「曲解説」
1 Time Has Come
「これから起こる輝きに満ちたストーリーを予感させる」ようなオープニングチューン。これまでエフェクトを多用して幻想的・耽美的という形容がよく似合うサウンドを構築してきたツインギターは「輪郭のはっきりとしたアナログで太い音」を出しておりロック的なダイナミズムを演出している。
3 NO PAIN
「モノクロームな白昼夢」を連想するアルペジオ・オリエンテッドなダークチューン。作曲者はINORANではなく意外にもSUGIZOである。
コアファンであれば幻想・耽美要素が少ない「1 Time Has Come」「2 STORM」の後にこの曲を聴くと「ホッ」と安心するだろう。歌詞は戦争を「すれ違い続ける恋愛関係」に絡ませて表現したものとなっている。
5 I for You
ドラマのタイアップにも抜擢されたメロディックで熱量が高いバラード。イントロのツインギターの絡みは素晴らしいの一言であり「繊細な感情が泉のように溢れ出す」名フレーズ。歌詞は一聴すると「悲しい運命にあるヒロインに対して自身の激しくそして繊細な愛情を全てをぶつけた」ような内容となっているが、一説にはこの曲の歌詞に登場する「君」とは同年に亡くなった「恩人/hide」の事だとも言われている。この曲がテレビで披露される際、河村隆一の目は心なしか潤んでいるように見える。いつまでもドラマの主人公に対して感情移入し続けることは難しいハズである。おそらくこの曲に出てくる「君」とはhideの事であろう。
6 Unlikelihood
ストリート感溢れるラップ調のJ(b)のボーカルが印象的なザクザクした質感のハードチューンでタイトルの和訳は「あり得ない」である。RYUICHIはタイトルにもなっている「あり得ない」を「天使と悪魔がキスをした」という独自な言い回して表現。ハードに攻めまくるアグレッシヴなサウンドは間違いなくカッコいいのだがルナシー(LUNA SEA)独自の耽美テイストはやや希薄であると感じる。
7 ANOTHER
レッド・ツェッペリン(LED ZEPPELIN)の名曲「Stairway to Heaven」和訳;「天国への階段」を意識していると思われるコクのあるエモーショナル・バラード。歌詞の内容は「心の中に影を持ちながらも明日への扉を開けたい」と強く願うという内容である。ミニマムな音数でしっかりとしたグルーヴを感じる事ができ「アナログで太い音」に拘っているアルバム「SHINE」を象徴する曲であると言える。間奏部に登場するパワフルな女性コーラスは「大空を支配する巨大な鳥」のように別格の存在感を放っている。
8 MILLENNIUM 11 Love Me
河村隆一の良質なポップネスをルナシー(LUNA SEA)サウンドに上手く反映させた2曲。おそらくではあるが河村隆一目当てのリスナーにもウケが良いと思われる。2曲ともツインギターの絡みが面白い疾走系ルナシー(LUNA SEA)クラシックとも言える内容だが「河村隆一」として世間に認知されたRYUICHIが歌うと不思議と「ポップソング」として成立する。河村隆一の大成功はルナシー(LUNA SEA)に絶大な知名度とある種のバイアスを与える事となった。
12 BREATHE
「雲の上」のような浮遊感を感じるアコースティック・バラード。INORAN(g)のミニマムなアルペジオが曲に開放感を与えていおり、RYUICHI(vo)の声は「どこまでも広がる海」のように伸びやかである。歌詞は「河村隆一的なシュール性」を含んだラブソングであり「空に浮かぶ街」なるフレーズがインパクト大である。河村隆一の曲に「小さな星」という曲があるが、歌詞の世界に「非現実・シュールな場所」を設定するのは河村隆一が得意とする方法論かもしれない。
13 UP TO YOU
サウンド・歌詞共に「ルナシー(LUNA SEA)の殻」を壊しているラストソング。シンプルなグランジ風サウンドだが作曲者はまさかのINORAN(g)。歌詞はこれまでの彼らからは考えられない程に熱量を強調したポジティヴなモノとなっている。この曲をはじめて聴いた時、筆者は中学生であったので「クサイ事を言い始めたな」と斜に構えていたが、大人になった現在の感覚で聴くと「エネルギーに満ちた素晴らしい歌詞」であると素直に感じる事が出来る。