90年代を代表するバンド/ニルヴァーナ(Nirvana)とレディオヘッド(Radiohead)に影響を与えたオルタナの元祖的アーティスト。極端な「静→動のダイナミズム」は彼らが生み出した方法論だとも言われており、囁くように歌われるボーカルラインから突然、狂ったような絶叫をみせる曲も存在する。
「突然何かが壊れた」ような展開は90年代以降の「狂気」の表現に必要不可欠な要素であり、ピクシーズ(Pixies)なくして90年代ロックなしと言っても過言ではない存在と言える。
またピクシーズは日本のV系バンドとも共通点がある「突然、何かが壊れたかのような」シャウトやまくしたてるようなボーカルはV系でも見られる。V系のボーカリストはピクシーズ(Pixies)を知っていたのだろうか?!それとも偶然の一致だろうか?!気になるところである。
「曲解説」
2 Tama
囁くようなボーカルラインから突如何かが壊れたかのような絶叫にかわるインパクト大の曲。絶叫と共に鳴り響く金属的な響きのギターは同じコードをずっとカッティングするという単調なものだが、ボーカルラインがあまりにエキセントリックなので「これでいいのだ」状態になる。
3 Wave of Mutilation
女性ベーシスト・キム・ディール(b)の囁きのようなボーカルとブラック・フランシス(vo , g)のメロウなボーカルが掛け合いで歌う名曲。
5 Here Comes Your Man
「少年時代の思い出」のようなノスタルジーなベースラインとメロウなアルペジオを中心に展開される。ブラック・フランシス(vo , g)が歌うメランコリックなボーカルラインは神レベルで(1:45〜)「港を出る船の汽笛」のように薄く鳴り響くギターソロが聴ける。
6 Dead
原始的で躍動感のあるリズムに「うねるドリル」のように歪む単音ギターフレーズが絡みつく。エフェクトがかけられたブラック・フランシス(vo , g)のボーカルは「ヒステリーな呪文」のようであり、どこか密室を連想するような曲となっているだが(1:17〜)ダークな空間が少しの間だけ、「春の訪れ」のような開放的な音色に包まれ。
7 Monkey Gone to Heaven
ミニマムなベースラインを中心に展開される曲で単音の歪みギターはおそろしく耳に残り曲に壊れた質感を与えている。ブラック・フランシス(vo , g)とブラック・フランシス(vo , g)のボーカルは一つに重なりメロウなメロディーを奏でる(2:05〜) 少しの静寂のあとに狂ったようなシャウトが繰り返されるまさかの展開もあるが美しくしっとりした曲。
8 Mr.Grieves
「怪盗団のテーマソング」のようなダークなギターフレーズと笑い声を含んだコミカルなボーカルラインが印象的な曲(0:40〜)リズムが加わり疾走感のある展開になるが怪しさは最後まで続く。
10 La La Love You
枯れたブルースギターのフレージングが印象的な曲で口笛も鳴り響く。ムード歌謡のようなブラック・フランシス(vo , g)のボーカルがコミカルな印象。繰り返される「I LOVE YOU」はガチなのかジョークなのか気になる。
11 NO.13 Baby
残響のようなギターがサウンドが幻想的な雰囲気を醸し出す曲。甲高いブラック・フランシス(vo , g)のボーカルラインは相変わらず素晴らしく(2:55〜)澄み渡る青空のようなギターサウンドが聴ける。
14 Silver
「恐竜の足音」のような「ズドン」というリズムの上をヨレたブルースギターとアニメのキャラクターが歌っているような可愛い歌声のボーカルがで舞う。終盤は「so long」(多分)というフレーズが連呼される。