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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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椎名 林檎のデビューアルバム。当時「8 ここでキスして。」がテレビ番組のエンディングで起用されるなどデビュー当時から圧倒的な注目を浴びていたが、その注目も納得のクオリティーの作品となっており、色んな意味で壊れた質感をポップソングに落とし込むセンスはhideに近いものがあると感じる。

また歌謡曲からの影響が自然と滲み出ており現在は死語だと思われるが、洋楽コンプレックスを一切感じない。なた歌詞の内容もぶっとんでいてエロの要素があるものが多い。椎名 林檎が登場するまで女性ロックアーティストは日本にはほとんど皆無であり、彼女の登場がなければ現在の日本の音楽シーンは別のものとなっていただろう。

    「要点」

  • 壊れた質感をポップソングに落とし込む破格のセンス
  • 洋楽コンプレックスを一切感じない

「曲解説」

1 正しい街

歌謡曲テイストを感じるダイナミックなギターロック。電子音とノイズが随所に散りばめられ鼓膜に絡みつき(3:10〜)春の訪れのような柔らかいストリングスが鳴り響き最後は直線的ですこしノスタルジーなギターフレーズが淡々と響き渡る。
2 歌舞伎町の女王

歌舞伎町の女王が女王になるまでの物語を描いたヒットソング。煌びやかな光のようなギターフレーズを中心に展開されサイケな質感もある(1:37〜)ギターソロはサビのボーカルラインをなぞるシンプルなものとなっている。
3 丸の内サディスティック

「夕暮れのオフィス街」のようなアーバンな雰囲気があるジャジーな曲(2:05〜)同じところを「ブン、ブン、ブン」とうねり回るようなベースラインと哀愁のあるハーモニカが重なり眩しさを感じる展開になり、そこに「ふと我にかえった」ようなしっとりしたピアノの音色が鳴り響く。歌詞の内容は強烈で「泥酔のした時に頭に浮かぶイメージ」を全てぶちまけたようなものとなっている。
4 幸福論(悦楽編)

エフェクティヴで歪んだボーカルで畳み掛けるジャンクなロックソング。シンプルな構成だが緩急によってとんでもないダイナミズム生み出している。絶叫を歪ませたようなノイズも登場するが曲全体を通して「おもちゃ」のようなキャッチーさがある。このあたりのセンスはhideに通じるものを感じる。
6 シドと白昼夢

バグった夢と現実を行ったり来たりするインパクト大の曲。揺れた光に包まれているような感覚に陥る異空間パートと、厳しい現実のようなノイズロックなパートによって構成されている。「異空間パート」では「ガラスが割れる」ような音、「ノイズロックなパート」では「ピィー、ピィー」というノイズが挿入され曲のもつエッジをさらに高めている。
8 ここでキスして。

この曲で「椎名 林檎」を知った人も多い ヒットソング。波紋のように広がるクリーンなギターフレーズが曲に浮遊感を与えている。感情を一気に爆発させるサビのメロディーラインやギターソロはインパクト大。
9 同じ夜

「普段、多くを語らないおばあちゃんの独白」のような渋みを感じるアコースティックバラード。バイオリンが長年寝かせた赤ワインのような味わいある旋律を奏でる。サビのボーカルラインは壮大でエモーショナルなものとなっている。
10 警告

熱風のような熱さを感じるラフでハードなロックチューン。ざっくりとしたギターリフと底で不穏にうねるベースラインを中心に展開され(3:00〜)唐突に乱れた呼吸をフィーチャーしたパートが挿入されアクセントになっている。

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