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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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再結成前にリリースされた最後のオリジナルアルバムでありデッドエンド(DEAD END) のキャリアの中で「最高傑作」との呼び声も高い傑作4thアルバム。

前作を聴いて感じた「密室感」が大幅に後退し「ダークではあるのが空間的な広がりを感じるサウンド」を聴かせてくれる。 本作における足立祐二(g)のギタープレイはもはや「神の域」であり、ルナシー(LUNASEA)やラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)に多大な影響を与えたであろうと思われる。「耽美」「ミステリアス」と形容したくなるアルペジオがほとんど全ての曲で登場して一筋縄ではいかないマニアックな雰囲気を醸し出している。特に「1人V系ツインギター」と表現したくなる「2 SLEEP IN THE SKY」は全てのV系ファン必聴である。

80年代ハードミュージックとUKニューウェイブを掛け合わせた方法論は、鳴っているサウンドは異なるがUSオルタナの創始者の1つである「ジェーンズ・アディクション(Jane’s Addiction)」に近いものがあると感じる。

    「要点」

  • ・「ダークではあるのが空間的な広がりを感じるサウンド」
  • ・「1人V系ツインギター」と表現したくなる「2 SLEEP IN THE SKY」は全てのV系ファン必聴

「曲解説」

1 I WANT YOUR LOVE

ドラムンベース風のドラムプレイで幕をあける浮遊系ギターロック。「大空を駆け巡る」伸びやかなボーカルラインと「アンプ直」のようなウォームな歪みが心地よいギターサウンドを中心に展開される曲でタイトルは「MORRIE(vo)らしからぬノーマル」なものとなっている。サビでは足立祐二(g)のアンビエントなアルペジオが曲にミステリアスな空気感を与えている。
2 SLEEP IN THE SKY

ルナシー(LUNASEA)のプログレ曲「serach for reason」におけるツインギター・アプローチに多大な影響を与えたと思われる足立祐二(g)のギタープレイが素晴らしすぎる耽美チューン。「神秘的でミニマムにループされるアルペジオ」「ウォークでコクのあるトーン」「幽玄で半透明な煙を連想するギターサウンド」などを自由自在に操る様はまさに「1人V系ツインギター」と言っても過言ではない。
3 BABY BLUE

コクのあるベースラインが目立つシンプルなリフロックではあるのだが、時折挿入される「脳みそをグシャグシャとかき乱す」ような刻むギターリフと「迷宮」のようなアルペジオが圧倒的な存在感を放っている(2:05〜)「忍者」のようなダークさと瞬間的なスピードを感じるCRAZY COOL- JOEのベースソロが披露される。最後は「途切れたメロディー」のように唐突な静寂に包まれる。
4 SO SWEET SO LONELY

ユートゥー(U2)彷彿のディレイサウンドが存在感を放ち「恍惚の光」を感じられるバラード。歌詞の内容は「愛しすぎるが故に破滅に向かう2人」と言ったところだろうか。この曲のギターソロの音色はどこかグレイ(GLAY) に近い響きがある。
5 CRASH 49

「砂の街」のようなオリエンタルな響きが印象的なアルペジオがループされるダークソング。歌詞は「砂の街」とは正反対の「CRASH」した内容で「コンピユータゲームと現実がごっちゃ混ぜになった」ようなカオティックなものである。
7 HYPER DESIRE 

デッドエンド(DEAD END)流パンクソング。リスナーのイマジネーションを刺激する足立祐二(g)のギター音色が、シンプルなこの曲に「アバンギャルドでカラフルな色彩」を与えている。
9 I SPY

ゆったりとしたヘヴィリフと高速の早弾きフレーズが印象的なメタルチューン。「Am I a spy? Are you a spy? Who is a spy?」という掛け声コーラスが珍しく?!「健全なハードロック的ワイルドさ」を醸し出している。
10 I’M IN A COMA

終幕感を感じる音響と眩しすぎる光が同居しているミドルテンポの耽美チューン。ボーカルラインは「しなやか」という表現がピッタリな上質なものとなっており、途中から「どこからどこまでがサビなのか」が分からなくなる程である。MORRIE(vo)のボーカルラインの後ろで「螺旋階段」のようなディレイサウンドが鳴り響き曲にミステリアスな深みを与えている。
11 SERAFINE

文学性を感じる歌詞がとにかく素晴らしい名バラード。歌詞の内容はおそらくではあるが「解散」と大いにリンクしていると思われ、空に浮かぶ「あの船」とは日本の音楽シーンの事で「オマエ」とはMORRIE自身がかつて憧れたアーティストの事ではないだろうかと筆者は考える。メジャーシーンで活動する中で感じた虚しさなどをキッカケに「オマエのもと=アメリカに行きたい」という決意をMORRIEは固めたのではないだろうか?!

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