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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果59件

タグ「J-ポップ」のレビュー

「LOVE」をテーマにした大ヒット・デビューアルバムから4年の時を経てリリースされた2ndアルバムでタイトル通り「LOVE」を更に深くディープに掘り下げた内容となっている。

1stアルバムで印象に残った「少年時代の恋愛感情」にスポットを当てた歌詞は今作でも健在で「5 君の前でピアノを弾こう」などはその流れで書かれた歌詞であろうと思われる。本作で「河村隆一=ラブソング」というパブリックイメージが良くも悪くも出来上がった。それ位、過剰かつストイックに「恋愛」をだけを歌っている作品である。

反面、1stアルバムで「絶妙なスパイス」として機能していたナルシズムは後退しており、メッセージ性やパブリックイメージは全く異なるのだが全ての曲で尾崎豊的な「ありのままの俺」という潔さを感じさせる。この「バランス」や「周囲の目」を一切気にしない孤高のスタンスはある種、神の域である。「恋愛」のみを歌いきった本作の後、河村隆一は一体どこに向かうのだろうか?!

    「要点」

  • ・過剰かつストイックに「恋愛」をだけを歌っている作品
  • ・「バランス」や「周囲の目」を一切気にしない孤高のスタンスはある種、神の域
  • ・1stアルバムで「絶妙なスパイス」として機能していたナルシズムは後退

「曲解説」

1 Nē

「答えが見えず、求めるほど苦しくなる恋愛」を柔らかいアコースティックサウンドにのせて河村隆一がエモーショナルに歌い上げる。歌詞には「失うものなどないから」というラインが登場するが、この「失うものはない」というスタンスはルナシー(LUNASEA)のヒットシングル「STORM」でも歌われている。
2 in the sky

「君と僕」を「光と影」に見立て「近づくほど奪い合う」と表現するラブソング。サウンドは「どこまでも続く曇った夏の日の空」のような質感のギターポップである。冒頭の「壊れたメロデイー、この世界を」という不可思議な響きが曲にシリアスな風を運んでくる。
3 Tomorrow

軽やかで清らかな風を感じるポップチューン。リズムは終始リラックスしたゆったり感があり、時折挿入されるミニマムなシンセサウンドが曲に清涼感を与えている。「2 in the sky」における「壊れたメロディー」が嘘のように「素敵なメロディー」というラインが登場する。
4 forget about you

「誰もいない秋の海辺」のようなセンチメンタルを感じる曲。控え目でアダルトなギターのカッティングが「過ぎ去った夏の日」のように響き渡る。歌詞は「鮮やかにみえた君が心からまだ消えなくて、ここ(海)に来てしまう」というニュアンスであり、ヒットシングル「6 BEAT」同様に過去の恋愛に密接にリンクする海を訪れている。
5 君の前でピアノを弾こう

キラキラしたオルゴール風のSEで幕をあけるポップソング。ジャジーなピアノを中心に展開される静のサウンドにのせて「少年時代」のようなシャイな恋愛感情を歌い上げる(2:35〜)「今夜ピアニストになる」というフレーズをファルセットで歌い上げ、そこから「黄昏」のようなサックスソロが展開される。
7 my first love

クラシカルな弦楽器がゆったり美しい旋律奏でる「コクのある上質なワイン」のような静かなサウンドにのせて「切ない初恋」を思わせる歌詞を河村隆一が軽やかに歌い上げる。ルナシーのアルバム/SHINEがリリースされた1998年〜終幕する2000年までの間に頻繁に使われたワード「輝く」がこの曲でも登場する。また「離さないで」「連れて行って」という受け身なラインから、女性目線で描かれた歌詞なのでは?という気がする。本曲は元SPEEDの上原多香子に歌われてヒットを記録した。
10 静かな夜は二人でいよう

「君の扉は開かない」と認識しつつも「抱きしめさせて」と強く願望するエゴイスティックな愛情を熱くエモーショナルに歌い上げるクラシカルなバラード。 「傷ついても、傷つけても構わない」というスタンスはルナシー(LUNASEA)の終幕アルバム「LUNACY」に収録されているハードなロックチューン「a Vision」と共通するものである。
11 恋をしようよ

「あなたの恋を探します」というニュースキャスター風の声で始まるメロウなギターポップで「恋をすると人は詩人」になるそうです。「幻想」というワードも登場するがルナシー(LUNASEA)時代とはまるで異なる響きをもっている。
13 憂鬱

タイトル通り「張り詰めたシリアス感」を演出するピアノインスト。ピアノの旋律はまさに「憂鬱」を具現化したような質感である。
14 ジュリア

ファミコンゲーム風のハッピーな電子音で幕をあける軽やかなギターポップ。 歌詞は「伝えたい思いで溢れる恋愛」について。

「LOVE」をテーマにした大ヒット・デビューアルバムから4年の時を経てリリースされた2ndアルバムでタイトル通り「LOVE」を更に深くディープに掘り下げた内容となっている。 1stアルバムで印象に残った「少年時代の恋愛感情」にスポットを当てた歌詞は今作でも健在で「5 君の前でピアノを弾こう」などはその流れで書かれた歌詞であろうと思われる。本作で「河村隆一=ラブソング」というパブリックイメージが良く

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「これまでのキャリアからの劇的な変化」という文脈においては過去最高レベルのインパクトがあり、男性ボーカリストのソロアルバムとして破格のセールスを記録した河村隆一1stフルアルバム。

成功したバンドのメンバーのソロデビューアルバムは大きく2つのケースに分類できる。1つ目は「ナチュラルにやりたい事をやるケース」ルナシー(LUNASEA)のメンバーでいうとスギゾー(SUGIZO)とイノラン(INORAN)のソロデビューアルバムはこれ該当。もう1つは「ルーツミュージックをフィーチャーするケース」本作は後者に該当する。

ルナシー(LUNASEA)ファン20年越えの筆者の考察では、河村隆一という人は不器用な人間なのだが他者からは器用に思われるというタイプであると思われる。本作のサウンドは歌謡曲テイストも強い良質なポップ・ミュージックが主となっており、考えようによっては「売れ線に走った」という見方も可能ではあるのだが、それは間違った見解である。河村隆一は「ハマってしまうと徹底的にハマる」という性分をもっている。要はルーツを掘り下げるとなると本当にルーツ(幼少期〜少年時代に触れた音楽)まで辿ってしまうのである。このあたりのちょっとズレた「やりすぎ感」が河村隆一の魅力だと思う。

「ルナシー(LUNASEA)のボーカリストという先入観を一切排除して本作に触れてみると本作がいかに素晴らしいポップアルバムであるという事が理解できる。好き嫌いは別として河村隆一の声は嫌になる程に耳に残るのである。

    「要点」

  • ・「1 I love you (Album mix)」相変わらず都会に対するネガティヴな感情を歌っており、「壊れそうなこんな街も」とディスっている。
  • ・ルーツを掘り下げるとなると本当にルーツ(幼少期〜少年時代に触れた音楽)まで辿ってしまう「やりすぎ感」が河村隆一の魅力

「曲解説」

1 I love you (Album mix)

ゆったりとした波の音から始まるファーストシングルで歌詞は「恋に疲れていた2人」が出会った熱いラブソングとなっている。この曲でも相変わらず都会に対するネガティヴな感情を歌っており「壊れそうなこんな街も」とディスっている。
2 好き

「遠い日の夏」のようなノスタルジーを感じるアコースティックソング。「愛し方をしらない孤独な少年」が主人公の物語であり、この孤独な少年はおそらくではあるが河村隆一自身であろうと思われる。「首にさげた部屋の鍵が鎖みたいで」というフレーズは「少年の壊れそうな繊細さ」が端的に表されている。
3 涙色

河村隆一が「愛の伝道師」のようなスタンスで愛の重要性を説くポップチューン。「果てしない愛に触れたら争いはなくなるかな?!というラインは「純粋な子供」のように無邪気ではあるが不思議と考えさせられる。ギターサウンドはディレイを活用しており若干SUGIZO風/ルナシー(LUNASEA)。
5 Love song

「幼少期の無邪気な恋愛」をテーマにしたエモーショナルバラードで「河村隆一特有のハイトーン」が非常に美しくパッケージングされている。歌詞に「変な顔して笑わせるよ」なる歌詞が登場する。
6 BEAT (Album mix)

色褪せない夏のメモリーをビビットなポップソングにのせて河村隆一が熱唱するヒットシングル。「過去の恋愛を回顧する曲」は得てして暗くなりがちだがこの曲はメロウで軽やか。最後は失恋を100%ポジティヴに捉えた「歩き出すよ、君を知ったこの場所から」というフレーズで締めくくられる。
7 蝶々

「幼少時代の切なすぎる初恋」に対する後悔をエモーショナルに歌い上げる名バラード。「2 好き」「5 Love song」同様に幼少期の恋愛をテーマにしているが「名前も知らないあなた」というフレーズから恋の対象はおそらく年上であると思われる。曲を通して素晴らしいノスタルジアを感じる事ができる。
8 Love

果てしない海を見て「孤独な少年時代」を回顧しつつも「今までとは違う君」に対して「帰る場所になってくれたら」と願うバラード。作曲はアルフィー(THE ALFEE)の高見沢俊彦が担当(wiki)。
9 Evolution

ミニアルバム「Cranberry Soda」に収録されている「4 REAL」と同様に「何かが壊れてしまった若者のヤバいリアル」を歌っている曲。本作の中でも最もルナシー(LUNASEA)に近い質感のサウンドでミステリアスなアルペジオを中心に構成されている。歌詞は「リアルとバーチャルの感覚がバグった若者に対するアラーム」のようなイメージである。
10 小さな星

宇宙船が地球を出発する発射音で幕をあけるキラキラ・ポップチューン。「少年時代の恋の妄想」をダイレクトに叩きつけたイマジネーション豊かな歌詞が素晴らしい。「2人きりだからこの気持ちを法律にしよう」なる歌詞が許されるシンガーはそう多くはないだろう。曲中にキザな言葉を連発する主人公ではあるが、相手の女性がこの星について来てくれた真の狙いは「波」であるという事を知っているというオチまで用意されている。
11 Glass (Album mix)

「ナイーヴな男の独白」のような歌詞がインパクトの名バラード。ヒロイックなピアノの旋律、「大粒の雨」のようなビートから無条件に「夜の街」を連想するが、優雅なストリングスをフィーチャーした間奏部は「草原に一人孤独に佇む」かのような開放感を感じる。
14 Love is… (Album mix)

1人の女性に対する熱すぎる恋愛感情が印象的なラブソングであり「河村隆一=Love is」という位にインパクトのある曲となっている。冒頭の天使を思わせるコーラスはスピード(SPEED)のwhite loveに少し似ている。
16 Hope

壮大なストリングスにのせて「いつまでも新たな光を求める自己願望」を高らかに歌い上げるラストソング。「宇宙はコーヒーカップ」なる意味深なラインも登場。最後は静かに波だけが流れる。

「これまでのキャリアからの劇的な変化」という文脈においては過去最高レベルのインパクトがあり、男性ボーカリストのソロアルバムとして破格のセールスを記録した河村隆一1stフルアルバム。 成功したバンドのメンバーのソロデビューアルバムは大きく2つのケースに分類できる。1つ目は「ナチュラルにやりたい事をやるケース」ルナシー(LUNASEA)のメンバーでいうとスギゾー(SUGIZO)とイノラン(INORAN

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これは本当にルナシー(LUNASEA)のRYUICHIなのか?!と多くの人に衝撃を与えたミニアルバム。おそらくではあるが「これまでの自分をぶっ壊す」「ルナシー(LUNASEA)と同じ事は絶対にしない」「非音楽ファンを自分に振り向かせる」などがテーマになっていると思われる。

ワクワク感が強調されたポップソング「2 BALLOON」では「君がふくシャボン玉の中に閉じ込められたみたい」なる歌詞が登場しルナシー(LUNASEA)ファンの度肝を抜く。かつて「コンクリートの部屋の中、外を見る事さえできずに」という暗黒モダンな歌詞を歌っていた、かつてRYUICHIの姿はこの曲にはない。しかし反面「7 SE,TSU,NA,」では都会の事を「掃きだめみたいなこんな街」と表現しており、ルナシー(LUNASEA)の名曲ROSIER同様に都会に対するアンチテーゼは不思議と一貫されている。(※ROSIERでは都会の事を「輝く事さえ忘れた街」と表現)

本作は(というか河村隆一のソロ全般)ルナシー(LUNASEA)のオールドファンを中心に賛否両論があると思うのだが「過去やこれまでの実績にしがみつく気は一切ない姿勢」「良い意味でファンの期待を裏切ってやろうという心意気」「自分がやりたい事を素でやる、だって自分の人生だもん的ナチュラルさ」を貫くことは非常に勇気がいることであり素直にリスペクトすべきだと筆者は思う。

「ロック=常に変化し続ける」と定義づけるなら河村隆一ほどロックなミュージシャンはいないのでは?!という気もある意味ではする。

    「要点」

  • ・「これまでの自分をぶっ壊す」「ルナシー(LUNASEA)と同じ事は絶対にしない」などがテーマであると思われる
  • ・「7 SE,TSU,NA,」ではルナシー(LUNASEA)の名曲ROSIER同様に都会を「掃きだめみたいなこんな街」とディスっている

「曲解説」

1 TWINKLE

揺らめくサイケサウンドと渋いサックスが「黄昏」のように漂う曲。歌詞に「ロマン」というワードが登場するが、ルナシー(LUNASEA)の名曲END OF SORROWとは全く異なるポップでノーマルな響きがある。歌詞は色んな意味でルナシー(LUNASEA)のボーカリストRYUICHIとしては歌えない内容となっており「朝が来るまであきれる位に星を数え、夢を語りあう」という真っ直ぐ過ぎる内容となっている。
2 BALLOON

「待ちわびた夏休み」のようなワクワク感を感じるポップソング。「君がふくシャボン玉の中に閉じ込められたみたい」というなんとも言えない歌詞が登場しこれは本当にルナシー(LUNASEA)のRYUICHIなのか?!と一瞬疑ってしまう内容となっている。
4 REAL

「クリスタル」のような透明感を感じる音響に包まれて「何かが壊れてしまった若者のヤバいリアル」を河村隆一が抜群の歌謡性で歌い上げるフォークバラード。
5 RED

物悲しくダークなストリングスが「中華のミステリアスなおとぎ話」のようなムードを醸し出すバラードで、よく聴いてみるとリズムはインダストリアル風の歪んだものとなっている。
7 SE,TSU,NA,

「駆け足」のようなスピードを感じるギターポップにのせて河村隆一が「愛や夢をなくした人々」に対して「周囲に流されず目的をもって生きろ!」と喝をいれる内容となっている。そう「人生は思っているよりきっと短い」のだから。ルナシー(LUNASEA)の名曲ROSIERでは都会の事を「輝く事さえ忘れた街」と表現しているが、この曲では「掃きだめみたいなこんな街」と表現している。サウンド・歌詞共にルナシー(LUNASEA)とは大きく異なるが、都会に対するアンチテーゼだけは不思議と一貫している。

これは本当にルナシー(LUNASEA)のRYUICHIなのか?!と多くの人に衝撃を与えたミニアルバム。おそらくではあるが「これまでの自分をぶっ壊す」「ルナシー(LUNASEA)と同じ事は絶対にしない」「非音楽ファンを自分に振り向かせる」などがテーマになっていると思われる。 ワクワク感が強調されたポップソング「2 BALLOON」では「君がふくシャボン玉の中に閉じ込められたみたい」なる歌詞が登場しル

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前作「PRESENTS」同様に素晴らしいクオリティを誇るマイ・リトル・ラバー(My Little Lover)の3rdアルバム。

アルバムジャケットと共振するような「ブルーでメランコリックな音響」を全面に押し出しており「90年代UKギターロック」「透明で冷たい質感のエレクトロニカ」からの影響を凄腕プロデューサー「小林武史」が見事にポップソングに落とし込んでいる。全ての曲で言える事だがギターサウンドは「弾きすぎない美学」を体現しており、少ない手数で曲が求めるフレーズのみを提供しており「余計な音」が一切鳴らされていない。

歌詞の内容は「これまでのマイ・リトル・ラバー(My Little Lover)」を良い意味で壊そうとしている前衛的なものが多く「4 ALICE 〜album version〜」に関してはサビの一部に記号(「*+▼☆▲△×□」「☆▼□×+▲*△ 」)が登場し「8 Private eyes」「9 ANIMAL LIFE」は前作に収録されていた「Naked」と同様にエロティクである。また「10 Fallin’ Blue」の歌詞は「5 Hello, Again 〜昔からある場所〜」で大失恋を経験した主人公の「数年後のメランコリックな心情」を描いたようなイメージとなっている。

本作は「メランコリックな音響」を押し出したサウンドが主となっているが「透明感の塊」であるakko(vo)のボーカルが絡まる事で全ての曲が良質なポップソングとして成立している。おそらくではあるが例えどんなにアバンギャルドな音楽であってもakko(vo)が歌うと良質なポップソングとして成立するのでは?!思われる。筆者の個人的な意見ではakko(vo)は「心地よい音響」を提供する女性ボーカリストとしてJ-POP史上TOPレベルのボーカリストである。

    「要点」

  • ・アルバムジャケットと共振するような「ブルーでメランコリックな音響」を全面に押し出している
  • ・akko(vo)は「心地よい音響」を提供する女性ボーカリストとしてJ-POP史上TOPレベルのボーカリスト

「曲解説」

1 New Adventure

「真夜中のプール」のようなメランコリックを感じる気だるいオープニングソングでミニマムなマイナー調のギターコードとakko(vo)の「語り」のようなボーカルを中心に展開される。サビは淡々とタイトルの「New Adventure」というフレーズをなぞる非ポップなものである。
2 STARDUST

「宇宙」のような浮遊感を醸し出す音響が印象的である反面、サビではグランジ風の無機質なギターフレーズが淡々とリフレインされる曲。akko(vo)のボーカルは相変わらず「透明感の塊」であり「1 New Adventure」同様にメランコリックなこの曲と見事に絡み合っている。
3 CRAZY LOVE

90年代エレクトロニカの代表的なアーティスト「エイフェックス・ツイン(Aphex Twin)」を思わせるブレイクビーツが印象的なギターロックで曲を通して「春の訪れ」のようなストリングが流れる。歌詞は「狂おしい恋の妄想」というイメージで「愛の方程式 解いてね」というフレーズは積極的なのか受け身なのかよく分からない響きである。
4 ALICE 〜album version〜

リスナーを「シュールな夢の国」に誘うキラキラ系ギターポップ。「マイナー調のギターサウンドの断片」を中心に展開されるスローな曲で歌詞は「思春期のトキメキと葛藤」を言語化したようなイメージであり「いつだって恋だけが素敵なことでしょう」という華やかさと「恋だけじゃ愛にたどり着けない」というある種の諦念が混在されている歌詞は神の域と言ってもいいレベルである。サビの歌詞の一部は「リギリッラ、リギリギラ」という風に聴こえるのだが、歌詞を見るところまさかの記号であり「*+▼☆▲△×□」「☆▼□×+▲*△ 」細部にまで相当なこだわりを感じさせる。
5 雨の音 〜album version〜

「海底」のような音響が強調されたメランコリックチューンでギターサウンドには「海の中で演奏された」ような揺らめく響きがある。ボーカルラインはサウンドに寄り添うように「沈む」ような質感である。
6 DESTINY

「Eメールからはじまるラブストーリー」で話題になったテレビドラマの主題歌としても起用された壮大なバラード。「近づくほどに遠く海のように揺れる」というラインは一筋縄ではいかない運命的な恋の難解さ見事に表している。
8 Private eyes

ディープな音響を感じさせる歪んだロックチューンでタイトルの「Private eyes」というフレーズが「メロディックな呪文」のようにリフレインされる。歌詞の内容は「成り行きではじまった性行為の後」のようなイメージで「力の抜けた体がBananaのようにベッドに這う」というラインはエロティックである。
9 ANIMAL LIFE

90年代UKギターロックテイストをシンプルに反映させた曲。歌詞は意味深なものとなっており「動物の動作」について歌われている。おそらくではあるがエロティックな内容で名曲「4 ALICE 〜album version〜」に登場するライン「恋だけじゃ愛にたどり着けない」と共通する意味があると思われる。
10 Fallin’ Blue

タイトル通り「メランコリックでブルーな音響」と「氷の世界」のような冷気を感じる曲で「自分らしくない時間」「今でもね、たまに思い出す」「あなたを探している」などのシリアスで重い歌詞が非常に印象に残る。これらのラインから考察すると深読みかもしれないが「5 Hello, Again 〜昔からある場所〜」で大失恋を経験した主人公の「数年後のメランコリックな心情」を歌っているのでは?!と思われる。
11 Days

ミニマムなサウンドで構成されるシンプルなUKギターロック。サビは「どこまでも続く曇り空」のようなイメージだが、他の収録曲がメランコリック・テイストのものが多いという事もあり不思議な開放感を感じる。

前作「PRESENTS」同様に素晴らしいクオリティを誇るマイ・リトル・ラバー(My Little Lover)の3rdアルバム。 アルバムジャケットと共振するような「ブルーでメランコリックな音響」を全面に押し出しており「90年代UKギターロック」「透明で冷たい質感のエレクトロニカ」からの影響を凄腕プロデューサー「小林武史」が見事にポップソングに落とし込んでいる。全ての曲で言える事だがギターサウンド

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akko(vo)独特の透明感のある歌声の魅力をさらに引き立てるべくサウンドがクリアにそしてディープに進化した2ndアルバム。

耽美派UKアーティストからの影響が感じられる「3 My sweet lord」や「10 YES 〜free flower〜」などは前作に収録されていた曲とは明らかに異なる質感であり、歌詞はマイラバのブレイクを決定付けた神曲「5 Hello, Again 〜昔からある場所〜」で「大失恋を経験した男女の数年後を描いた」ようなイメージのものが多く喪失感を全面に押し出している。悲しいkissはまだ胸にあるのにアッパーなドライブで弾ける「5 Shuffle」メランコリックな気持ちを抱え苦笑いでも前に進もうとする「8 NOW AND THEN 〜失われた時を求めて〜」喪失感と真正面から向き合う内省的な「10 YES 〜free flower〜」など。

本作は90年代の日本のポップシーンの中でも異彩を放っており、喪失感を描きつつもリスナーに前向きな光を与える素晴らしい作品となっている。

    「要点」

  • ・歌詞は「5 Hello, Again 〜昔からある場所〜」で大失恋を経験した男女の数年後を描いたようなイメージのものが多い
  • ・サウンドがクリアにそしてディープに進化

「曲解説」

2 空の下で

「静寂の中をクリアでアンビエントな質感のアルペジオが踊るヴァース」と「ナチュラルでウォームなサビ」によって構成されるギターポップ。中盤以降は「空の下で」というフレーズにぴったりなストリングスが曲に涼しい爽やかな風を運んでくる。
3 My sweet lord

UK耽美派アーティスト・キュアー(CURE)のダークなポップソングをマイラバ流にアレンジしたような曲。akko(vo)のボーカルは脱力的なものとなっており「よく晴れた日のピクニック」のようである。歌詞に登場する「狂ったダンス」なるフレーズはUKニューウェイブを意識していると思われる。
5 Shuffle

「乗り気ではないドライブ」のような気だるさと「花束」のように華やかさが同居しているアッパーチューンで、終始ホーンセクションが曲に色彩を与えている。過去の悲しいキスを引きずり新しい季節に乗り遅れた主人公が、センチメンタルな心情を「愛とは宇宙の果てのようで」と文学的に語りつつも「涙の彼方へ行こう」と前向きなスタンスを示す歌詞が気だるくも華やかなサウンドと見事にマッチしている。
6 Naked

「深夜のオフィス街」のようなダークさと「プリズム」のような輝きを感じるサウンドがakko(vo)の歌声が持つ透明感をより引き立てている(4:40〜)エフェクトのかかった歪んだ声で歌われる「快楽のドアを叩く」というフレーズにはドキッとする。歌詞の内容はおそらくではあるが「いけない恋=不倫」をテーマにしていると思われる。
8 NOW AND THEN 〜失われた時を求めて〜

「シュールな夢の国」のようなサイケな音響がインパクト大のポップソング。歌詞は神曲「5 Hello, Again 〜昔からある場所〜」で失恋を経験した主人公が数年後に「過去の重くシリアスな恋愛感情」を内省し「苦笑いでも前に進もう」と 自分を奮い立たせるようなイメージである。「地球儀を回したらいくつもの街角でいくつもの君と出会える予感がした」というラインはセンチメンタルと喪失感が同居した素晴らしいラインである。この曲のギターサウンドは最小限の手数で曲に豊かなコクを与えている。終盤は静寂の後にサイケなハードロックサウンドが展開され、これまで脇役に徹していたギターがブルージーなソロパートを披露する。最後は不規則なピアノの旋律が「夢の終わり」のように鳴り響く。
10 YES 〜free flower〜

「水に浮かぶプリズム」のような透明感を感じるミニマムなギターロック。「青くサイケに揺らめく」ギターサウンドはミニマムな手数でマキシマムな効果を出している。akko(vo)の歌声は「波紋」のように揺らめき「夏に終わった恋」を内省する。「yes」というポジティヴワードがこんなにもメランコリックに響く曲はこれまで聴いたとこがない。

akko(vo)独特の透明感のある歌声の魅力をさらに引き立てるべくサウンドがクリアにそしてディープに進化した2ndアルバム。 耽美派UKアーティストからの影響が感じられる「3 My sweet lord」や「10 YES 〜free flower〜」などは前作に収録されていた曲とは明らかに異なる質感であり、歌詞はマイラバのブレイクを決定付けた神曲「5 Hello, Again 〜昔からある場所〜」

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