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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果28件

タグ「オルタナ」のレビュー

「図鑑」と言う知的な匂いのするタイトル、前作「さよならストレンジャー」でも垣間見れた音楽的な造形の深さから聴く前は「プログレ」的な難解なものを予想していたのだが、その予想は半分は正解で半分は不正解であった。

収録されている多くの曲が「一筋縄ではいかない展開」となっているのだが自然と耳に入ってくる不思議なポップさがあり、本作「 図鑑」は前作以上に様々な音楽的からの影響を曲に反映している。中でもUSオルタナ・アーティストに近い響きの「混沌としたコード進行」「ポストロック的なクールネス」は本作の鍵であり共同プロデューサーに元ソニック・ユース(Sonic Youth)のジム・オルークを招いているのは賢明な判断であると言えるだろう。

「混沌としたくるり流オルタナ」ゼロ7(Zero7)やシステム7 (System7)などの音響系アーティストを彷彿とさせる「5 惑星づくり」ピアノの弾き語りである「8 ピアノガール」etcを収録しており、バリエーションに富んだ内容となっている。

普通、様々なタイプの曲を収録したアルバムというのは「アルバムの世界観」という観点で言うと整合性に欠けるケースが多いのだが、 本作はアルバムジャケットに映っている「海辺」のような「開放感とメランコリックが混ざった」空気感をアルバムを通して感じる事ができる。

    「要点」

  • ・USオルタナ・アーティストに近い響きの「混沌としたコード進行」「ポストロック的なクールネス」は本作の鍵。
  • ・収録されている多くの曲が「一筋縄ではいかない展開」となっているのだが、自然と耳に入ってくる不思議なポップさがある。

「曲解説」

2 マーチ

手数の多い「バタバタ」としたドラムと「渦巻き」のような歪んだギターサウンドを中心に構成されるオルタナパートと「気怠い重力空間」のような静パートを行ったり来たりする「一筋縄ではない、くるりらしい」難解なギターロック。
3 青い空 <アルバムMIX>

ソニック・ユース(Sonic Youth)やダイナソーJr.(Dinosaur Jr.)などのUSオルタナ・アーティストを彷彿とさせるコード進行が「混沌」とした空気感を醸し出している曲(2:08〜2:33)「気怠い曇り空の隙間から差し込む日差し」のような煌びやかなコードストロークが登場。この箇所のみタイトルである「青い空」を感じる事ができる。
4 ミレニアム

「不思議な重力を感じる空間で鳴らされるポストロック」という趣の曲。歌詞の内容は様々な「5秒前」のことを切り取り歌っているが、正直あまり意味が分からない内容となっている。
5 惑星づくり

ゼロ7(Zero7)やシステム7 (System7)などの音響系アーティストを彷彿とさせる「浮遊感溢れるスペーシーな音響」が心地よいインストで彼らの音楽的な造詣の深さ・間口の広さを象徴する1曲である。
6 窓

物悲しいアルペジオを中心に展開されるギターロックだが、どこか「昔のプログレ」のような雰囲気を感じる不思議な質感の曲。同世代の日本のロック・アーティスト達にはない「古風な個性」を感じる事ができる。終盤は「叙情派ヘヴィメタル」のようなハモリギターソロが炸裂するというまさかの展開。
11 街

サビで聴く事ができる岸田繁(vo ,g)のエモーショナルな歌声が曲に緊張感を与えている曲で、くるり独自の「一筋縄ではいかないマニアックさ」を感じる。この曲はポジティヴな意味で音から感情の置きどころを中々見つけることができない。
14 ガロン <ガロ~ンMIX>

スーパーカー(SUPERCAR)のコンポーザーであるナカコーこと中村 弘二がremixを手がけており、本作「図鑑」と同年(2000年)にリリースされたスーパーカー(SUPERCAR)の名盤「フューチュラマ」(Futurama)と共通する「スペーシーな音響」を全面に押し出したアレンジとなっている。終盤は浮遊感溢れる宇宙空間の中で鋭角的なブレイクビーツが鳴り響く展開となる。

「図鑑」と言う知的な匂いのするタイトル、前作「さよならストレンジャー」でも垣間見れた音楽的な造形の深さから聴く前は「プログレ」的な難解なものを予想していたのだが、その予想は半分は正解で半分は不正解であった。 収録されている多くの曲が「一筋縄ではいかない展開」となっているのだが自然と耳に入ってくる不思議なポップさがあり、本作「 図鑑」は前作以上に様々な音楽的からの影響を曲に反映している。中でもUSオ

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90年代末に「これまでの日本のロックアーティストとは明らかに異なる価値観・音楽的なバックグラウンドを持つアーティスト達」が多く登場したが、その中でもとりわけ音楽に対する造詣の深さを感じさせたのが、このくるりであった。

本作はそんな彼らのデビューアルバムなのだが、デビュー作品とは思えない渋さと哀愁を感じさせる内容となっている。

本作のサウンドのベースとなっているのは、ざっくり言うと90年代オルタナ・UKロックなのだが、そこに、くるり独自のゆったりした雰囲気を見事に反映させデビュー作でありながら確固たる個性を確立している。

また歌詞の内容もポジティヴな意味で「昭和文学」のような質感のものが多く知性を感じさせる。

    「要点」

  • ・デビュー作品とは思えない渋さと哀愁を感じさせる内容。
  • ・歌詞の内容もポジティヴな意味で「昭和文学」のような質感のものが多く知性を感じさせる。

「曲解説」

1 ランチ

若手アーティストのデビューアルバムの1曲目とは思えない哀愁がなんとも言えない曲。歌詞はタイトル通りカップルのランチタイムの一コマを切り取ったもの。「珈琲は冷めてしまったよ」というフレーズは「2人の関係性」を遠回しに表現しているだろう。
2 虹

90年代UKロック風サウンドに「くるりらしいゆったりとした空気感」を反映させたギターロック。歌詞は昭和の文学者が書いたような質感であり、サビの歌詞に「六地蔵」なるワードも登場する。
3 オールドタイマー

オルタナなコード進行が印象的なパンク調の曲で少しだけナンバーガール(NUMBER GIRL)風である。歌詞の内容は「電車」をテーマにしたものであり、終盤はタイトルである「オールドタイマー」というフレーズが鬼のように連呼される。
4 さよならストレンジャー

音響系アーティストのような透明感あるアコースティックギターの響きを活かした曲で、歌詞は高校時代の岸田繁(vo ,g)の事を歌っている(wiki)らしいが、歌詞を読む限り様々な解釈が可能な難解なものとなっている。筆者の見解としては「テレビの中から飛び出していった」というフレーズは「家でテレビゲームばかりしていた過去の日常」の事を指しており「内気で行動力のなかった過去の自分」との決別を歌っているのでは?!と思われる。
6 東京 ~アルバムミックス

「2 虹」同様に若手アーティストらしからぬ「ゆったりした空気感」が魅力の初期の代表曲。歌詞は東京に出てきた若者が「故郷にいる好きな女の子」のことを思い出し「色々話したい、電話したい!」という衝動に駆られるという内容(3:20〜)唐突なギターのブラッシングノイズが登場、このパートはレディオヘッド(Radiohead)の名曲「Creep」に対するオマージュであろう。
7 トランスファー

マイナー調のアルペジオを中心に展開されるヴァースと歪んだサビの対比がグランジっぽい曲なのだが、音数は非常に少なく「ロック的な破壊衝動」とは無縁な渋さがある。
11 傘

「ポストロックのような緻密さを感じる静のパート」から「オールドスクールなハードロック調のサビ」へ移行する展開がインパクト大の曲。終盤は60年代サイケを思わせる夢見心地な雰囲気が強調される。

90年代末に「これまでの日本のロックアーティストとは明らかに異なる価値観・音楽的なバックグラウンドを持つアーティスト達」が多く登場したが、その中でもとりわけ音楽に対する造詣の深さを感じさせたのが、このくるりであった。 本作はそんな彼らのデビューアルバムなのだが、デビュー作品とは思えない渋さと哀愁を感じさせる内容となっている。 本作のサウンドのベースとなっているのは、ざっくり言うと90年代オルタナ・

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「1 gravity」
ルナシー(LUNA SEA)らしい退廃的な質感を残しつつも、これまでにはない「色鮮やかさ」を感じさせる名曲で曲そのものから「雨の匂い」を感じる事ができる。

歌詞はINORAN(g)が中心となって書かれたもの(wiki)らしく「置き忘れたアスファルト」なるワードに破格のセンスを感じる。またRYUICHI(vo)のボーカルはアルバム「SHINE」に収録されていた数曲で「河村隆一以降の伸びやかな歌声」がミスマッチとなっていたが、 ポジティヴな意味で曲の世界観にマッチするように低音をうまく活かしたボーカルとなっている。

サウンド面ではツインギターはソロ活動前と比べるとエフェクティヴではないが色鮮やかで「アナログで生々しい音」にトライしたアルバム「SHINE」以降のギターサウンドとなっている。そしてベースラインである。この曲で聴く事ができるJ(b)のベースラインは硬質でソリッド。プレイ自体は「静かに佇む」ような渋めのベースラインとなっているのだが、非常に立体的でインパクトがある。

98年にリリースされたアルバム「SHINE」のジャケットにはトンネルの先に「光」が描かれていた。

この曲はマイナー調の曲だが「光に満ちている」かのような突き抜けた感があり、ベタな言い方だが過去のルナシー(LUNA SEA)サウンドの魅力を残しつつもモダンにアップデートされている。またこの曲のサウンドはアルバム「SHINE」での音楽的なチャレンジなくしては生まれないと断言できる。

賛否両論を呼んだアルバムの後に「音楽的充実」が用意されているからこそルナシー(LUNA SEA)というアーティストは面白い。

「2 inside you」
インダストリアルな質感のヴァースと「光の国」のような開放的なサビの対比が印象的な曲。歌詞に「神様の庭」なるV系ワードも登場する。この曲は作詞・作曲共に真矢(dr)が担当(wiki)しており「会えない夜は景色さえもにじむ」ラブソングとなっている。

「3 My Lover」
ギターリフがアルバム「MOTHER」に収録されている「7 IN FUTURE」に少し似ているが音が過去のサウンドより音が太く立体的になっている。

この曲でも「2 inside you」同様にサビで「光の国」のような開放的なパートが挿入され曲を色鮮やかなものにしている。この曲で聴く事ができる「DJスクラッチ」のようなSUGIZOのギタープレイは、トム・モレロ/レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)のプレイを参考にしているハズである。

RYUICHI(vo)のボーカルにはエフェクトがかかっており、強烈なサウンドの中でも全く埋もれていない。

    「要点」

  • ・「1 gravity」・・・歌詞はINORANが中心となって書かれたもの(wiki)らしく「置き忘れたアスファルト」なるワードに破格のセンスを感じる
  • ・「3 My Lover」・・・「2 inside you」同様にサビで「光の国」のような開放的なパートが挿入され曲を色鮮やかなものにしている。

「1 gravity」 ルナシー(LUNA SEA)らしい退廃的な質感を残しつつも、これまでにはない「色鮮やかさ」を感じさせる名曲で曲そのものから「雨の匂い」を感じる事ができる。 歌詞はINORAN(g)が中心となって書かれたもの(wiki)らしく「置き忘れたアスファルト」なるワードに破格のセンスを感じる。またRYUICHI(vo)のボーカルはアルバム「SHINE」に収録されていた数曲で「河村隆一

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ファンの中で最も賛否両論を巻き起こしたアルバムであり、またルナシー(LUNA SEA)史上最も過小評価されている6thアルバム。

97年のソロ活動で男性ソロアーティストのアルバムセールス記録を更新し「国民的歌手」と化した「河村隆一が在籍するバンドのアルバム」という事で多くの注目を集めた本作だが、結果論として「既存のルナシー(LUNA SEA)ファン」「河村隆一ファン」の両者にとって「リアクションの難しい作品」となってしまった。サウンド的にはこれまでのアルバムとは異なる「アナログでコクのある音」が印象的で、空間的で浮遊感のあるサウンドをフィチャーしたアルバム「EDEN」同様に「音楽的に過渡期的な作品」となっている。

「自分たちに影響を受けているであろうアーティストの台頭」(ビジュアル系なるワードがお茶の間レベルで浸透したのもこの頃だった) や「5人5様であったソロ活動」の後というビジネス的に最もデリケートなタイミングにリリースされた本作もまた、これまで同様にアーティストエゴを剥き出している。

本作はベースJが作曲したと思われるシンプルでパワフルなサウンドが多くみられる。インディーズ時代からルナシー(LUNA SEA)は作曲者が誰であれ、メンバー全員で「あ〜でもない、こ〜でもない」と意見を出し、ジャムりながら音を作り上げる事で有名なアーティストなのだが、個人的に今作は「あまりジャムってる感」を感じないのである。これは「作曲者のキャラを立たせてみよう」というあえての試みなのか?!それとも「多忙の極みによる時間不足」の問題なのであろうか?!非常に気になる。

90年代に多くのギターキッズを魅了した「ダークで耽美なサウンド」が減退し「ロックらしいロックテイスト」がこれまでより強く反映されている本作は、これまでの作品と比べるとやや「独自性が薄れている」と筆者は感じるのだが、同時に「これまでの自分たちの殻を壊す」という最も難易度の高いをチャレンジしているとも感じている。

「常に変化し続けなければならない」という強迫観念は彼らのクリエイティヴィティーの源なのだろう。また本作のリリース前後からメンバー全員が「輝く」というワードを頻繁に使い出しバンド内の共通認識ワードとしていた。「売れたい」「もっとビッグになりたい」などという下世話な言葉は彼らには似合わない。自分たちの究極目的を深く突きつめたところ導き出された言葉が「輝く」なのであろう。

    「要点」

  • ・結果論として「既存のルナシー(LUNA SEA)ファン」と「河村隆一ファン」の両者にとってリアクションの難しい作品。
  • ・これまでの作品と比べるとやや「独自性が薄れている」と筆者は感じるのだが、同時に「これまでの自分たちの殻を壊す」という最も難易度の高いチャレンジしているとも感じている。

「曲解説」

1 Time Has Come

「これから起こる輝きに満ちたストーリーを予感させる」ようなオープニングチューン。これまでエフェクトを多用して幻想的・耽美的という形容がよく似合うサウンドを構築してきたツインギターは「輪郭のはっきりとしたアナログで太い音」を出しておりロック的なダイナミズムを演出している。
3 NO PAIN

「モノクロームな白昼夢」を連想するアルペジオ・オリエンテッドなダークチューン。作曲者はINORANではなく意外にもSUGIZOである。 コアファンであれば幻想・耽美要素が少ない「1 Time Has Come」「2 STORM」の後にこの曲を聴くと「ホッ」と安心するだろう。歌詞は戦争を「すれ違い続ける恋愛関係」に絡ませて表現したものとなっている。
5 I for You

ドラマのタイアップにも抜擢されたメロディックで熱量が高いバラード。イントロのツインギターの絡みは素晴らしいの一言であり「繊細な感情が泉のように溢れ出す」名フレーズ。歌詞は一聴すると「悲しい運命にあるヒロインに対して自身の激しくそして繊細な愛情を全てをぶつけた」ような内容となっているが、一説にはこの曲の歌詞に登場する「君」とは同年に亡くなった「恩人/hide」の事だとも言われている。この曲がテレビで披露される際、河村隆一の目は心なしか潤んでいるように見える。いつまでもドラマの主人公に対して感情移入し続けることは難しいハズである。おそらくこの曲に出てくる「君」とはhideの事であろう。
6 Unlikelihood

ストリート感溢れるラップ調のJ(b)のボーカルが印象的なザクザクした質感のハードチューンでタイトルの和訳は「あり得ない」である。RYUICHIはタイトルにもなっている「あり得ない」を「天使と悪魔がキスをした」という独自な言い回して表現。ハードに攻めまくるアグレッシヴなサウンドは間違いなくカッコいいのだがルナシー(LUNA SEA)独自の耽美テイストはやや希薄であると感じる。
7 ANOTHER

レッド・ツェッペリン(LED ZEPPELIN)の名曲「Stairway to Heaven」和訳;「天国への階段」を意識していると思われるコクのあるエモーショナル・バラード。歌詞の内容は「心の中に影を持ちながらも明日への扉を開けたい」と強く願うという内容である。ミニマムな音数でしっかりとしたグルーヴを感じる事ができ「アナログで太い音」に拘っているアルバム「SHINE」を象徴する曲であると言える。間奏部に登場するパワフルな女性コーラスは「大空を支配する巨大な鳥」のように別格の存在感を放っている。
8 MILLENNIUM 11 Love Me

河村隆一の良質なポップネスをルナシー(LUNA SEA)サウンドに上手く反映させた2曲。おそらくではあるが河村隆一目当てのリスナーにもウケが良いと思われる。2曲ともツインギターの絡みが面白い疾走系ルナシー(LUNA SEA)クラシックとも言える内容だが「河村隆一」として世間に認知されたRYUICHIが歌うと不思議と「ポップソング」として成立する。河村隆一の大成功はルナシー(LUNA SEA)に絶大な知名度とある種のバイアスを与える事となった。
12 BREATHE

「雲の上」のような浮遊感を感じるアコースティック・バラード。INORAN(g)のミニマムなアルペジオが曲に開放感を与えていおり、RYUICHI(vo)の声は「どこまでも広がる海」のように伸びやかである。歌詞は「河村隆一的なシュール性」を含んだラブソングであり「空に浮かぶ街」なるフレーズがインパクト大である。河村隆一の曲に「小さな星」という曲があるが、歌詞の世界に「非現実・シュールな場所」を設定するのは河村隆一が得意とする方法論かもしれない。
13 UP TO YOU

サウンド・歌詞共に「ルナシー(LUNA SEA)の殻」を壊しているラストソング。シンプルなグランジ風サウンドだが作曲者はまさかのINORAN(g)。歌詞はこれまでの彼らからは考えられない程に熱量を強調したポジティヴなモノとなっている。この曲をはじめて聴いた時、筆者は中学生であったので「クサイ事を言い始めたな」と斜に構えていたが、大人になった現在の感覚で聴くと「エネルギーに満ちた素晴らしい歌詞」であると素直に感じる事が出来る。

ファンの中で最も賛否両論を巻き起こしたアルバムであり、またルナシー(LUNA SEA)史上最も過小評価されている6thアルバム。 97年のソロ活動で男性ソロアーティストのアルバムセールス記録を更新し「国民的歌手」と化した「河村隆一が在籍するバンドのアルバム」という事で多くの注目を集めた本作だが、結果論として「既存のルナシー(LUNA SEA)ファン」「河村隆一ファン」の両者にとって「リアクションの

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ルナシー(LUNA SEA)絶頂期の96年にリリースされた傑作アルバムで「日本における二ューウェイブ系ギターロックの独自進化」の一旦の完成形という内容となっている。

前作「MOTHER」との違いは90年代以降に彼等がインスピレーションを受けたであろう「グランジ」「トリップホップ」「シューゲイザー」「実験的な電子音楽」などからの影響を大胆に反映させ点であり、サウンド・歌詞共に「ディープ」な内容となっている。

歌詞の内容は一言で言うと「愛」をテーマにしたものが大多数を占めているが、彼等らしくどこか「狂気的」である。

音楽的な充実を一気に放出した「94年〜96年の絶頂期」を経て翌年97年に彼等は1年間のソロ活動を行ったが、97年には彼等の音楽性や美意識に多大な影響を受けたと思われるアーティスト達が大量に発生し「ビジュアル系」というワードが「お茶の間レベル」にも広がりを見せた。

下世話な話だがこの「ビジネス的に最も良い時期」に活動休止する彼等のスタンスはやはり「孤高」である。

    「要点」

  • ・「日本における二ューウェイブ系ギターロックの独自進化」の一旦の完成形。
  • ・歌詞に内容は一言で言うと「愛」をテーマにしたものが大多数を占めているが、彼等らしくどこか「狂気的」である。

「曲解説」

1 WITH LOVE

レコードに針を落とす音から始まるオープニングチューン。揺らめく気怠い音響が「ディープな静けさ」を演出しており、このような実験的な曲をアルバムの1曲目に収録できる点に当時の彼等の自信と充実ぶりを感じる。歌詞はこの時期の彼等らしく「狂おしい愛」をテーマにしており「この愛が冷めてしまうのでは?!」という強迫観念に追われている男の心情を歌っている。曲の中盤で聴く事ができるSUGIZO(g)のアバンギャルドノイズは「ポップミュージックの体裁」に反発するかのような暴れっぷりである。
2 G

「バーンと何かが弾け飛ぶ」ようなギターフレーズで幕をあけるハードチューン。90年代以降のUSグランジ/オルタナのダイナミズムをダイレクトに反映しているサウンドとなっており、コアなルナシー(LUNA SEA)ファンであればイントロから20秒もあれば「作曲者」が誰か分かってしまうだろう。ハードで低音が強調されたサウンドではあるが、エフェクティヴで空間構築に徹するツインギターは相変わらず左右でバラバラのフレーズを弾いる。タイトルの「G」とは「God」の「G」であり、初期の歌詞に登場した「神」をモダンに洗練させた形で表現している。
3 HURT

ルナシー(LUNA SEA)らしからぬヘヴィリフを前面に押し出したハードチューン。一聴する分には非常にシンプルな構造となっているが、J(b)のベースラインにはマニアックな空間系エフェクトが掛けられており、サウンドに「宇宙的な無重力感」を与えている。
4 RA-SE-N

「独白」のような歌詞の内容に思わず「ハッ」とさせられるスローテンポの名曲。「静かで淡々とした展開」から「一気に熱量を放出する展開」に移行する曲なのだが、海外のハード系アーティストの「それ」とは明らかに異なる空気感があり「繊細な緊張感」が常に保たれている。この曲のギタープレイは宇宙的なサウンドを求めるSUGIZO(g)にとって、一つの理想形い言えるものとなっており特に「ディープな感情を解き放つ」ような短いギターソロは抜群のクオリティを誇る。
6 FOREVER & EVER

90年代に最も評価されたギターロックアーティストの一つであるレディオヘッド(radiohead)のエモーショナルな名曲と比較しても全く負けていない10分超えの大作。「ゆったりと流れる大河」のような雰囲気がある曲で歌詞の内容は「今までの自分達とこれから羽ばたこうとする自分たち」についてであり曲の途中でJ(b)による「英語の語りパート」が挿入される。「語りパート」の和訳は「あの頃に感じた永遠と希望を思い出そう、時間の経過と努力は僕を確かに変えたが熱いアティテュードはあの頃と変わらない。そして人生はこれからも続く。あの頃感じた永遠をずっと感じていたい」このようなイメージの内容となっている。落ち込んでいる時や迷っている時に聴きたくなるこの「語りパート」だけでも非常に価値があると筆者は思う。
7 1999

INORAN(g)のアルペジオがミステリアスな存在感を放つ2分弱の曲でSUGIZO(g)とJ(b)のベースラインがユニゾンしており、なんとも言えない不穏な空気感を演出している。「ディープでシリアスなアルバムの前半」から「爆発するアルバムの後半」にスムーズに繋げるような「橋渡し」的な立ち位置の曲となっている。
10 IN SILENCE

「万華鏡」のような幻想的なディレイサウンドが素晴らしく、海に佇み「過去の切ない恋愛を回顧する」ような歌詞を歌う RYUICHI(vo)のボーカルラインと複雑に絡まる。ディレイを上手く活かしたお手本のような曲である。「真っ白な羽が空浮かんでた、何かを告げるように」というラインは文学的でこの後に起こる「活動休止」を示唆していると思われる。
11 SELVES

「終幕感を演出する鐘の音」「神経質で冷たいリズム」などトリップホップからの影響を感じるディープなラストチューンで 完璧主義のSUGIZO(g)をして「理想に近い」(wiki)と言わしめる完成度を誇る。歌詞は相当読み込んで考察しないと正しい意味を解釈できそうにない「非常に深く宇宙的な内容」となっている。

ルナシー(LUNA SEA)絶頂期の96年にリリースされた傑作アルバムで「日本における二ューウェイブ系ギターロックの独自進化」の一旦の完成形という内容となっている。 前作「MOTHER」との違いは90年代以降に彼等がインスピレーションを受けたであろう「グランジ」「トリップホップ」「シューゲイザー」「実験的な電子音楽」などからの影響を大胆に反映させ点であり、サウンド・歌詞共に「ディープ」な内容となっ

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