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live at the indoor
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検索結果11件

タグ「グランジ」のレビュー

USから輸入された「グランジ/オルタナティヴ」の「ぶっ壊れた質感」を最もダイレクトにそして理想的な形で「UKロック化」させた初期レディオヘッド(Radiohead)。本作は彼らの代表曲「Creep」を含んだEPであり当時多くのロックファンが待ち望んでいた「絶妙のバランス感覚」が魅力となっている。

今では考えられない事だが当時のロックアーティストはアルバムの収録曲を2・3曲聴いただけで「UKか否か」の判断が容易であった。要するに多くのUKアーティストが二ューウェイブ以降の「UKロックマナーという檻」の中におり、レディオヘッド(Radiohead)以外でここまで大胆にグランジ/オルタナティヴに接近したアーティストは存在しなかったのである。

今では「現代のビートルズ(The Beatles)」と音楽ファンから最大限の賞賛を受ける彼らではあるが、デビュー当時は明らかにUKロック界の異端児であった。本作に収録されている多くの曲は一言で言うと「グランジ以降のシンプルなギターロック」ではあるのだが、明らかに「他のグランジ・アーティスト」とは異なる「ナイーヴなヒリヒリ感」が存在している。

乱暴な言い方ではあるが、トム・ヨーク(vo)が歌えばどのようなスタイルのサウンドであっても「レディオヘッド(Radiohead)」になるのでは?!」そう思わずにはいられない。

    「要点」

  • ・USから輸入されたグランジ/オルタナティヴの「ぶっ壊れた質感」を最もダイレクトにそして理想的な形で「UKロック化」させた初期レディオヘッド(Radiohead)
  • ・乱暴な言い方ではあるが「トム・ヨーク(vo)が歌えばどのようなスタイルのサウンドであってもレディオヘッド(Radiohead)」になるのでは?!」

「曲解説」

1 Creep

「何も起きない退屈な日常」のような淡々とした展開を唐突なギターのブラッシングノイズが切り裂き、そこから「感情を解き放つ」ようなエモーショルなサビに移行する90年代ギターロックを代表する名曲であり、この曲に影響を受けたと思われる曲は邦・洋楽問わず数多く存在する。タイトルである「Creep」とは日本語訳で「イケてない奴・半端者」という意味である。この曲の歌詞は「高嶺の花」である女性に対して強烈な愛情を感じている主人公(イケてない自分)が「自分は所詮Creepだから」と自己否定的な諦念感情を爆発させるという内容となっている。「グランジ以降のネガティヴィティーの爆発」とザ・スミス(The Smiths)にも通じる「ダメ人間の視点から描いた世界観」が最高のバランスで絡み合っいる歌詞は、90年代前半の音楽ファンが求めていた正に求めていたものであり、本人達が望む望まないは別として「完璧なロックアンセム」と言えるだろう。
2 Inside My Head

気怠いヴァースから「感情を叩きつける」ようなエモーショナルなサビに移行する「王道グランジソング」なのだが「他のアーティストのグランジソングとは明らかに何かが違う」ナイーヴなヒリヒリ感を感じる事ができる。トム・ヨーク(vo)の叫び声はとにかく「生理的に気持ち良いとしか言いようのない」スペシャルなものである。中盤で登場するスローなギターサウンドは「泥酔したソニック・ユース(Sonic Youth)」のように危うい。また話は飛ぶが「OMOIDE IN MY HEAD / ナンバーガール(NUMBER GIRL)」は、この曲からヒントを得てつけられたタイトルなのではないだろうか?!
5 Blow Out

「耽美でメランコリックな要素」をぶっ壊れた質感のギターロックに上手く反映させた曲で当時のUSグランジ勢にはない「強烈なUK匂」が漂う。間奏部分以降はジョニー・グリーンウッド(g)によるアバンギャルドなギターサウンドがこの曲に「不穏さ」と「アブノーマルなエッジ」を与えている。

USから輸入された「グランジ/オルタナティヴ」の「ぶっ壊れた質感」を最もダイレクトにそして理想的な形で「UKロック化」させた初期レディオヘッド(Radiohead)。本作は彼らの代表曲「Creep」を含んだEPであり当時多くのロックファンが待ち望んでいた「絶妙のバランス感覚」が魅力となっている。 今では考えられない事だが当時のロックアーティストはアルバムの収録曲を2・3曲聴いただけで「UKか否か」

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イギリス出身のボーカリスとKen Lloyd(vo)とのちにhydeと共にヴァンプス(VAMPS)を結成するK.A.Z(g)を中心に結成されたオブリヴィオン・ダスト(Oblivion Dust)の3rdアルバム

このオブリヴィオン・ダスト(Oblivion Dust)は、日本より先にアメリア西海岸でライブを行う(wiki)など「向こうのハード系アーティスト」が日本で活動しているようなイメージのアーティストであり、音楽性も「他のハード系アーティスト」とは明らかに異なる「ナチュラルな洋楽感」を感じるものとなっている。

90年代後半の日本の音楽シーンにおいて「グランジ的な気怠さやノイズ」を曲に反映したアーティストは勿論存在していたのだが、彼らの多くは自分達の音楽に「ひと癖加える為」の手段として「グランジ的な気怠さやノイズ」を起用していたような印象があるのだが、このオブリヴィオン・ダスト(Oblivion Dust)というアーティストは、USグランジ・オルタナなどと一切の距離を置かずに「自然に湧き出るもの」というスタンスでナチュラルにUSハードサウンドを聴かせてくれる。

    「要点」

  • ・イギリス出身のボーカリスとKen Lloyd(vo)と後にhydeと共にヴァンプス(VAMPS)を結成するK.A.Z(g)を中心に結成
  • ・USグランジ・オルタナなどと一切距離を置いていない

「曲解説」

1 YOU

サイバーで歪んだ音の断片が「DJスクラッチ」のようにリフレインされるヘヴィロック。ヘヴィなサウンドの中に所々「不気味な静けさを感じる静のパート」が挿入されており、ヘヴィなサウンドが一層ヘヴィに響き渡る仕掛けとなっている。「FXXK YOU!」を連呼するKen Lloyd(vo)の怒りに満ちたシャウトは当時隆盛を極めていたUSヘヴィロックと共振する。
2 COME ALIVE

「静」→「動」のダイナミズムを強調したグランジ的な展開とK.A.Z(g)の「どんよりした曇り空」のようなギターサウンドが印象に残る曲。Ken Lloyd(vo)のボーカルラインは「泥水」のような質感で曲にダーティーな質感を与えている。
3 CRAZY

レディオヘッド(radiohead)の2ndアルバム「The Bends」からの影響を感じるシンプルなエモーショナルロック。K.A.Z(g)のギターサウンドは「気怠くスロー」であり主張は控えめなのだが独特の存在感がある。Ken Lloyd(vo)のボーカルは「痛み」と「喪失感」をエモーショナルに表現しており、歌詞は「君の不思議な薬でしか止まることのない痛み」についてである。
4 30

「スペーシーな音響のループ」と「ハイテンションなグランジロック」が並走するサビがインパクト大の曲。Ken Lloyd(vo)のボーカルはやはり怒りに満ちている。
6 ALIEN

「気怠い黄昏」のようなアルペジオを中心に展開されるダークなバラード。多重録音されたKen Lloyd(vo)のボーカルが幻想的な雰囲気を醸し出している。
7 GIRLIE BOY IMITATION #6

重低音が強調されたヘヴィリフが躍動するハードチューン。K.A.Z(g)のギターサウンドはあまりエフェクターを使っていないウォームな響きだが不思議とヘヴィに響き渡る。この不思議なヘヴィ感はトニー・アイオミ/ブラック・サバス(Black Sabbath)を彷彿とさせる。
8 NO MEDICATION

「地下のダークな実験室」のような音響を感じるサイバーなロックチューン。DJスクラッチや「動物の鳴き声にエフェクトをかけた」ような効果音がアクセントとなっており、サビは「USロック以上にUSロックな響き」である。
9 PLASTIC WINGS

「ザクザクした刻みリフ」と「空間を構築する立体的なアルペジオ」の対比が面白く、メランコリックだが疾走するタイプの曲でスマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)からの影響を感じられる。Ken Lloyd(vo)のボーカルは耽美的なファルセットを活用している
11 GOODBYE

退廃的でダークなUKロックをパンク調に演奏したようなタイプの曲。K.A.Z(g)のギターサウンドはシンプルではあるが「マイナー調のディープなコードワーク」「直線的なオクターブ奏法」を効果的に使い存在感を放っている。
12 YOUR YESTERDAY

クラシカルな弦楽器の調べが「黄昏の港町」を連想するバラード。「僅かな望み」のようなアルペジオがセンチメンタルな響きのKen Lloyd(vo)のボーカルを優しく包み込む。

イギリス出身のボーカリスとKen Lloyd(vo)とのちにhydeと共にヴァンプス(VAMPS)を結成するK.A.Z(g)を中心に結成されたオブリヴィオン・ダスト(Oblivion Dust)の3rdアルバム このオブリヴィオン・ダスト(Oblivion Dust)は、日本より先にアメリア西海岸でライブを行う(wiki)など「向こうのハード系アーティスト」が日本で活動しているようなイメージのアー

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X JAPANのカリスマギタリストhideのソロデビューアルバムであり「インダストリアル」「オルタナ」「グランジ」などのハードな歪みを大胆に取り入れた作風となっている。

hideの魅力はエッジのたったサウンドやマニアックな響きを主にしたサウンドを作りつつも、そこに「おもちゃ」や「ゲームセンター」のようなポップネスを反映できる点であろう。80年代UKギターポップのような「4 EYES LOVE YOU <T.T.VERSION>」ワルツ調のギターサウンドを響かせる「8 A STORY」などはhideの音楽的なキャパシティーの大きさを感じさせる。

「2 DICE」「13 TELL ME」のギターソロはエックスジャパン(X JAPAN)風のハモリフレーズでありhideからエックスジャパン(X JAPAN)ファンに対するプレゼントのようであり、「14 HONEY BLADE」における「神登場のミステリアスな語り」は後輩であるルナシー(LUNASEA)に対するhideからの「愛のあるイジリ」であると思われる。

    「要点」

  • ・エッジのたったサウンドやマニアックな響きを主にしたサウンドを作りつつも、 そこに「おもちゃ」や「ゲームセンター」のようなポップネスを反映
  • ・「2 DICE」「13 TELL ME」のギターソロはエックスジャパン(X JAPAN)風のハモリフレーズ

「曲解説」

1 PSYCHOMMUNITY

X JAPANのメジャーファーストアルバム「BLUE BLOOD」に収録されているオープニング「PROLOGUE (〜WORLD ANTHEM)」を思わせる曲で、「中世ヨーロッパに建てられたドイツの古城」のような叙情性を放つHRインスト。
2 DICE

当時の日本のメジャーシーンでは「斬新すぎたインダストリアル・ビート」を大胆に反映させたファストチューン。ギターサウンドは「金縛りのようなメタリックな音響」となっており「叩きつけるような直線的なビート」が大きな存在感を放っている。歌詞は「目の前にうつる全てが化け物に見える」尖ったセンスをもつ異端な10代に対するメッセージソングのようなイメージで「世間や大人に縛られず自分の思い描く花を咲かせればいい」という内容(1:10〜)「13 TELL ME」同様にX JAPAN風の流麗なハモリギターソロが登場(2:28〜)「ピィ〜、ピィ〜」というフィードバックノイズが鳴り響き最後までアグレッシヴに攻めきる。
4 EYES LOVE YOU <T.T.VERSION>

「80年代UKギターポップ」のような透明感とメロウネスを感じる曲だが歌詞には「絶望」や「狂気」という過激な言葉が登場して不思議なミスマッチがある。この曲のクリーンなギターフレーズはX JAPANでは聴けない類のものであり当時ファンに大きな衝撃を与えたハズだ。
5 D.O.D.(DRINK OR DIE)

ザクザクしたスラッシュメタル・リフが空間を切り裂く凶暴なハードコアチューン。hideの声にもエフェクトがかけられており、サビではhideが得意としている「早口呪文歌唱」が冴え渡る。「2 DICE」同様に海外のインダストリ系アーティスト/ミニストリー(Ministry)からの影響を感じる「コアなインダストリ感」を導入しているが「おもちゃ」のようなポップネスも同時に感じる事ができる曲となっている(1:54〜)ブレイクの後、BPMが倍速位に速くなりスラッシュに畳み掛ける。
7 DOUBT <REMIX VERSION>

「サイバーな爆発」のような強烈な歪みが炸裂するサイボーグロックの名曲。終始「分厚いモザイク」のような音響感でhideのボーカルにはやはりエフェクトがかけられており間違いなく「シラフではないブチ切れたテンション」で狂ったように畳み掛ける。「俺とよく似た歌うたい」なる歌詞からおそらくではあるが、自分(hide)のスタイルを表面的になぞってアナーキーを気取っている痛い人達を痛烈に批判していると思われる。そんな気がする。
8 A STORY

「よく晴れた夏の日のメランコリックな思い出」のような浮遊系バラード。ワルツ調の流れるようなアコースティックサウンドを導入しており、hideの音楽的なキャパシティーの大きさに驚く。
9 FROZEN BUG ’93 <DIGGERS VERSION>

「壊れたラジオ」のような無秩序な歪みが歪(いびつ)な空間を構築する曲。ボーカルラインは「ミニマムなヘヴィリフ」のようだし、サウンド的にも「かき混ぜたグランジロック」のようなイメージなのだが不思議とポップな響きを感じるhideマジックを堪能できる(2:35〜)「悲鳴を洗濯機にぶち込んだ」ようなアバンギャルドノイズが登場、その後は「享楽的なバカンス」のようなトロピカルサウンドが鳴り響きアクセントとなる。
11 BLUE SKY COMPLEX

タイトル通り「BLUEなSKY」を連想するホーンセクションを大胆にフィーチャーしており、アグレッシヴなハードサウンドとホーンセクションが「仲良く喧嘩している」ようなイメージの曲で「音同士が殺しあわないギリギリの距離感」が面白い。
14 HONEY BLADE

「穏やかヴァース」→「アグレッシヴなサビ」に移行するグランジソング(2:15〜)ルナシー(LUNASEA)のインディーズ時代の名曲「CHESS」における 「ダークでミステリアスな語り」と共通する語りパートが挿入される。「神」というフレーズも登場。。hideによる愛のある後輩イジリだと思われる。
15 50% & 50% <CRISTAL LAKE VERSION>

ラテン調のアコースティックサウンドが印象的なリミックス。牧歌的なバイオリンの音色や軽やかなパーカッションの響きが「田舎の花畑」のような空気感を醸し出しす(3:52〜)「のどかな空気」を引き裂くように突如、アグレッシヴなハードサウンドが鳴り響く展開はインパクト大。

X JAPANのカリスマギタリストhideのソロデビューアルバムであり「インダストリアル」「オルタナ」「グランジ」などのハードな歪みを大胆に取り入れた作風となっている。 hideの魅力はエッジのたったサウンドやマニアックな響きを主にしたサウンドを作りつつも、そこに「おもちゃ」や「ゲームセンター」のようなポップネスを反映できる点であろう。80年代UKギターポップのような「4 EYES LOVE YO

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90年代に活躍した女性ボーカルのギターロック・ポップアーティストの代表格ジュディ・アンド・マリー(JUDY AND MARY)。

YUKI(vo)のキュートな歌声は印象に残っていたのだがアルバムをじっくり聴きこんだことはなかったのだ。今回初めてジュディ・アンド・マリー(JUDY AND MARY)のアルバムを聴いてみたところ、90年代以降のギターノイズをいち早く取り入れたアバンギャルドとも言えるサウンドに衝撃を受けた。

しかし、そのサウンド以上に衝撃なのはこのアルバムが200万枚以上のセールスを記録しているという点である。アンダーグラウンドなシーンで壊れたノイズを取り入れているバンドは当時、もちろん存在していたとは思うが今作は壊れたノイズをふんだんに取り入れておりながらもダイレクトにフックの効いたボーカルラインが真っ先に耳に入ってきてメロディックなポップソングとして成立している。ノイジーで壊れたサウンドがYUKI(vo)のキュートな歌声をさらに魅力的に響かせている。

    「要点」

  • 97年の日本の音楽シーンで「やりすぎなノイズサウンド」
  • ノイズサウンドがYUKI(vo)のキュートな歌声をさらに魅力的に

「曲解説」

1 BIRTHDAY SONG

タイトルとは裏腹に「ロボットが壊れた」ようなノイズが鳴り響くオープニングソング。サビの後ろでも「関係ない」と言わんばかりにノイズサウンドが渦巻いているが同時に「氷のように透明」な電子音も鳴っておりノイズロックではなくノイズポップとなっている。間奏部やギターソロは非常にアバンギャルドでサイバーな空気感が流れるものとなっている。
2 ラブリーベイベー

壊れた質感を持つギターポップ「1 BIRTHDAY SONG」同様サビでも容赦無くぶっ壊れたノイズサウンドが響き渡る。 時折、挿入される愛らしいコーラスがアクセントになっている。97年の日本のJ-POPシーンでここまで壊れたノイズを前面に押し出した曲はレアだと言える
3 そばかす

時空が歪んだような心地よい違和感とキャッチーなボーカルラインを持つヒットソング。イントロ・間奏・アウトロではやはり壊れたノイズサウンドが鳴り響き(2:24〜)元気でノリの良い曲の中にジャージーでアダルトなパートが挿入される。歌詞はサウンドとは裏腹にメルヘンの極みのような内容となっている。
4 KISSの温度

アーバンなポップソングとノイズが同居している曲。部屋でくつろいでいるようなリラックス感と夢のような浮遊感を同時に感じる空気感で(1:26〜)マニアックなエフェクターがかかった歪み音で奏でられる牧歌的なフレーズは非常に癖がある。
6 Pinky loves him

少しジャージなサウンドとYUKI(vo)の元気な歌声の対比が面白い曲。「アダルトなバーに佇む男」のように淡々と静かに進行する。さすがにこの曲にノイズサウンドは登場しない。
7 くじら12号

ドライブするベースラインとジャカジャカ歪むギターサウンドを中心に展開されるヒットソング(1:27〜)サビのボーカルラインは「待ちわびた海開き」のような爽快さとダイナミズムを感じるものとなっているが、裏ではモノトーンなダンスビートが鳴り響きBPM以上のスピード感を演出している。
8 クラシック

「目の前がパッと開けた」ような開放感を感じるギターロック(1:40〜)ギターソロはモダンなサーフミュージックのような清涼感を感じるものとなっており、終盤は抑揚の効いたサビが繰り返し流れ最後は静かに終わる。
10 The Great Escape

本作を象徴するようなアグレッシヴなノイズポップ。ハードで畳み掛けるようなパンク調ではあるがYUKI(vo)のキュートな声とマッチしている。

90年代に活躍した女性ボーカルのギターロック・ポップアーティストの代表格ジュディ・アンド・マリー(JUDY AND MARY)。 YUKI(vo)のキュートな歌声は印象に残っていたのだがアルバムをじっくり聴きこんだことはなかったのだ。今回初めてジュディ・アンド・マリー(JUDY AND MARY)のアルバムを聴いてみたところ、90年代以降のギターノイズをいち早く取り入れたアバンギャルドとも言えるサ

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グランジ・オルタナ系ギターバンドの中で最も「耽美」「浮遊感」「メルヘン」という形容が似合うアーティストであり、ハードなギターサウンドをフィーチャーしたサウンドではあるのだが、他のUSグランジ・オルタナ勢に見られるような「ヘヴィネス」や「グルーヴ」といった要素はあまり感じられず、直線的な轟音がなんとも言えない浮遊感を醸し出している。

「静」→「動」のダイナミズムを生かしたサウンドも得意とするバンドではあるが、真骨頂やはり「破壊的な轟音」と「メルヘンな質感」を同居させる事にあり、「轟音ニューウェイブ」と言いたくなる独自の音楽であると言える。ビリー・コーガン(vo)の特有のダミ声は「轟音ニューウェイブ」と奇跡の相性をみせ、どれだけ轟音を重ねても不思議な浮遊感を感じる一つの要因になっている。

    「要点」

  • 「耽美」「浮遊感」「メルヘン」を感じるハード系バンド
  • 「轟音ニューウェイブ」と言いたくなる独自の音楽

「曲解説」

1 Cherub Rock

これから始まる激情を予感させるマーチ風のシンバルではじまり、ニルヴァーナ(Nirvana)やサウンドガーデン(Soundgarden)etcとはやや異なる少し「金属的なきらめき」を感じることができるギターリフが鳴り響くが「ヘヴィ」という印象ははなく「轟音」という表現がぴったりのサウンド。タイトル和訳は「天使のロック」おそるおそる歌詞の和訳を見てみるとファンタジーな内容ではなく生々しい音楽産業批判であった。
2 Quiet

SEは「センサーが不法侵入者の発見を知らせる」ような不穏な残響音。その後は「地に張り付く砂鉄」のような重低音リフが終始鳴り響く (1:50〜)ブラックホールに吸い込まれるような音の後にこれからの爆発を予感させる手数の多いドラムフレーズが鳴り響き(2:02〜)「空気をナイフで引き裂く」ような金属的でエフェクティヴなギターソロ飛び出す。
3 Today

日本のミクスチャーバンド「ドラゴン・アッシュ(Dragon Ash)」がヒットシングル「Grateful Days」のイントロで本曲のアルペジオをサンプリングしている事でも有名。おとぎ話のような少しセンチメンタルなアルペジオが終始鳴り響くが、メインリフはそれとは対極の地を這うような轟音となっている。両極端なフレーズが見事に絡み、油絵のような浮遊感を感じる事ができる。
4 Hummer

ヒップホップ風のリズムに激しいモザイクような音が絡んだようなSE(0:55〜)異なる音色がハモるツインギターは轟音だがやはり浮遊感を感じる(1:18〜)透明でクリアなアルペジオは同時期のグランジ・オルタナバンドではあまり聴けない。その後は「透明でクリアなパート」と「油絵のような轟音」パートを交互に繰り返す(4:30〜)流れるようなアルペジオはメランコリックさが強調されており、特に後半は「水面に広がる波紋」のような美旋律が堪能できる。
6 Disarm

柔らかいアコギのコードストロークとストリングスとビリー・コーガン(vo)の歌声だけで構成される壮大な曲。本曲におけるビリー・コーガン(vo)のボーカルはエモーショナルでセンチメンタル。ボーカルラインの美しさは筆者がこれまで聴いた全ての曲の中でもトップ10に入る位の神ライン。教会の鐘を思わせる音もセンチメンタルな雰囲気を助長する。
7 Soma

「何も起きない平凡な日常」のような淡々とした静かなアコギの音色が心地よく、そこにビリー・コーガン(vo)の繊細なボーカルラインが加わる(2:25〜)徐々にボーカルラインに抑揚がつき始め平凡な日常に色彩が加わる(3:30〜)轟音ギターサウンドが鳴り響きグランジサウンドに変貌(6:00〜)全ての感情を放出した後のような静けさに包まれ「浅い夢」のようなメルヘンなメロディーが流れる。
11 Silverfuck

ブラッシングノイズをうまく取り入れたザクっとした質感のノイズギターがメインリフ(1:00〜)テンポダウンして原始的なリズムとビリー・コーガン(vo)の囁くような歌声だけで構成される展開に移行するが(1:37〜)直線的なギターリフが鳴り響き一気に熱量マックスのグランジサウンドに変貌。鳴り響くフィードバックノイズが凶暴な雰囲気を演出(3:02〜)世界の果てを思わせる静寂に包まれエフェクティブなノイズの断片が挿入されるが(6:46〜)ハードな展開に戻りその後は視界に映る全てを木っ端微塵に破壊するようなノイズの渦に包まれる。
12 Sweet Sweet

ニューウェイブ直系のガラス細工のような透明で耽美的なギターサウンドとビリー・コーガン(vo)による「淡い炎」のようなボーカルラインのみで展開される浮遊感あるの曲。ほとんど全ての曲に言える事だが異なる世界観や質感を1曲の中に同居させている。

グランジ・オルタナ系ギターバンドの中で最も「耽美」「浮遊感」「メルヘン」という形容が似合うアーティストであり、ハードなギターサウンドをフィーチャーしたサウンドではあるのだが、他のUSグランジ・オルタナ勢に見られるような「ヘヴィネス」や「グルーヴ」といった要素はあまり感じられず、直線的な轟音がなんとも言えない浮遊感を醸し出している。 「静」→「動」のダイナミズムを生かしたサウンドも得意とするバンドで

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