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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果57件

カテゴリー「傑作」のレビュー

海外渡航(イギリス・ドイツ)時に得たインスピレーションから作成された楽曲を収録した5枚目のアルバム。

これまでもインディーズ時代のアルバム「DUNE」や3枚目のアルバム「heavenly」で異国感を感じる音創りをしていた彼らだが、今作では「ダークで重厚な質感」や「叙情性のあるフレージング」などの要素を取り入れている。それに加え「ジャジーなテイスト」や「USグランジ・オルタナ」からの影響をラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)らしいメロディックな曲に反映させることによってこれまでの作品とは異なるレベルのダイナミズムや深さを感じることができる作品に仕上がっている。「歪んだマイナーコードの響きを活かしたギターロック」「景色が浮かぶメロウなポップソング」「ドイツの大河を連想するスケールの大きな曲」など様々なタイプの曲が収録されているが全ての曲のクオリティーが非常に高く本作は彼らの最高傑作と呼べる作品になっている。

    「要点」

  • ドイツ大河や古城を思わせる異国感
  • ジャジーな質感を導入
  • 最高傑作との呼び声が高い

「曲解説」

1 LORELEY

極寒のような冷たいピアノとダークで重層な雰囲気が印象的なオープングソング。ken(g)のギターサウンドが曲のダークさと緊張感を演出している。 冒頭では不穏で緊張感のあるサックスが空気を切り裂き、そこからゆったりとしたテンポの上を滑らかなhyde(vo)のボーカルラインが踊り、徐々に熱量を上げていく。Bメロの裏ではこれまであまり聴けなかったスマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)のようなオクターブ奏法により歪んだギターリフを聴くことができ、サビは煌びやかなシンセとうねるベースラインの上をどこまで果てしなく続く大河のような壮大なボーカルラインが響き渡る。中世ヨーロッパのような雰囲気を持ちつつもUSオルタナ的な「エッジ」が反映されている神曲。最後は不穏なコクのあるアルペジオが静かに鳴り響く。
2 winter fall

実際に「真っ白な雪原にいる」かのような錯覚を味わえる曲。ガラスのように透明なアルペジオと優雅なホーンを中心に展開される。 メロディックで「真っ白な吐息」を連想するボーカルラインを持つサビがインパクト大(2:45〜)「雪の上に寝そべって見る晴天の青空がクルクルと回る」ようなイメージが浮かぶスケールの大きい伸びやかなボーカルラインが曲に躍動感を与え(3:08〜)ギターソロは暖炉に手をかざすような暖かさを感じる。曲を通して「どこまでも続く青空」「降り積もる雪」「凍える寒さ」「白い吐息」といった雰囲気を醸し出すフレーズや音色のみで構成されており世界観を見事に表現している。最後はhyde(vo)による「戻らない時間」のような物悲しい一人語りで終わる。
3 Singin’ in the Rain

「雨が降る都会の早朝」を連想するジャージーなピアノの旋律と微かな光のようなギタープレイがを中心に展開されるメロウな曲。 歌詞の中にもやはり「雨」が登場、歌詞の内容としては「降りしきる雨」が「雨が好きだった君」を思い起こさせるとういうもの(1:24〜)メロウな曲にぴったりな湿り気を帯びた力強いボーカルラインが曲の世界観をより確固なものとする。ボーカルラインの裏では残響のようなギターサウンドがノスタルジーな雰囲気を演出。終盤は「雨が激しくなった」ようなギターのノイズ音が薄っすらと鳴り響き、最後は水面に波紋を残すようなピアノの音で終わる。
4 Shout at the Devil

ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)流グランジと言いたくなる歪んだギターロック。イントロからハウリングとhyde(vo)のカウントアップで幕を開ける激しい展開でken(vo)の開放的で歪んだギターフレーズが終始縦横無尽に暴れまわる。90年代後半はグランジ・オルタナ的な歪みを自分たちの曲に反映させる日本バンドが多かったが、この曲で聴けるken(g)のギターサウンドはジ・エッジ/U2(ユートゥー)がニルヴァーナ(Nirvana)のリフを弾いような音であり、ワウを効果的に使って飛翔感を感じるような質感になっていて個性がある(2:20〜)前作「True」までのhyde(vo)からは想像もできないようなまさにDevilなシャウトが登場する。それに続ギターソロに関してもグランジ的な壊れた質感を伴うものとなっている。終盤はリズム隊もグイグイと猛烈に攻めて最高潮を迎え最後は終焉のようなホーンが鳴り響き、僅かな不気味さを残し終わる。
5 虹

「蝶がクルクルと舞う」ようなミニマムなアルペジオが鳴り響く代表曲。言わずもがなバンド名を日本語に変換したタイトルとなっている。 イントロが終わると「いきなりサビから突入」する展開でインパクトがある。話が少しそれるが96年〜97年にかけて当時の3大バンド(L’Arc〜en〜Ciel、LUNASEA、GLAY)が揃ってサビから突入する代表曲をリリースしていることは大変興味深い。本曲は全体的にセンチメンタルな雰囲気のある曲となっており「静かで淡々としたAメロ」、「サビの爆発での予感させるBメロ」、「激しくエモーショナルなサビ」という構造になっている(2:38〜)メロウなアルペジオをバックにhyde(vo)の愛に対する悟りのような呟きが聴ける。終盤はエモーショナルなサビが繰り返しリピートされ最高潮を迎える。
7 Promised land

歪んだマイナー調の残響が心地よくハードでラフな曲なのだが不思議な浮遊感を感じる曲。よく聴いてみるとハードでラフなサウンドのバックに「柔らかい舞」のようなシンセや空間的なアルペジオが鳴っており、これがハードなサウンドなのにも関わらずハードに聴こえず浮遊感すら感じる仕掛けなのだろう(3:05〜)サイケデリックな揺れる光のようなサウンドに全体が包まれれるが、この後、光は消えてなくなりタイトで原始的なドラムが鳴り響く。終盤はフックのあるサビが繰り返されて最後はエフェクトのかかった声の残響で終わる。
8 fate

「ドイツの古城」を思わせる叙情系ギターフレーズと動きまくるベースフレーズが印象的なミドルテンポでダークな曲。マイナー調の歪んだギターサウンドが終始鳴り響き、曲を通して切ない雰囲気が漂う(1:30〜)hyde(vo)による高音を活かしたメロディックなボーカルラインを持つサビが強烈(1:50〜)残響が心地よくゆらゆらと宙を舞うギターソロが鳴り響き、間奏部では柔らかいストリングスやピアノ、煌びやかな電子音なども登場して切なさを更に助長する。終盤は柔らかいストリングスと煌びやかな電子音が更に存在感を増し最後はミニマムな電子音のループで終わる。この曲の終わり方はKarma Police/レディオヘッド(Radiohead)に近いものを感じる。

海外渡航(イギリス・ドイツ)時に得たインスピレーションから作成された楽曲を収録した5枚目のアルバム。 これまでもインディーズ時代のアルバム「DUNE」や3枚目のアルバム「heavenly」で異国感を感じる音創りをしていた彼らだが、今作では「ダークで重厚な質感」や「叙情性のあるフレージング」などの要素を取り入れている。それに加え「ジャジーなテイスト」や「USグランジ・オルタナ」からの影響をラルク ア

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グレイ(GLAY)らしいスピードチューンを中心にまとめられたベストアルバム。 エックスジャパン(XJAPAN)が解散を発表しヴィジュアル系(V系)というワードが世間にも浸透し始めた97年に本作はリリースされた。

現在、冷静に本作を聴いてみると普遍的なボーカルラインのよさとボーカルラインを第一に考えたウォームであまり主張しないギターサウンドが印象に残る。「主張しないギターサウンド」と聞くとあまり印象が良くないかもしれないが、当時はルナシー(LUNA SEA)のコピーバンドのようなバンドが大量発生していた時代で、ダークで耽美的で空間的なアプローチがヴィジュアル系(V系)シーンの主流であった。 「ヴィジュアル系(V系)と呼ばれる人たちがいるらしいけど「そっち系はちょっと、、」」という「普通の10代」にはグレイ(GLAY)の歌のメロディーラインを最優先するノーマルな方法論は圧倒的にわかりやすく、また多くの人の琴線にふれる普遍的なボーカルラインが刺さり空前の大ヒットを記録した

    「要点」

  • スピードチューン中心のベストアルバム
  • 楽曲第一であまり主張しないギターサウンド
  • ボーカルラインを活かす普通な方法論がV系では異端

「曲解説」

1 グロリアス

「分身の術」のようにブレるイントロのギターサウンドが印象的であまり歪んでいないウォームなギターサウンドによるバッキングと TERU(vo)のハスキーボイスを活かしたメロディックなボーカルラインを中心に構成される。Aメロ〜Bメロは多少サウンドの強弱はありつつも淡々としたサウンドとボーカルラインで進行するが、サビ前のCメロで急加速してリスナーに迫ってくる。サビのボーカルラインはジェットコースターのように山あり谷ありカーブありと抑揚が非常に大きいグッドメロディーとなっている(2:05〜)曲の雰囲気にマッチした耳に残る ツインギターのハモリフレーズはX JAPANからの影響を感じる?!(3:25〜)雨の街角を連想するクリーンアルペジオが流れる静パートが挿入され最後はギターリフが繰り返しリフレインされハードな質感をもったまま終わる。
2 彼女の“Modern…”

「性急でバタバタ」としたリズムとエッジの効いたギターリフが曲を引っ張る「ダイスで決める予定はとりあえず無視する」という大胆な宣言して始まるスピードチューン(0:28〜)Aメロはザクザクのギターの刻みサウンドが鳴っているが、全くといっていいほど「メタルの匂い」は感じず曲に疾走感を与えている(1:32〜)「ウ〜バイブル」という斬新な名コーラスがが今後の爆発を予感させ(1:46〜)ボーカルラインがとんでもない体感スピードを感じるサビが登場する。このボーカルラインはハモリのツインギターで弾くと強烈にハマるフレーだろう(2:17〜)サビとバトンタッチしてスピード感のあるギターソロが始まるが(2:30〜)またしてもツインギターによりハモリフレーズが顔を出す。最後までだれることなくスピード感を維持して曲は終わる。
3 BELOVED

「あの頃の僕ら」のような哀愁を終始感じるミドルテンポのバラード(1:21〜)同世代のバンドが避けそうな歌謡曲的なボーカルラインを気にせずやってしまうグレイ(GLAY)らしい伸びやかなサビ(2:20〜)ノスタルジーな叙情系フレーズが印象的なギターソロだが、ここでもやはりツインギターによるハモリフレーズが登場する。このあたりは同じツインギターでも先輩格であるルナシー(LUNA SEA)などのバンドではまずありえない展開だ。最後は「夢の終わり」のようなにアコギが爪弾かれて終わる。
5 千ノナイフガ胸ヲ刺ス

曲の冒頭でタイトルを叫ぶというかなり珍しい展開。刻まれるハードなギターリフや歌詞に出てくる「悪魔」というフレーズなど、少しメタルを意識している曲なのかもしれないが「メタル匂」は一切感じず「スピード感のあるポップネス」を体感でき、「ハードでアグレッシッヴなパート」と「宇宙の雰囲気を感じる静かなパート」によって構成される(1:25〜)キラキラしたシンセが夜空の星を連想する静かなパートが挿入されるが、サウンドとは裏腹な歌詞は「刹那的に燃え上がる恋」みたいな内容。「tonight i pray for you」(あなたのことを祈っている)という歌詞からわずかだがV系のエッセンスを感じる(2:17〜)スパニュシュギターのような異国感を感じるフレーズから始まるギターソロだが途中からヘヴィメタル的なハモリフレーズも登場して曲を引き締める。終盤はさらにスピード感を増したハードサウンドで最後まで駆け抜ける。
7 口唇

グレイ(GLAY)クラシックとも言える「スリリングな恋の駆け引き」をテーマにしたスピードチューン。サビから突入するビートルズ彷彿の展開やポリリズムの導入などがBPM以上のスピード感を演出している(0:00〜)メロディックなサビのボーカルラインから曲が始まるのだが、バックでは薄く透明なバブルのようなポリリズム的な電子音が鳴り響いている(1:14〜)2回目のサビではポリリズムの上をハードなギターサウンドが乗り「1回目のサビ」よりも更にスピード感を感じる。中盤以降は畳み掛けるようにサビを連発して最後まで攻め続ける。
9 HOWEVER

「木漏れ日」のような柔らかいピアノの旋律ではじまる名バラード。緊張感があり一人の夜を連想するジャジーなテイストがある(1:30〜)サビは壮大なストリングスとダイナミックなサウンドが絡み、「過去の叶わなかった愛情」という趣の歌詞を歌う美しいボーカルラインをより一層引き立てる(3:04〜)暖かい春風のような「フゥ〜、フゥ〜フゥウウ〜」というコーラスが曲に息吹を与え、中盤以降は壮大なストリングスが存在感を増し曲全体を包み込む。曲が終わる頃には「一人の夜」のような孤独感ではく「清々しい孤独」を感じることができる。
10 Freeze My Love

シンセを大胆に活用したスピードチューン。「見えない影に追いかけられる」ようなシンセサウンドと「誰もいなくなった部屋」を連想するようなマイナー調のギターが疾走感を演出する。ポップで「非メタル」なザクザクギターが終始鳴り響くグレイ(GLAY)流シンフォニックメタルのような曲(1:14〜)サビのボーカルラインのバックで流れる切迫感のあるミニマムなシンセフレーズはダークなギターサウンドと絡み少し不穏な雰囲気とBPM以上のスピード感を与える(2:42〜)80年代ブリティッシュ・ヘヴィメタルのバンドのような叙情性あるギターソロが飛び出す。ジャジーな音色なども取り入れ懐古主義になっていない点が素晴らしい。そして最後はやはりハモリのツインリードで締めくくられる(3:42〜)ブレイクビーツのような3連ドラムリフが登場しアクセントになっている。最後は「同じ月が照らす違う人生」というエモワードで登場し終わる。
11 KISSIN’ NOISE

アグレッシヴなアコギのストロークから始まる珍しくプログレ的な展開を見せる曲。基本的にはハードでアグレッシヴなバンドサウンドで展開されるのだが(2:00〜)唐突な転調が入り、重力がバグったサイバーな異空間に放り込まれる(2:30〜)夕暮れの街のような哀愁あるギターフレーズが登場して哀愁のある空気に包まれるがが(3:00〜)「だから!」という威勢の良いボーカルラインからハードでアグレッシヴなサウンドに戻る。終盤はギターソローも登場してハードなサウンドでそのまま最後まで走る。

グレイ(GLAY)らしいスピードチューンを中心にまとめられたベストアルバム。 エックスジャパン(XJAPAN)が解散を発表しヴィジュアル系(V系)というワードが世間にも浸透し始めた97年に本作はリリースされた。 現在、冷静に本作を聴いてみると普遍的なボーカルラインのよさとボーカルラインを第一に考えたウォームであまり主張しないギターサウンドが印象に残る。「主張しないギターサウンド」と聞くとあまり印象

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前作「Atomic Heart」で大ブレイクを果たし音楽シーンの頂点に立った彼らが、自分たちがやりたいことをエゴイスティックにやりきった90年代を代表する問題作。ビジュアルが見える音色の数々で構成された本作を聴いているとまるで名作映画を見ているような感覚に陥る。歌詞の内容は「自問自答」「ノスタルジー」「虚無感」「怒り」「わずかな光」などがテーマであり、前作までに見られた「恋愛」をテーマにした詞はほとんど見られない。

またサウンドも退廃的といってもよいダークさと深さがありタイトルとシンクロしている。フォークロック、プログレ、USグランジ的な壊れた質感、ジャージーな哀愁などがギリギリのラインで見事にポップソングに落とし込まれている。

    「要点」

  • 映画を見ているようなコンセプトアルバム
  • アーティストエゴが爆発
  • 退廃的な雰囲気

「曲解説」

2 シーラカンス

本当に「海の中にいる」ような深さと暗さを感じる曲(0:55〜)前作「Atomic Heart」から90年代US/UKギターロックの影響を感じされるフレーズはあったのだが、このリフはUSグランジに対するミスター・チルドレン(Mr.Children)からの回答といっていい位にグランジテイスト。このグランジギターが曲中終始鳴り響くことになる。歌詞の内容は一言でいうと「ディープな自問自問」といったところだろうか(3:14〜)歪んでいるがとブルーな透明感のあるギターソロが鳴り響き、最後は壊れた質感を増したギターロックのような展開でそのまま3曲目に繋がる。
3 手紙

メランコリックで物悲しいアコースティックバラード。重層なストリングスが「2 シーラカンス」同様に海の中にいるような深さと暗さを醸し出しており、歌詞の内容は「いなくなった者」に対する喪失感とノスタルジーを歌っている。
4 ありふれたLove Story ~男女問題はいつも面倒だ~

重い質感であった「2 シーラカンス」「3 手紙」とは異なり少しリラックスした乾いた空気感が心地よい曲(1:57〜)滑らかストリングスとジャジーなピアノが本曲に滑らかな風を吹き込む。
5 Mirror

メルヘンな世界に迷い込んだような浮遊感を感じる曲。キラキラしたキーボードやオルゴールのように聴こえる管楽器がその空気感をさらに助長する (1:33〜)乾いたハーモニカソロが鳴り響きその後はシャボン玉のように透明で揺れるような電子音が登場する。歌詞のほうは古風なフォークソングのようだ
7 名もなき詩

「ジャカジャ〜ン」という勢いのあるコードストロークで始まる名曲。曲を通して乾いた空気感が常に流れており最小限の音数だけで鳴らされたジャージーなギターロックという趣だが、じっくり聴いてみるとドリーミなハーモニカや低音が強調されたホーンが海底で鳴り続いている(1:22〜)ダイナミックかつ大陸的な広がりを見せる神なボーカルラインが登場(4:04〜)これまでのミスター・チルドレン(Mr.Children)では考えられなかったマシンガンのようなラップ風のボーカルラインが飛び出す。歌われる内容は「「人を傷つけてもそこまで悩む必要ないよ」と言いながらもそこまでドライにも無感情にもなれない自分」について。このパートが曲にファンキーなテイストを与えている。最後は、澄み切ったシンプルなギターサウンドをバックに桜井 和寿(vo ,g)が悟りを開いたような愛情論を君に語りかける。
10 マシンガンをぶっ放せ

グランジ化したフォークロックという質感の曲。ありえない事が平然と起こりまくった90年代の空気感を怒りと虚無感が混在した歌詞で見事に表現している。アップテンポな曲なのだが海底で鳴っているシンフォニックなストリングスや雄大なホーンが色んな意味で痛い歌詞を中和させてこの曲をポップソングとして成立させている。
11 ゆりかごのある丘から

LUNASEAの曲に出てくるようなダークなアルペジオや哀愁感漂うアダルトなサックスが退廃的で哀愁のある雰囲気を醸し出す。歌詞の内容は「孤独な者」がノスタルジーな気分に浸る内省的なもので「自分にとって本当に大事なものは何か?!」を深く問いかける内容となっている。桜井 和寿(vo ,g)のボーカルラインは高級なワインのように渋みと甘みがありいつまでの頭の中で反芻し続ける(8:32〜)古いフィルを巻き戻すような音が流れ曲は静かに終わる。本作を象徴するような深くてダークな名曲。

前作「Atomic Heart」で大ブレイクを果たし音楽シーンの頂点に立った彼らが、自分たちがやりたいことをエゴイスティックにやりきった90年代を代表する問題作。ビジュアルが見える音色の数々で構成された本作を聴いているとまるで名作映画を見ているような感覚に陥る。歌詞の内容は「自問自答」「ノスタルジー」「虚無感」「怒り」「わずかな光」などがテーマであり、前作までに見られた「恋愛」をテーマにした詞はほ

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「グランジ的なヨレたギターサウンド」「ジャジーな音色と展開」「ストリングスの大胆な導入」などこれまで以上に新たな要素を取り入れた作品。J-POP的な曲はシングルカットされた「7 love me, I love you」位でありアナログな質感の音が多いという印象。

新機軸にトライした作品ではあるがビーズ(B’z)独自の「ハードなポップネス」は今作も健在サビのボーカルラインは大河のようなスケールの大さが特徴であり特に「13 drive to MY WORLD」のボーカルラインは特筆。音楽的な挑戦を試みながらもビーズ(B’z)のオリジナルアルバムの中で最も売れた(300万枚)作品である

    「要点」

  • 「ハードさ」と「POPさ」が理想的なバランス
  • グランジ的なヨレた質感とジャジーな要素が新鮮
  • 音楽的にもセールス的にも最高レベル

「曲解説」

1 spirit loose

90年代以降のUSギターロックの壊れた質感を少し取り入れたラフなギターカッティングが印象的。「壊れたラジオ」のように掠れた稲葉浩志(vo)のシャウトはUSグランジの代表格サウンドガーデン(Soundgarden)にも全く劣らない迫力がある。
2 ザ・ルーズ

うねるベースラインとグルグルと目が回るようなギターリフが絡みつくイントロではじまり、ダルっとしたルーズな雰囲気と晴天のようなホーンセクションが同居している曲。90年代USギターロック的な質感を取り入れつつもポップネスは失われておらず、また稲葉浩志(vo)の過去の経験からくる「独り言風の語り」もどこかコミカル。ギターソロの余韻を残すハウリングが止むと(2:33〜)エフェクトが掛かった声で展開される独特なラップが聴ける。
3 ねがい

異国感を醸し出すリズミカルなパーカッション、教会の窓から差し込む光のようなキーボード(オルガンかも)とミニマムなコードカッティングを中心に展開されるジャジーな曲。キャッチーなサビのボーカルラインの裏ではやはりここでも「晴天のように明るい」ホーンセクションが鳴り響く(3:00〜)サビの後にベースとピアノだけのジャジーな展開となりその後、ギターソロが鳴り響く。歌詞の内容は迷路に迷い込んだ主人公が神様に願いを叶えてくれと懇願するという内容だが、神様に対してその言い方はないだろとツッコミどころ満載。
5 BAD COMMUNICATION

ミニマムなベースリフとフラメンコ調のギターフレーズが印象的でデジタルダンステイストだった原曲を70年代ハードロック風にアレンジしている(3:53〜) 「BAD COMMUNICATION!」というボーカルラインの後から、リズムが激しさを増していく展開となりハーモニカソロも登場。最後はそのまま激しさを増し熱量マックスのところで終わる。
7 love me, I love you

本作で最もポップな曲。派手でゴージャースなホーンセクションが鳴り響きギターは疾走感を助長するプレイに専念(2:02〜)これまでの弾けたポップソングとは対照的な泣きの早弾きギターソロが聴ける。「人の心は弱いし足りないところもある」と認めつつも「消去法」や「人頼みではダメ」という解決策をリスナーに提案する歌詞が秀逸で「悩みやうまくいかない要因に対して解決策を歌う」ここが彼らがメガヒットを連発した背景のの一つなのかもしれないと妙に納得。
8  LOVE PHANTOM

イントロは壮大なオペラ調のストリングスが緊張した空気感を作り、そこに乱反射する光のようなキラキラした電子音と重低音を強調したベースと唸るギターサウンドが絡みあう冒頭。男性コーラスが「LOVE PHANTOM」というタイトルワードを言った後は、いきなりサビのボーカルラインから突入するというインパクト大の曲。 よく聴いてみると重低音が効いたシンセポップがベースとなっており、そこにストリングスやキラキラした電子音、歪んだギターサウンドが鳴っている。「クネクネと動くヘビ」のように空間を動き回る松本 孝弘(g)のギターは過去最高の暴れっぷり(4:02〜)オペラ歌手の優雅なコーラスが曲をより壮大な雰囲気にして最後は優雅なコーラスコーラスと伸びやかギターが絡み合い終わる。
10 砂の花びら

ずっしりとしたベースラインとオリエンタルな雰囲気のするギターサウンドが特徴。叙情的なサビのボーカルラインの裏ではゴスペル風のコーラスが稲葉浩志(vo)本人によって歌われている。曲自体はシンセやキーボードは入っておらずアナログな質感だが、オリエンタルな空気感やゴスペル風のコーラスなど新機軸にトライした曲。
12 BIG

アグレッシヴなアコギのコードストロークが終始鳴り響き、その上を少しコミカルな世界観の歌詞を歌うボーカルラインが乗る。端的に表現するとゆずの曲をB’zがアレンジして演奏したような質感の曲で歌詞の内容はBIGになりたい男の日常について。
13 drive to MY WORLD

「アーバンな雰囲気」と「乾いた砂漠のような雰囲気」が混在した曲でシンプルなバンドサウンドが非常にダイナミックに鳴り響く。サビのボーカルラインは非常にフックがあり、唸りを上げるギターと絡むことでさらにスケールを増す。最後は叙情的で焼け付くようなギターソロが鳴り響きそのままフェイドアウトする。

「グランジ的なヨレたギターサウンド」「ジャジーな音色と展開」「ストリングスの大胆な導入」などこれまで以上に新たな要素を取り入れた作品。J-POP的な曲はシングルカットされた「7 love me, I love you」位でありアナログな質感の音が多いという印象。 新機軸にトライした作品ではあるがビーズ(B’z)独自の「ハードなポップネス」は今作も健在サビのボーカルラインは大河のようなス

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壮絶でハイテンションなハードコアサウンドとリスナーのイマージネーションに訴えかけ様々な風景や世界観を連想させるパンチの効いたフレージングが強烈なアット・ザ・ドライヴイン(At The Drive-In)

ハードコアという音楽はどちらかというとフィジカルに訴えかけるものや色んな意味でリスナーと「熱量を共有しあう音楽」であるという印象があるのだが、本作は頭の中に様々な絵が浮かぶ「プログレ性」と「ハードコア的な破壊力やテンション」が奇跡のバランスで成立している。激しい音楽を聴いて「ノッた後の爽快感」と「練られた音楽を聴いた後の感慨」を同時に味わう事ができる。

    「要点」

  • イマジネーションを刺激するプログレ性あり
  • ポストハードコアの名作

「曲解説」

1 Arcarsenal

「上空から何者かが舞い降りた」ような不穏な響きと「酔っ払い」のようにぐらついたギターフレーズが絡むインパクト大のイントロ。 「太陽光線」のような直線的なギターサウンドが終始鳴り響く中、突如(2:12〜)ダークなピアノの音色が挿入されて曲にアクセントを与える。 全てがシャウトのように聴こえるボーカルラインを筆頭に全てのパートが凄まじいテンションで響き渡る。
2 Pattern Against User

左右から聴こえる「異なる音色による鬼ごっこ」のようなギターサウンドが特徴。冒頭からストレートで熱量のあるテンポで進行するが(1:48〜) リズムがなくなりベース音のみが鳴る。そこに「上空を舞うねじまき鳥」のような立体的で透明感のあるアルペジオが響きわたる。終盤はストレートなロックサウンドに戻り疾走、最後はマイナーな響きのコードバッキングが鳴り響く。
4 Sleepwalk Capsules

冒頭から「戦場」のような荒れ狂った空気感を感じる。ツインギターの音色はやはり全く異なりそびえ立つ音の壁となって迫り来る。そんな展開の中(1:22〜)浮遊感のあるアルペジオとそれに絡みつく幻影のようなフレーズが飛び出し、それに呼応するかのようにセドリック・ビクスラー(vo)がメロウなボーカルラインを奏でる。しかしそれも束の間(2:12〜)またも荒れ狂った空気感をもった展開になり爆発する。
5 nvalid Litter Dept.

不穏でどこか「エジプトの神殿」を連想するようなアルペジオが鳴り響く中、ミニマムで唸るベースラインの上を「早口なパート」と「夢見心地でメロウなパート」が合体したセドリック・ビクスラー(vo)独特のボーカルラインが踊る(3:05〜) ピアノの旋律と「沈む夕日」のような枯れたギターが鳴り響く。ハードなサウンドも健在ではあるがどちらかというと浮遊感をと哀愁を感じる曲となっている。
7 Enfilade

男女の電話でのやり取りがSEで流れる。「宇宙に放り出された」ようなバグった重力感の中で「ラップのようなボーカルが響き渡るパート」と「電撃のような強烈なギターサウンドが登場するアヴレッシヴで熱量マックスのダイナミックなパート」が交互に展開される(4:30〜)最後は重力にのみ込まれるように音は途切れて「ピーピー、ガーガー」というノイズだけが鳴り響き曲は終わる。
8 Rolodex Propaganda

「高速道路を走る車の中から見る景色」のように揺れてきらめくギターサウンドとアヴレッシヴなラップは「本当に車に乗っている」ような感覚を味あわせてくれる(0:52〜)虹の中にいるような極彩色のボーカルラインが登場して、その後サウンドはさらにエフェクティヴになり、中盤以降は高速道路ではなく「上空を走る車」のようなイメージが頭に浮かぶ。
10 Cosmonaut

叙情性を感じる強烈なギターサウンドと「タイトなリフ」のようなドラミングが絡み合う。そこに強烈なテンションで歌われるボーカルが加わるハイテンションな曲。時折、挿入される「揺れる水面」のような透明なアルペジオがこの曲のキーだろう(2:40〜)壮絶な絶叫から最高潮を迎え最後は残響だけが残る。
11 Non-Zero Possibility

クリスタルのような透明なピアノの旋律が鳴り響く曲。これまで「戦場のようにハイテンション」な曲が多かったので非常に安堵感を感じる。セドリック・ビクスラー(vo)のボーカルラインはバラード調のこの曲でも強烈な熱量を感じさせ(2:58〜)「高速でループするブーメラン」のようなノイズギターがピアノの旋律を壊すことがない位の位置で静かに鳴り響く(3:59〜)ミニマムなアコギのアルペジオが挿入されてから 全ての音が少しずつ遠くのほうに遠ざかり、最後は不穏で重厚な弦楽器の調べと共に静かに幕を閉じる。

壮絶でハイテンションなハードコアサウンドとリスナーのイマージネーションに訴えかけ様々な風景や世界観を連想させるパンチの効いたフレージングが強烈なアット・ザ・ドライヴイン(At The Drive-In) ハードコアという音楽はどちらかというとフィジカルに訴えかけるものや色んな意味でリスナーと「熱量を共有しあう音楽」であるという印象があるのだが、本作は頭の中に様々な絵が浮かぶ「プログレ性」と「ハード

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