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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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80年代USアンダーグラウンドシーンを代表するバンドソニック・ユース(Sonic Youth)実験的でシュールな絵画を見ているような錯覚に陥るアバンギャルドなギターサウンドをギターロックに反映させたエポックメイキングなバンドであると同時に、ニルヴァーナ(Nirvana)やダイナソーJr.(Dinosaur Jr.)を「発掘」した名スカウトでもある。

「壊れた質感」「ノイズを音響として活かしたサウンド」「ありえないコード進行の不穏な響き」などの特徴を持つ音楽性。90年代におけるグランジ・オルタナギターロックの台頭はソニック・ユース(Sonic Youth)なしでは考えられない。本作はメジャーレーベル移籍後にリリースされた第一弾アルバムだが、「油絵」のようにぼやけた音響やアバンギャルドなノイズサウンド満載でシュールとしか言いようのない異空間を作り上げている。ポップではないしリスナーを選びまくる作品であることは間違いないが、ポップソングとしてギリギリのギリギリのラインで成立している(2.・3曲成立していない曲もある)

    「要点」

  • アバンギャルドなギターサウンド
  • シュールとしか言いようのない異空間
  • ニルヴァーナ(Nirvana)を「発掘」

「曲解説」

1 Dirty Boots

オリエンタルな雰囲気のミニマムなベースフレーズを中心に進行する曲でサーストン・ムーア (g, vo)は話すようなテンションで淡々とメロディーを歌い上げる(2:35〜)「重い扉を開ける」ようなギターノイズが鳴り響き壊れた展開に移行するとさっきまでのテンションが嘘のようにサーストン・ムーア (g, vo)が「Dirty Boots」というフレーズを連呼。また横殴りの雨のようなノイズギターが飛び出し混沌とした雰囲気となる。 終盤はオリエンタルな響きのギターサウンドが響く展開だが(4:50〜)水面に浮かぶ揺れる炎のようなメロウな展開になり静かに終わる。
 2 Tunic (Song for Karen)

 「油絵」のようなノイズギターが終始鳴り響く浮遊感を感じる曲でキム・ゴードン (b, g, vo)のボーカルは語りのよう(3:40〜)ノイズは真っ白な霧になり視界を防ぐ。ノイズはその後も様々な変化を見せ、曲に色彩を加える。
 3 Mary-Christ

 教会の鐘が鳴り響く神聖な空気感をノイズギターがバッサリと切り裂くイントロ。ノイジーでミニマムなリフを繰り返すソニック・ユース(Sonic Youth)流リフロック(1:20〜)「ピィ〜ピィ〜ピィ〜」と「アバンギャルドの極致」のような音が登場する。
 5 Mote

 「高速回転する竜巻」のようなノイズが縦横無尽に暴れる(3:23〜)スローなテンポになり静寂に包まれる中、複数のアンプのハウリングが響きはじめ「この世の果て」のようなカオスな様相を呈する。この後も「不穏なハウリングが響き続けるだけ」の展開が続くマニアックな曲。
 8 Mildred Pierce

 強烈に歪んだベースラインと効果音のような煌びやかなギターサウンドが絡み疾走する。ソニック・ユース(Sonic Youth)の曲の中では圧倒的にシンプルな曲だと思っていた矢先(1:38〜)狂気じみた絶叫と共に「目に映る全てを破壊する」凶悪なノイズが渦巻く。本作の中でも最も意外性のある曲。

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