパートを披露する。最後は不規則なピアノの旋律が「夢の終わり」のように鳴り響く。
10 YES 〜free flower〜

「水に浮かぶプリズム」のような透明感を感じるミニマムなギターロック。「青くサイケに揺らめく」ギターサウンドはミニマムな手数でマキシマムな効果を出している。akko(vo)の歌声は「波紋」のように揺らめき「夏に終わった恋」を内省する。「yes」というポジティヴワードがこんなにもメランコリックに響く曲はこれまで聴いたとこがない。

akko(vo)独特の透明感のある歌声の魅力をさらに引き立てるべくサウンドがクリアにそしてディープに進化した2ndアルバム。 耽美派UKアーティストからの影響が感じられる「3 My sweet lord」や「10 YES 〜free flower〜」などは前作に収録されていた曲とは明らかに異なる質感であり、歌詞はマイラバのブレイクを決定付けた神曲「5 Hello, Again 〜昔からある場所〜」

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