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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果7件

タグ「エレクトロニカ」のレビュー

前作から続く実験性を更に推し進め全体から「心地よいナチュラルな虚無感」を感じる事ができる神作。本作で聴く事ができるエレクトロニカ・ポストロックを通過した独自のサウンドは確実に当時の世界の最先端であったと思う。

「いっそ悪いことやってつかまってしまおうかな」「金もったら変わるんかな?!」などという身も蓋もない虚無感・諦念を淡々と吐き出す「1 GUILTY」。

レディオヘッド(Radiohead)の神作「Kid A」からの影響をダイレクトに反映し「濃厚な幽玄さ」を醸し出している「2 静かの海」では「意味性を完全に排除している」かのような呪文風のボーカルが聴ける。

前作「TEAM ROCK」に収録されていた「永遠」同様にエレクトロニカをポップソングに見事に落とし込んでいる「4 WORLD’S END SUPERNOVA -Mix “Matuli”-」からは、知的な大学生に好まれるような洗練さを感じる事ができる。

本作「THE WORLD IS MINE」は基本的には「シリアスな作風」ではあるのだが「京都出身だけど中国に帰るってどういう事?!」と思わずツッコミたくなる「3 GO BACK TO CHINA」や強烈に青臭い「男の子と女の子」なども収録されており「シリアスだけど気難しくはない」というレアなバランスを実現させているアルバムであると言える。

    「要点」

  • ・全体から「心地よいナチュラルな虚無感」を感じる事ができる神作。
  • ・エレクトロニカ・ポストロックを通過した独自のサウンドは確実に当時の世界の最先端であったと思う。

「曲解説」

「1 GUILTY」

ディープで「沈む」ようなアコギのコードストロークをバックに「いっそ悪いことやってつかまってしまおうかな」「金もったら変わるんかな?!」などという身も蓋もない虚無感と諦念を淡々と吐き出す衝撃のオープニング。中盤は強烈なドラムの連打から「目の前が白い霧に包まれる」ようなサイケなパートに突入するが、終盤はまたも「沈む」ような雰囲気の中で主人公は「自身のどうしようもなさ」を嘆く。
「2 静かの海」

レディオヘッド(Radiohead)の神作「Kid A」からの影響をダイレクトに反映させた「実験的なくるり流ポストロック」。岸田繁(vo ,g)のボーカルには「強烈に揺らめく」ような音響処理が施されており、歌詞も「意味性を排除した」ような言葉の羅列となっている。 曲は後半になるほどに「微かな光」のようなフィードバックノイズが存在感を増す展開となっている。深読みかもしれないが、このノイズは「1 GUILTY」「2 静かの海」に登場する主人公が「虚無感の中で感じた僅かな希望」なのかもしれない?!
「3 GO BACK TO CHINA」

「ポジティヴな意味で馬鹿馬鹿しいタイトル」が微笑ましく、中華音階(ノリで言ってます)を強調したギターロック。イントロではド派手は銅鑼の音も聴くこともできる。ギタリスト/大村達身が加わった事で、これまでとは異なる透明で立体感のあるギターサウンドが堪能する事ができる(1:46〜)「気が触れた」ようなぶっ飛んだギターソロはインパクト大である。
「4 WORLD’S END SUPERNOVA -Mix “Matuli”-」

オーガニックなエレクトロニカサウンドをポップソングに落とし込んだ名曲。時折現れる「光の洪水」のような煌びやかな電子音を聴くだけでも聴く価値が十分にあると思う。歌詞の内容は「音楽マニアの知的な大学生の頭の中にあるイメージを覗き込んだ」ようなイメージである。歌詞に「絶望の果て」「朝が来ない」「重ねる嘘」というネガティヴワードが頻出するが、暗いフィーリングはまるでなく「心地よいナチュラルな虚無感」を感じる。
「6 アマデウス」

くるりのアルバムに1曲はマストで収録されているピアノオリエンテッドなバラード。上質でオーガニックな弦楽器の調べが岸田繁(vo ,g)のボーカルラインを優しく包み込む。
「7 ARMY」

「秘宝」のようなマニアックな輝きを放つアルペジオを中心に構成される音響派の曲。90年代の日本の音楽シーンで大きな存在感を放った ルナシー(LUNA SEA) やラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)などのアーティストは曲の中でアルペジオを多用しサウンドに「幻想的」「耽美的」な要素を与えていたが、この曲のアルペジオは僅かではあるがV系テイストを感じる事ができる。歌詞は不気味なものとなっており「針金やおもちゃで出来た兵隊さん」をテーマにしている。
「11 THANK YOU MY GIRL」

「凝ったアレンジ」「面白い切り口のサウンド」が多い本作なかで「気持ちよくストレートにUKロックしている」曲。この「晴れ渡った青空」のような質感は「初期のくるりサウンド」を彷彿とさせる。
「12 PEARL RIVER」

自然界の音をサウンプリングしたオーガニックなサウンドと「ノスタルジーでセンチメンタルな思い出」のようなアコーディオンの音は 北欧のエレクトロニカ・アーティストmum(ムーム)を彷彿とさせる。曲の後半は「ボートを漕ぐ音」と「鳥のさえずり」「川のせせらぎ」のみで構成される。

前作から続く実験性を更に推し進め全体から「心地よいナチュラルな虚無感」を感じる事ができる神作。本作で聴く事ができるエレクトロニカ・ポストロックを通過した独自のサウンドは確実に当時の世界の最先端であったと思う。 「いっそ悪いことやってつかまってしまおうかな」「金もったら変わるんかな?!」などという身も蓋もない虚無感・諦念を淡々と吐き出す「1 GUILTY」。 レディオヘッド(Radiohead)の神

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前作「図鑑」はUSオルタナに接近したどこか「混沌」とした雰囲気があるアルバムであったが、今作は「未来」のような眩しさと煌びやかさを感じる「テクノロック」が主となっており同世代の盟友/スーパーカー(supercar)と共に「邦楽シーンの最先端」を提示したアルバムとなっている。

知的で様々な音楽に興味をもつ彼らが「いつまでもシンプルなギターロックだけを鳴らし続ける」ハズもなく、今作で聴くことが出来る「エレクトロニカやポストロック以降の文法を大胆に取り入れたサウンドへの接近」はある意味当然であると思われる。

2000年代の邦楽シーンでは、くるりとスーパーカー(supercar)がクリエイティビティーと独自性の面で 「アタマ2つ位飛び抜けた存在」であったと思う。この2アーティストは様々な音楽的アプローチをサウンドに反映させる「音楽マニア受けするアーティスト」である。

彼らの凄さは「音楽マニア受けするアプローチをしつつも「ギリギリのところでポップソングとして成立させる秀逸なセンス」であると筆者は思う。

    「要点」

  • ・同世代の盟友/スーパーカー(supercar)と共に「邦楽シーンの最先端」を提示したアルバム。
  • ・「音楽マニア受けするアプローチをしつつも「ギリギリのところでポップソングとして成立させる秀逸なセンス」。

「曲解説」

1 TEAM ROCK

「HIPHOP」「ジャズ」など様々なジャンルの音源からサンプリングされた音を複雑に絡ませた曲。この手の情報過多な曲は良くも悪くもジャンクな質感になる傾向にあると思うのだが、このくるりというアーティストの場合「情報過多な音世界」でありつつもどこか「チルアウト的なゆったり感」を感じる。
2 ワンダーフォーゲル

「未来」のようにキラキラした電子音とシンプルな四つ打ちのリズムが残響ギターロックと並走するテクノロック。終盤で聴ける「光のシャワー」のような電子音はスーパーカー(supercar)の名盤「フューチュラマ」(Futurama)と共通の質感を感じる。斬新ではあるが良質なポップソングとして仕上げるアレンジセンスはさすがの一言。
3 LV30

シューゲイザーのカリスマ/マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)をイメージして制作された(wiki)「酩酊」のようなサイケチューン。歌詞は岸田繁(vo ,g)自身が大ファンである「ドラクエ」からインスピレーションを得ている。所々で「スライム」や「ルーラ」を思わせる立体的な電子音が登場する。
4 愛なき世界

シンプルなギターロックではあるが「スペーシーな音響」と「未来」のような眩しさを感じる曲。歌詞にある「君は歌う、安心を買ったって」というラインは、2000年前半の邦楽シーンを共に駆け抜けたスーパーカー(supercar)の名曲「FAIRWAY」に対する一種のアンサーであると思われる。「FAIRWAY」の歌詞は「「安心」を買ってよかったと思っていたら「安心」は「退屈」であった昔とどこか似ていた」という内容である。
5 C’mon C’mon

「巨人の足跡」のようなタイトでドッシリとしたビートの上を「透明な煙」のような電子音が彷徨い「無機質な都会」のような雰囲気を醸し出している。歌詞は「C’mon C’mon」のみとなっており「くるり流アシッドハウス」 という趣の曲となっている。
7 永遠

複雑に絡んだブレイクビーツの上を「ガラスで出来た万華鏡」のようなミニマムなループが舞うダンスチューン。海外のエレクトロニカ勢であれば、もっと分かりやすくリズムオリエンテッドな曲になりそうなものだが、音楽マニア受けするアプローチをギリギリのところでポップソングとして成立させる「くるりの真骨頂」を堪能できる曲となっている。
9 ばらの花

「何も起きない平凡な日常」のような淡々としたベースラインの上を「淡い期待」のような電子音が舞う代表曲。バックコーラスにフルカワミキ(スーパーカー(supercar))が参加しており、この曲の歌詞にも「安心な僕ら」というラインが登場する。当時のくるりにとってスーパーカー(supercar)は「自分達に刺激を与えてくれる数少ない同世代アーティスト」であったのだろう。「最終バス」というフレーズが登場するのは、くるりのメンバーが京都出身だからであろう。

前作「図鑑」はUSオルタナに接近したどこか「混沌」とした雰囲気があるアルバムであったが、今作は「未来」のような眩しさと煌びやかさを感じる「テクノロック」が主となっており同世代の盟友/スーパーカー(supercar)と共に「邦楽シーンの最先端」を提示したアルバムとなっている。 知的で様々な音楽に興味をもつ彼らが「いつまでもシンプルなギターロックだけを鳴らし続ける」ハズもなく、今作で聴くことが出来る「

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シリアスでアーティスティックな作風であった前作・全前作の(KID A / Amnesiac) 反動からか「プリミティヴな生々しさ」が感じられる6thアルバム。

ロックンロール衝動をエレクトロニカ以降の彼らのセンスで表現したような「1 2 + 2 = 5」「2 Sit down. Stand up」「12 Myxomatosis」。アルバム「The Bends」に収録されていたギターロックを洗練させたような「5 Go to Sleep」「9 There There」etcなどを収録しておりバラエティーに富んだ内容となっている。

2000年代前半は「ロックンロールリバイバル」「二ューウェイブリバイバル」などがトレンドとなっており、また繊細な感情をエモーショナルに歌い上げるレディオヘッド(Radiohead)フォロアーが大量発生した時期なのだが、彼らは音楽シーンのトレンドやフォロアーの存在などをあまり気にすることなく本作でも確実に新たな歩を刻んでいる。

本作は神作である(KID A / Amnesiac)と比較すると色んな意味で「少しパンチが足りない」事は間違いないのだが「リスナーの脳裏と感性に刻まれる曲」が何曲か収録されており「間違いなく名盤」であると言える。リスナーの期待値が高すぎて真っ当な評価を受けていない可哀想なアルバム。それが「Hail to the Thief 」である。

    「要点」

  • ・ロックンロール衝動をエレクトロニカ以降の彼らのセンスで表現したような「1 2 + 2 = 5」「2 Sit down. Stand up」「12 Myxomatosis」
  • ・リスナーの期待値が高すぎて真っ当な評価を受けていない可哀想なアルバム

「曲解説」

1 2 + 2 = 5

「シールドをアンプに突っ込むノイズ」で幕をあけるアグレッシヴなロックチューン。アルバム「Ok Computer」以降は封印していた節すらある「プリミティヴでノリのよいロックンロール衝動」を前面に押し出している。だが、レディオヘッド(Radiohead)というアーティストが「ただの古き良きロックチューン」をやる訳がない(1:53〜)トム・ヨーク(vo ,g)の「Because!」という掛け声からアグレッシグなギターロックに変貌を遂げるのだが、バックでは「光の洪水」のようなエレクトロサウンドが鳴り響き曲に高速のスピード感を与えている。
2 Sit down. Stand up

「ゴスをエレクトロニカ風にアレンジした」ような展開から強烈なエレクトロビートが「酸性雨」のように降り注ぐアグレッシヴなエレクトロチューン。中盤以降はトム・ヨーク(vo ,g)が「THE raindrops」というフレーズを「何かが狂ったか」のように淡々と連呼する。サウンド的には歪んだギターやシャウトなどは一切登場しないが「1 2 + 2 = 5」同様に生々しいロックンロール衝動を感じる曲である。
5 Go to Sleep

アルバム「The Bends」に収録されているトリプルギター期のレディオヘッドソングを「KID A以降のセンス」で再構築したような曲。過去と比べて歪んだ音は控えめになっているが一音ごとのフレージングのセンスと強度が増しており、初期の曲より「オーガニックな生々しさ」を感じる。
6 Where I End and You Begin

ブレイクビーツ風のビートとうねるベースラインが中心となって展開される曲で音響は「ホラー」のようなダークさを醸し出している。 時折、挿入されるジョニー・グリーンウッド(g)の鋭角的なカッティングギターが曲をズタズタに切り裂く。
9 There There

ダイナミックでエモーショナルなギターロックを洗練させれた最小限の音で表現している。過去の焼き回しなどではなく2枚の名作(KID A / Amnesiac)で習得した「エレクトロニカ以降の質感」を曲に反映しており、初期のギターロック以上にダイナミックに響き渡る。歌詞は意味深だが「自分たちは歩く災難であり、事故が起こるのを待っている」というラインから「平和を望みながら平和を最も拒んでいるのは自分たち人間なのだ」という意味なのでは?!と感じた。
12 Myxomatosis

「強迫観念」のような強烈に歪んだ音響が鼓膜を刺激するエレクトロハードロック。「Myxomatosis」というタイトルは「粘液腫症」という意味がある。米英でアルバムチャートNO,1を獲得するビッグアーティストがこのようなシュールなタイトルを普通につける点が素晴らしい。レディオヘッド(Radiohead)はキュアー(CURE)などと同様に「アーティスト過ぎてそれがエンターテイメントとして成立している」というアーティストとして最も理想的な成功のパターンであると言えるのではないだろうか。
14 A Wolf at the Door

ジョニー・グリーンウッド(g)がほとんど一人で作曲した(wiki)名バラード。トム・ヨーク(vo ,g)のボーカルは他の曲とは明らかに異なるタイプのメロディーを奏でており「プログレ化したラップ」のようである。曲全体から「おとぎ話」のようななんとも言えない「古風な浮遊感」を感じる。

シリアスでアーティスティックな作風であった前作・全前作の(KID A / Amnesiac) 反動からか「プリミティヴな生々しさ」が感じられる6thアルバム。 ロックンロール衝動をエレクトロニカ以降の彼らのセンスで表現したような「1 2 + 2 = 5」「2 Sit down. Stand up」「12 Myxomatosis」。アルバム「The Bends」に収録されていたギターロックを洗練させ

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レディオヘッド(Radiohead)がアーティストとして最も脂が乗っていた時期にリリースされた傑作EP。

音楽史に残る2枚のアルバム「KID A」「Amnesiac」に収録されていない「2 Cuttooth」「4 Worrywort」「5 Fog」を聴く限りレディオヘッド(Radiohead)はもう一枚「音楽史に残るアルバム」を作成できたのでは?!という気がして仕方がない。「アンビエントな音響」を前面に押し出しているのが本作最大の特徴であり、どこか牧歌的で夢見心地な雰囲気がある。

また「1 Knives Out」「5 Fog」で聴く事ができる鬼才ジョニー・グリーンウッド(g)のギターフレーズはセンス抜群で「ギターロック期」と比べるとその登場回数こそ減ってはいるが「魅力をギュッとまとめた最小限の音数」で圧倒的な存在感を放っている。「5 Fog」で聴ける「ガラスの破片」のようなギターフレーズはアンビエントな曲の雰囲気を壊すことなく曲にぶっ壊れた質感を与えている。

    「要点」

  • ・本作を聴く限りレディオヘッド(Radiohead)はもう一枚、音楽史に残るアルバムを作成できたのでは?!という気がして仕方がない。
  • ・「5 Fog」で聴ける「ガラスの破片」のようなジョニー・グリーンウッド(g)のギターフレーズはセンス抜群でアンビエントな曲の雰囲気を壊すことなく曲にぶっ壊れた質感を与えている。

「曲解説」

1 Knives Out

「ザ・スミス(The Smiths)のメランコリックで流麗なギターポップをオーガニックな音質でアレンジした」ようなイメージの曲。ジョニー・グリーンウッド(g)が奏でる耽美でどこかノスタルジーなギターフレーズは「控えめな性格ではあるのだが、飛び抜けた美貌ゆえに目立ってしまう美少女」のようである。
2 Cuttooth

「白昼夢」のような眩しすぎる音響の中を「青春」のように早足で駆け抜ける隠れた名曲。シンプルなピアノサウンドとトム・ヨーク(vo ,g)のボーカルラインを中心に構成されているシンプルな曲なのだが、そこに+aドリーミーな音響が曲に「油絵」のような揺らめきと奥深さを与えている。
4 Worrywort

ミニマムな電子音を中心に構成されている曲で「宙に浮いている」かのような浮遊感を感じる事ができる。「牧歌的な雰囲気」「ガラスを連想する透明な質感」などエイフェックス・ツイン(Aphex Twin)彷彿のアンビエントソングとなっている。
5 Fog

ノスタルジーで夢見心地な音響を前面に押し出しており「4 Worrywort」同様にアンビエントな質感な曲。「ガラスの破片」のようなジョニー・グリーンウッド(g)のギターフレーズが曲に鋭角的なエッジを与えている。曲の雰囲気を壊すことなく曲をぶっ壊せるジョニー・グリーンウッド(g)のセンスはやはり別格であると感じる。

レディオヘッド(Radiohead)がアーティストとして最も脂が乗っていた時期にリリースされた傑作EP。 音楽史に残る2枚のアルバム「KID A」「Amnesiac」に収録されていない「2 Cuttooth」「4 Worrywort」「5 Fog」を聴く限りレディオヘッド(Radiohead)はもう一枚「音楽史に残るアルバム」を作成できたのでは?!という気がして仕方がない。「アンビエントな音響」を

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音楽史を激震させた前作「KID A」から約半年後にリリースされた神アルバム。

「KID A」同様に「エレクトロニカ以降の音楽」からの影響を前面に押し出しているのだが「KID A」で鳴らされた「氷の世界」「真っ白な空間」と形容したくなるサウンドとは異なり「オーガニックでどこかノスタルジー」な音世界が魅力的な作品となっており、ボーズ・オブ・カナダ(Boards of Canada) 、ムーム(múm)などの「オーガニックなエレクトロニカ・アーティスト」からの影響をブルースやジャズなどの音楽と絡める事で「前衛的でありながら強烈なノスタルジーと哀愁」を感じる唯一無二の音世界を構築している。

コアな音楽ファンの中には「KID A」ではなく本作を「レディオヘッド(Radiohead)の最高傑作」と評価する者も少なくはない。本作で聴くことができるトム・ヨーク(vo ,g)のボーカルは「虚無的でありながらもディープ」なものとなっており、ギターロック期とはまた別のベクトルで「リスナーの感性に深く突き刺さる」ものとなっている。

    「要点」

  • ・「強烈なノスタルジーと哀愁」を感じる唯一無二の音世界
  • ・コアな音楽ファンの中には「KID A」ではなく本作を「レディオヘッド(Radiohead)の最高傑作」と評価する者も少なくはない

「曲解説」

1 Packt Like Sardines in a Crushd Tin Box

冷たく規則正しいリズムの上で「シュールな儀式」を連想するエレクトロビートがミステリアスに鳴り響くリズムオリエンテッドなオープニングチューン。前作「KID A」同様に厳選された「エレクトロニカ以降の音響とビート」を大胆に取り入れてはいるのだが、前作より無国籍が強調されていると感じる。
2 Pyramid Song

前作「KID A」に収録されいた「How to Disappear Completely」同様に幽玄な雰囲気を醸し出しているピアノバラードで恐怖感と不気味な寒さを感じるストリングスを大胆にフィーチャーしている。歌詞の内容は「死後の世界で生前の事を追憶した」ような内容となっている。トム・ヨーク(vo ,g)のボーカルは「この世の全てに絶望している」かのように虚無的でありながらも同時に灼熱の熱さも感じさせるものとなっている。
3 Pulk/Pull Revolving Doors

「タイムマシーンにのって時空をワープする」ような雰囲気を醸し出しているマニアックなインスト。「ガラスの破片」のような鋭角的なビートと「オーガニックで牧歌的」な音響を見事に絡めており、オーガニックなエレクトロニカ・アーティスト「ボーズ・オブ・カナダ(Boards of Canada)」 からの影響が感じられるが模倣にはならずレディオヘッド(Radiohead)らしく「ロック的なエッジ」が感じられる。
4 You and Whose Army?

「強烈なノスタルジー」を感じるオーガニックなジャズバラード。トム・ヨーク(vo ,g)のボーカルは「天国にいるおじいちゃんが子供達に優しくそしてディープに語りかける」ような質感である。
5 I Might Be Wrong

乾いたギターリフが無感情にリフレインされるギターロックで「KID A」以前のエモーショナルなサウンドではなく「冷凍庫の中にいる」ような冷たさを感じさせる。「ストイックなまでに感情を抑制する」様はドライアイスのよに冷たく熱い。
7 Morning Bell

「KID A」に収録されていた「Morning Bell」は冷たいエッジが強調されたサウンドが魅力的であったが、このAmnesiacバージョンは「恍惚」のような眩しさを感じさせるアレンジとなっている。本アルバムを構成する重要な要素である「ノスタルジー」「オーガニック」 「虚無感」「ミステリアスな熱さ」などが総動員されており収録曲の中で「最も本作を象徴している」曲なのかもしれない。
10 Like Spinning Plates

マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)が発明した「極彩色のサイケデリアを無理矢理に逆回転させた」ようなトリップ必至の神曲。歌詞は難解で一度見ただけでは理解が難しい内容ではあるが、おそらく「弱い者が存在してくれるからこそ強い者が栄える」という「世のダークサイドに対して虚無感を吐き出した」ものであると思われる。
11 Life in a Glasshouse

「悟りを開いた老人のディープな嘆き」のようなトム・ヨーク(vo ,g)のボーカルが秀逸すぎるジャズバラード。枯れた渋みが強調されたトランペットの音色が、この曲に「幼少期のセンチメンタルな思い出」のような強烈なノスタルジーを与えている。

音楽史を激震させた前作「KID A」から約半年後にリリースされた神アルバム。 「KID A」同様に「エレクトロニカ以降の音楽」からの影響を前面に押し出しているのだが「KID A」で鳴らされた「氷の世界」「真っ白な空間」と形容したくなるサウンドとは異なり「オーガニックでどこかノスタルジー」な音世界が魅力的な作品となっており、ボーズ・オブ・カナダ(Boards of Canada) 、ムーム(múm)

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