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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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「スマートで汗の匂いを全く感じさせないスウィートな文系ポップ・ミュージック」の金字塔的な作品であり、オザケンこと小沢健二のパブリックイメージを作り出した2ndアルバム。

ソウルや良質なポップ・ミュージックからサンプリングした音源なども多く使用していると思われるサウンドはポジティヴな意味で隙がないものであり「上質」という形容がピッタリである。本作は音楽的に幅広い表現を試みたアルバムと言うよりかは「いかにしてインパクトのあるポップ・ミュージックを作れるか?!という1点のみにフォーカスされていると思われる。作品の中で様々な音が鳴っているが「垢抜けたポップネス」は統一されている。またオザケンの歌声は「甘すぎるチョコレート」のようであり、メロディー云々は関係なく全ての曲を全てをスウィートにしてしまう魔力がある。

    「要点」

  • ・スウィートな文系ポップ・ミュージックの金字塔的な作品
  • ・オザケンの歌声は「甘すぎるチョコレート」のようであり、メロディー云々は関係なく全ての曲を全てをスウィートにしてしまう魔力がある

「曲解説」

1 愛し愛されて生きるのさ

「早朝のランニング」のような軽快さを感じるギターポップ。「ディープだが重たくないベースライン」が軽快なこの曲に適度な緊張感を与えている(2:24〜)ソウルのレコードからサンプリングした女性コーラスがループされる中、「ぼくらは何処へいくのだろうか?!」と思考を巡らせたオザケンの哲学的な語りが登場する。
2ラブリー

マイペースに枯れた音色を奏でるギターサウンドと「バースデー」のような祝祭性を感じるホーンセクションを中心に展開されるヒットソング。「恋人との甘く素敵なデイズ」を描いたこの曲の歌詞は歌い手を相当に選ぶ内容だが、オザケンの「甘すぎるチョコレート」のようなスウィートな声と完璧にマッチしている。
3 東京恋愛専科・または恋は言ってみりゃボディー・ブロー

フリッパーズ・ギター(Flipper’s Guitar)の某曲と近い質感の「パラッ、パッパッ、パッパ、パラッパ〜」という独自コーラスが登場する。「強烈なポップネスを感じるタイトル」とは裏腹に渋いホーンサクションがオザケンのボーカルラインに合いの手を入れるよう質感の曲となっている。
5 ドアをノックするのは誰だ?

「清らかな風」のようなストリングスにのせて、オザケンのスウィートな歌声が響き渡る良質なポップソング。爽やかさの中で明らかに浮いている「誰かにとって特別だった君をマークはずす飛び込みで僕はサッと奪い去る」なる歌詞が登場。略奪愛がテーマなのだろうか?!。
6 今夜はブギー・バック (nice vocal)

スチャダラパーをゲストに招いた渋谷系を代表するヒットシングル。「浅い夢」のような音響が印象的なメロウなポップソング。 スチャダラパーのラップは肯定なのか否定なのかよく分からない「なくなくない」を強調したもので曲にコミカルさを与えている。
7 ぼくらが旅に出る理由

「遠くまで旅する恋人とのしばしの別れ」をテーマにした歌詞が秀逸なポップソング。お互いにとって恋人の不在が自分を見つめ直す良い機会となっているのだろう。「僕らの住むこの世界」というフレーズからは、他の曲ではあえて抑制していると思われる「俯瞰」を感じる。
8 おやすみなさい、仔猫ちゃん!

「黄昏」のような音響が印象的なバラード。渋いホーンセクションを中心に展開されるサウンドとなっており、中盤以降は無邪気な子供たちによる「where do we go?where do we go hey now?」というコーラスがアダルトで上質なサウンドと心地よいミスマッチを演出する。

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