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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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前作「outernet」のトランス路線を更に推し進めた内容となっており神曲が複数収録されている7thアルバム。

特に10分近い大作「4 genesis of next」は小室哲哉のキャリアの中でも指折りのクオリティーであり、おそらく自信作であると思われる。 リスナーをトランス状態へと誘うサイバーでカラフルな音の洪水だけでも十分に素晴らしいが、そこにキャッチーさを+aできる点がさすが小室哲哉であると感じる。

本作は90年代のTKプロデュース全盛期以降の小室サウンドを聴いていない人、グローブ(globe)の事はよく知らないけど刺激的なダンスミュージック・電子音楽を求めている人に自信をもっておすすめできる神作となっている。

2002年頃の小室哲哉は全盛期のようなヒットに恵まれず、またビジネス的な失敗から金銭的にも枯渇感があり精神的にあまり良い状態ではなかったハズであるが、こと音楽に関してはまるで「水を得た魚状態」で自分が刺激をうけた音楽を見事にTKサウンドに反映させている。

グローブ(globe)の全盛期はヒットを連発した90年代ではなくトランスに傾倒した2000年代初頭なのでは?!

    「要点」

  • ・10分近い大作「4 genesis of next」は小室哲哉のキャリアの中でも指折りのクオリティーであり、おそらく自信作であると思われる。
  • ・グローブ(globe)の全盛期はヒットを連発した90年代ではなくトランスに傾倒した2000年代初頭なのでは?!。

「曲解説」

1 Many Classic Moments

「過去の病んでいた時期」や「なくしたもの」などを振り返りつつも「あなたにだけはそばにいて欲しい」と強く願う代表曲。流れるような華やかなサビのボーカルラインは一度聴けば頭にインプットされる類のものである。サウンド的にはうねるディープなビートが強調されたスペーシーなトランスではあるが、クラシックのような壮大さも感じる事ができる。
3 What’s the justice?

ミニマムなループと畳み掛けるビートで疾走するトランスチューンで「ミステリアスな無空間に放り込まれた」ような錯覚すら感じるヤバイ曲(3:22〜)「ジャングルに生息する鳥類の鳴き声にフェクトをかけた」ようなアシッドハウス風のフレーズが存在感を放ち、中盤以降はダンスミュージックとしての強度をさらに高める。終盤で聴く事ができるMARCのラップには「呪い」のようなダークさを感じる。
4 genesis of next

頭の中に「無数のカラフルな光が駆け巡る」アッパーなトランスチューン。強烈な眩しい光を感じる反面「不穏な影」のようなミステリアスさも感じさせる音の構成とサウンドだけでも十分に素晴らしすぎる曲なのだが、キャッチーで思わず口ずさみたくなるサビのボーカルラインも存在し「ギリギリのラインでJ-POPの体裁を保っている」。10分近い曲だが「長い」などという感情は一切湧かない神曲。おそらくではあるが、小室哲哉のキャリアの中でも指折りの自信作ではないだろうか。
5 Come Into Existence

「アンビエントなアルペジオ風フレーズ」「強烈に歪んだビート」「唐突でハードなギターリフ」「螺旋階段のようなループ」etc。「J-POPの体裁を完全に無視してキャンパスに音で絵を描いた」ようなイメージの曲となっている。最後は「光のカーテン」のような揺らめく電子音が全てを包むというプログレ的な展開となる。
6 女神

「何も起きない静かな休日」のようなイメージのピアノ・バラード。透明なベールのようなシンセサウンドは「結婚式」のようなシリアスな空気感を曲に与えている。歌詞の内容は「本当に小室哲哉が書いたものなのか?!」と疑ってしまう内容で良くも悪くもクサイ。「感動という名のプレゼント」「安らぎという名の服」華やかな世界の頂点を見て激動の人生を送った小室哲哉ですら「最終的に求めるものは普通の男となんら変わらない」という事実には不思議な感慨がある。
7 try this shoot

KEIKOのハイトーンボイスがゆったりと空を舞い、サウンドから「光のスピード」を感じるサイバーなトランスチューン。サビはKEIKOのハイトーンだけでも十分に華やかであるが、そこに「光の洪水」のようなビビッドなシンセサウンドが重なり曲は最高潮を迎える。マーク・パンサーのロボット風ボイスはどこかアシッドハウス風である。
9 Lights brought the future

「9.11」の直後に「小室哲哉の中から湧き出たシリアスな感情を音楽化した」ピアノバラード。「歌詞は忙しくストレスフルな日々の中で大事なことを忘れていた、星空が伝えたいことを心に刻んで明日へ生かしたい」という内容。

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