「曲解説」
1 Dark&Long
「地下室」のようなダークさを持つオープニングチューン。メタリックな質感のモノトーンな電子音がまるで「酸性雨」のように降り注ぎ、クールで「独り言」のようなボーカルラインは抑揚はあまりないが不思議と頭に残る。このあたりが元ギターバンドのメロディーセンスなのだろうか?!BPMは一貫してゆったりとしたテンポであえて抑制しているかのような淡々としたものとなっている。
2 mmm skyscraper i love you
13分の中に様々な質感や表情を持つミステリアスな曲。序盤はアフリカン・テイストのパーカッションがリスナーの体を揺らし「カラフルなビーム」のような電子音がリスナーの目の前を通り過ぎるように鳴り響く。ボーカルはメロディックなラップ風のボーカルラインをクールに歌う(6:20〜)エフェクティヴなギターサウンドが「ガラスの破片」のように目に突き刺さり(6:58〜)唐突に「揺らめく光」のようなサウンドが挿入されて「幻の都」のようなサイケデリック感を醸し出す(7:45〜) 非常に耳に残るシンセリフが曲に疾走感を与える。この疾走感と連動するようにボーカルラインも抑揚のあるメロディックなボーカルラインを奏でる。終盤は神聖な雰囲気のストリングスが鳴り響く中、きらめく電子音や日本語の断片が登場して、まるで「鏡の中の世界に迷い込んだ」ようなミステリアスな展開となる。
3 Surfboy
「時空を超えるようなミニマムなループ」がインパクト大の曲。「近未来の汽車」のようなイメージの電子音や少し狂った感じのする男の雄叫びなどがミステリアスな印象を与える(5:02〜)「真っ白な何もない空間」のようなストリングスが流れ神聖な雰囲気を醸し出す。終盤は「縮れた電子音」がザラついた質感を曲に与え、最後はビートだけが静かに流れる。
4 Spoonman
歪ませたホラーテイストのサンプリングボイスが「電子の海に広がる波紋」のように広がるダークなアッパーチューン。電子的な歪みと「ジェル」のような浮遊感と重さを感じる音響が全編を通して流れ、挿入されるボーカルラインは「メロディックな独り言」風であるが曲にフックを与えている。
5 Tongue
「恍惚」のような光を感じるギターサウンドをフィーチャーした陰鬱なサイケソング。時折、挿入される「鳥のさえずり」や「川のせせらぎ」は砂漠のオアシスのような安らぎを与えてくれる(2:10〜 、3:25〜)「夜の砂漠」のようなダークさと静けさを持つ秀逸なアルペジオがサビのような存在感を放つ。
8 river of bass
「物憂げな昼下がり」のような雰囲気のミニマルポップ。淡々としたリズムとモノトーンなベースラインの上を最小限の音数で構成されるメランコリックなアルペジオが静かにリフレインされる。「5 Tongue」でも聴けたがこのアルペジオの活かし方は彼らの個性の一つだと思われる。聴く時の気分によって好みが分かれるとは思うが、メランコリックなロック好きに是非おすすめしたい名曲。
9 M.E
「カラフルな光溢れる部屋」のようなサウンドをバックに「あなたの夢に私を保てる??」という不可思議な日本語がシュールなインパクトを放つラストソング。モノトーンな音色のベースラインが曲にうねりを与えている。中盤以降はジャージで美しいピアノの旋律が曲に色彩を与えておりメランコリックな質感を与える。終盤は「起きろ〜」というアニメ風のコミカルボイスが挿入される。