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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果59件

タグ「J-ポップ」のレビュー

TM NETWORKのブレイクを決定付けた出世作で前半はテンポが早くノリのいい曲が中心で後半はバラード中心という構成になっている。

じっくり本作を聴いた率直な間奏としてはここまで「ファンク」「プログレ」のテイストをもっているグループだとは思わなかった反面、90年代TKサウンドのような極彩色なサビのボーカルラインなどはほとんどなく、どちらかというと玄人好みな曲が多いと思った。

時折、聴く事ができる90年代エレクトロニカ風のシンセサウンドやプログラミングされた機械的なボーカルラインなどは87年当時の日本の音楽シーンでは相当な異彩を放っていたと思われる。

87年は「ボウイ(BOØWY)」「米米CLUB」が傑作をリリースしているが彼らに比べるとTM NETWORKは少し不器用であると感じる。「ビートを強調したアグレッシヴさ」や「振り切れた異国感」といったある種のわかりやすさが少ないと感じるからだ。本作を聴いてメインソングライターのTKこと「小室哲哉」が「90年代にヒットソングを連発し稀代のヒットメーカーになる」と予想できる人はあまりいないハズである。

    「要点」

  • ボーカルラインのメロディーは意外とスルメタイプ
  • 都会的なシンセとファンクなベースラインが特徴
  • 時折、見え隠れするプログレ匂

「曲解説」

2 Maria Club (百億の夜とクレオパトラの孤独)

「賑やかな都会の休日」のような抑えられないワクワク感を感じるシティーロック。イントロ・間奏部ではエッジの効いた最小限な手数の歪んだギターサウンドが鳴り響き、リフレインされるミニマムなシンセリフの合間をゴージャスで少しコミカルなホーンセクションが踊る。(1:02〜)Bメロの裏では「プールの水面の上で踊る光」のようなエレクトロニカ風の揺らめくシンセフレーズが登場し、少しシリアスなムードを与える(1:17〜)サビは「都会の雑踏をすり抜けた」ような解放があり、(1:28〜)90年代のTKサウンドでも頻繁に聴く事ができる「wow wow wow wow」というコーラスが飛び出す。
3 Don’t Let Me Cry (一千一秒物語)

弾力のあるベースラインが脳にゴリゴリくるファンクチューン。ひんやりと冷たいディスコ風のシンセと規則正しいマシンビートは「誰もいない深夜のオフィス街」を思わせ、ミニマムなカッティングギターが曲に「急ぎ足」のようなスピードを与えている。
4  Self Control (方舟に曳かれて)

直線的なビートとループされる「Self Control 」というボーカルラインが、当時「近未来」だったと思われる代表曲。Aメロのシンセフレーズはサビのボーカルラインを淡々となぞるが、Bメロでは華やかに弾ける。1:30〜 壮大なストリングスとサイバーな質感のノイズギターが登場、1:52〜 「螺旋階段を早足で降りる」ようなプログレ的なギターフレーズも聞く事ができる。やはりこの曲でもミニマムなカッティングギターが曲にスピードを与える。最後は「未来」のような眩しい光に包まれワープするように終わる。
6 Fighting (君のファイティング)

強い風が吹く街で一人で佇むような雰囲気のバラード。涼しく淡々と進行するヴァースと力強いサビという構造。サビのボーカルラインは珍しくハードなロック的な熱量がある。2:44〜 「移り変る街」のようなサックスソロがノスタルジック。
7 Time Passed Me By (夜の芝生)

「目の前にでかい夕日が浮かんでくる」ようなアコースティックバラード。ゆったりとしたアフリカンなパーカッションとストリングスが空気感を演出。サビが2回あるような抑揚があるサビのボーカルラインを宇都宮 隆(vo)がしっとりと歌い上げる。(2:40〜)夕暮れ感を醸し出すゴスペル風コーラスがエモく、歌詞の内容は「戻れないあの日」のようなイメージ。
9 Fool On The Planet (青く揺れる惑星に立って)

「宇宙から舞い降りた」ような神秘的なシンセフレーズと雄大なメロディーラインが印象的な曲。ヴァースは昼間から少しアルコールを飲んだアーバンな休日のような雰囲気だが、「空まで届く」ようなボーカルラインをもつサビがダイナミック。1:58〜 間奏では一時ハードロックのようにハードに畳み掛けたり3:23〜 少し酔っているようなサックスソロが登場したりと一筋縄ではいかないプログレ感が魅力。

TM NETWORKのブレイクを決定付けた出世作で前半はテンポが早くノリのいい曲が中心で後半はバラード中心という構成になっている。 じっくり本作を聴いた率直な間奏としてはここまで「ファンク」「プログレ」のテイストをもっているグループだとは思わなかった反面、90年代TKサウンドのような極彩色なサビのボーカルラインなどはほとんどなく、どちらかというと玄人好みな曲が多いと思った。 時折、聴く事ができる9

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「日本の個性派バンドって誰かいないかな?!」と考えたところすぐに頭に浮かんできた米米CLUB。大人数のグループかつ多才なカールスモーキー石井(石井 竜也)が率いるグループという事もあり、演劇的なアプローチをするグループだという先入観があったのだが、本作を聴いてその先入観はあっさり砕け散った。

本作には「アジアン」「トロピカル」な世界にトリップできるようなカラフルな音を使った良質なポップ・ミュージックが収録されている。「テクノポップ」「シティポップ」「ファンク」「ニューウェイブ」etc。サビのボーカルメロディーをシンセなどと絡めてBPM以上の体感速度を感じるアプローチは大変興味深く、87年にこれだけの多面的なアプローチをしているグループが日本にいたことに衝撃を受けている。

    「要点」

  • 「アジアン」「トロピカル」な世界にトリップできる
  • BPM以上の体感速度を感じるサビ

「曲解説」

1 Only As A Friend

タイトで淡々としたリズムマシーンが時代を感じるプラスティックな質感のシティポップ。 (0:57〜)サビは低音を強調したリズミカルなダンスビートと清涼感のある炭酸飲料のようなシンセサウンドが重なり、 BPM以上のスピード感を感じることが出来る(2:55〜)「島国の子供たちがはしゃいでいる」ようなパーカッションや人力ブレイクビーツの重なりが挿入されその後はサックスによるソロパートが登場する。
2 sûre danse

アジアンな祭のような雰囲気を醸し出す曲。ウォームなベースリフが終始鳴り響き、ホーンの音色はこの曲に祝祭性を加えている (0:58〜)トロピカルな電子音や空間的なカッティングギターが絡みアジアンな雰囲気が出来上がりサビに突入。サビのボーカルラインはファンキーでノリノリ(1:20〜)人力ブレイクビーツのようなビートと「ハッ、ハッハッ」というコミカルな声が挿入されアクセントになっている。 (2:25〜) 夜の夜景を見ながら独り言を呟くような静かなパートがあり、その後、カラフルなホーンが鳴り響きそのまま曲はエンディングに向けて最高潮を迎える。
3 浪漫飛行

ミニマムな低音が心地よいダンサブルなテクノポップ。(0:40〜)大ヒットも納得の神レベルのボーカルラインが登場。窓から入り込む「そよ風のような」シンセサウンドが曲を柔らかく包みこむ(2:26〜)淡々と流れるビートの上を流星を連想するシンセが流れ、終盤はクラシカルなストリングスも登場し浮遊感を増す展開。
4  Collection

ザ・キュアー(The Cure)のような耽美な質感を感じるPOPチューン。真夏の夜のような静けさをもつ曲だがサビは不思議なスピード感を感じる(0:50〜)ボーカルライン自体は淡々としていて渋いがザ・キュアー(The Cure)風の空間ギターサウンドがスピード感を与えるサビ(1:46〜)少しの間、静寂が流れド派手ホーンソロが登場して終盤は呪文のように「Collection」というワードがリフレインされる。
6 Make Up

複雑でタイトなビートが反復されるファンクチューン。ゴージャスなホーンと煌びやかなシンセがバブルを連想させ、底からドンドンと突き上げるファンクなベースが脳みそを刺激する(1:18〜)サビでは七色のシンセ音色が体感速度を上げ、中盤以降は複雑なビートがよりタイトになりレッドツェッペリンのような「ドラムリフ」がファンクの強度を高める。
8  Hollywood Smile

ジャジーなピアノとソウルフルなボーカルを中心に展開される(1:24〜)どこまでも続く星空のような煌びやかなシンセが静寂を運んでくる(2:00〜)ドラムの連打から生命力の塊のような分厚いホーンソロが鳴り響きそのままエンディングを迎える。
9  Hustle Blood

スライムのように潤ったベースラインが攻めまくるシンセポップ。(0:40〜)ボーカルーラインがカラフルなシンセフレーズと絡むことにより極彩色と化すサビ(2:08〜)煌びやかな光を感じるギターソロが登場。全編を通してニュー・オーダー(New Order)に通じる音の質感。

「日本の個性派バンドって誰かいないかな?!」と考えたところすぐに頭に浮かんできた米米CLUB。大人数のグループかつ多才なカールスモーキー石井(石井 竜也)が率いるグループという事もあり、演劇的なアプローチをするグループだという先入観があったのだが、本作を聴いてその先入観はあっさり砕け散った。 本作には「アジアン」「トロピカル」な世界にトリップできるようなカラフルな音を使った良質なポップ・ミュージッ

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90年代の日本の音楽シーンの中でも指折りの個性的バンド/シャ乱Qの5枚目のアルバム。イロモノ扱いされがちなド派手なビジュアルから色んな意味でノリノリのバンドだと思っていたが、アルバムを通してじっくり聴きこんでみるとパブリックイメージとは異なり、音楽的な多彩さとジャズやソウルなどを基盤にしているアダルトな哀愁をもっている事に気付く。

ギターサウンドが全面に出てくるバンドが多かった日本の音楽シーンにおいて、ジャズやソウルから影響を受けたと思われるアダルトなサウンドに はたけ(g)のギターサウンドがアクセントになっている。この良い意味で浮いたギタリストの存在は、ジャンルは全く違うがブラー(Blur)のようなバランスであると感じる。このバランスが次作以降どうなるのだろうか?!

    「要点」

  • ジャズやソウルの影響
  • 見た目とは違い哀愁感のあるアダルトな音楽性
  • 「浮いてる」はたけ(vo)のギター

「曲解説」

1 さんざん言ってんだぜ

霧がかかった空気感が気だるい早朝を連想させるアーバンなソウル。モノトーンな質感のキーボードが「いい部屋に一人で住んでいる男」を連想させ、 チャカポコと鳴るワウギターや残響のようなギターサウンドはが高まる鼓動ように鳴り響く。(3:15〜)部屋全体を包み込む白いベールのようなシンセの上をジャジーなキーボードソロが鳴り響く。つんく♂(vo)のボーカルラインはシックで落ち着いたものになっており、歌詞の内容はホストの生々しい片思いという感じ。
2 ドラマティックに -’90 Dream-

全編にわたりディレイをかけた空間系ギターサウンドが鳴り響くニューウェブ風ポップス。 この曲のギターサウンドはラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)やルナシー(LUNASEA)に近いものがある。 (1:06〜)歌謡曲テイストではっきりしたボーカルラインの隙間を縫うように鳴らされる煌びやかなキーボードが曲に活力を与えており、 空間系ギターサウンドをフィーチャーしたニューウェイブソングは、下手するとダークで箱庭なものになる事が多いのだが、 シャ乱Qというフィルターを通すと不思議と明るく聴こえる。
3 Good-byeダーリン

激しい雨のように連打されるキーボードが印象的なジャジーなポップロック。終始鳴り響くキーボードの上をミニマムで歪んだギターリフが乗り、タイトなリズムはビシッと曲を引き締めている。(0:44〜)「ブルース調の歌謡」という趣のボーカルラインをつんく♂(vo)がしゃがれた声で歌い上げる。ブルージーで熱量のあるサビとボーカルラインがありながらも、「熱い感じ」ではなくむしろアーバンで落ち着いた印象を受ける。
4 ズルい女

夜の街やネオンを連想するトランペットの音が印象的なヒットシングル。アダルトなトランペットとチャカポコしたなギターサウンドが終始鳴り響き空気感を演出。(1:12〜)虹のようにカラフルなキーボードがアダルトでムーディーな曲に色彩を与え(1:26〜)「ズルイ女」に対する恨み節と未練を歌うキャッチーなメロディーラインが登場(1:58〜)トランペットによるソロパートが鳴り響く中、時折、ソウルフルなつんく♂(vo)のシャウトが炸裂。最後までアダルトでゴージャスなトランペットが響き渡る。
5 DA DA DA

ジャジーな雰囲気とグルーヴィなギターリフが共存するハードな曲。サウンドガーデン(Soundgarden)のようなスローでグルーヴィなギターリフが印象的でつんく♂(vo)のボーカルラインもリフのように短いものになっている。(2:53〜)他の曲とは明らかに異なる質感の泥水のようにうねりまくるグルーヴィーなギターソロが登場する。彼らなりにUSグランジを消化した曲と言えるだろう。
6 空を見なよ

「白い絨毯乗って空を飛び回る」ような空間的な広がりを感じるギターポップ。全てのパートがミニマムな音数で構成されて1つに溶け合っている。歌詞は「人生、先のことはわからないから今を生きよう」という内容。終盤はサビが繰り返しリピートされる。(3:26〜)バンドサウンドが止まり最後はピアノの調べとボーカルのみの展開となりしっとりと終わる。
7 ROBERT

リラックスした雰囲気のジャジーなポップロック。ジャージーでシンプルなサウンドにはたけ(g)のグルーヴィーなギターリフが絡む。 歌詞は「自分のやりたいことをやろう、人がどう思っても」という内容で周囲を気にして行動を起こせないリスナーの背中を押してくれる。 (1:02〜)キャッチーでポップなボーカルラインをもつサビが登場(1:30〜)夕日のような哀愁があるハーモニカソロが響き渡り曲に渋みを与え、 終盤は「人生はギャンブル」だと言い放ちシャウトを連呼するファンキーな展開。
9 SANAFE

「季節の終わり」のようなメランコリックなピアノの旋律が印象的なバラード。つんく♂(vo)のエモーショナルで繊細なボーカルラインが美しく、終始鳴り響くメランコリックなピアノの旋律は「誰もいない真っ白な部屋」のようだ(1:45〜)そこに哀愁感ただようブルージーなギターソロが鳴り響く(2:13〜) 「ダダン、ダダン」というドラムを合図に「曇り空」のような重さをもつバンドサウンドが加わり曲を重厚にして最後は静かに残響だけが残る。
10 ピエロ

カラフルなシンセと歪みギターが絡む80年代ライクなシンセロック。イントロはゴージャースなシンセで幕を開けて、そこに空間系の歪みギターが絡み空気感をさらに豪華に飾る(1:04〜)サビではシャワーのような煌びやかシンセ音が鳴り響き(2:56〜)残響が心地よいリバーブのかかったギターソロが登場。「過剰な煌びやかさ」が無条件にバブルを連想する。最後はブレイクの後、物悲しい春風のようなピアノの調べで終わる。

90年代の日本の音楽シーンの中でも指折りの個性的バンド/シャ乱Qの5枚目のアルバム。イロモノ扱いされがちなド派手なビジュアルから色んな意味でノリノリのバンドだと思っていたが、アルバムを通してじっくり聴きこんでみるとパブリックイメージとは異なり、音楽的な多彩さとジャズやソウルなどを基盤にしているアダルトな哀愁をもっている事に気付く。 ギターサウンドが全面に出てくるバンドが多かった日本の音楽シーンにお

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グレイ(GLAY)らしいスピードチューンを中心にまとめられたベストアルバム。 エックスジャパン(XJAPAN)が解散を発表しヴィジュアル系(V系)というワードが世間にも浸透し始めた97年に本作はリリースされた。

現在、冷静に本作を聴いてみると普遍的なボーカルラインのよさとボーカルラインを第一に考えたウォームであまり主張しないギターサウンドが印象に残る。「主張しないギターサウンド」と聞くとあまり印象が良くないかもしれないが、当時はルナシー(LUNA SEA)のコピーバンドのようなバンドが大量発生していた時代で、ダークで耽美的で空間的なアプローチがヴィジュアル系(V系)シーンの主流であった。 「ヴィジュアル系(V系)と呼ばれる人たちがいるらしいけど「そっち系はちょっと、、」」という「普通の10代」にはグレイ(GLAY)の歌のメロディーラインを最優先するノーマルな方法論は圧倒的にわかりやすく、また多くの人の琴線にふれる普遍的なボーカルラインが刺さり空前の大ヒットを記録した

    「要点」

  • スピードチューン中心のベストアルバム
  • 楽曲第一であまり主張しないギターサウンド
  • ボーカルラインを活かす普通な方法論がV系では異端

「曲解説」

1 グロリアス

「分身の術」のようにブレるイントロのギターサウンドが印象的であまり歪んでいないウォームなギターサウンドによるバッキングと TERU(vo)のハスキーボイスを活かしたメロディックなボーカルラインを中心に構成される。Aメロ〜Bメロは多少サウンドの強弱はありつつも淡々としたサウンドとボーカルラインで進行するが、サビ前のCメロで急加速してリスナーに迫ってくる。サビのボーカルラインはジェットコースターのように山あり谷ありカーブありと抑揚が非常に大きいグッドメロディーとなっている(2:05〜)曲の雰囲気にマッチした耳に残る ツインギターのハモリフレーズはX JAPANからの影響を感じる?!(3:25〜)雨の街角を連想するクリーンアルペジオが流れる静パートが挿入され最後はギターリフが繰り返しリフレインされハードな質感をもったまま終わる。
2 彼女の“Modern…”

「性急でバタバタ」としたリズムとエッジの効いたギターリフが曲を引っ張る「ダイスで決める予定はとりあえず無視する」という大胆な宣言して始まるスピードチューン(0:28〜)Aメロはザクザクのギターの刻みサウンドが鳴っているが、全くといっていいほど「メタルの匂い」は感じず曲に疾走感を与えている(1:32〜)「ウ〜バイブル」という斬新な名コーラスがが今後の爆発を予感させ(1:46〜)ボーカルラインがとんでもない体感スピードを感じるサビが登場する。このボーカルラインはハモリのツインギターで弾くと強烈にハマるフレーだろう(2:17〜)サビとバトンタッチしてスピード感のあるギターソロが始まるが(2:30〜)またしてもツインギターによりハモリフレーズが顔を出す。最後までだれることなくスピード感を維持して曲は終わる。
3 BELOVED

「あの頃の僕ら」のような哀愁を終始感じるミドルテンポのバラード(1:21〜)同世代のバンドが避けそうな歌謡曲的なボーカルラインを気にせずやってしまうグレイ(GLAY)らしい伸びやかなサビ(2:20〜)ノスタルジーな叙情系フレーズが印象的なギターソロだが、ここでもやはりツインギターによるハモリフレーズが登場する。このあたりは同じツインギターでも先輩格であるルナシー(LUNA SEA)などのバンドではまずありえない展開だ。最後は「夢の終わり」のようなにアコギが爪弾かれて終わる。
5 千ノナイフガ胸ヲ刺ス

曲の冒頭でタイトルを叫ぶというかなり珍しい展開。刻まれるハードなギターリフや歌詞に出てくる「悪魔」というフレーズなど、少しメタルを意識している曲なのかもしれないが「メタル匂」は一切感じず「スピード感のあるポップネス」を体感でき、「ハードでアグレッシッヴなパート」と「宇宙の雰囲気を感じる静かなパート」によって構成される(1:25〜)キラキラしたシンセが夜空の星を連想する静かなパートが挿入されるが、サウンドとは裏腹な歌詞は「刹那的に燃え上がる恋」みたいな内容。「tonight i pray for you」(あなたのことを祈っている)という歌詞からわずかだがV系のエッセンスを感じる(2:17〜)スパニュシュギターのような異国感を感じるフレーズから始まるギターソロだが途中からヘヴィメタル的なハモリフレーズも登場して曲を引き締める。終盤はさらにスピード感を増したハードサウンドで最後まで駆け抜ける。
7 口唇

グレイ(GLAY)クラシックとも言える「スリリングな恋の駆け引き」をテーマにしたスピードチューン。サビから突入するビートルズ彷彿の展開やポリリズムの導入などがBPM以上のスピード感を演出している(0:00〜)メロディックなサビのボーカルラインから曲が始まるのだが、バックでは薄く透明なバブルのようなポリリズム的な電子音が鳴り響いている(1:14〜)2回目のサビではポリリズムの上をハードなギターサウンドが乗り「1回目のサビ」よりも更にスピード感を感じる。中盤以降は畳み掛けるようにサビを連発して最後まで攻め続ける。
9 HOWEVER

「木漏れ日」のような柔らかいピアノの旋律ではじまる名バラード。緊張感があり一人の夜を連想するジャジーなテイストがある(1:30〜)サビは壮大なストリングスとダイナミックなサウンドが絡み、「過去の叶わなかった愛情」という趣の歌詞を歌う美しいボーカルラインをより一層引き立てる(3:04〜)暖かい春風のような「フゥ〜、フゥ〜フゥウウ〜」というコーラスが曲に息吹を与え、中盤以降は壮大なストリングスが存在感を増し曲全体を包み込む。曲が終わる頃には「一人の夜」のような孤独感ではく「清々しい孤独」を感じることができる。
10 Freeze My Love

シンセを大胆に活用したスピードチューン。「見えない影に追いかけられる」ようなシンセサウンドと「誰もいなくなった部屋」を連想するようなマイナー調のギターが疾走感を演出する。ポップで「非メタル」なザクザクギターが終始鳴り響くグレイ(GLAY)流シンフォニックメタルのような曲(1:14〜)サビのボーカルラインのバックで流れる切迫感のあるミニマムなシンセフレーズはダークなギターサウンドと絡み少し不穏な雰囲気とBPM以上のスピード感を与える(2:42〜)80年代ブリティッシュ・ヘヴィメタルのバンドのような叙情性あるギターソロが飛び出す。ジャジーな音色なども取り入れ懐古主義になっていない点が素晴らしい。そして最後はやはりハモリのツインリードで締めくくられる(3:42〜)ブレイクビーツのような3連ドラムリフが登場しアクセントになっている。最後は「同じ月が照らす違う人生」というエモワードで登場し終わる。
11 KISSIN’ NOISE

アグレッシヴなアコギのストロークから始まる珍しくプログレ的な展開を見せる曲。基本的にはハードでアグレッシヴなバンドサウンドで展開されるのだが(2:00〜)唐突な転調が入り、重力がバグったサイバーな異空間に放り込まれる(2:30〜)夕暮れの街のような哀愁あるギターフレーズが登場して哀愁のある空気に包まれるがが(3:00〜)「だから!」という威勢の良いボーカルラインからハードでアグレッシヴなサウンドに戻る。終盤はギターソローも登場してハードなサウンドでそのまま最後まで走る。

グレイ(GLAY)らしいスピードチューンを中心にまとめられたベストアルバム。 エックスジャパン(XJAPAN)が解散を発表しヴィジュアル系(V系)というワードが世間にも浸透し始めた97年に本作はリリースされた。 現在、冷静に本作を聴いてみると普遍的なボーカルラインのよさとボーカルラインを第一に考えたウォームであまり主張しないギターサウンドが印象に残る。「主張しないギターサウンド」と聞くとあまり印象

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前作までのナイーヴな質感は残しつつ90年代以降の音楽から影響を曲に反映させ始めた作品で、時代が求める空気感に見事にはまりミスター・チルドレン(Mr.Children)史上最高のセールスを記録したアルバム。

「2 Dance Dance Dance」で聴ける歪んだカッティングリフやエフェクトのかかったボーカル、「7 ジェラシー」に流れるアブストラクヒップホップにも通じるダークさ、分厚いシンセサウンドがスピード感を体感できる「11 Round About 〜孤独の肖像〜」など、自分たちが影響を受けた幅広いジャンルをポップ・ミュージックに落とし込んでいる。また前作まではどこか箱庭的にこじんまりとしていた桜井 和寿(vo ,g)のボーカルラインはサビを中心にメロディックになっており一回聴いたら耳から離れない魔力がある。

    「要点」

  • ボーカルラインがメロディックに変貌
  • 90年代的な空気感と見事にマッチしている
  • 「7 ジェラシー」は明らかに異色作

「曲解説」

2 Dance Dance Dance

「散らかった部屋」のような透明で歪んだミニマムなリフが繰り返されるミスター・チルドレン(Mr.Children)風90年代USロックという趣の曲。これまでのミスター・チルドレン(Mr.Children)とは異なる雰囲気でエフェクトのかかった歪んだ声で歌われる「社会風刺」と桜井 和寿(vo ,g)の伸びやかなボーカルラインと春風のようなサウンドが聴くことができるサビが実に対照的だ。
3 ラヴ コネクション

ウォームなギターサウンドが鳴り響くシンプルな曲。シンプルに淡々としヴァースと曲に奥行きと厚みを与える銀座のバーのようなホーンセクションに開放的なボーカルラインが乗るサビによって構成されている(3:36〜)ワウをかけた70年代ハードロックバンドのようなサイケなギターソロが鳴り響く。
4 innocent world

イントロのギターフレーズは「夏の終わり」のようで少しセンチメンタル。仕事に追われて何も起きない平凡な日常のようなヴァースと清涼感のある桜井 和寿(vo ,g)が奏でる「メロウな記憶が走馬灯のように過ぎていく」ようなボーカルラインを持つサビによって構成される。柔らかいそよ風のような爽快感を感じる事ができるポップソング。
5 クラスメイト

シンプルなリズムの上を渋いサックスと水滴のような繊細でクリーンなギターが淡々と鳴り響くアーバンなソウルミュージックのような曲。サビのボーカルラインは派手ではないがしっかりとした熱量を感じる事ができる。
6 CROSS ROAD

「LOVE」と「並ぶ」をかけた言葉遊びもお見事な曲。サビが2個あるような壮大で流れるようなボーカルラインは90年代J-POP/J-ROCK史に残る神ラインだと思う。サウンド的には最小限の音で構成されたアーバンなギターポップといった感じ。
7 ジェラシー

本作中で最も実験的でアブストラクヒップホップに通じるようなダークさと「宇宙にいる」かのような無重力感を感じる曲。ミニマムで軽やかなビートと不穏なうねりを生み出すベースラインが中心となりギターはほとんど入っていない。歌詞はエロ系で心身ともに満たし合ういけない男女関係みたいなイメージ。
8 Asia (エイジア)

タイトル通り「湿度の高い東南アジアの街」にいるような雰囲気を感じる曲であり、抑揚なく流れる川のようなサビのボーカルラインがアジアンテイスト。 ギターリフは「じめっとした空気感」を演出するような重さがある(3:00〜)軽く酔っているような透明なギターソロが異国感を演出(4:30〜)これまでの淡々とした展開が嘘のような桜井 和寿(vo ,g)による 「オォー、オォー、オォー」というメロディックな雄叫びのようなボーカルラインが登場。曲はそのまま静かにフェードアウトしていく。「7 ジェラシー」同様に新機軸といえる1曲。
11 Round About 〜孤独の肖像〜

スポーツに青春を捧げた過去を回顧するような壮大なホーンセクションが印象的。「80年代ギターポップのようなメロウなヴァース」と「分厚くスペーシーなシンセと軽やかなアコギで「マッハのスピードを感じる弾けたサビ」で構成されている曲(3:15〜)サックスソロが始まるがどことなく青春的なメロウさを感じる。シティーポップ的なアーバンさと田舎っぽさが同居している。

前作までのナイーヴな質感は残しつつ90年代以降の音楽から影響を曲に反映させ始めた作品で、時代が求める空気感に見事にはまりミスター・チルドレン(Mr.Children)史上最高のセールスを記録したアルバム。 「2 Dance Dance Dance」で聴ける歪んだカッティングリフやエフェクトのかかったボーカル、「7 ジェラシー」に流れるアブストラクヒップホップにも通じるダークさ、分厚いシンセサウンド

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