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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果75件

タグ「J-ロック」のレビュー

前作「SMILE」からの流れであるアナログでシンプルなサウンドを響かせつつ、エモやポップパンクをルーツにもつアーティスからの影響を感じられる突き刺さるサビのボーカルラインが印象的な10thアルバム「AWAKE」。

名曲「3 叙情詩」に流れる「強烈な和」の響きや「4 TRUST」の無国籍感などは新機軸であり、「11 星空」「12 twinkle, twinkle」などは「メランコリックな質感の曲をポジティヴに響かせる」ラルクマジックが堪能できる。「何をやってもラルクサウンド」になるというポジティヴな悟りすら感じる安心の名作と言える。

    「要点」

  • エモやポップパンクをルーツにもつアーティスからの影響
  • 名曲「3 叙情詩」に流れる「強烈な和」の響き

「曲解説」

1 New World

突き刺さる疾走感を持つサビがエモのようなロックチューン。「青空」のような晴れやかなサウンドであり、ギター・ベース・ドラムが一体となって迫ってくる(2:06〜)「夢の中で見た夢」のようなメロディックな高音ベースソロが踊る。
2 LOST HEAVEN

歯切れの良いクランチなカッティングギターを中心に展開されるメロウなポップソング。サビのボーカルラインは流れるような旋律をもちながらもメランコリックでインパクト大(2:34〜)ギターソロはサビのボーカルラインをなぞるシンプルなもので「凛」とした響きを持つ(3:18〜)メタリックな電子音がチカチカと鳴り響く静パートが挿入させアクセントとなる。終盤は畳み掛けるようにサビが何度もリフレインされそのまま突き進む。
3 叙情詩

オーガニックな生命力を感じる壮大なバラード。カッティングギターを中心に展開される「何気ない日常」のようなヴァースと強烈な「和の響き」を持ち「優雅な風」のような上品な旋律を奏でるサビによって構成されている。どちらかと言うとメランコリックな質感の曲なのだがリスナーを包み込むような不思議な包容力があり、数多く存在するラルクの名曲の中でも特別な存在感を放つ曲である。
4 TRUST

不思議な無国籍感を醸し出すメランコリックバラード。サビではtetsuya(b)の「春風」のようなコーラスがhyde(vo)のボーカルラインと絡まり曲に色彩を与えている。またギターとベースのユニゾンフレーズが随所に挿入され分厚いサウンドを構成している。
5 Killing Me

パンク的なシンプルさと「曇り空」のようなメランコリックが混在する疾走ソング。Bメロのバックではクラシカルな弦楽器が幽玄な旋律を奏で曲にダークな質感を与えており、アグレッシヴなロックチューンでは中々聴くことができないアレンジとなっている。サビは「1 New World」同様にエモーショナルな突き刺さるボーカルラインが印象的である(2:52〜)アグレッシヴなパートの体感速度を上げる為に「どんよりした曇り空」のような質感のメロディックな静寂パートが挿入される。
6 AS ONE

前作から解禁された「ヘヴィメタルな響き」を感じるダークなリフソング。AメロBメロでは「泥水」のような質感のマニアックでディープなヘヴィリフがリフレインされ、サビはメロディー自体はそこまでメロディックではないのだがhyde(vo)が伸びやかなボーカルで歌い上げると強烈にメロディーが頭にインプットされる。
7 My Dear

「センチメンタルな思い出」のようなドリームポップ。hyde(vo)のボーカルは「悟りを開いた老人」のような重みがあり、tetsuya(b)のベースラインはhyde(vo)のボーカルラインに寄り添うようにメロディックである(3:30〜)ザラついたノイズが曲にモザイクのような質感を与え時空が歪んだような展開を見せる。最後は優雅なストリングスだけが物悲しく鳴り響き静寂を感じる。
8 EXISTENCE

USグランジ的な気怠さと確かな光を感じるシンプルなリフロック(1:27〜)「光溢れる空間」のようなサウンドや(2:01〜)リフの裏で闇に流れる耽美なアルペジオの存在から曲をハード一辺倒にさせない工夫を感じられる。最後はダークで淡々とした「暗号」のようなアルペジオだけが静かに流れる。
9 自由への招待

韻を踏んだ歌詞もお見事なラルク系の疾走ソング。サウンドは前作「SMILE」からの流れであるシンプルでアナログな音で構成されている。(2:38〜)ギターソロは非常に短いがken(g)らしい「眩しすぎる光」サウンドを聴かせてくれる。
10 Ophelia

「雨に濡れた都会の朝」のような質感のジャジーなバラード。「スパニュシュなギター」「透明なピアノ」「煙のようなサックス」がアダルトな空気感を構築するが、ベースラインは強烈に歪んだサウンドになっており縮れた光線」のようにリスナーの頭の中を刺激する。
11 星空

メランコリックなUKロック調の曲だがなぜか前向きになれるラルクマジックが堪能できるどっしりとしたバラード。歌詞の内容は「目が覚めれば変わっているといいな」という無邪気な子供のような言葉で平和を願うという内容になっている。
12 twinkle, twinkle

「11 星空」同様にUKロック調のメランコリックソングをポジティヴに響かせるラルクマジックを堪能できる曲。全パートがひとつに溶け合い「油絵」のように揺らめいており、(1:43〜 , 3:28〜 ,4:45〜)ken(g)のギターソロは「早朝の曇り空を自由に羽ばたく鳥」のようだ。

前作「SMILE」からの流れであるアナログでシンプルなサウンドを響かせつつ、エモやポップパンクをルーツにもつアーティスからの影響を感じられる突き刺さるサビのボーカルラインが印象的な10thアルバム「AWAKE」。 名曲「3 叙情詩」に流れる「強烈な和」の響きや「4 TRUST」の無国籍感などは新機軸であり、「11 星空」「12 twinkle, twinkle」などは「メランコリックな質感の曲をポ

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前作「REAL」が集大成的なALL in ONEのような作品であった点、また全メンバーがソロ活動を経た点などから、これまで築き上げたラルクサウンドに各メンバーがソロ活動で得た影響を反映した情報量の多いサウンドになるのでは?と聴く前は予想していたのだが、実際は予想に反してアナログなサウンドを前面に押し出したシンプルなロックアルバムとなっていた。

「2000年頃から世界的なトレンドとなっていたロックンロール・リバイバル的なミニマリズム」「これまで距離を置いているとも感じ取れたスラッシュメタル的なザクザクとした質感」「シンプルなロックソングを華やかに彩る七色のストリングス」これらが今作のサウンド面の特徴としてあげられる。

これまでのどの作品にも必ず存在したUKニューウェイブ的なサウンドがほとんど登場しないという点において本作は異色作と言って良いのでは??という気がする。

    「要点」

  • アナログなサウンドを前面に押し出したロックアルバム
  • スラッシュメタル的なザクザクリフ
  • ニューウェイブサウンドが登場しない異色作

「曲解説」

1 接吻

「アンプ直」のようなシンプルでアナログなギターリフがリフレインされるロックチューン。サビでは光沢感のあるスペーシーなシンセサウンドと優雅なストリングスが流れ、モノトーンになりがちなミニマムなロックソングに華やかさを与えている。
2 READY STEADY GO

アルバム「ark」以降、彼らの十八番となったドライブ感のあるロックンロール系譜の曲(1:00〜)サビは疾走感のあるボーカルラインと光を感じるシンセサウンドを中心に構成されるが、途中からスラッシュメタルのようなザクザクとした質感のリフが挿入されるという盛りだくさんな内容。ソロ活動を経て歌うことの楽しさに目覚めたのだろうか?tetsuya(b)のコーラスが過去最高レベルで目立つ曲となっている。最後はギターとベースがユニゾンする展開で幕を閉じる。
3 Lover Boy

退廃的なムードを持つスラッシュメタルライクな曲。これまでメタルという音楽と距離を置いていた感すらあるラルクが、ここまでスラッシュなザクザクギターリフをフィーチャーしたサウンドを鳴らした事は驚きである(2:28〜)立体的なベースラインがブライクビーツ風のリズムの上で踊り、そこからギターソロに突入する。
5 Time goes on

夢見心地な雰囲気のアコースティックソング。tetsuya(b)が大活躍の曲であり、サビでは「ボーカルライン以上に目立つベースライン」がボーカルとは異なるメランコリックなメロディーを奏で、またhyde(vo)のボーカルラインを包み込むようなコーラスも聴かせる。
6 Coming Closer

スローなギターサウンドが「金縛り」のように鳴り響くシンプルな曲。時折挿入される「ホイッスル」のような電子音や「春風」のようなストリングスが曲にポップネスを与えている。最後は悲壮感漂う重厚なバイオリンだけが流れる少し不気味な展開である。
7 永遠

ザ・ストロークス(The Strokes)のようなミニマムでモダンな質感のロックソング。ken(g)のラフで歪んだカッティングギターがループされリフというより音響的に鳴り響く(3:05〜)ギターソロは非常にインパクトがあり「永遠」というタイトルとは裏腹に刹那的な輝きに満ちている早弾きフレーズである。
8 REVELATION

「砂鉄」ような歪みギターサウンドが重力感を演出するヘヴィチューン。サビのボーカルラインはUSグランジのように「言葉のリフ」という感じである。
9 瞳の住人

「長閑で平和な日々」を連想する優しい音で構成されたバラード。サビのメロディーはこれまであまり聴いたことがないタイプでどことなく中国風。また間違いなく偶然だが浜崎あゆみの某曲のボーカルラインに少し似てるとも思う(4:03〜)ギターソロは「浅い眠り」のような質感で空間を彷徨う。
10 Spirit dreams inside

本作を象徴するラフでアナログなサウンドが響き渡るラストソング(1:48〜)存在感のある分厚いベースリフがリフレインされ、そこにオリエンタルな電子音やken(g)特有の光を感じるギターサウンドが絡まる展開は非常にグルーヴィー。

前作「REAL」が集大成的なALL in ONEのような作品であった点、また全メンバーがソロ活動を経た点などから、これまで築き上げたラルクサウンドに各メンバーがソロ活動で得た影響を反映した情報量の多いサウンドになるのでは?と聴く前は予想していたのだが、実際は予想に反してアナログなサウンドを前面に押し出したシンプルなロックアルバムとなっていた。 「2000年頃から世界的なトレンドとなっていたロックン

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「エモーショナルでダークな叙情性を放つギターロック」「ドライブ感溢れるラルク流R&R」 インディーズ時代から彼らが得意としている「神秘的・耽美的という形容がよく似合うサウンド」などが幅広く収録されており、 これまでのキャリアの集大成のようにラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Cielの良いところをパッケージングした傑作アルバム。

2000年はV系サウンドの創始者とも言えるルナシー(LUNASEA)が終幕しV系氷河期がはじまった年であるが、 ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)はシーンのトレンドなど関係なしに自分たちのルーツであるニューウェイブに様々な要素を加え、または角度を変えて自分たちらしいサウンドを鳴らし続けた。

V系サウンドが「古いもの」と見なされた90年代末〜2000年代初頭でも彼らが多くのリスナーに支持されたのは、電子音楽やポップミュージックと距離を置かず「曲が良くなるのであれば」という柔軟なスタンスで曲に新しい要素を加えモダンな質感にアップデートし続けたからでは?と思われる。

    「要点」

  • これまでのキャリアの集大成のようにラルクの良いところをパッケージング
  • V系衰退期でも多くのリスナーに支持されたモダンな質感

「曲解説」

1 get out from the shell

「スペーシーなダンスミュージック」のような雰囲気を持つラウドなアッパーチューン(2:20〜)「落雷」のようなken(g)のギターリフとリスナーを扇情するかのようなhyde(vo)の歪んだエフェクトボイスはこれまでのラルクにはない質感であり、ケミカル・ブラザーズ(The Chemical Brothers)やザ・プロディジー(The Prodigy)などの90年代ビッグビート勢からの影響を彼らなりに解釈しロックとテクノの融合を実践した曲となっている。
2 THE NEPENTHES

名曲「4 Shout at the Devil」とも共通する濃厚なグランジ匂がある曲。本曲のダーティーなギターリフはwikiを見る限り実際にken(g)がグランジバンド/ストーン・テンプル・パイロッツ(Stone Temple Pilots)を聴いている時に閃いたものらしく「泥水」のような重さとディープな響きをもっている。
3 NEO UNIVERSE

恍惚を感じる光が眩しすぎるエレクトロロック。ピコピコ系の電子音が鳴り響く真っ白な空間が、ボーカルラインをよりビビッドに響かせる。
4 bravery

「ガラス越し」のような透明感を持つメロウソング(1:28〜)サビは歪んだグランジーなギターワークと「考えさせられる歌詞」で構成されている。歌詞の内容は「昔はよかったって言うけど、何か知ってるの??」というものであり、変化に対して否定的な人たちに対する皮肉ともとれる内容となっている。確かに懐古主義の人ほど、新しいものを拒絶し挑戦しない傾向が強いと思う。
5 LOVE FLIES

ダークでサックとした質感のギターロック。相変わらずken(g)のギターサウンドはセンス抜群で弾き過ぎず、弾かなさ過ぎずの絶妙な塩梅でキュアー(CURE)のような耽美さとレディオヘッド(radiohead)のようなダイナミズムを曲に与えている。
6 finale

「古いフィルム」のようなザラついた質感をもつダークなバラード。悲壮感あふれるバイオリンが印象的なヴァースと一気に熱量を放出するサビによって構成されている。サビで歌われる「眩し過ぎて明日が見えない」は、Rusty Nail / XJAPANにおける「涙で明日が見えない」に並ぶ名フレーズであると感じる。歌詞の内容はインディーズアルバム「DUNE」に収録されている「6 Dune」に近いものがあり「神も許さない禁断の恋」について。
7 STAY AWAY

アルバム「ark」に収録されていたドライブ感のあるロックチューンと同じ流れの曲。「焼き増しの世界に惹かれない」というフレーズがロックアーティストとしてのプライドを感じさせ、hyde(vo)の歌声はダミ声と言ってもいい位に濁っており、曲にザラついた質感を与えている。
8 ROUTE 666

ミニマムな音数で構成され「石ころ」のように回転するロックンロール(3:07〜)これまでの殻を破った「ウゥゥ〜、レイ♫」というhyde(vo)のファンキーボイスから流れるような旋律をもつギターソロが展開される。
9 TIME SLIP

「早朝」のような空気感をもつセンチメンタルなバラード。ラブソングとも深い人間関係ともとれる歌詞がイマジネーションを刺激し頭の中に様々な情景が浮かんでくる。タイトでシンプルなドラムと「曇り空」のような質感のベースラインからなるリズムの上で「ガラス細工」のようなken(g)のギターサウンドが輝きを放ち、hyde(vo)の歌声には「素顔」のようなナチュラルさがある(2:40〜)「溢れ出す光の洪水」のようなギターソロがリスナーを光溢れる異空間へと誘う。
10 a silent letter

静寂の中、「夜空の星々」のようにきらめくギターサウンドとhyde(vo)のファルセットボイスが圧倒的な存在感を放つ壮大なバラード (3:50〜)「美しい子守唄」のよう女性コーラスが幻想的に鳴り響き幽玄さを曲に加える。終盤は「歪む深海」のようなギターサウンドが曲にモザイクを加えるように響き渡る。
11 ALL YEAR AROUND FALLING IN LOVE

6弦ベースを使用した高音のベースラインがこれまでとは異なる響きを奏でるパワフルなバラード。サビはモザイクがかったように歪むギターサウンドとメロウなアコースティックサウンドが共存するパワフルな展開だが、そのサウンド以上にhyde(vo)のボーカルラインが力強く響き渡る。最後は「星々」のような電子音だけが静かに流れ曲は締めくくられる。

「エモーショナルでダークな叙情性を放つギターロック」「ドライブ感溢れるラルク流R&R」 インディーズ時代から彼らが得意としている「神秘的・耽美的という形容がよく似合うサウンド」などが幅広く収録されており、 これまでのキャリアの集大成のようにラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Cielの良いところをパッケージングした傑作アルバム。 2000年はV系サウンドの創始者とも言えるル

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アルバム「ray」と同時に発売された6thアルバム。

「ray」はインディーズアルバム「DUNE」にも通じるダークさがあり彼らが昔からやりたかったサウンドの集大成のようなアルバムとなっているが、本作「ark」はジャンルやこれまでのキャリアに縛られず、やりたい事をナチュラルにパッケージングしたアルバムという印象である。

「ノリノリでドライブ感のあるロックチューン」「神々しい雰囲気のバラード」「ポストロックやトリップホップからの影響を反映させたニューウェイブとはまた異なるダークな質感をもつ曲」などやりたい放題。90年代末という時代もあり本作は300万枚以上のセールスを記録。90年代末〜2000年代初頭は明らかに邦楽ロックの頂点にラルクが君臨していた。

    「要点」

  • やりたい事をナチュラルにパッケージングしたアルバム
  • ノリノリでドライブ感のあるロックチューンも収録

「曲解説」

1 forbidden lover

マーチ風のブレイクビーツが斬新で「深海」のようなディープな雰囲気を持つ神々しいバラード。サビにおけるhyde(vo)のボーカルラインは過去最高レベルの神ラインであり「天までに届くエネルギー波」のように強烈な響きを持つ。また歌詞に久しぶりに「神」「瓦礫」などのワードが登場するが、初期のミステリアスな歌詞を洗練させたような仕上がりとなっている。
2 HEAVEN’S DRIVE

クールなカッティングと「春風」のようなコーラスが印象的でウネるドライブ感が魅力のロックチューン(0:35〜)hyde(vo)のエロい歌詞に絡みつくken(g)のギターフレーズはまるで「濡れた蛇」のような質感である(0:58〜,1:51〜,3:06〜)サビはドライブ感のあるロックサウンドから一変、キャッチーなホーンセクションが華やかに弾ける(2:20〜)「隠しアイテム」のようなサビ以上にサビな華やかなボーカルラインが登場。
3 Driver’s High

「イケイケのドライブ」のように疾走するロックチューン。イントロのken(g)のギターサウンドは名曲「2 Vivid Colors」と共通する哀愁感があるが、歌詞の内容は「2 Vivid Colors」とは正反対であり、かつて「列車は今日彼女の街を超えて」とナイーブに歌っていたのが嘘のように「この世の果てまでぶっ飛ばす」と宣言する。サビは「2 HEAVEN’S DRIVE」同様に非ロックな華やかに弾けるサウンドを聴かせてくれる。
4 Cradle

トリップホップのようなダークさと透明感を感じる実験的な曲。「クリスタル」のような質感の電子音が「真っ暗な密室」のような空間に僅かな光を灯し、 「蜃気楼」のように揺らめくDJスクラッチはポーティスヘッド(Portishead)のようだ(3:20〜)ダークな雰囲気と歩調を合わせるかのようにギターソロはダウナーな質感である。
5 DIVE TO BLUE

タイトル通りブルーな質感と「宙を舞う」ような浮遊感を感じるギターポップ。ken(g)得意のディレイサウンドはかつてのようなモノトーンな質感ではなく「カラフルなバルーン」のようにキャッチーであり、反面tetsuya(b)のベースラインは浮遊感のあるギターサウンドとは対照的に地を這うような質感である。
6 Larva

ポストロック系のモザイクがかったミニマムなビートと「青空」のように晴れ渡るシンセサウンドが印象的なインストナンバー。作曲は幅広い音楽に興味を持つyukihiro(dr)が担当している。
7 Butterfly’s Sleep

キュアー(CURE)の耽美的な曲を90年代的な壊れた質感で再構築したような曲。時折挿入されるストリングスは「情熱大陸」のように優雅である。ken(g)のギターは「豪雨」のような質感で音響的であるが、tetsuya(b)のベースラインはまるで「大蛇」のように立体的でメロディアス。
8 Perfect Blue

「南国」のような開放感とトロピカルさを持つポップソング。ギターサウンドはまるで「砂浜に埋もれたガラス瓶」のように透明で煌びやか。終始リラックスした雰囲気が漂いこれまでのラルクにはないタイプの曲である。
9 真実と幻想と

「宇宙」のようなディープさをもつトリップホップ風の曲。歪んだギターサウンドの断片がリスナーの脳に突き刺さりサビは「儚い願い」のように美しい。中盤以降は重層なストリングスが存在感を増し神々しい雰囲気が漂う。終盤は「氷の雫」のような電子音と「渦巻き」のようなギターリフがリフレインされる。
11 Pieces [ark mix]

「曇った早朝のビーチ」のようなブルーを感じる名バラード(2:38〜)「美しい風景画」のような曲にken(g)のアバンギャルドなノイズプレイがアクセントを加えており、曲がギリギリ破綻しないラインで成立させているバグった質感を与えている。このギターソロがなければ曲の印象は全く異なったものとなっていただろう。

アルバム「ray」と同時に発売された6thアルバム。 「ray」はインディーズアルバム「DUNE」にも通じるダークさがあり彼らが昔からやりたかったサウンドの集大成のようなアルバムとなっているが、本作「ark」はジャンルやこれまでのキャリアに縛られず、やりたい事をナチュラルにパッケージングしたアルバムという印象である。 「ノリノリでドライブ感のあるロックチューン」「神々しい雰囲気のバラード」「ポスト

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前作までの初期三部作のサウンドの良い部分を継承しつつもポップミュージックとしての強度を劇的に高めた名作。

これまでセルフプロデュースでアルバムを制作してきた彼らが「岡野ハジメ」や「佐久間正英」などの実力派プロデューサーを招いて作成された初めてのアルバムであるが、次作以降も「岡野ハジメ」をプロデューサーに迎えている事からメンバー的にも確実な手応えを感じたアルバムであると思われる。

ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)が得意としている80年代UK耽美ギターポップのような曲も極限までサウンドをシンプル化し歌詞の内容を最大公約数化する事でこれまでとは別次元のポップネスを感じることができる。「4 flower」「8 風にきえないで」などは90年代を代表する素晴らしいギターポップ曲と言えるだろう。

インディーズ時代からのファンの中には今作の「ポップな変化」に戸惑ったファンも多く存在するかもしれないが今作がなければダークで耽美的だが力強いポップネスが存在する傑作アルバム「HEART」は生まれなかったと断言できる為、ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel) のキャリアの中でターニングポイントと言えるアルバムとなっている。

    「要点」

  • 実力派プロデューサーを招いて制作されたアルバム
  • ポップミュージックとしての強度を劇的に高めた傑作
  • キャリアの中でターニングポイントと言えるアルバム

「曲解説」

1 Fare Well

前作「heavenly」に収録されている「4 ガラス玉」に通じるバラードからエモーショナルで壮大なメロディーを持つロックに移行するオープニングソング。初期3部作にはないタイプの熱量があり、曲を通して「卒業式」のようなセンチメンタルさと力強さがある。
2 Caress of Venus

これまでのラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)からは考えられないカラフルなダンスビートが印象的なアッパーチューン。ノリノリのダンスチューンではあるが80年代耽美派UKギターロックのような「海辺」を連想する雰囲気を持ち、前作までのサウンドの良いところを踏襲しつつも新機軸を試みた曲と言えるだろう。
3 Round and Round

90年代グランジを意識したであろうと思われるダークでヘヴィなロックチューン。歌詞はロックな曲にピッタリの「大人に対する拒絶」を歌っているがサビのボーカルラインは弾けており、コーラスの「round in merry world♩」は非常にポップで同年代のルナシー(LUNASEA)や黒夢の曲には絶対に出てこないテイストである。このポップに対する柔軟な姿勢がラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)の個性と言える。
4 flower

全てのティーンエイジャーに聴いてもらいたい胸キュン・ギターポップな名曲。男性の女々しさを全面に押し出した「起こされるのを待っているのに」という歌詞は当時斬新な響きをもっていた。サウンド的には彼らが得意とするメロウなギターポップを極限まで削ぎ落としたものとなっている。
5 “good-morning Hide”

「渦巻き」のようなベースラインが新鮮なグルーヴィーな曲。グルーヴィーではあるがハードロックやサイケのような質感はなくカラフルで軽やかなハウスミュージックのような雰囲気がある。終盤は「はしゃいだ後に感じるわずかな喪失感」のようなメランコリックなアルペジオが存在感を増す展開となる。
6 the Fourth Avenue Café

「雨音」のようなピアノとゴージャスなホーンセクションを導入した「アーバンな街角」のような質感の曲。ken(g)のギターサウンドは「4 flower」同様に最小限の手数でメロウなフレーズを奏でている。
8 風にきえないで

ポップなボーカルラインが弾けるギターポップ。サウンド的には前作「heavenly」にも通じるメランコリックさもあるが、 「答えを見つけた」かのようなアグレッシヴな演奏もありポップに突き刺さる。歌詞の内容は恋に恋する十代の爆発しそうな感情といったところだろうか。
10 Dearest Love

「光が降り注ぐ」ようなken(g)のディレイサウンドが印象的な眩しすぎるバラードでhyde(vo)のボーカルは叶わぬ願いのように儚い(1:50〜)レディオヘッド(radiohead)の名曲「creep」を参考にしたと思われる唐突なブラッシングノイズが挿入され(3:08〜)バイオリンが「むせび泣き」のような旋律を奏で曲に優雅な渋みを与える。中盤以降は壊れた質感のグランジギターが空間を切り裂きアクセントとなっている。

前作までの初期三部作のサウンドの良い部分を継承しつつもポップミュージックとしての強度を劇的に高めた名作。 これまでセルフプロデュースでアルバムを制作してきた彼らが「岡野ハジメ」や「佐久間正英」などの実力派プロデューサーを招いて作成された初めてのアルバムであるが、次作以降も「岡野ハジメ」をプロデューサーに迎えている事からメンバー的にも確実な手応えを感じたアルバムであると思われる。 ラルク アン シエ

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