フー・ファイターズ(Foo Fighters)は非常にジャンル分けしにくいアーティストだと言える。それは色んな音楽要素が複雑に絡み合っているからではなくむしろ逆で、シンプルでかつ特定のバンドや特定のジャンルに対する明確な傾倒が見られないからである。持論だがシンプルな音を出しているバンドは影響やルーツがわかりやすい傾向にあるのだが、フー・ファイターズ(Foo Fighters)はその傾向に当てはまらないアーティストだ。
元ニルヴァーナ(NIRVANA)という重すぎる看板と十字架を背負っているデイブ・グロール(vo)は、どのような音楽性でフー・ファイターズ(Foo Fighters)をやっていくか相当悩んだと思われ、その苦悩はバンド名にも表れているように思う。Foo=whoと掛けているだろう多分、、苦悩の果てに彼らはポジティヴな意味で自分たちの「本能のままにハイエナジーなロックミュージックをやろう」という一点のみで音楽を作っているのだろう。いや、そうあっていてほしい。
「曲解説」
2 Monkey Wrench
ドライブ感全開のノリノリなロックンロール。ワイルドなリフが全編で鳴り響き続ける(2:33〜)ギターソロ後はデイブ・グロール(vo)がこれまで以上にアグレッシヴなボーカリゼイションを聴かせ絶叫する。最後はうねるベースとギターがユニゾンしピタッとキレイに締める。
3 Hey, johnny Park
「ブーン、ブーン」とうねりまくるベースラインで幕をあける。そこからクリーンなギターサウンドとデイブのボーカルのみで構成される静かなパートになるが(1:05〜)弦楽器隊のスライドをきっかけにハードなサウンドに切り替わる。サウンドがハードになってもボーカルラインは「アグレッシヴなライン」と「メロウなライン」が地続きなグッドメロディー「ルゥールゥールゥ♪」というコーラスはとりわけメロウ。終盤は「ルゥールゥールゥ♪」というコーラスを連呼して終わる。
4 My Poor Brain
ソニック・ユース(Sonic Youth)彷彿の「ピィー、ピィー」というノイズで始まる曲。その後は透明感のあるアコギのアルペジオとコードバッキングの上をデイブ・グロール(vo)のファルセットによるメランコリックで儚げなボーカルラインが乗るが、その後ハードでドライブ感のあるハードなサウンドに切り替わる。メランコリックなパートは後でもう1回だけ登場するが、やはりまたハードな展開に切り替わり(2:00〜)「大空を支配する巨大な鳥」のようにゆったりと上空を舞うようなギターソロが聴ける(3:00〜)「brain!」というワードを絶叫して曲は幕を閉じる。
6 Up In Arms
夕暮れの海辺で佇むようなメランコリックで沈むようなボーカルラインが心地よい(0:50〜)口笛が鳴り一瞬のブレイクの後、手数の多いドラムを皮切りに軽やかなポップパンク風に切り替わる。デイブ・グロール(vo)のボーカルラインはさっきまでのメロンコリックな質感が嘘みたいにポップに弾けまくる。終盤は得意のドライブ感全開のハードサウンドで疾走する。
7 My Hero
変拍子のドラムに煌びやかなギターサウンドを中心に展開される(1:55〜)オクターブ奏法によるギターフレーズが登場。スマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)やジェーンズ・アディクション(Jane’s Addiction)などはオクターブ奏法を多投するが、フー・ファイターズ(Foo Fighters)からオルタナの影響が出るのは色んな意味で嬉しい(2:40〜)ドラムの連打から「これからが本番だろ」言わんばかりに一層ハードなサウンドとボーカルを聴かせる。
11 Everlong
デイブ・グロール(vo)のセンチメンタルなボーカルラインが印象的で「「UKギターバンド的な曇り空」のような音色が聴けるポップパンク」と彼らが得意とする「ドライブ感のあるハードなサウンド」を繰り返す曲(3:04〜)ハードなサウンドがピタリと止まり「梅雨の夜」のような静寂パートが現れる。だが、すぐに各パートの熱量が急激に上がり始めうねりハードなサウンドがまた鳴り響く、最後までこのテンションは続き突っ走る。