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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果75件

タグ「J-ロック」のレビュー

グレイ(GLAY)らしいスピードチューンを中心にまとめられたベストアルバム。 エックスジャパン(XJAPAN)が解散を発表しヴィジュアル系(V系)というワードが世間にも浸透し始めた97年に本作はリリースされた。

現在、冷静に本作を聴いてみると普遍的なボーカルラインのよさとボーカルラインを第一に考えたウォームであまり主張しないギターサウンドが印象に残る。「主張しないギターサウンド」と聞くとあまり印象が良くないかもしれないが、当時はルナシー(LUNA SEA)のコピーバンドのようなバンドが大量発生していた時代で、ダークで耽美的で空間的なアプローチがヴィジュアル系(V系)シーンの主流であった。 「ヴィジュアル系(V系)と呼ばれる人たちがいるらしいけど「そっち系はちょっと、、」」という「普通の10代」にはグレイ(GLAY)の歌のメロディーラインを最優先するノーマルな方法論は圧倒的にわかりやすく、また多くの人の琴線にふれる普遍的なボーカルラインが刺さり空前の大ヒットを記録した

    「要点」

  • スピードチューン中心のベストアルバム
  • 楽曲第一であまり主張しないギターサウンド
  • ボーカルラインを活かす普通な方法論がV系では異端

「曲解説」

1 グロリアス

「分身の術」のようにブレるイントロのギターサウンドが印象的であまり歪んでいないウォームなギターサウンドによるバッキングと TERU(vo)のハスキーボイスを活かしたメロディックなボーカルラインを中心に構成される。Aメロ〜Bメロは多少サウンドの強弱はありつつも淡々としたサウンドとボーカルラインで進行するが、サビ前のCメロで急加速してリスナーに迫ってくる。サビのボーカルラインはジェットコースターのように山あり谷ありカーブありと抑揚が非常に大きいグッドメロディーとなっている(2:05〜)曲の雰囲気にマッチした耳に残る ツインギターのハモリフレーズはX JAPANからの影響を感じる?!(3:25〜)雨の街角を連想するクリーンアルペジオが流れる静パートが挿入され最後はギターリフが繰り返しリフレインされハードな質感をもったまま終わる。
2 彼女の“Modern…”

「性急でバタバタ」としたリズムとエッジの効いたギターリフが曲を引っ張る「ダイスで決める予定はとりあえず無視する」という大胆な宣言して始まるスピードチューン(0:28〜)Aメロはザクザクのギターの刻みサウンドが鳴っているが、全くといっていいほど「メタルの匂い」は感じず曲に疾走感を与えている(1:32〜)「ウ〜バイブル」という斬新な名コーラスがが今後の爆発を予感させ(1:46〜)ボーカルラインがとんでもない体感スピードを感じるサビが登場する。このボーカルラインはハモリのツインギターで弾くと強烈にハマるフレーだろう(2:17〜)サビとバトンタッチしてスピード感のあるギターソロが始まるが(2:30〜)またしてもツインギターによりハモリフレーズが顔を出す。最後までだれることなくスピード感を維持して曲は終わる。
3 BELOVED

「あの頃の僕ら」のような哀愁を終始感じるミドルテンポのバラード(1:21〜)同世代のバンドが避けそうな歌謡曲的なボーカルラインを気にせずやってしまうグレイ(GLAY)らしい伸びやかなサビ(2:20〜)ノスタルジーな叙情系フレーズが印象的なギターソロだが、ここでもやはりツインギターによるハモリフレーズが登場する。このあたりは同じツインギターでも先輩格であるルナシー(LUNA SEA)などのバンドではまずありえない展開だ。最後は「夢の終わり」のようなにアコギが爪弾かれて終わる。
5 千ノナイフガ胸ヲ刺ス

曲の冒頭でタイトルを叫ぶというかなり珍しい展開。刻まれるハードなギターリフや歌詞に出てくる「悪魔」というフレーズなど、少しメタルを意識している曲なのかもしれないが「メタル匂」は一切感じず「スピード感のあるポップネス」を体感でき、「ハードでアグレッシッヴなパート」と「宇宙の雰囲気を感じる静かなパート」によって構成される(1:25〜)キラキラしたシンセが夜空の星を連想する静かなパートが挿入されるが、サウンドとは裏腹な歌詞は「刹那的に燃え上がる恋」みたいな内容。「tonight i pray for you」(あなたのことを祈っている)という歌詞からわずかだがV系のエッセンスを感じる(2:17〜)スパニュシュギターのような異国感を感じるフレーズから始まるギターソロだが途中からヘヴィメタル的なハモリフレーズも登場して曲を引き締める。終盤はさらにスピード感を増したハードサウンドで最後まで駆け抜ける。
7 口唇

グレイ(GLAY)クラシックとも言える「スリリングな恋の駆け引き」をテーマにしたスピードチューン。サビから突入するビートルズ彷彿の展開やポリリズムの導入などがBPM以上のスピード感を演出している(0:00〜)メロディックなサビのボーカルラインから曲が始まるのだが、バックでは薄く透明なバブルのようなポリリズム的な電子音が鳴り響いている(1:14〜)2回目のサビではポリリズムの上をハードなギターサウンドが乗り「1回目のサビ」よりも更にスピード感を感じる。中盤以降は畳み掛けるようにサビを連発して最後まで攻め続ける。
9 HOWEVER

「木漏れ日」のような柔らかいピアノの旋律ではじまる名バラード。緊張感があり一人の夜を連想するジャジーなテイストがある(1:30〜)サビは壮大なストリングスとダイナミックなサウンドが絡み、「過去の叶わなかった愛情」という趣の歌詞を歌う美しいボーカルラインをより一層引き立てる(3:04〜)暖かい春風のような「フゥ〜、フゥ〜フゥウウ〜」というコーラスが曲に息吹を与え、中盤以降は壮大なストリングスが存在感を増し曲全体を包み込む。曲が終わる頃には「一人の夜」のような孤独感ではく「清々しい孤独」を感じることができる。
10 Freeze My Love

シンセを大胆に活用したスピードチューン。「見えない影に追いかけられる」ようなシンセサウンドと「誰もいなくなった部屋」を連想するようなマイナー調のギターが疾走感を演出する。ポップで「非メタル」なザクザクギターが終始鳴り響くグレイ(GLAY)流シンフォニックメタルのような曲(1:14〜)サビのボーカルラインのバックで流れる切迫感のあるミニマムなシンセフレーズはダークなギターサウンドと絡み少し不穏な雰囲気とBPM以上のスピード感を与える(2:42〜)80年代ブリティッシュ・ヘヴィメタルのバンドのような叙情性あるギターソロが飛び出す。ジャジーな音色なども取り入れ懐古主義になっていない点が素晴らしい。そして最後はやはりハモリのツインリードで締めくくられる(3:42〜)ブレイクビーツのような3連ドラムリフが登場しアクセントになっている。最後は「同じ月が照らす違う人生」というエモワードで登場し終わる。
11 KISSIN’ NOISE

アグレッシヴなアコギのストロークから始まる珍しくプログレ的な展開を見せる曲。基本的にはハードでアグレッシヴなバンドサウンドで展開されるのだが(2:00〜)唐突な転調が入り、重力がバグったサイバーな異空間に放り込まれる(2:30〜)夕暮れの街のような哀愁あるギターフレーズが登場して哀愁のある空気に包まれるがが(3:00〜)「だから!」という威勢の良いボーカルラインからハードでアグレッシヴなサウンドに戻る。終盤はギターソローも登場してハードなサウンドでそのまま最後まで走る。

グレイ(GLAY)らしいスピードチューンを中心にまとめられたベストアルバム。 エックスジャパン(XJAPAN)が解散を発表しヴィジュアル系(V系)というワードが世間にも浸透し始めた97年に本作はリリースされた。 現在、冷静に本作を聴いてみると普遍的なボーカルラインのよさとボーカルラインを第一に考えたウォームであまり主張しないギターサウンドが印象に残る。「主張しないギターサウンド」と聞くとあまり印象

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レディオヘッド(Radiohead)と共振するような「絶望」「空虚」を受け入れた上でのエモーショナルを追求したアルバム。 サウンド的にはUSグランジ的なざらついた歪みギターと「どんよりした曇り空」のようなUKサウンドを大胆に導入しており、また歌詞の内容はネガティヴィティを肯定するかのような痛々しいものも存在する。

ミスター・チルドレン(Mr.Children)というバンドは曲のイメージをコントロールするのがうまいバンドだと感じる。歪んだリフが印象的な曲であっても実はその歪みリフの頻度は少なかったりするのだ。要するにインパクトに残るタイミングで印象に残したい音を出しているという事だと思う。これまでの作品と比べるとオルタナ・グランジ的な質感の曲が多いが、曲のバランス感覚がこれまで同様に素晴らしいのでほとんどの曲がポップ・ミュージックとして成立しているという作品となっている。

    「要点」

  • 歪んだギターサウンド
  • 社会批判やエロい歌詞多め
  • 空虚を受け入れた上でのエモーショナル

「曲解説」

2 Everything (It’s you)

「深い森に迷い込む」ような幻想的なイントロで始まり、「サビが2回あるような大サビ」が特徴的な曲。言葉遊びもうまく「捨てぇ」と「stay」をかけている。 歌詞は他人にあまり心を開かない主人公が唯一、通じ合える「君に」対して恋とは違う形でもいいからと愛情を独白するというニュアンスの内容となっている。サウンドはミスター・チルドレン(Mr.Children)らしい最小限の音数で形成されるのギターロックで、サビでは鳥が大空に羽ばたくような壮大な展開となる。
3 タイムマシーンに乗って

グランジ的な金属的な歪みギターリフがインパクト大。ヴァースは酔っ払いのようなヨレた歌声で社会風刺的な歌詞を歌い上げ、サビはネガティブな歌詞とは裏腹にビートルズのようなメロディックなボーカルラインという展開。「haa、ha」というコーラスと低音が強調されたミニマムなホーンがポップな質感を与えている。このポップな質感がなければ良くも悪くもグランジ的なダーティーさが前面に出た曲となっていただろう。
4 Brandnew my lover

「3 タイムマシーンに乗って」同様、ざらつき歪んだグランジギターリフが登場する(1:00〜)アシッドハウス期のプライマル・スクリーム(Primal Scream)を思わせる光に包まれるような電子音に乗せて泥酔のようなテンションのボーカルラインが乗り(1:18〜)「人間のどうしょうもなさ」を呪文のように唱えるパートが曲にエッジとミステリアスさを加えている。サビは伸びやかでコクのある歌声で歌われるボーカルラインだが、歌われている内容は「放送禁止レベル」にエロティックさを持ちバックでは光を閉ざすカーテンのようにダーティーな歪みリフが鳴り響く。
5 【es】 〜Theme of es〜

物悲しいストリングスが「どんより曇った早朝」のような雰囲気を醸し出す曲。歌詞の内容は諦念や失望を受け入れつつそれでも希望を持って前に進むというニュアンス。AメロBメロのボーカルラインは抑揚がなく少しメランコリックだが、サビのボーカルラインは「どこまでも続く曇り空」のような広がりをもっている(1:50〜)煌びやかなトーンのギターソロが登場し曲に僅かな光を灯す。
6 シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜

曲を通して全てがサビのような極彩色のボーカルラインを持つ曲。「幸福の鐘のような音」が鳴り響くイントロから始まるキャッチーでカラフルで軽やかなギターポップソング。ネガティヴな歌詞や退廃的とも言える空気感のサウンドが続いた後だけにこの曲が登場したときのワクワク感はとても大きい(2:30〜)ボーカルラインとピアノとアコギだけが鳴る静かなパートが挿入されアクセントになっている(3:14〜)曲を更にカラフルにするサックスソロが鳴り響き曲は最高潮を迎える。終盤はサビが繰り返し歌われ甘い余韻を残したまま終わる。
7 傘の下の君に告ぐ

ザ・スミス(The Smiths)彷彿のメランコリックで流れるようなギターフレーズで幕を開け、サックスをフィーチャーしたジャジーなテイストのギターロック(0:43〜)Bメロのボーカルラインは歌われる内容(社会批判)と反比例するように能天気とも言える位の「不気味な明るさ」を感じるものになっておりシニカル(1:48〜)自暴自棄と自己嫌悪が混ざったような感情をぶちまけるシャウト(2:02〜)歪んだ歌声で絶望と諦念を吐き出し最後は「夢も希望もない」とまたもシャウトが飛び出す。その後に流れるサックスソロは荒廃した荒野のような虚無感すら感じる。最後は全ての絶望を受け入れた上で前に進もうとニュアンスの歌詞がわずかに登場する。これがこの曲の唯一の救いといっていいだろう。
8 ALIVE

「真っ白な空間」を連想するシンセサウンドと「独り言」のようなベースラインが空虚ささえ感じさせるイントロではじまり、空虚な気持ちや現状を受け入れた上で「苦笑いで前に進みわずかな光を見つけて歩き出す」ようなイメージの曲。サウンドは中盤までは空虚な質感が続くのだが、桜井 和寿(vo ,g)のボーカルはサビで大きな熱量を放ちわずかな光について歌う。歌詞は世の不条理に対して諦念に近い負の感情吐き出し、夢も希望もないけど光を探すことを忘れてはいけないという内容(4:36〜)これまで登場しなかったギターサウンドが煌びやか音色で鳴らされる。フレーズはメランコリックだが徐々に熱量をあげ光を感じることができる。終盤は確かな希望を感じるような眩しいサウンドが鳴り響く。
9 幸せのカテゴリー

アルバム「Atomic Heart」に収録されていても不思議ではないアーバンなソウルテイストのギターポップ。終始ノスタルジーと哀愁を感じるサウンドが展開され(1:24〜)サビでは今作で最もキャッチーでメロウなボーカルラインが聴くことができる。メランコリックな質感のボーカルラインが多い本作の中では異色の響き(3:16〜)ウォームなギターサウンドと煌びやかオルガンからなるソロパートが挿入される。終盤は哀愁あるサウンドをキャッチーなボーカルラインが混在して独特な雰囲気となる。
12 Tomorrow never knows

高層ビルから見下ろした夜景のようなアーバンな雰囲気の曲。煌びやかな電子音が星々のように輝くサウンドの上をサックスが縦横無尽に駆け回る。 サビのボーカルラインは歌詞の内容と相まってどこまでも続く地平線のように果てしない(3:08〜)誰も知ることのない明日を歩む事を決意した主人公の背中を強く押すような壮大なサックス(!?)ソロが鳴り響き曲は終盤を迎える。最後は全てのパートが綺麗にまとまり霧のように消える。

レディオヘッド(Radiohead)と共振するような「絶望」「空虚」を受け入れた上でのエモーショナルを追求したアルバム。 サウンド的にはUSグランジ的なざらついた歪みギターと「どんよりした曇り空」のようなUKサウンドを大胆に導入しており、また歌詞の内容はネガティヴィティを肯定するかのような痛々しいものも存在する。 ミスター・チルドレン(Mr.Children)というバンドは曲のイメージをコントロー

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前作「Atomic Heart」で大ブレイクを果たし音楽シーンの頂点に立った彼らが、自分たちがやりたいことをエゴイスティックにやりきった90年代を代表する問題作。ビジュアルが見える音色の数々で構成された本作を聴いているとまるで名作映画を見ているような感覚に陥る。歌詞の内容は「自問自答」「ノスタルジー」「虚無感」「怒り」「わずかな光」などがテーマであり、前作までに見られた「恋愛」をテーマにした詞はほとんど見られない。

またサウンドも退廃的といってもよいダークさと深さがありタイトルとシンクロしている。フォークロック、プログレ、USグランジ的な壊れた質感、ジャージーな哀愁などがギリギリのラインで見事にポップソングに落とし込まれている。

    「要点」

  • 映画を見ているようなコンセプトアルバム
  • アーティストエゴが爆発
  • 退廃的な雰囲気

「曲解説」

2 シーラカンス

本当に「海の中にいる」ような深さと暗さを感じる曲(0:55〜)前作「Atomic Heart」から90年代US/UKギターロックの影響を感じされるフレーズはあったのだが、このリフはUSグランジに対するミスター・チルドレン(Mr.Children)からの回答といっていい位にグランジテイスト。このグランジギターが曲中終始鳴り響くことになる。歌詞の内容は一言でいうと「ディープな自問自問」といったところだろうか(3:14〜)歪んでいるがとブルーな透明感のあるギターソロが鳴り響き、最後は壊れた質感を増したギターロックのような展開でそのまま3曲目に繋がる。
3 手紙

メランコリックで物悲しいアコースティックバラード。重層なストリングスが「2 シーラカンス」同様に海の中にいるような深さと暗さを醸し出しており、歌詞の内容は「いなくなった者」に対する喪失感とノスタルジーを歌っている。
4 ありふれたLove Story ~男女問題はいつも面倒だ~

重い質感であった「2 シーラカンス」「3 手紙」とは異なり少しリラックスした乾いた空気感が心地よい曲(1:57〜)滑らかストリングスとジャジーなピアノが本曲に滑らかな風を吹き込む。
5 Mirror

メルヘンな世界に迷い込んだような浮遊感を感じる曲。キラキラしたキーボードやオルゴールのように聴こえる管楽器がその空気感をさらに助長する (1:33〜)乾いたハーモニカソロが鳴り響きその後はシャボン玉のように透明で揺れるような電子音が登場する。歌詞のほうは古風なフォークソングのようだ
7 名もなき詩

「ジャカジャ〜ン」という勢いのあるコードストロークで始まる名曲。曲を通して乾いた空気感が常に流れており最小限の音数だけで鳴らされたジャージーなギターロックという趣だが、じっくり聴いてみるとドリーミなハーモニカや低音が強調されたホーンが海底で鳴り続いている(1:22〜)ダイナミックかつ大陸的な広がりを見せる神なボーカルラインが登場(4:04〜)これまでのミスター・チルドレン(Mr.Children)では考えられなかったマシンガンのようなラップ風のボーカルラインが飛び出す。歌われる内容は「「人を傷つけてもそこまで悩む必要ないよ」と言いながらもそこまでドライにも無感情にもなれない自分」について。このパートが曲にファンキーなテイストを与えている。最後は、澄み切ったシンプルなギターサウンドをバックに桜井 和寿(vo ,g)が悟りを開いたような愛情論を君に語りかける。
10 マシンガンをぶっ放せ

グランジ化したフォークロックという質感の曲。ありえない事が平然と起こりまくった90年代の空気感を怒りと虚無感が混在した歌詞で見事に表現している。アップテンポな曲なのだが海底で鳴っているシンフォニックなストリングスや雄大なホーンが色んな意味で痛い歌詞を中和させてこの曲をポップソングとして成立させている。
11 ゆりかごのある丘から

LUNASEAの曲に出てくるようなダークなアルペジオや哀愁感漂うアダルトなサックスが退廃的で哀愁のある雰囲気を醸し出す。歌詞の内容は「孤独な者」がノスタルジーな気分に浸る内省的なもので「自分にとって本当に大事なものは何か?!」を深く問いかける内容となっている。桜井 和寿(vo ,g)のボーカルラインは高級なワインのように渋みと甘みがありいつまでの頭の中で反芻し続ける(8:32〜)古いフィルを巻き戻すような音が流れ曲は静かに終わる。本作を象徴するような深くてダークな名曲。

前作「Atomic Heart」で大ブレイクを果たし音楽シーンの頂点に立った彼らが、自分たちがやりたいことをエゴイスティックにやりきった90年代を代表する問題作。ビジュアルが見える音色の数々で構成された本作を聴いているとまるで名作映画を見ているような感覚に陥る。歌詞の内容は「自問自答」「ノスタルジー」「虚無感」「怒り」「わずかな光」などがテーマであり、前作までに見られた「恋愛」をテーマにした詞はほ

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前作までのナイーヴな質感は残しつつ90年代以降の音楽から影響を曲に反映させ始めた作品で、時代が求める空気感に見事にはまりミスター・チルドレン(Mr.Children)史上最高のセールスを記録したアルバム。

「2 Dance Dance Dance」で聴ける歪んだカッティングリフやエフェクトのかかったボーカル、「7 ジェラシー」に流れるアブストラクヒップホップにも通じるダークさ、分厚いシンセサウンドがスピード感を体感できる「11 Round About 〜孤独の肖像〜」など、自分たちが影響を受けた幅広いジャンルをポップ・ミュージックに落とし込んでいる。また前作まではどこか箱庭的にこじんまりとしていた桜井 和寿(vo ,g)のボーカルラインはサビを中心にメロディックになっており一回聴いたら耳から離れない魔力がある。

    「要点」

  • ボーカルラインがメロディックに変貌
  • 90年代的な空気感と見事にマッチしている
  • 「7 ジェラシー」は明らかに異色作

「曲解説」

2 Dance Dance Dance

「散らかった部屋」のような透明で歪んだミニマムなリフが繰り返されるミスター・チルドレン(Mr.Children)風90年代USロックという趣の曲。これまでのミスター・チルドレン(Mr.Children)とは異なる雰囲気でエフェクトのかかった歪んだ声で歌われる「社会風刺」と桜井 和寿(vo ,g)の伸びやかなボーカルラインと春風のようなサウンドが聴くことができるサビが実に対照的だ。
3 ラヴ コネクション

ウォームなギターサウンドが鳴り響くシンプルな曲。シンプルに淡々としヴァースと曲に奥行きと厚みを与える銀座のバーのようなホーンセクションに開放的なボーカルラインが乗るサビによって構成されている(3:36〜)ワウをかけた70年代ハードロックバンドのようなサイケなギターソロが鳴り響く。
4 innocent world

イントロのギターフレーズは「夏の終わり」のようで少しセンチメンタル。仕事に追われて何も起きない平凡な日常のようなヴァースと清涼感のある桜井 和寿(vo ,g)が奏でる「メロウな記憶が走馬灯のように過ぎていく」ようなボーカルラインを持つサビによって構成される。柔らかいそよ風のような爽快感を感じる事ができるポップソング。
5 クラスメイト

シンプルなリズムの上を渋いサックスと水滴のような繊細でクリーンなギターが淡々と鳴り響くアーバンなソウルミュージックのような曲。サビのボーカルラインは派手ではないがしっかりとした熱量を感じる事ができる。
6 CROSS ROAD

「LOVE」と「並ぶ」をかけた言葉遊びもお見事な曲。サビが2個あるような壮大で流れるようなボーカルラインは90年代J-POP/J-ROCK史に残る神ラインだと思う。サウンド的には最小限の音で構成されたアーバンなギターポップといった感じ。
7 ジェラシー

本作中で最も実験的でアブストラクヒップホップに通じるようなダークさと「宇宙にいる」かのような無重力感を感じる曲。ミニマムで軽やかなビートと不穏なうねりを生み出すベースラインが中心となりギターはほとんど入っていない。歌詞はエロ系で心身ともに満たし合ういけない男女関係みたいなイメージ。
8 Asia (エイジア)

タイトル通り「湿度の高い東南アジアの街」にいるような雰囲気を感じる曲であり、抑揚なく流れる川のようなサビのボーカルラインがアジアンテイスト。 ギターリフは「じめっとした空気感」を演出するような重さがある(3:00〜)軽く酔っているような透明なギターソロが異国感を演出(4:30〜)これまでの淡々とした展開が嘘のような桜井 和寿(vo ,g)による 「オォー、オォー、オォー」というメロディックな雄叫びのようなボーカルラインが登場。曲はそのまま静かにフェードアウトしていく。「7 ジェラシー」同様に新機軸といえる1曲。
11 Round About 〜孤独の肖像〜

スポーツに青春を捧げた過去を回顧するような壮大なホーンセクションが印象的。「80年代ギターポップのようなメロウなヴァース」と「分厚くスペーシーなシンセと軽やかなアコギで「マッハのスピードを感じる弾けたサビ」で構成されている曲(3:15〜)サックスソロが始まるがどことなく青春的なメロウさを感じる。シティーポップ的なアーバンさと田舎っぽさが同居している。

前作までのナイーヴな質感は残しつつ90年代以降の音楽から影響を曲に反映させ始めた作品で、時代が求める空気感に見事にはまりミスター・チルドレン(Mr.Children)史上最高のセールスを記録したアルバム。 「2 Dance Dance Dance」で聴ける歪んだカッティングリフやエフェクトのかかったボーカル、「7 ジェラシー」に流れるアブストラクヒップホップにも通じるダークさ、分厚いシンセサウンド

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ハードロックを突き詰めた前作「Brotherhood」から1年後にリリースされた作品「90年代ヘヴィロック」への接近と中国風のメロディーの導入が大きな特徴としてあげられ、またヘヴィネスをより強調するために浮遊感のある音色や展開も多い。これまでとは明らかに質感の異なるノイズサウンドや不穏な空気は、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)やナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)からの影響を感じさせる。

「9 Raging River「14 今夜月の見える丘に」などのボーカルラインは「雨の上海」や「中国の大河」といった景色を連想してしまうような質感をもっており、前作「Brotherhood」同様にハード・ヘヴィなサウンドが主だが、そこにこれまでにない色彩や質感を与える試行錯誤を感じる。

    「要点」

  • USヘヴィッロックからの影響を反映
  • ノイズのようなギターサウンドを積極活用
  • 中国の大河を思わせるボーカルラインを持つ曲がある

「曲解説」

2 Seventh Heaven

SEはロボットが何かを囁いているような電子音。前作ではほとんど聴くことができなかったカッティングギターのリフが登場してBメロのボーカルラインの裏でなるリフはダークでこれまでにない質感のものだ。またイントロやサビ部分ではカラフルなホーンセクションが鳴り響きビーズ(B’z)らしいポップソングに仕上がっている。
3 信じるくらいいいだろう

「2 Seventh Heaven」を聴いて「本作はポップな作品かな?!」と思った矢先、ハードなギターリフとパワフルなドラムが鳴り響く。本曲は終始、ハードでダイナミックなサウンドが鳴り響くシンプルな曲だが、(2:20〜)ギターソロは少しシューゲイザーのようなノイズサウンドになっている。松本 孝弘(g)がこのようなプレイを披露したのは初めてでこれまでどんなサウンドでも「伸びやかでコクのあるギタートーン」を聴かせてくれたので、このギターソロはかなり意外。
4 RING

ギターフレーズとストリングスからなるイントロは「中国の大河」を連想。前作でも登場した空間系でクリーンなアルペジオが曲中で頻繁に登場し神聖な空気感を作り出すしヴァースのボーカルラインも「中国の大河」のようなメロディーを奏でて哀愁があるが、サビのボーカルラインと裏で鳴り響くギターサウンドはパワフルでハードなビーズ(B’z)サウンドとなっている。「神聖で浮遊感のあるパート」と「ハードなビーズ(B’z)サウンド」がクロスしている。
5 愛のprisoner

ガッツリと歪んだヘヴィリフが繰り返され、ボーカルもエフェクトが歪んでいる。サビ前のボーカルラインの裏ではまたもエフェクティブな空間系ギターサウンドが鳴り響き浮遊感を感じるが、サビではパワフルなボーカルラインとヘヴィなギターリフでストレートに攻める。本曲は神聖な雰囲気→ハードサウンドに移行する展開が繰り返される(2:22〜)トム・モレロ(g)/レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)を彷彿とさせる暴風のようなエフェクティヴなノイズプレイが登場してその後ギターソロが始まる(2:58〜)これまたトム・モレロ(g)/レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)彷彿の鋼鉄を切り裂くレーザーのようなバンギャルドなギターサウンドが登場。ヘヴィなサウンドに+aを追加しようとする創意工夫を感じる。wikiを見ると当時、稲葉浩志(vo)はレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)に影響を受けていたらしい。納得。
6 煌めく人

ヘヴィなギターリフがグルグルと回り続ける。この曲では稲葉浩志(vo)がザック・デ・ラ・ロッチャ(vo)/レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)のようなハイテンションでアグレッシヴなラップにトライしている。これまたレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)の影響が出ている曲。
7 May

メロディックなピアノの旋律が流れ「シャボン玉の中にいる」ような不思議な揺れた空気感を持つバラード(2:40〜)HIPHOPのビートとDJのスクラッチが登場してその後、ギターソロがプレイされる。ギターソロの音色はこれまでの松本 孝弘(g)のプレイでは聴いたことがない浮遊感があるものになっている。
9 Raging River

「雨の上海」を連想するウェットな響きを感じる大曲。冒頭はクリアなアコギのストロークを中心に展開され、そこに透明感のあるアルペジオや雨のようなピアノのフレーズが乗りウェットな質感を感じる(2:23〜)歪んだノイズ音の登場とともにハードでダイナミックなサウンドに切り替わる(3:10〜)ハードなサウンドがピタリと止まりポツポツと降り注ぐ雨のようなピアノが流れ、その雨音を重厚なストリングスが包み込み展開。そこにオペラ調のゴージャスなコーラスとタイトなリズムが加わる。メロディーラインはどことなく中国風(4:05〜)重厚なストリングスが作り出した不思議空間を天まで届くような光線のようなギターソロが引き裂くがギターソロが終わった後は雨音のようなピアノとしっとりとしたボーカルラインだけの展開となる(5:40〜)歪んだノイズからハードなサウンドに移行するが、ストリングスはずっと鳴り響いてたままなので浮遊感も感じる(6:50〜)最後は冒頭のクリアなアコギのストロークが静かに流れる。
10 TOKYO DEVIL

残像のようなストリート感のあるエフェクティヴSEではじまり、曲を通してジャンクなストリート感を感じることができるハードチューン。インダストリアル的要素を曲に影響を反映させた新機軸である(0:23〜)不穏な雰囲気を醸し出すエフェクトをかけた稲葉浩志(vo)の声と金属的な響きのザクザクギターサウンドがインダストリアル風(0:54〜)うねる煙のようなオルタナ風ギターフレーズも聴くことができる。
13 扉

「宇宙空間にいるような浮遊感を感じるパート」と「時空が歪んだようなヘヴィサウンドのパート」で構成された曲。宇宙空間に「ピィー」という機械音が流れ続け(1:14〜)遠く離れた故郷を思い出すような渋いアコギソロが絡み浮遊感と哀愁を感じる空間ができあがる。「宇宙的な静けさ→ヘヴィなサウンドに移行する際に感じるヘヴィネス」と「ヘヴィなサウンドが宇宙に吸い込まれるような静けさ」という両極端を感じることができる。
14 今夜月の見える丘に

イントロは「中国の大河」を思わせるアルペジオが鳴り響き、「ジャージーで柔らかく空気感のヴァース」と「ハードなサウンドなサビ」という構成になっている。サビのボーカルラインもやはり「中国の大河」を連想する(2:28〜)「梅雨の晴れ間」のようなピアノの調べと「浅い夢」のような揺らめくようなアコギフレーズが絡み安堵感を与えてくれる。終盤はコクのあるギターソロが鳴り響き、その後、サビが連続で繰り返される。最後は「イントロの中国の大河フレーズ」が響き渡り曲は終わりを迎える。

ハードロックを突き詰めた前作「Brotherhood」から1年後にリリースされた作品「90年代ヘヴィロック」への接近と中国風のメロディーの導入が大きな特徴としてあげられ、またヘヴィネスをより強調するために浮遊感のある音色や展開も多い。これまでとは明らかに質感の異なるノイズサウンドや不穏な空気は、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)やナイン・インチ・

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