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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果75件

タグ「J-ロック」のレビュー

実験性とポップネスが高次元で結びついたボウイ(BOØWY)の3rdアルバム「BOØWY」。

バンド名をアルバムタイトルに起用する場合、その多くは自信作であるケースが多いのだが本作もそのケースに見事に当てはまる名作となっている。本作は初めて海外レコーディングを行ったアルバムでもありこれまでの作品と比べると「モダン」という表現がピッタリである。

前作から本格的に本領を発揮し始めた布袋寅泰(g) のギターは更に独自性を高めており「1 Dreamin’」「5 ホンキー・トンキー・クレイジー」などでは「曲が求める音のみを提供するプロデューサー的視点」を感じるし、多くのギタリストに多大な影響を与えた「6 BAD FEELING」などではポジティヴな意味で弾きすぎなやりたい放題感がある。

また歌詞の内容にも大きな変化があり、反抗的・挑発的な歌詞をもつ「1 Dreamin’」「6 BAD FEELING 」などの曲であってもアルバム「MORAL」に収録されていた「パンクソング的な痛さ」を感じないフィーリングとなっている。「1 Dreamin’」の歌詞は「サラリーマン的人生を真っ向から否定しつつも「I ‘m only dreaming’ = 私はただ夢を見ているだけ」と自身の「ある種のクサさ」を開示している点に潔さを感じる事ができ「6 BAD FEELING」 のサビの歌詞は「アッパッパーなladyに対する嫌悪感」を言語化しているが、エモーショナルになる訳でもなく「大人の対応」と言わんばかりの落ち着きを感じる事ができる。

本作はセンスとやる気に満ちた若者たちが「大人の余裕」をもちはじめ、 冷静にそして大胆に自分たちの音楽を作り始めた。 本作「BOØWY」はそんなイメージのアルバムである。

    「要点」

  • ・「1 Dreamin’」「サラリーマン的人生を真っ向から否定する歌詞を前面に押し出しているが、ファーストアルバム「MORAL」に収録されているパンクソング的な痛さは感じられない。
  • ・「6 BAD FEELING」サビでは「アッパッパーなladyに対する嫌悪感」を淡々と吐き出しているが、 初期のようなパンク的なオラオラ感はなく「大人の対応」というクールさがある。

「曲解説」

1 Dreamin’

「ファンファーレ」のようなサックスサウンド(シンセかも?!)で幕をあける華やかロックチューン。「サラリーマン的人生を真っ向から否定する歌詞」を前面に押し出しているが、ファーストアルバム「MORAL」に収録されているパンクソング的な痛さは感じられない。痛さを感じない理由は何かを否定しているだけではなく、自分自身の熱い願望(「I ‘m only dreaming’ = 私はただ夢を見ているだけ」)を歌っている前向きさがあるからであろうと思われる。そう「他者を否定・批判するだけ」ならそれこそ「居酒屋で無駄な熱量を発するサラリーマンと変わらない」というパンク的な矛盾に彼らはいち早く気づいてしまったのだろう。
2 黒のラプソディー

「路地裏」のようなダークさと「繁華街」の華やかさが同居した曲で「花束」のようなサックスサウンドを大胆にフィーチャーしている(1:50〜) 布袋寅泰(g)のギターソロは「ガラス細工」のようなエッジを感じさせる音質となっており、松井常松(b)のベースラインは「点をピンポイントでメカニカルに突く」ようにイメージであり存在感を放っている。
3 Baby Action

「散歩のようなヴァース」と「疾走感全開のサビ」との対比が面白いミニマムなギターポップ。歌詞は「軽い遊びのつもりだったけど、あいつにハマってしまって忘れられない。もうイヤだ」という内容。イントロとアウトロだけ何故か?!「パキッ」としたゴージャスなインダストリアル風サウンドとなっている。
5 ホンキー・トンキー・クレイジー

「タップダンス」のようなリズムとキャッチーなサックスが印象的なポップチューン(2:30〜)曲のクオリティーを劇的にあげるソウルフルな女性コーラスが登場して曲に「パーティー」のような開放感と華やかさを与えている。タイトルは意味不明だが、おそらくデヴィッド・ボウイ(David Bowie)のアルバム「Hunky Dory」からヒントを得ていると思われる。
6 BAD FEELING

著名ギタリストに多大な影響を与えた名ギターリフがスペーシーな音響の中で踊るニューウェイブ・ファンク。筆者もこの曲のギターリフのコピーにトライした事があるが、この曲のギターリフはシンプルなフレーズではあるのだが布袋寅泰(g)特有のリズム感に慣れるまでが非常に難しかったと記憶している。サビ前に登場する「イマジネーション通りに腰振るのはやめてくれ」という「イマジネーション溢れるライン」はヒムロック以外のシンガーからはまず出てこないラインであろう。サビは「アッパッパーなladyに対する嫌悪感」を淡々と吐き出すという内容であるが、初期のような「パンク的なオラオラ感」はなく「大人の対応」というクールさがある。またこの曲でも「5 ホンキー・トンキー・クレイジー」同様に「タップダンス風」のリズムが存在感を放っている。
8 DANCE CRAZE

ミニマムなロックンロールリフが「ねずみ花火」のように同じところをクルクルとループする冒頭から徐々に近未来的にカラフルで壊れた展開に移行する実験的なサウンドで「クラフトワーク(Kraftwerk)とT・レックス(T. Rex)」が共演したようなイメージの曲となっている。作詞は「ジョナ・パシュビー」という外部クリエイターが手がけており、ボーカルは布袋寅泰が担当している。
9 ハイウェイに乗る前に

イントロからノリノリのテンションを感じさせるロックンロールチューン。サウンドは実際に「ハイウェイに乗っているような疾走感を判じるパート」と「都会をすり抜けたようなナイーヴな開放感を感じるパート」が主となり構成されている。歌詞の内容は「アッパーな上にいい女であるオマエを忘れる為に強がってハイウェイを走り抜ける男の心情」と言ったところだろうか。
10 CLOUDY HEART

「機械仕掛け」のような緻密さと「ガラス越し」のようなフィーリングを感じる曲でバラード調から疾走感溢れるサビに移行する展開となっている。歌詞は「軽いはじまりだったけど、案外長く続いた恋の終わり」をテーマにしており「若すぎて無責任であった2人の日々」を氷室京介(vo)が切なく振り返っている。終盤はスペーシーなシンセサウンドが存在感を放ち、主人公の「CLOUDYな心情」を表現している。

実験性とポップネスが高次元で結びついたボウイ(BOØWY)の3rdアルバム「BOØWY」。 バンド名をアルバムタイトルに起用する場合、その多くは自信作であるケースが多いのだが本作もそのケースに見事に当てはまる名作となっている。本作は初めて海外レコーディングを行ったアルバムでもありこれまでの作品と比べると「モダン」という表現がピッタリである。 前作から本格的に本領を発揮し始めた布袋寅泰(g) のギタ

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デビューアルバム「MORAL」から別人のような変化を遂げた2ndアルバム。

メンバー構成が6人から4人となった事で各メンバーのパートがより目立ち音に躍動感とビビッドな色彩が感じられる。またプラスティックで衝動的なパンクサウンドにのせて「教師」や「サラリーマン」に対する苛立ちや嫌悪感を挑発的な言葉にして吐き出していた氷室京介(vo)のボーカルは「弾けるパート」と「あえて抑制させるパート」を使い分けるモダンなものとなっている。

歌詞に関しては前作同様のわかりやすく挑発的な内容は「7 LONDON GAME」位となっており、 アルバム全体から「パンクとは距離を置きたい」という明確な意思を感じる。ちなみに「7 LONDON GAME」では「髪を立てた自称パンクス達」を小馬鹿にしていると思われる。

本作はスタジオワークを学んだ布袋寅泰(g)のアイデアが思う存分発揮されており、エフェクティブでアバンギャルドなギターサウンドが随所に散りばめられている。「8 SYMPHONIC」で聴くことができる「曲そのものをズタズタに切り裂くようなギターカッティングはまるで「モラル」という名の檻の中に閉じ込められていたライオンが暴れ始めたような凶暴性すら感じさせる。

本作は本当の意味でのボウイ(BOØWY)のデビューアルバムと言っていい内容となっている。

    「要点」

  • ・アルバム全体から「パンクとは距離を置きたい」という明確な意思を感じる。
  • ・「7 LONDON GAME」では「髪を立てた自称パンクス達」を小馬鹿にしていると思われる。

「曲解説」

1 INSTANT LOVE

前作には気薄であったカラフルさを感じる軽やかなギターポップで「6弦を親指で押さえたフォーム」でマイナーコードをカッティングする布袋寅泰(g)らしいファンキーなフレージングが曲に疾走感を与えている(1:07〜、2:06〜) 「ふと冷静になった深夜」のような沈むマイナーコードがかき鳴らされ「パキッ」とした金属的なビートが曲に緊張感を与えている。氷室京介(vo)のボーカルは前作までのそれとはまるで別人のようであり「弾けるパート」と「あえて抑制させるパート」を使い分けるモダンなものとなっている(2:40〜)キラキラした眩しい電子音が現れリスナーを夢の国に誘う。終盤は浮遊感の伴うエフェクトが掛けられベースがマニアックなメロディーを奏でる。
2 MY HONEY

「スペーシーな音響の中でタイトなロックソングを奏でた」というイメージの曲。所々で挿入される布袋寅泰(g)によるエフェクティヴなギターサウンドが「怪しい光」のように曲の中で異彩を放っている。歌詞の中に出てくる「かわいすぎるぜ」というラインにはビックリさせられる「尖ったパンキッシュな歌詞」を求める初期ファンの方はこのフレーズに対して当時どのようなリアクションを示したのか非常に気になる。
4 FUNNY-BOY

「難解で神秘的なRPGゲーム」を連想するシンセサウンドをフィーチャーしたニューウェイブ・ギターソングで布袋寅泰(g)がフェイバリットに上げているアーティスト/エックス・ティー・シー(XTC)からの強い影響を感じられる曲となっている。「早足」のような疾走感と知性を感じるデリケートな音響が混ざりあう「アートヤンキー」なロックチューンである。
6 TEENAGE EMOTION

遊び心を感じる電子音やエフェクトをかけた歪んだコーラスが印象的なジャンクチューン。この曲における松井常松(b)のベースラインは「凸凹した歪なフロア」のように立体的であり珍しくエゴイスティックなラインとなっている。(1:52〜)強烈に歪ませた音色によるベースソロが披露され曲そのものに縮れた質感を与えている。
7 LONDON GAME

コミカルなポップソングの中に時折「歪んで狂ったパンクパート」が挿入される凝った曲。歌詞の内容はおそらくではあるが「髪を立てた自称パンクス達」を小馬鹿にしたものと思われる。本作/INSTANT LOVEはボウイ(BOØWY)にとって「パンクからの脱却」というテーマもあると思うのだが、そういう意味においてはこの曲の歌詞は最も本作を象徴していると言ってもいいと思う。
8 SYMPHONIC

布袋寅泰(g)のファンキーなカッティングギターがメランコリックソングをズタズタに切り裂く実験的な曲。この曲のカッティングフレーズを人差し指を伸ばすフォームで弾くことはある種不可能である(2:40〜)「ぶっ壊れた」とした言いようのない布袋寅泰(g)のアヴァンギャルドなノイズプレイが強烈な爪痕を残す。
9 THIS MOMENT

ダビーな音響の中、松井常松(b)のベースラインが「孤独な足跡」のようにダークに響わたりボウイ(BOØWY)ソングの中で唯一レゲエを感じる曲となっている(2:27〜)ギターソロはポストパンクの神アーティスト/ザ・ポップ・グループ(The Pop Group)に影響をうけたと思われる内容であり、不協和音を効果的に取り入れている。最後は「夢の中で見た夢」のようなドリーミーな電子音に包まれる展開となる。

デビューアルバム「MORAL」から別人のような変化を遂げた2ndアルバム。 メンバー構成が6人から4人となった事で各メンバーのパートがより目立ち音に躍動感とビビッドな色彩が感じられる。またプラスティックで衝動的なパンクサウンドにのせて「教師」や「サラリーマン」に対する苛立ちや嫌悪感を挑発的な言葉にして吐き出していた氷室京介(vo)のボーカルは「弾けるパート」と「あえて抑制させるパート」を使い分ける

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ジャパニーズロックの土台を作り後続に多大すぎる影響を与えたボウイ(BOØWY)のデビューアルバム。

「スタジオに行って演奏しただけ状態のサウンドクオリティに布袋寅泰が失望した」という逸話がある。 本作の反省を活かして布袋寅泰がスタジオワークに本格的に意識を向けはじめるキッカケになった。本作の存在なくして色んな意味で後のボウイ(BOØWY)サウンドは存在しない為、まさに原点と言えるアルバムである。

本作はボウイ(BOØWY)が6人編成の時にリリースされた唯一のアルバムであり、サウンドのクオリティに関しては後のアルバムと比較した場合に明らかに劣る事は間違いないのだが、「学校」「教師」「サラリーマン」に対する「強烈なフラストレーション」を叩きつける衝動的でパンチの効いた歌詞がプラスティックで未完成なパンク風サウンドを強引に引っ張っているようなイメージである。

「サラリーマンを小馬鹿にした歌詞」で溢れる本作を現在リリースすれば間違いなくSNSで大炎上するであろう。また布袋寅泰(g)のギターワークもまだ本領を発揮しているとは言えず、おそらくではあるが「パンク以降」の流れ中でまだ「明確な答え」が見えていないという印象を受ける。

    「要点」

  • ・「スタジオに行って演奏しただけ状態のサウンドクオリティに布袋寅泰が失望した」という逸話がある。
  • ・「サラリーマンを小馬鹿にした歌詞」で溢れる本作を現在リリースすれば間違いなくSNSで大炎上するであろう。

「曲解説」

2 IMAGE DOWN

「平行移動のコード進行」によって構成されるイントロのギターリフが印象的なボウイ(BOØWY)の代表曲。 ドラムのビートはまるで「ロボットのパンチ」のようにタイトである。歌詞の内容は「尻の軽い女に対する強烈な皮肉とディスり」であり、「英語数学まるでダメだけどあっちのほうはインテリジェンスかい?!」というラインには何とも言えないユーモアがある。終盤は熱量を増したビートの上で氷室京介(vo)がタイトルである「IMAGE DOWN」というフレーズを「鬼」のように連呼する。
3 SCHOOL OUT

偉そうに説教してみても結局は「自分の身の保身以外何も考えていない先公」(ツッパリ的に言う)に対する苛立ちを元不良の氷室京介(vo)が「決まったレールの中でズレちゃう不良達」の代わりに吐き捨てるシンプルなパンクチューン。布袋寅泰(g)のギターフレーズはシンプルではあるが他のパンクギタリストにはありえない色彩を感じる(1:57〜)何から何まで処分で片付ける学校という名の腐ったシステムに対して氷室京介(vo)が「怒りを通り越した哀れ」をもって「本当の事を見失うぞ」と警告する静のパートが挿入される。
4 ÉLITE

腐りきったエリートサラリーマンに対する怒りをぶちまけたパンクチューン。氷室京介(vo)はサラリーマンをした事がないのに何故?!ここまで生々しい歌詞を書けるのだろうか?!。おそらくであるが、氷室京介(vo)という人は音楽云々ではなく「フラストレーションをブチまける為の手段」としてロックに興味をもったのではないだろうか?!教師やサラリーマンなど「自分には到底理解が及ばないこれらの人たちに対する嫌悪」が若かりし頃の氷室京介(vo)に大きなイマジネーションとある種のモチベーションを与えたに違いない。
6 NO N.Y.

「女神」のようなbeauty faceをもつ女を愛してしまった男の心情を歌っているプラスティックなフィーリングのポップチューン。「あいつを愛したらNY、NY」というラインは今聴いても全く意味不明である。歌詞はサックスプレイヤーである深沢和明が担当。下世話な話ではあるが、深沢氏はこの曲の作詞印税だけで相当な額を手にしているハズである。
7 MASS AGE

布袋寅泰(g)のギターが「90年代UKギターロック」のような音色を聴かせる珍しいタイプの曲。歌詞は「腰を下ろすのはまだまだ先」なるラインなどからおそらくではあるが、腐ったサラリーマンを強烈に小馬鹿にしたものであると思われる。まくし立てるような氷室京介(vo)のボーカルのバックでは牧歌的とも言える深沢和明(sax)のサックスが響き渡る(1:20〜、2:10〜)「woo、woo、woo、woo」という布袋寅泰(g)のコーラスは少し狂気じみた脱力感を感じる(1:40〜)「ミスターダウンピッキング」こと松井常松(b)がスラップを披露する立体的なベースソロを奏でる。
9 RATS

調子の良い時だけ「飲み行こう」などと言ってきて都合が悪くなれば「知らんフリ」という、よくありがちなサラリーマン上司を完全に小馬鹿にしている曲。サウンドは最小限の音数で構成されており、松井常松(b)の立体的なベースラインが非常によく目立つ。所々でエレクトロニカのような透明な電子音が登場し曲に色彩を与えている。この電子音の配置は「音楽的多重人格」を自称する布袋寅泰(g)のチョイスによるものであろう。
10 MORAL

「人間の暗部」にスポットを当てた歌詞は現在ではリリースが難しい類であり、正直そう何度も聴くような内容ではないが、おそらくではあるが「人の不幸に群がるマスコミ」や「偽善者」を痛烈に皮肉った内容であると思われる。おそらくではあるが、現在の氷室京介(vo)はこの曲をリリースした事を後悔しているであろう。
11 GUERRILLA

「9 RATS」同様にサラリーマンを完全に小馬鹿にしている曲。「山ほど仕事が待っているのか、いないよな」というラインは働くふりだけしている「働かないおじさん」の腐った実情をズバリ指摘している。また仕事終わりのビアホールで「振り向く女は会社の仲間さ」というラインはコント的であり「頭を使った覚えはないのさ」「悩む事などありもしないのさ」などのラインはやりすぎでもはや笑えない。氷室京介(vo)のサラリーマンに対する嫌悪感と苛立ちは相当なものである。
13 ENDLESS

「魔界の入り口に立っている」かのような不穏な音響を前面に押し出したシュールとしか言いようのない曲。 (0:20〜)透明でメロウなポップソングに移行するまさかの展開を見せ、氷室京介(vo)の歌声は「教師やサラリーマンに対する苛立ちを吐き捨てた人物」と同様とは思えない程に優しくそして温かい。

ジャパニーズロックの土台を作り後続に多大すぎる影響を与えたボウイ(BOØWY)のデビューアルバム。 「スタジオに行って演奏しただけ状態のサウンドクオリティに布袋寅泰が失望した」という逸話がある。 本作の反省を活かして布袋寅泰がスタジオワークに本格的に意識を向けはじめるキッカケになった。本作の存在なくして色んな意味で後のボウイ(BOØWY)サウンドは存在しない為、まさに原点と言えるアルバムである。

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「1 BLOWIN’」
「ジェットコースターに乗った」ようなスピードを感じるサビのボーカルラインがとにかく素晴らしいゴージャスなシンセロック。「風に揺れる心を抱えながらも答えを探す旅を止めてはいけない!」とリスナーに提案する歌詞がとにかく秀逸である。ビーズ(B’z)のヒットシングルの歌詞によく見られる傾向として「主人公や第三者が感じている悩みや不安」に対して課題解決策を提示する事が挙げられる。この曲の歌詞もまさに「B’zのヒット方程式」にずばり当てはまる歌詞の内容となっている。

好きなアーティストが「自分達が感じるような類の悩み・不安に対する課題解決策をロックサウンドやデジタルサウンドに乗せて歌って提案してくれるのである。B’zファンの方にとってはシングルCD1枚1000円という価格設定は非常にリーズナルブである。この稲葉浩志(vo)による「課題解決型の作詞」は見事と言うほかなく見事な付加価値として機能している。

サウンド的にはデジタルビートを強調したサウンドからハードロックに移行する過渡期的な内容となっている(2:16〜)アコースティックギターのコードに乗せて「風をうけても立ち上がる君に対する賞賛」を歌い上げる静のパートが挿入され、サビのボーカルラインの体感速度を更に上げている。

「2 TIME 」
目の前に「どこまでも広がる海」が広がるようなスケールを感じるエモ系バラードの名曲。「何もない午後の入江を往く船をただ見つめていた」という歌詞は「近い将来に起こる2人の別れを予見する」ような文学的な静けさを感じさせる神ラインである。

後悔する過去を思い出す時に「どうすれば時が戻る」と思う事はよくある事だが、本作のサビでは「どうすれば時が戻る」というラインだけではなく「どうすれば時が過ぎる」というラインも登場する。「どうすれば時が過ぎる」なる感情は現状のあまりの悲しさや辛さに耐えられない時にしか湧き得ない感情である。(2:55〜)「逃げ出したくなる時にそばにいてくれるのは誰なのか?」「くだらない事で一緒に笑いあえるのは誰なのか?」と自身に問いかけ「いなくなった君の存在の大きさを再認識する歌詞」がシリアスにそして重くリスナーの心に響き渡る。

「今どこで何をしている?」や「言葉はいつも役に立たない」というフレーズからも分かるようにこの曲の歌詞は、ただ「恋人と別れた」だけではなく「人生で欠くことが出来ない重要なピースを失った」ような強烈な喪失感をテーマにしていると思われる。稲葉浩志(vo)のボーカルも「感情が完全にのっている」事から、おそらくではあるが自身の失恋体験をベースに書かれた生々しい感情であると思われる。

終盤は松本孝弘(vo)のディープなギターサウンドが「氾濫する思い」のように濃厚に響き渡る。

    「要点」

  • ・「1 BLOWIN’」稲葉浩志(vo)による「課題解決型の作詞」は見事と言うほかなく見事な付加価値として機能している
  • ・「2 TIME 」「何もない午後の入江を往く船をただ見つめていた」ラインは文学的な静けさを感じさせる

「1 BLOWIN’」 「ジェットコースターに乗った」ようなスピードを感じるサビのボーカルラインがとにかく素晴らしいゴージャスなシンセロック。「風に揺れる心を抱えながらも答えを探す旅を止めてはいけない!」とリスナーに提案する歌詞がとにかく秀逸である。ビーズ(B’z)のヒットシングルの歌詞によく見られる傾向として「主人公や第三者が感じている悩みや不安」に対して課題解決策を提示

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非ビジュアル系なド派手なビジュアルとBADなR&Rサウンドを提げて80年代の音楽シーンに登場したジギー(ZIGGY)の1stアルバム。

カリスマ的でBADなR&Rシンガーをペルソナとして設定しているであろう、森重樹一(vo)のボーカルはR&Rボーカリストとして最高のお手本であり「1 EASTSIDE WESTSIDE」「7 HOW」における「掠れたがなり歌唱」は清春(黒夢)に多大な影響を与えたと思われる。

自身が憧れたであろうカリスマシンガー達の影響を反映させた「掠れたがなり歌唱」や「BADなシャウト」を盛り込みR&R的なワイルドさを醸し出している森重樹一(vo)のボーカルではあるが、サビのボーカルラインはノリノリのR&Rやシンプルなパンクソングであっても非常にメロディックであり「メロディーメーカーとしての隠しきれない才覚」がにじみ出ている。 この「歌心あるメロディーセンスの有無」がメロディーにある種の拒絶反応を示すドメスティックなR&Rバンドとジギー(ZIGGY)との決定的な違いであると思われる。

    「要点」

  • ・カリスマ的でBADなR&Rシンガーをペルソナとして設定しているであろう森重樹一(vo)のボーカルはR&Rボーカリストとして最高のお手本
  • ・サビのボーカルラインはノリノリのR&Rやシンプルなパンクであっても非常にメロディック

「曲解説」

1 EASTSIDE WESTSIDE

性急なビートに乗せてタイトルにもなっている「EASTSIDE WESTSIDE」というフレーズを「ワイルドにそしてBAD」にシャウトするオープニングソング。ボーカルラインは「どこからどこまでがサビなのか?!という判断が難しいもの」となっており曲を通して「全てがサビ」のようである。
2 MAKE IT LOUD

ゴージャスなサックスフレーズを盛り込んだミドルテンポの曲で歌詞の内容は「ブルースに抱かれる飲んだくれ女たち」についてである。 サビのボーカルは非常にメロディックであり濃厚なサックスサウンドと絡まっている。
3 I’M GETTIN’ BLUE

「ノリの良いBADなロックンロールサウンド」と「BLUEな夜が続く理由に思考を巡らせる内省的な歌詞」の対比が面白い曲(2:22〜)戸城 憲夫(b)によるベースソロは「サビのボーカルラインをアレンジした」シンプルなラインだが「雨後の光」のような眩しさを感じるものとなっている。
4 BIRDS ON STRINGS

基本的には「誰もいない部屋」のような静けさを感じるアコースティックバラードなのだが、サビで瞬間的に「エモーショナルな熱量」を放つ曲となっている。歌詞の内容は「ゆきずりで始まった、刹那的な恋の終わり」についてであると思われる。
5 LAZY BEAT

「1.2.3.4」という威勢のよいカウントアップで幕をあけるパンクチューン。歌詞の内容は「R&R幻想を叩きつけた」シュールなものとなっており「おもちゃのピストル夜空に向けて」というラインは色んな意味で危険な匂いがする。
7 HOW

「独白」のようなバラード調から突如、ワイルドなR&Rに変貌する曲。本曲における森重樹一(vo)の「掠れたがなり歌唱」は清春(黒夢)に大きな影響を与えたであろうと思われる。サビのボーカルラインは相変わらず「非R&R」なメロディックなものとなっている。
9 I WANT YOUR LOVE

サビから始まる曲展開とサビ前の「ア〜、ア〜、ア〜」というビートルズ(The Beatles)風コーラスが印象的なパンクチューン。最後は音量が徐々に下がっていき唐突にサックスソロが飛び出す意外性のある展開となっている。
11 6月はRAINY BLUES

BADなR&Rバンドとは思えないナイーヴなタイトルが印象的なロックバラード。歌詞は「現在の生活とあなたにさよならを告げる」という内容となっている。終盤は「卒業式」のような晴れやかとセンチメンタルが同居したストリングスが2人の別れを静かに彩る。

非ビジュアル系なド派手なビジュアルとBADなR&Rサウンドを提げて80年代の音楽シーンに登場したジギー(ZIGGY)の1stアルバム。 カリスマ的でBADなR&Rシンガーをペルソナとして設定しているであろう、森重樹一(vo)のボーカルはR&Rボーカリストとして最高のお手本であり「1 EASTSIDE WESTSIDE」「7 HOW」における「掠れたがなり歌唱」は清春(

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