新ボーカリスト/ブルース・ディッキンソン(vo)を迎えて作成された3rdアルバム。全編に渡りブルース・ディッキンソン氏(vo)の伸びやかな高音を活かした1st 2ndよりメロディックな内容となっている。
躍動感のあるパワフルな楽曲が多いのが印象的でこのあたりボーカルリストが交代したことで、楽器隊も新たなイマジネーションを得たのかもしれない。「意外な展開」や「ヘヴィに聴こえるアレンジ」などはあまりなく1stアルバム以上に初期衝動という言葉が似合う作品になっている。
1stアルバム「鋼鉄の処女」をパンク的と評する方も多いが筆者には本作の迷いがない演奏のほうが遥かに「パンク的」に聴こえる。どこか煮え切らない印象のあった前作「killers」のフラストレーションを吹き飛ばすかのように終始ダイナミックである。彼らは今作でUKチャート1位を獲得して名実共にUKを代表するヘヴィメタルバンドとなった。
「曲解説」
2 Children Of The Damned
物悲しいマイナーなイントロではじまり「静のパート」とダイナミックなギターサウンドの対比がグランジライク。ライトハンドを駆使している(と思われる)ツインリードのギターソロもお見事。
3 Prisoner
高音を活かした流れるようメロディックなボーカルラインと「迷宮を彷徨う」ようなツインリードのハモリフレーズが印象的。
7 Gangland
ベースがイントロでリフ弾いたり早弾きしたりやりたい放題。ベースが目立つバンドだなと思いググってみるとなんとベースの方がリーダー。そう言えばメタリカもベース「クリフ・バートン(b)」が音楽的に重要な人物だった。ギターソロは「未来派のシューティングゲーム」のような質感でレイヤー状にレーザービームが乱発されているイメージが頭に浮かぶ。
8 Hallowed Be Thy Name
鐘の音が鳴り響き「この世の果て」のような緊張感のあるイントロで幕を開ける。全編にわたりギターソロを弾いているかのようにツインリードが暴れまくる。叙情的で「自身が勇者になった」かのような錯覚を味あわせてくれる。どこかレトロなギターソロの響きは「名作ロールプレイングゲームのボス戦」を思わせる。