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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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陰鬱でダークなサウンドと「狂気的・シュール」という形容がよく似合うぶっ飛んだ歌詞を前面に押し出しているルナシー(LUNA SEA) のメジャーデビューアルバム。

「活動するフィールドがインディーズからメジャーに変わっても自分たちのスタンスは一切変わらないし音楽的に妥協なんてするもんか!」という「彼らの尖った主張」がヒシヒシと伝わってくる。正直、万人受けするような内容でないが「ダークでインパクトのある音楽」を求めているリスナーには是非おすすめしたい「V系アルバム」となっている。

本作はインディーズ時代の神作「LUNASEA」と比べるとやや劣るが「歪み」と「クリーン」で役割を完全に分けているSUGIZOとINORANのツインギターが幻想的な空間を構築しておりルナシー(LUNA SEA)独自としか言いようのないサウンドを聴かせてくれる。

本作の最後に収録されている「12 WISH」の「虹」のようなカラフルな光は本作の中で異彩を放っており「こういうキャッチーでカッコいい曲も書こうと思えば書けるんだよ」とメジャーシーンを挑発するかのような存在感がある。

    「要点」

  • ・自分たちのスタンスは一切変わらないし音楽的に妥協なんてするもんか!」という「彼らの尖った主張」がヒシヒシと伝わってくる。
  • ・「ダークでインパクトのある音楽」を求めているリスナーには是非おすすめしたい「V系アルバム」となっている。

「曲解説」

2 Déjàvu

「ミステリアスな迷路」のような質感のV系クラシックで「地を這う」ようなJ(b)のベースラインが圧倒的な存在感を放っている。歌詞は「未来」→「過去」→「現在」というフレーズをうまくタイトルである「Déjàvu=既視感」と結びつけており遊び心がある。Déjàvu的に考えると「未来」は「過去」であり「過去」は「未来」でもある。
3 MECHANICAL DANCE

ビートロックをルナシー(LUNA SEA)なりに解釈したようなロックチューン。シンプルなビートと淡々と刻まれるベースラインが曲に疾走感を与えている。歌詞はぶっ飛んだ内容で「後ろから目隠しをされている事すら知らずに生かされている現代」をテーマにしていると思われる。おそらくではあるが人間に目隠しをしているのはルナシー(LUNA SEA)の初期の歌詞に頻出する「神」の仕業であろう。
4 WALL

アンビエントな残響ギターサウンドが心地よい「真っ白」なイメージの曲でSUGIZO(g , v)が奏でるバイオリンが幻想的な雰囲気を醸し出している。淡々とした曲でRYUICHI(vo)のボーカルラインも「あまり波が立たない昼間の海」のようであり、サビのメロディーも非常にゆったりとしている。歌詞は「喪失感」をテーマにしていると思われる。
5 Image

神秘的な雰囲気が濃厚な隠れた名バラードで「淡々と時を刻む」ようなギターの調べが曲に不思議な静けさを与えている。サビのボーカルラインは「神秘的なお経」のようであり「image or real」というフレーズを連呼するシュールなものであるが、低音が強調されたRYUICHI(vo)のボーカルが曲の雰囲気に見事にマッチしている。筆者の個人的な意見ではあるが、RYUICHI(vo)は低音をある程度意識したほうが声の良さが引き立つと思う。歌詞に登場する「愛エナジー」「夢エナジー」なるフレーズは正直、凡人には到底理解不能なラインである。
6 SEARCH FOR REASON

「アンビエントなクリーンサウンド」と「狂気的な歪みサウンド」が一つに溶け合い幻想的かつ、おどろおどろしい雰囲気を醸し出しているヘヴィーチューン(4:13〜)今では考えられないルナティックなRYUICHI(vo)のシャウトが炸裂。サビのボーカルラインは「駆け上がる前半」と「崩れ落ちる後半」に分ける事できる珍しいパターンである。サビの歌詞に「夢の中まで仮の心」なる陰鬱なラインをもってくるセンスには脱帽である。
7 IMITATION

軽快なギターフレーズを中心に展開されるノリの良いサウンドと「嘘で固められた表面的な人間関係」をテーマにしている歌詞のギャップが面白いシュールな曲。
11 MOON

後続のV系アーティストに多大すぎる影響を与えたV系クラシックな名バラード。この曲で聴く事ができるSUGIZO(g , v)のギタープレイは、ディレイを上手く活用した名フレーズである。「衝動的で尖った」インディーズバージョンと比較すると音にコクがあり「深い霧」のような音響が印象的である。歌詞の内容は「河村隆一のラブソングをV系的にシュールにアレンジした」ような文学的で素晴らしい内容となっている。
12 WISH

陰鬱で狂気的じみていて非常にダークであるメジャーデビューアルバムのラストを飾るルナシー(LUNA SEA)屈指の名ポップチューン。「1曲全てがサビのような曲を作りたい」(wiki)というテーマで作成された曲であり、曲全体から「虹」のようなカラフルな光を感じる事ができる。「明日さえ怖がる陰鬱な気持ちを抱えつつも光を求めて力強く歩き出した」ような歌詞は、他の収録曲にはない質感であり「救われたような」気持ちになる。「永遠を欲しがっても刹那を感じている」のラインは神ラインであり「些細な事で感情が揺れ動く十代の心情」を端的にそして詩的に言い表している。

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