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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果75件

タグ「J-ロック」のレビュー

バクチク(BUCK-TICK)サウンドの象徴とも言える今井寿(g)による不思議な音程感を感じるニューウェイブ・ギターサウンドがほとんど登場しない問題作。

2000年にリリースされ音楽シーンに衝撃を与えた「KID A / レディオヘッド(Radiohead)」や音響系・ポストロック・アーティストからの影響を感じられる。「オーガニックな電子音」「クリアでアンビエントなアコギ」を大胆に取り入れたサウンドにはこれまでのB-Tサウンドにはない類の浮遊感と透明感が漂っている。また歌詞もB-T的な屈折は少なめでエモーショナルでストレートな表現が多くなっている。

これまでのどのアルバムにも似ていないサウンドが鳴っていることからファンの中でも賛否両論があったと思われるが、自分たちが築き上げた「B-Tらしさにあぐらをかく気はない」と高らかに宣言するようなアナーキズムを感じる作品であると言える。

    「要点」

  • ・「KID Aレディオヘッド(Radiohead)」や音響系・ポストロック・アーティストからの影響を感じられる
  • ・「オーガニックな電子音」「クリアでアンビエントなアコギ」を大胆に取り入れたサウンド

「曲解説」

1 疾風のブレードランナー

「春の訪れ」のような暖かさを感じる音響に包まれるオープニングソング。アナログなバンドサウンドに伸びやかな電子音が絡みついて、曲全体から確かな光と清々しさを感じる事ができる。歌詞も過去最高レベルに前向きな内容で「祝福」なる非B-Tなワードも登場する。
2 21st Cherry Boy

「フゥ〜、フゥウウ〜ウ」という「春風」のようなコーラスに多くのファンが驚愕したと思われるキャッチーなポップチューン。タイトル「21st Cherry Boy」と繰り返される「I wanna be a toy」というフレーズはT・レックス(T. Rex)の名曲を意識していると思われる。
3 WARP DAY

アコースティックギターによるクリアでミニマムなフレーズがリフレインされるアンビエントな質感の空間系ソングで音響系・ポストロックからの影響を感じられる。音数は少なく音には洗練されたオーガニックな質感がある。この「厳選された感」のある音はまるでハイセンスなセレクトショップのようである。
4 謝肉祭-カーニバル-

「3 WARP DAY」同様にデリケートな音響に包まれるアンビエントな質感のバラード。ギターサウンドは「空間を静かに漂う」ように流れリフやフレーズではなく完全に「音響」である。櫻井敦司(vo)のボーカルはファルセットで透明感のある美しさを醸し出している。
6 Long Distance Call

ミニマムで冷たいアコギのアルペジオを中心に展開されるエモーショナルバラード。歌詞は戦場に向かう若者が遠く離れた母親に電話してストレートに愛情を伝えるという内容である。気のせいかもしれないが詞の世界に「母親」が登場する歌を歌うときの櫻井敦司(vo)はいつも以上に声に繊細な感情が反映されていると感じる。
7 極東より愛を込めて

ダークなシンセサウンドが「脅迫観念」のように迫り来るアッパーチューン。「愛」という非B-Tなワードが頻出する歌詞がインパクト大で「争いのない世界」をテーマにしていると思われる。「汝の敵を愛する事ができるか?!」という歌詞には「争いをはじめるのも人」だけど、同時に「争いのない世界の実現をを拒んでいる」のもまた人なんだよという皮肉めいたものを感じる。
9 Brilliant

アコースティックなオルゴール風サウンドがループされるドリーミーなバラード。歌詞はイマージネーションによって様々なイメージが頭の中に浮かぶものとなっている。筆者としては「戦場で亡くなった息子に対して母親が独り言で語りかける」ような内容であると考察している。
10 Kingdom come-moon rise-

「強い北風」のような音響を感じる浮遊ソングで全てのパートが「空を漂うような浮遊感」をもっている。終盤は縮れた電子音だけがミステリアスに響き渡る。
11 Continue

「ディープでバグった密室」を連想するインスト。「これぞB-T」というアバンギャルドなノイズと音響が次々と現れる(2:03〜)その合間をアンビエントで氷細工のようなフィールングの電子音が美しいメロディーを奏でる。ノイズとアンビエントで美しいメロディーの共存はテクノ界のレジェンド / エイフェックス・ツイン(Aphex Twin)からの影響を感じさせる。

バクチク(BUCK-TICK)サウンドの象徴とも言える今井寿(g)による不思議な音程感を感じるニューウェイブ・ギターサウンドがほとんど登場しない問題作。 2000年にリリースされ音楽シーンに衝撃を与えた「KID A / レディオヘッド(Radiohead)」や音響系・ポストロック・アーティストからの影響を感じられる。「オーガニックな電子音」「クリアでアンビエントなアコギ」を大胆に取り入れたサウンド

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カラフルなデジタルサウンド・B-T化したエレクトロニカサウンドをバンドサウンドに絡め、これまでのB-T作品の中でも最も「カラフルな音響」を感じられる作品となっいる。

前作「SEXY STREAM LINER」で習得したデジタルサウンドとの共存をよりナチュラルな形で表現しており「1 Baby, I want you.」「4 細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM」などは「歌われいる内容のアブノーマルさ」とは対照的に非常にポップである。「7 女神」における「静」→「動」への移行を強調したダイナミズムはこれまでありそうでなかった展開でありストレートにオルタナ系ギターロック・アーティストからの影響を反映したものとなっている。また歌詞は相変わらずマニアックかつアブノーマルなものが多く、クイズ番組風の「2 CHECK UP」やクローン羊をテーマにした数え歌風の「4 細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM」などはB-T以外では色んな意味で成立しないと思われる。今作のポップに対する挑戦が次回以降の作品にどのように反映されるか非常に楽しみである。

    「要点」

  • ・これまでのB-T作品の中でも最も「カラフルな音響」を感じられる作品
  • ・「4 細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM」クローン羊をテーマにした数え歌風の曲

「曲解説」

1 Baby, I want you.

これまでのバクチク(BUCK-TICK)ソングには登場しなかった類のカラフルなデジタルビートが終始鳴り響く、トロピカルでセクシーなエロい系アッパーチューン(2:30〜)「ガラスの世界に迷い込んだ」ようなエレクトロニカパートが挿入される(3:00〜)櫻井敦司(vo)によるシャウトの後に「縮毛」のように縮れたビーム風ギターサウンドが曲に強烈な歪みを与える。
2 CHECK UP

ハードなロックサウンドに乗せて「リスナーにシリアスなクイズを出す」というアイデアが斬新すぎるB-Tらしいシュールソング。時折、登場する今井寿(g)のボーカルは「ぶっ壊れたクイズ番組の司会者」のようだ(3:43〜)ギターソロはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)のギターソロに「UFO」を思わせる浮遊感を加味したピィーピィー系ノイズソロであり「曲が持つインパクト」に負けない内容となっている。
3 GLAMOROUS -FLUXUS-

「海中にいる」ような浮遊感とブルーを感じる耽美なギターポップ。サビは非常に開放的なボーカルラインとなっており、歌詞にもあるよう「扉を突き抜けた」ようなフィーリングである。またサビでは「光のシャワー」のような電子音がリスナーを光の世界へと誘う。
4 細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM

タイトルからしてマニアックな匂いが濃厚なデジタルチューンで歌詞の内容は「クローン羊:ドリー」からヒントを得たものらしい(wiki)。サビは「ドリーが1匹、ドリーが2匹」というまさかの「数え歌」である。この曲をメジャーシーンでリリースできるのはバクチク(BUCK-TICK)だけだ(2:11〜)ギターソロは「錆びついたドアノブを強引に回すような歪み」を感じるサウンドとなっている。
6 Death wish

縮れたような歪みを感じるギターリフを中心に展開される曲で歌詞は「設定を把握するのが困難」なものであるが、おそらくでは「救いようのない男」をテーマにしていると思われる。「キリストに似た男がドクロマークの翼で飛んでいる」との事です。
7 女神

「神秘」を感じる音響が印象的な曲で「ミステリアな静パート」→「ダイナミズムを強調したサビ」に移行する展開はレディオヘッド(Radiohead)やスマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)からの影響を感じる。90年代オルタナからの影響をここまでダイレクトに反映している曲は捻くれアーティスト日本代表のB-Tにしては珍しい。
8 サファイア

「メランコリックな昼下がり」のような質感のサイケな歪みチューン。「どこから、どこまでがサビなのか?」の判断が難しい曲で櫻井敦司(vo)のボーカルラインは終始「途切れそうな囁き」風となっており、メロディックでメロウなラップ風・女性コーラスが非常に目立つ(2:56〜)「空けてはいけない扉から溢れる光」のような不気味な眩しさを感じる今井寿のソロパートが鳴り響く。
10 FLAME

ミニマムでエレクトロな音響がリフレインされる耽美なラブソング。サビでは「空を舞う」ような浮遊感を感じるギターサウンドが櫻井敦司(vo)のボーカルラインを力強く支えるという展開をみせる。歌詞は珍しく(?!)ポジティヴに「キミ」に愛情を伝える内容となっており、サビで登場する「揺れている影一つ」という表現は秀逸である。

カラフルなデジタルサウンド・B-T化したエレクトロニカサウンドをバンドサウンドに絡め、これまでのB-T作品の中でも最も「カラフルな音響」を感じられる作品となっいる。 前作「SEXY STREAM LINER」で習得したデジタルサウンドとの共存をよりナチュラルな形で表現しており「1 Baby, I want you.」「4 細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM」などは「歌われいる内容のアブノーマル

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「1 月世界」
「本当に月にいる」ような錯覚を味わえる音響に相当な拘りを感じるタイトルトラック。リズムアプローチは「月に足跡を残す」ような淡々としたシンプルなビートであり「空間を漂うアルペジオ」「闇のような重たさを感じる歪み」などギターサウンドにもテーマである「月」のような冷たさと無重力感がしっかりと反映されている。歌詞は「思いついた言葉を羅列した」ようなイメージであり、ボーカルラインは「どこがメロ」で「どこがサビ」なのか曖昧なものとなっている。この曲をシングルカットでリリースするあたりさすがB-Tである。

「2 My baby Japanese」
「コンクリートに頭を打ち付ける」ような強烈なパンチを感じるスローなリズムがインパクト大のサイケなインダストリアルチューン。気のせいかもしれないがこの曲でも「月」を思わせる音響を感じる事ができる。歌詞のほうは「強烈なサウンド以上に強烈」なものとなっており「赤い髪を振り乱し」「頭を叩きつけ」「花園で踊る夢を見ている」などの過激な歌詞が登場する。並のイマジネーションではどのようなシュチュエーションなのか判断がつかないものとなっており、見事にアブノーマルなアナザーサイドを描いている。

「3 無知の涙 HOT remix #001 for B-T」
布袋寅泰がはじめてリミックスを担当した記念すべき曲。 サイバーでメタリックな質感の原曲をジェル状にしたようなインパクト大のサウンドを聴かせてくれる。 ギターリフ以外は原曲のサウンドをまったく踏襲しておらずサウンドを再構築している。 この曲のサウンドを音楽レビュアーっぽく表現すると「ディープでサイバーな布袋流アシッドハウス」といったイメージである。 冒頭で聴ける「上空を舞うヘリコプターの音」は無条件に「布袋寅泰が上空から舞い降りる」イメージが頭の中に浮かぶ。 (3:54〜)「波動砲を音楽化した」ようなアバンギャルド・サウンドがリスナーの脳を刺激する。 終盤は「マシンガン抱いてスローダンス」というシュールワードが呪文のようにリフレインされる。

    「要点」

  • ・「1 月世界」「本当に月にいる」ような錯覚を味わえる音響に相当な拘りを感じる
  • ・「3 無知の涙 HOT remix #001 for B-T」布袋寅泰がはじめてリミックスを担当した記念すべき曲

「1 月世界」 「本当に月にいる」ような錯覚を味わえる音響に相当な拘りを感じるタイトルトラック。リズムアプローチは「月に足跡を残す」ような淡々としたシンプルなビートであり「空間を漂うアルペジオ」「闇のような重たさを感じる歪み」などギターサウンドにもテーマである「月」のような冷たさと無重力感がしっかりと反映されている。歌詞は「思いついた言葉を羅列した」ようなイメージであり、ボーカルラインは「どこがメ

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デジタルサウンドを大胆に導入して「無機質な質感」を強調したサウンドは「地下の実験室」のような静けさを感じさせ、様々な前衛音楽からの影響を受けていると思われるが「B-T独自」としか言いようがないオリジナリティーの塊のようなアルバムとなっている。

本作の素晴らしい点はデジタルサウンドを導入したアルバムによくありがちな「情報過多」に陥る事なくコンパクトな音数にまとめられている点である。また過去のレビューでも触れた「アブノーマル・マニアックなサウンド」をポップソングに落とし込むB-Tマジックは本作でも健在であり、ほとんどの曲で「狂った動物」のようなエッジの効いた音響を聴くことができるが同時に不思議なポップネスも感じる事ができる。

名作「Six/Nine」で頻出したヘヴィなの質感ギターサウンドは本作にはほとんど登場しない。常に変化し続けるB-T(とりわけ今井寿(g))のアーティスト魂には恐れ入る。特に「10 MY FUCKIN’ VALENTINE」はモンスター級の破壊力で全ての音楽ファン必聴のアナーキーソングと言える。

    「要点」

  • ・デジタルサウンドを大胆に導入しており無機質な質感を強調したサウンドは「地下の実験室」のようだ
  • ・「10 MY FUCKIN’ VALENTINE」はモンスター級の破壊力で全ての音楽ファン必聴のアナーキーソング

「曲解説」

1 タナトス

「地下の実験室」のような不穏さを感じるサウンドをデジタルロックに大胆に反映させたオープニングチューン(1:47〜、3:12〜) 「狂った電気ネズミ」のような質感のデジタルサウンドが曲にメタリックなうねりを加える。終盤は今井寿(g)による「レーザービーム」のようなノイズギターが「迷い子」のように空間を彷徨う。終始これまでのB-Tソングにはない「無機質な静けさ」を感じる曲となっている。
2 SEXY STREAM LINER

ミステリアスな音響が「油絵」のように揺らめくジャンクなインスト。リズムアプローチは「アナーキーなタップダンス」のようで無秩序そのものである。 (2:15〜)ニュースキャスターの声をサンプリングしたと思われる声が挿入されミステリアスな雰囲気を助長する。この曲を2曲目に配置するセンスは面白すぎるといしか言いようがない。
3 ヒロイン -angel dust mix-

濃厚なエロスを感じる今井寿(g)のギターサウンドがインパクト大のヒットシングル。リズムはブレイクビーツ風であり「鋭角的」という表現がピッタリである(2:55〜)「珍獣たちが暴れ始めた」ような質感のアシッドハウス・ビートが登場。その後は「眩しすぎる光」のようなギターサウンドがリスナーの視界を真っ白にして最後のサビに移行する。サビの歌詞における「流れるアクエリアス」とは涙の事だろう、多分。
4 無知の涙

ずっしりとした重さを感じるB-T流インダストリアルチューン。「カチッ」としたサウンドとは裏腹に歌詞には「テディベア」「綺麗な髪の少女」などの歌詞が登場。戦場に「綺麗な髪の少女」が一人孤独に佇むビジュアルがイメージできる曲となっている。
6 螺旋 虫

「海の中にいる」ような揺らめきと浮遊感を感じるアンビエントロック(1:56〜)「海底」のような気怠さを感じるギターサウンドが櫻井敦司(vo)のボーカルラインをそっと包み込む。歌詞は非常に文学的で「夜に迷う螺旋の観覧車」なるラインはインパクト大。
7 蝶蝶

「ブタ」になったと思ったら最終的には「バタフライ」になるという歌詞が意味深な曲。作曲はバラードが得意な星野英彦(g)が担当しているが、 本曲はバラードではなくデジタルビート強調したインダストリアル・ロック風となっている。
9 迦陵頻伽 Kalavinka

「マニアックな四文字熟語」のようなタイトルがインパクト大でサウンドはオリエンタルな煌びやかさと優雅さを感じる「独自過ぎるテクノサウンド」となっている。櫻井敦司(vo)のボーカルラインは曲を通して「メロディックな語り調」である(2:54〜、4:33〜)「頭の中に電流が走る」ような電子音が登場し、 そこから「黄金のメリーゴーランド」を思わせる煌びやかな音響フレーズが展開される。
10 MY FUCKIN’ VALENTINE

無機質なテクノサウンドと今井寿(g)のぶっとんだアナーキーラップが最高すぎるアッパーチューン。歌詞がとにかく素晴らしく「頭の中に思い浮かんだバーチャルな衝動」を全て叩きつけたようなものとなっており、「ル」で韻を踏む「病める」「バーチャル」「繋がる」「ケーブル」「乱れる」「ウイルス」などのワードが登場する(2:02〜)「この世を憂う」ようなダークさを感じるアコースティックパートが一時挿入される。
12 キミガシン..ダラ

「夜空を舞う」ような軽やかさを感じるデジタルロックでタイトルとは裏腹に本作の中で最もサビに疾走感がある曲となっている。歌詞は「キミ」に対する愛情をテーマにしたもので間違いないのだが、表現がB-Tらしく捻くれまくっており「ボクガシン..ダラ ヤミニナル」という表現で愛情を表している。

デジタルサウンドを大胆に導入して「無機質な質感」を強調したサウンドは「地下の実験室」のような静けさを感じさせ、様々な前衛音楽からの影響を受けていると思われるが「B-T独自」としか言いようがないオリジナリティーの塊のようなアルバムとなっている。 本作の素晴らしい点はデジタルサウンドを導入したアルバムによくありがちな「情報過多」に陥る事なくコンパクトな音数にまとめられている点である。また過去のレビュー

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シリアスで張り詰めた空気感があった前作・全前作の反動からか全体を通してラフな印象をうけるアルバムとなっており、ミニストリー(Ministry)やナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)などからの影響を感じる強烈に歪んだインダストリアル・サウンドやエイフェックス・ツイン (Aphex Twin)以降のエレクトロニカ・サウンドなどを曲に反映させている。

また本作は「シリアスなサウンドにシュールな歌詞を乗せるという方法論」を試した作品でもあると思われ「2 キャンディ」「3 チョコレート」の歌詞は「櫻井敦司(vo)どうしたの?!」と 一瞬思ってしまう「不気味な甘さ」を感じるし「5 Tight Rope」における「ゆらゆらら」というラインはコミカルですらある。

本作を一言で言うなら「模索」という表現がぴったりではないかと思う。

    「要点」

  • ・前作の反動からか全体を通してラフな印象をうけるアルバム
  • ・これまでにはない「不気味な甘さ」を感じる歌詞が登場

「曲解説」

1 Maria

不思議な重力感を感じる歪んだロックチューン。ドラムの音色が非常に鮮やかでリスナーの耳にダイレクトに突き刺さってくる。ギターサウンドは前作とは異なる質感で「ダーク×耽美」なB-Tクラシカルなトーンとなっている。
2 キャンディ

ミニストリー(Ministry)やナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)からの影響を感じる「インダストリアルな歪み」を強調したノイズチューン。ザラつくノイズサウンドとは対照的に櫻井敦司(vo)のボーカルには半透明のように響く音響処理が施されている。凶暴なノイズサウンドにのせて歌われる歌詞は「キャンディー=君」という前作からは考えられない色んな意味で甘い内容となっている。
3 チョコレート

「地を這う」ような低音ギターリフが印象的なインダストリアル・チューンでまるで「戦場にいる」ようなカオス感を感じる曲となっている。歌詞の内容は意味不明(0:56〜、2:36〜)「DJスクラッチをサイケ×メロディックにアレンジした」ようなセンス抜群のギターサウンドが「濃厚なチョコレート」のように響き渡る。
5 Tight Rope

「雲の中にいる」ような白さを感じるアンビエントテクノソング。曲を通してシリアスで神聖な雰囲気を感じるサウンドが展開されるが、反面、歌詞は軽やかで「ゆらゆらら」なるラインが登場。シリアスなサウンドにシュールな歌詞をのせる方法論は、鳴っているサウンドは全く異なるが「2 キャンディ」「3 チョコレート」と同様であると感じる。
6 idol

表情豊かでデリケートな電子音とシンプルなギターロックが並行する曲。本作の中で最もシンプルであり、サビは「破壊」「神」というワードが登場するがメロディックでつい口ずさみたくなる類のものとなっている。
7 Living on the Net

「ストリート感のあるHIP HOPをB-T流にアレンジした」ような曲でジャンクで壊れたなサウンドで埋め尽くされている。今井寿(g)によるラップ風・早口歌唱も登場。
9 IN

リバーヴのかかった音響が印象的な耽美ギターポップ。揺らめくスローなギターサウンドが終始鳴り響き「ハワイの海辺」のような空気感を演出している。
10 Ash-ra

タイトなビートとド派手なサビのボーカルラインが印象的なスピードチューン。ベースがミニマムなリフを奏でツインギターは「サイバー×耽美」な空間構築に徹している。「全て呪うような愛のリズムで熱いダンスを踊ろう」という無理難題をあなたに提案する歌詞はミステリアスとしか言いようがないものである。(3:50〜)これまでの激しさが嘘のように「バラの花びらが揺れて床に落ちるまでを超スローにしたようなピアノによる静パートが挿入される。
11 COSMOS

「夢見心地な音響」と「全てを包み込むような優しさ」が同居した浮遊感たっぷりのB-T流エレクトロニカソング(3:58〜)「ラストソングだからこのまましっとり終わるだろう」というリスナーの気持ちを見透かすように縮れたノイズサウンドが空気を乱す。最後は「全てが宇宙にかえる」ような静けさで幕をとじる。

シリアスで張り詰めた空気感があった前作・全前作の反動からか全体を通してラフな印象をうけるアルバムとなっており、ミニストリー(Ministry)やナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)などからの影響を感じる強烈に歪んだインダストリアル・サウンドやエイフェックス・ツイン (Aphex Twin)以降のエレクトロニカ・サウンドなどを曲に反映させている。 また本作は「シリアスなサウンド

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