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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果75件

タグ「J-ロック」のレビュー

男女混成のツインボーカル、サックスプレイヤーの存在などメンバー構成の時点でユニークな存在であるバービーボーイズ(BARBEE BOYS)。本作はそんな彼らの絶頂期にリリースされオリコン初登場1位を記録したアルバム。

KONTA(vo)、杏子(vo)による掛け合いのボーカルは色んな男女関係を想像させるものになっておりリスナーの想像力を刺激。

またギタリスト:いまみち ともたか(g)はパンク以降のニューウェイブ系ギターに多大な影響を受けていると思われメロウで流麗なプレイが特徴だが、海外のギタリストにはない日本人特有の直線的な質感もあり非常にユニークな存在と言える。

サウンドはミニマリズムといっていい位に余計な音が鳴っておらず静けさすら感じる。パンクでも、ハードロックでも、ダーク系ギターロックでもない独自のギターロックを展開している。

    「要点」

  • 男女混成の掛け合うボーカルラインは様々な男女関係を想像させる
  • 独自のサウンドを聴かせるギタリスト:いまみち ともたか(g)

「曲解説」

1 ト・キ・メ・キ

ミニマリストの部屋のように必要最低限の音のみで構成されているオープニングソング。時折、民族音楽のようなパーカッションも飛び出す。ギターサウンドは独特で「空気に溶け込み漂う煙」のようで不思議な静けさを感じる。
2 目を閉じておいでよ

「砕けたグラス」のような透明でエッジのたったギターサウンドを中心に展開されるハードロック風の曲(2:02〜)部屋に差し込む斜陽のような電子音が僅かな光を灯す(2:18〜)ちょいエロな歌詞とは対照的な落ち着いた淡々としているサビのボーカルラインが登場(2:45〜)光沢感がのあるベースラインとピアノからなる間奏部がアクセントになっている。
3 Y〰ゆがむ〰

ブレイクビーツ風のビートと哀愁あるメロウなアルペジオが空間を支配するルーミーな曲。時折登場する透明なピアノとエフェクティヴな残響、KONTAのメロディックなコーラスがタイトル通り「〰ゆがむ〰誰もいなくなった部屋」を連想する。
5 Late Again

「何も変わらない街」のようなサックスのメロディーが印象的な「一人遊び」を思わせるミドルテンポの曲(1:44〜)「アー、アー、アー、アー」という声と共に軽いパニックのような展開が一時的に挿入されアクセントになっているが、全体を通して同じところをクルクル回るようなイメージの曲。
6 さぁ どうしよう

ウォームな質感のベースラインがうねるバービーボーイズ(BARBEE BOYS)流パンクソング。ギターサウンドは相変わらず「空気に溶け込み漂う煙」のような静けさがあり汗臭さが全くなく、ザ・スミス(The Smiths)のような流麗さすら感じる。「さぁ どうしよう」という日常の頻出ワードを音楽化したサビのボーカルラインは秀逸。
7 噂ばなしはM(マッハ)4

早足で駆け抜けるメロウなUKポップという趣の曲。ギターサウンドはクリーンで最小限の手数でプレイされているため、ウォームで小波のようなベースラインが非常によく聴こえ(1:56〜)センス抜群のエバーグリーンでミニマムなアルペジオフレーズが清涼感を与えている。ボーカルラインも含めてメロディックで派手なフレーズなどは存在しないのだが、曲を通して非常にメロディックな印象をもつ1曲。
9 君を見てるとしょんぼり

フォークソング的な湿り気を帯びたギターポップ(1:45〜)エフェクトをかけた音色を活かしたキラ星のようなギターフレーズが曲に輝きを(2:20〜)マイルドなブラックコーヒーのようなサックスが渋みを与えている。
10 もうだいじょうぶヒステリー

「曇り空の海辺」のような雰囲気をもち淡々とした展開だが世界観に浸れるメランコリックなラストナンバー。淡々とそのまま最後までいくかと思いきや(4:10〜)アウトロで「切ない思い出」のようなギターソロが登場する。

男女混成のツインボーカル、サックスプレイヤーの存在などメンバー構成の時点でユニークな存在であるバービーボーイズ(BARBEE BOYS)。本作はそんな彼らの絶頂期にリリースされオリコン初登場1位を記録したアルバム。 KONTA(vo)、杏子(vo)による掛け合いのボーカルは色んな男女関係を想像させるものになっておりリスナーの想像力を刺激。 またギタリスト:いまみち ともたか(g)はパンク以降のニュ

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「これまでリリースしたアルバムは本気を出していなかったのか?!」と思えるほどに劇的な変化を見せた傑作アルバム。

「サイバーな質感』「地下の実験室のような不穏な空気感」「未知の生物が誕生したかのような獣的な爆発性」といった要素を持つハードでアバンギャルドな側面と「6 JUPITER」「7 さくら」で聴けるような浮遊感を感じる独自のバラードが絶妙なバランスで配置されている。

デビュー作〜アルバム「悪の華」までに彼らが作り上げた「ギクシャクしたニューウェイブ×ビートロック」の良いところを継承しつつ一線を超えたダークサイドに足を踏み入れている。wikiを見ると今作からメインソングライターの今井寿(g)が本格的に機材を揃え曲作りをはじめたり、ギターシンセを使うようになったそうだ。本作以前は作りたい音はあるのだが今井寿(g)の意図がメンバーや制作関係者に伝わらず本領を発揮できていなかったのだろうと思われる。

アメリカの音楽シーンに激震が走った91年は日本でもバクチク(BUCK-TICK)やルナシー(LUNASEA)などがニューウェイブの独自進化のような問題作をリリースし後続のアーティストに多大な影響を与えた。バクチク(BUCK-TICK)は今作を境にダークサイドのどっぷり使ったアルバムを数作リリースすることになる。

    「要点」

  • ダークサイドに足を踏み入れたサイバーな狂った質感が魅力
  • 今井寿(g)のイメージが明確に具体化できたアルバム

「曲解説」

2 MACHINE

サイバー質感と疾走感を感じることができるハードなニューウェイブチューン。「タカ、タカ、タカ、タカ」という一人時間差のようなギターフレーズがニューウェイブ風。前半は低音を活かした歌声でダークに淡々と展開されるが(1:52〜)不穏なノイズと「宙に浮かぶ近未来のバイクに乗っている」かのようなサイバーな疾走感を味わえるギターソロの出現で状況が一変する。ギターソロは以降は、前半と同じボーカルラインが少し狂ったようなテンションで歌われサウンドも近未来のバイクにのって高速を疾走するイメージを連想できるスピード感がある。
3 MY FUNNY VALENTINE

「ダークでサイバーな地下の実験室」のようなミドルテンポの曲。ツインギターが絡みつくように不穏な響きを奏で、また未知の生物が誕生したかのような電子音が不気味さを演出する(1:58〜)「ダークな世界観にそよ風が入り込む」ような安堵感を感じるサビのボーカルラインが歌われるが、ツインギターはサビでも容赦なく耽美的でダークなフレーズを奏でる(3:08〜)暗い部屋の中で輝く「極彩色の光」のようなギターソロが登場。終盤は開放的なサビが2回繰り返されるが曲のダークさは一貫している。
4 変身[REBORN]

「地下の実験室で生まれた未知の生物が暴れ始めた」ような狂気的なスピードチューン。ダークな静寂の中で不穏でな電子音が鳴り響く展開、この空気を「制御不能な光線のようなサイバーなサウンドが切り裂く。曲を通してこのサイバーなギターサウンドが暴れまくる(2:01〜)人間不信を思わせるような狂気的なシャウトが響く(2:20〜)一旦、冷静になったような淡々としたアルペジオが流れるが、その後、すぐに「全てを切り刻むノコギリ」のようなギターソロが鳴り響く。終盤はこれまで以上にハードになりカオスな様相を呈し(3:52〜)この世の終焉を告げるような消防車のようなサイレンが響く中、最後は櫻井 敦司(vo)の掠れたシャウトで幕を閉じる。
6 JUPITER

聖母マリアのような幽玄なコーラスと星野英彦(g)による12弦ギターのコードが印象的な名バラード。曲を通して神聖でシリアスな雰囲気が漂い、音から眩しすぎる光を感じることが出来る。櫻井 敦司(vo)の歌声はセンチメンタルかつエモーショナル。歌詞の内容は「亡くなった母親の事」と「自身の後悔」について歌っている(2:36〜)今井寿(g)のギターソロが始まるがサビのボーカルラインをなぞった珍しく?!シンプルなものになっている。(3:08〜)「雅」という言葉がぴったりのチェロのメロディーが登場し曲に柔らかい春風が吹く。最後は全ての風が止まり静かに終わる。
7 さくら

「天空の城」を思わせる雅で浮遊感のあるミドルテンポの曲。ヴァースは「天空の城から見渡す夜空」のように涼しい展開で、きらめく星のようなキーボードも散りばめられている(2:17〜)「ちぎれた身体」「ごまかす痛み」という過激な歌詞を合図にサウンドは熱量を帯び始めるが、サビのボーカルラインは淡々とした語りのようなものとなっている。この曲の歌詞も「後悔」がテーマになっていると思われる。(5:20〜)この曲も今井寿(g)のギターソロもボーカルラインをなぞったシンプルなものになっている。「6 JUPITER」同様に「この曲は「歌」を聴かせる曲だ」という無言のメッセージを感じる。
8 Brain,Whisper,Head,Hate is noise

密室で行われる未知の生物の生誕祭のような怪しい雰囲気。今井寿(g)によるアナーキーなラップ風ボイスも登場する実験的な曲。ヤガミトール(dr)によるレッド・ツェッペリン(LED ZEPPELIN)風のヨレた質感のドラムが不思議とマッチしている。91年の日本のメジャーシーンでこの曲を演れるのは色んな意味でB-Tだけだと思う。
9 MAD

ミニマムで歪んだギターリフがリフレインされるサイバーパンク。脳みそを刺激する神経質で電流のようなノイズがあらわれては消え、BPMはゆったりとしているがマッハの速度を感じる事ができる。歌詞の内容は「狂っている事に気づいていない男」による嘆きというところだろうか。
10 地下室のメロディー

「パンドラの箱が開いたような不吉な電子音で幕をあけるB-T流デジタルハードコア。エフェクトのかかった櫻井 敦司(vo)の捲したてるようなボーカルは正体不明の黒い物体に追いかけられるような恐怖を感じる。(1:53〜)淡々としたサビの後は一時的に「全てが終わったような終幕感」が流れ、「電気で動く鳥のさえずり」のような直線的な電子音が鳴り響く。(2:15〜)ギターソロの後ろでは「やばい液体が溢れた」ようなノイズが鳴っている。

「これまでリリースしたアルバムは本気を出していなかったのか?!」と思えるほどに劇的な変化を見せた傑作アルバム。 「サイバーな質感』「地下の実験室のような不穏な空気感」「未知の生物が誕生したかのような獣的な爆発性」といった要素を持つハードでアバンギャルドな側面と「6 JUPITER」「7 さくら」で聴けるような浮遊感を感じる独自のバラードが絶妙なバランスで配置されている。 デビュー作〜アルバム「悪の

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日本におけるギターロックの雛形を作ったボウイ(BOØWY)のラストアルバム「PSYCHOPATH」。今作は「グラム」「パンク」「ニューウェイブ」など様々な音楽からの影響を感じるが、基本的にはシンプルなボウイ(BOØWY)流ロックンロールアルバムであると感じる

アルバムを通してモノトーンで曇ったような空気感が流れ、シンセや電子音などにあまり頼らずに4人の音だけでどれだけのものができるか?!という点にトライしていると思う。ラストアルバムというのは「原点回帰的な作品」か、「贅肉を削ぎ落としたシンプルな作品」となる傾向があると思うのだが、今作は後者に該当する。最後の曲「12季節が君だけを変える」のギターリフはこれ以上削ぎ落とせないところまで削ぎ落とされており、「この4人で出来ることは全てやり尽くした」と宣言するようなラストアルバムとなっている

    「要点」

  • 削ぎ落としたシンプルさ
  • モノトーンで曇った雰囲気
  • この4人で作った最後のアルバム

「曲解説」

1 LIAR GIRL

どんより曇った小雨が降る街角を連想するようなシンプルなロックンロール。イントロでも登場するガラス細工のようなシンセのループが終始鳴り響き、 布袋 寅泰(g)は湿り気を帯びた暗さがあるコードバッキングをリフレイン、リズム隊はシンプルなエイトビートを構築している。(1:42〜)サビは氷室京介(vo)と布袋寅泰(g)による掛け合わせによるボーカルラインだが、メロディーというより言葉のリフのようだ(2:10〜)「目の前がパッと開ける」ような煌びやかなギターソロが登場。終盤はタイトルである「LIAR GIRL」という布袋寅泰(g)のコーラスが何度もリフレインされる。
2 ANGEL PASSED CHILDREN

シャッフルビートが印象的なシンプルな曲で「1 LIAR GIRL」に近い空気感を連想する。ギターはシンプルなバッキングをリフレインしている (1:08〜)クイズに正解したような能天気な効果音の後に氷室京介(vo)による「ニュースキャスターのシャウト」が飛び出し、そしてこれまで黒子のようにバッキングに徹していた布袋寅泰(g)の煌びやなトーンのギターソロが登場する。終盤はリフのように短いサビのボーカルラインが何度も何度もリフレインされる。
4 GIGOLO & GIGOLET

ダークで立体的なギターリフとどっしりしたリズム隊が印象的な曲。サビのボーカルラインはやはりメロディーというよりリフ的なものとなっている。 (1:13〜)少し不穏な響きのするベースソロが登場、アクセントとしてチープなリズムマシンが合いの手を入れる(1:27〜)「うねるアラブの蛇」を連想するアクの強いトーンで奏でられるギターソロがインパクト大。
5 RENDEZ-VOUS (LIVE IN HAMBURG JULY 1987)

氷室京介(vo)と布袋寅泰(g)2人の掛け合いによるサビのボーカルラインがインパクト大。ライブハウスの歓声風SEがイントロやその他の箇所で挿入され、リスナーをライブハウス「HAMBURG」にトリップさせる。(1:58〜)「蛍光塗料が塗られたネズミ花火」のようにくるくると回るギターソロが曲に色彩を与えている。終盤はサビが何度もリフレインされ、歓声風SEで締め括られる。
7 PLASTIC BOMB

タイトなリズム隊とモノトーンな布袋寅泰(g)のギターリフによるノリノリのパンクチューン。インパクト大の名コーラスがサビ以上に目立つ布袋寅泰(g)が主役の曲。(0:13〜)布袋寅泰(g)によるロボット風のコーラスは「リエパパ、リエパパ」と聴こえる。(0:30〜)サビ以上にサビな布袋寅泰(g)によるメロディックなコーラスが登場して、そのままサビに突入。終盤はやはり布袋寅泰(g)によるコーラス「Let’s go」が繰り返しリフレインされる。
8 PSYCHOPATH

布袋寅泰(g)によるクリーンでエッジの効いたカッティングギターが曲を引っ張る。この曲もやはり曇ったモノトーンな空気を支配、曲を通して「メロディックな独り言」のようなボーカルラインが流れる。(2:03〜)壊れたおもちゃのような効果音風のギターソロとギターソロの途中から電撃のような電子音が登場。終盤はモノトーンな空気感にペンキで色を塗るような2度目のギターソロが鳴り響きそのままフェードアウトする
12 季節が君だけを変える

布袋寅泰(g)が氷室京介(vo)に詞の書き換えをはじめて依頼した曲(wiki)で全パートがミニマムで必要な音しか入っておらす見事に削ぎ落とされている。その中でも特に「夢の終わり」のようなシリアスなカッティングギターが秀逸。このフレーズを聴くための曲といっても過言ではない。

日本におけるギターロックの雛形を作ったボウイ(BOØWY)のラストアルバム「PSYCHOPATH」。今作は「グラム」「パンク」「ニューウェイブ」など様々な音楽からの影響を感じるが、基本的にはシンプルなボウイ(BOØWY)流ロックンロールアルバムであると感じる アルバムを通してモノトーンで曇ったような空気感が流れ、シンセや電子音などにあまり頼らずに4人の音だけでどれだけのものができるか?!という点に

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ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)のルーツであるニューウェイブ的なダークさが印象的なアルバムで「8 浸食 〜lose control〜」のようなヘヴィな曲であっても、ダークな質感や耽美的な要素が盛り込まれておりサウンド的に統一感がある。彼らの初期の曲を「HEART」以降のサウンドで再構築したような曲が多いアルバムなので、ある意味、インディーズ時代のアルバム「DUNE」と本作はリンクしていると感じる。

セールス的にピークにあった1999年だからこそ彼らは自分たちの原点を再確認するようなアルバムを作成したのだろうか!?「ダークな統一感」にハマれるかどうかで評価の分かれるアルバムと言える。

    「要点」

  • インディーズ時代のサウンドを再構築
  • ダークで耽美的
  • イケイケの全盛期

「曲解説」

1 死の灰

前作から本格導入したグランジ的な歪みとクリアな浮遊感が同居しているハードチューン。ルーズで「少し酔っている」かのようなヨレた質感の歪んだギターリフが終始鳴り響き、リズムはどっしりとしたシンプルな展開なっている(1:40〜)ハードなサウンドとこぶしの効いたボーカルラインをメインに構成されるサビだが、裏ではユートゥー(U2)やルナシー(LUNASEA)と共通するような眩しい光を連想する空間系アルペジオが鳴り響いており、ハードさと同時に浮遊感と眩しさも感じる(2:13〜)歪んだトーンで鳴らされるギターソロは煌びやかでありやはり眩しい光を感じる。
2 It’s the end

ザ・スミス(The Smiths)彷彿の流麗なギターフレーズが「黄昏の海辺」を連想するようなニューウェイブソング。BPMは早めだがhyde(vo)はギターフレーズに呼応するように流麗で大河のようにゆらりと流れるボーカルラインを歌い上げる、曲を通してサビのような展開。最後は流麗なサウンドが止まり、陽炎のような残響を残すギターサウンドが鳴り響く。
3 HONEY

hyde(vo)からニルヴァーナ(Nirvana)に対する回答とも言えるようなオルタナギターチューン。壊れた質感のオルタナ/グランジギターが終始鳴り響くがボーカルラインがメロウでキャッチーな点が、本家USオルタナ/グランジとは決定的な違いで。壊れたサウンドとメロウなボーカルラインのせめぎ合いがこの曲の魅力。また動きまくるメロディックなベースラインもUSグランジバンドではありえない(1:45〜)ソニックユースのような「機械が壊れたノイズ」のようなken(g)のギターソロは「ノイジーでジャンクな音質」なのだがメロディーを感じさせるのはさすがのセンスだといえる。終盤はまるでリフのようなyukihiro(dr)のドラムが鳴り響き曲を更に疾走させる。
4 Sell my Sou

アジアンの香りがするメロウなギターポップ。パーカッションを使ったラテンっぽいリズムパターンとジャジーなテイストを反映しておりギター・ベース共に最小限の手数でプレイしているが、ギターフレーズは相変わらず流麗なフレージングである(1:10〜)ファルセットを使った「蝶が舞う」ようなメロウなボーカルラインを聴かせるための曲という感じ。それくらい珠玉なボーカルラインだと思う。
6 L’heure

「誰もいないモノトーンな部屋」を思わせるインスト。トリップホップのようなダークで立体的なリズムの上を効果音のようなアルペジオが淡々と鳴り響くとう展開。時折、プライベート感あふれる英語による男女の会話が挿入される。ちょっと休憩というニュアンスの立ち位置の曲。
7 花葬

ニューウェイブ系ダーク・ギターロックの名曲。ダークで浮遊感のあるギターとストリングスが絡みあい幻想的な空気感を演出。音響構築に徹するギターとは対照的にクネるように動きまくるベースラインが印象的(2:02〜)ファルセットを使ったサビのメロディーラインはメランコリックだが一度聴くと頭から離れない中毒性があり(2:19〜)ギターソロはダークで幻想的な世界に「降り注ぐ光」のようび煌びやかな音色。終盤はサビが繰り返され最後はイントロと同様の耽美的なギタースレーズで締め括る。
8 浸食 〜lose control〜

「「地下の実験室」を思わせるダークでミステリアスなアルペジオが鳴り響く静のパート」と「ヘヴィでドライブ感のあるハードなサウンドによる動のパート」を中心にして構成される(1:05〜)「Good‐morning Mr.Fear」というhyde(vo)の呟きからヘヴィでドライブ感のある展開に変貌。ドラムはパワフルな変拍子を叩いている(1:50〜)ライド(Ride)彷彿の暴風雨のようなノイズが登場してカオスな様相を呈する。ノイズが鳴り止んだ後は「滅びた世界」のような淡々としたアルペジオとhyde(vo)の独り言のようなボーカルラインが流れる(3:33〜)またも「Good‐morning Mr.Fear」という呟きからハードな展開に変貌。終盤はハードなベースラインが強烈にウネり最後まで攻めまくる。
9 trick

冷たい金属的な響きが終始鳴り響くノイジーな曲。ループのようなミニマムなギターリフやサイレンのようなエフェクティヴなサウンド、冷たい金属的な響きがインダストリアル風でhyde(vo)のボーカルラインは所々でラップのように聴こえる(2:52〜)脳裏をギシギシ刺激するノイズソロ(?!)が鳴り響く 。このあたりもやはりインダストリアルの影響だと思われる。
10 いばらの涙

初期の耽美的な質感を「HEART」以降のサウンドで再構築したようなサウンド。冒頭は「秒針」のようなアルペジオがループされ、その上をhyde(vo)が「ファルセットで耽美的なボーカルラインを歌うパート」と「ハードでダイナミックなバンドサウンドによるパート」を中心となり構成される。時折、鳴り響く幻聴のようなギターサウンドは幽玄で幻想的な雰囲気がある(1:10〜)手数の多いドラムフレーズからエモーショナルでハードなサウンドに変貌、hyde(vo)のボーカルラインはエモーショナルで空を舞うようだ(3:16〜)ダイナミックで空間を支配するようなギターソロが登場。終盤はサビがリフレインされ全てのパートが主張する展開となり最後はハウリングが鳴り響く。

ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)のルーツであるニューウェイブ的なダークさが印象的なアルバムで「8 浸食 〜lose control〜」のようなヘヴィな曲であっても、ダークな質感や耽美的な要素が盛り込まれておりサウンド的に統一感がある。彼らの初期の曲を「HEART」以降のサウンドで再構築したような曲が多いアルバムなので、ある意味、インディーズ時代のアルバム「DUNE」と

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海外渡航(イギリス・ドイツ)時に得たインスピレーションから作成された楽曲を収録した5枚目のアルバム。

これまでもインディーズ時代のアルバム「DUNE」や3枚目のアルバム「heavenly」で異国感を感じる音創りをしていた彼らだが、今作では「ダークで重厚な質感」や「叙情性のあるフレージング」などの要素を取り入れている。それに加え「ジャジーなテイスト」や「USグランジ・オルタナ」からの影響をラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)らしいメロディックな曲に反映させることによってこれまでの作品とは異なるレベルのダイナミズムや深さを感じることができる作品に仕上がっている。「歪んだマイナーコードの響きを活かしたギターロック」「景色が浮かぶメロウなポップソング」「ドイツの大河を連想するスケールの大きな曲」など様々なタイプの曲が収録されているが全ての曲のクオリティーが非常に高く本作は彼らの最高傑作と呼べる作品になっている。

    「要点」

  • ドイツ大河や古城を思わせる異国感
  • ジャジーな質感を導入
  • 最高傑作との呼び声が高い

「曲解説」

1 LORELEY

極寒のような冷たいピアノとダークで重層な雰囲気が印象的なオープングソング。ken(g)のギターサウンドが曲のダークさと緊張感を演出している。 冒頭では不穏で緊張感のあるサックスが空気を切り裂き、そこからゆったりとしたテンポの上を滑らかなhyde(vo)のボーカルラインが踊り、徐々に熱量を上げていく。Bメロの裏ではこれまであまり聴けなかったスマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)のようなオクターブ奏法により歪んだギターリフを聴くことができ、サビは煌びやかなシンセとうねるベースラインの上をどこまで果てしなく続く大河のような壮大なボーカルラインが響き渡る。中世ヨーロッパのような雰囲気を持ちつつもUSオルタナ的な「エッジ」が反映されている神曲。最後は不穏なコクのあるアルペジオが静かに鳴り響く。
2 winter fall

実際に「真っ白な雪原にいる」かのような錯覚を味わえる曲。ガラスのように透明なアルペジオと優雅なホーンを中心に展開される。 メロディックで「真っ白な吐息」を連想するボーカルラインを持つサビがインパクト大(2:45〜)「雪の上に寝そべって見る晴天の青空がクルクルと回る」ようなイメージが浮かぶスケールの大きい伸びやかなボーカルラインが曲に躍動感を与え(3:08〜)ギターソロは暖炉に手をかざすような暖かさを感じる。曲を通して「どこまでも続く青空」「降り積もる雪」「凍える寒さ」「白い吐息」といった雰囲気を醸し出すフレーズや音色のみで構成されており世界観を見事に表現している。最後はhyde(vo)による「戻らない時間」のような物悲しい一人語りで終わる。
3 Singin’ in the Rain

「雨が降る都会の早朝」を連想するジャージーなピアノの旋律と微かな光のようなギタープレイがを中心に展開されるメロウな曲。 歌詞の中にもやはり「雨」が登場、歌詞の内容としては「降りしきる雨」が「雨が好きだった君」を思い起こさせるとういうもの(1:24〜)メロウな曲にぴったりな湿り気を帯びた力強いボーカルラインが曲の世界観をより確固なものとする。ボーカルラインの裏では残響のようなギターサウンドがノスタルジーな雰囲気を演出。終盤は「雨が激しくなった」ようなギターのノイズ音が薄っすらと鳴り響き、最後は水面に波紋を残すようなピアノの音で終わる。
4 Shout at the Devil

ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)流グランジと言いたくなる歪んだギターロック。イントロからハウリングとhyde(vo)のカウントアップで幕を開ける激しい展開でken(vo)の開放的で歪んだギターフレーズが終始縦横無尽に暴れまわる。90年代後半はグランジ・オルタナ的な歪みを自分たちの曲に反映させる日本バンドが多かったが、この曲で聴けるken(g)のギターサウンドはジ・エッジ/U2(ユートゥー)がニルヴァーナ(Nirvana)のリフを弾いような音であり、ワウを効果的に使って飛翔感を感じるような質感になっていて個性がある(2:20〜)前作「True」までのhyde(vo)からは想像もできないようなまさにDevilなシャウトが登場する。それに続ギターソロに関してもグランジ的な壊れた質感を伴うものとなっている。終盤はリズム隊もグイグイと猛烈に攻めて最高潮を迎え最後は終焉のようなホーンが鳴り響き、僅かな不気味さを残し終わる。
5 虹

「蝶がクルクルと舞う」ようなミニマムなアルペジオが鳴り響く代表曲。言わずもがなバンド名を日本語に変換したタイトルとなっている。 イントロが終わると「いきなりサビから突入」する展開でインパクトがある。話が少しそれるが96年〜97年にかけて当時の3大バンド(L’Arc〜en〜Ciel、LUNASEA、GLAY)が揃ってサビから突入する代表曲をリリースしていることは大変興味深い。本曲は全体的にセンチメンタルな雰囲気のある曲となっており「静かで淡々としたAメロ」、「サビの爆発での予感させるBメロ」、「激しくエモーショナルなサビ」という構造になっている(2:38〜)メロウなアルペジオをバックにhyde(vo)の愛に対する悟りのような呟きが聴ける。終盤はエモーショナルなサビが繰り返しリピートされ最高潮を迎える。
7 Promised land

歪んだマイナー調の残響が心地よくハードでラフな曲なのだが不思議な浮遊感を感じる曲。よく聴いてみるとハードでラフなサウンドのバックに「柔らかい舞」のようなシンセや空間的なアルペジオが鳴っており、これがハードなサウンドなのにも関わらずハードに聴こえず浮遊感すら感じる仕掛けなのだろう(3:05〜)サイケデリックな揺れる光のようなサウンドに全体が包まれれるが、この後、光は消えてなくなりタイトで原始的なドラムが鳴り響く。終盤はフックのあるサビが繰り返されて最後はエフェクトのかかった声の残響で終わる。
8 fate

「ドイツの古城」を思わせる叙情系ギターフレーズと動きまくるベースフレーズが印象的なミドルテンポでダークな曲。マイナー調の歪んだギターサウンドが終始鳴り響き、曲を通して切ない雰囲気が漂う(1:30〜)hyde(vo)による高音を活かしたメロディックなボーカルラインを持つサビが強烈(1:50〜)残響が心地よくゆらゆらと宙を舞うギターソロが鳴り響き、間奏部では柔らかいストリングスやピアノ、煌びやかな電子音なども登場して切なさを更に助長する。終盤は柔らかいストリングスと煌びやかな電子音が更に存在感を増し最後はミニマムな電子音のループで終わる。この曲の終わり方はKarma Police/レディオヘッド(Radiohead)に近いものを感じる。

海外渡航(イギリス・ドイツ)時に得たインスピレーションから作成された楽曲を収録した5枚目のアルバム。 これまでもインディーズ時代のアルバム「DUNE」や3枚目のアルバム「heavenly」で異国感を感じる音創りをしていた彼らだが、今作では「ダークで重厚な質感」や「叙情性のあるフレージング」などの要素を取り入れている。それに加え「ジャジーなテイスト」や「USグランジ・オルタナ」からの影響をラルク ア

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