ブリットポップ後期に現れた最強レベルのイケメン/クリスピアン・ミルズ(vo)率いるクーラ・シェイカー(Kula Shaker)の1stアルバム。シンプルでエバーグリーンなギターサウンドやメンランコリックな美メロなどが特徴のバンドが多い中、「インド音楽に対する傾倒」を全面に押し出し90年代UKバンドの中で圧倒的にオリジナリティーを感じるサウンドを鳴らした。
そのサウンドはニューウェイブ的な異国感ではなく本格的に傾倒していないと再現できない「インディア・オリエンテッド」なサウンド。またザ・ストーン・ローゼズ(The Stone Roses)にも通じるサイケなグルーヴ感が凄まじくザ・ストーン・ローゼズ(The Stone Roses)と比較した場合に「アナログで分厚い灼熱なサウンド」が特徴と言えUKロックの「グルーヴの系譜」を語る際に外せないアーティストである。
「曲解説」
1 Hey Dude
乾いた空気感のカッティングギターと「呪文」のようにも聴こえるヴァースのボーカルラインが特徴。サビはUKバンドらしいボーカルラインとむせるような灼熱の分厚いサウンドが見事に絡み合っている。名曲。
2 Knight On the Town
トロピカルな異国感を感じるファンキーな曲。時間の経過と共に徐々に熱量を上げていき凄まじいグルーヴを感じることができる。クリスピアン・ミルズ(vo , g)の唸りを上げるような鋭角的なギターサウンドもサイケを感じる。
3 Temple of Everlasting Linght
「夜の砂漠」を連想するようなダークでミニマムなアコギのアルペジオではじまり、45秒を過ぎたあたりから「恍惚」のようなオルガンの響きと共にリズムアプローチが加わり「竜巻」のようなグルーヴが展開される。エンディングは「竜巻」が過ぎ去ったような不気味な静けさが全体を覆う。
4 Govinda
鳥のさえずりと共に曲がはじまり「黄金の宮殿」を思わせるオリエンタルな雰囲気を感じる曲。「白い煙」のような揺らめきを感じるサイケデリックなギターサウンドが印象的で、繰り返し歌われる「Jaya , Jaya」というフレーズが日本人には「ジャイアン、ジャイアン」と聴こえる。
9 Tattva
「天からの神聖なお告げ」のようなコーラスワークとザ・ストーン・ローゼズ(The Stone Roses)彷彿のギターフレーズが噛み合う曲。他のバンドではありえない神秘的な恍惚を感じる。