名作アルバムが多数リリースされた91年にリリースされた今作はレッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers)というバンド名を聞いて連想する音楽のベーシックが詰まったアルバムとなっている。
哀愁と透明感を感じるギターのカッティングと下からグイグイとファンキーに攻めるベースのスラップとパワフルなドラムからなるリズム隊、アグレッシヴなラップから美しいバラードまでをサラッと歌い上げるアンソニー・キーディスという完璧なバランスがここにはある。グランジ、オルタナ全盛期の90年代前半で彼らのファンクネスは異彩を放っておりそれを見事にポップ・ミュージックに落とし込んでいる点が素晴らしい。
「曲解説」
1 The Power of Equality
囁くような「1,2,3,4」というカウントから始まるオープニング曲。透明感のあるクリーンな音色のギターカッティングとその合間を縫ってズンズンと立体感のある音で攻めてくるベースラインそこにアグレッシヴで少しコミカルなアンソニー・キーディス(vo)のラップが絡む(3:03〜) 吹奏楽器を歪ませたような空間的広がりを見せるギターサウンドが登場、「海辺で寝そべっている」ような開放感と直線的なロック感を感じる事ができる。
2 If You Have to Ask
少し歪んだクランチでミニマムなカッティングが終始鳴り響き、サビでは「If You Have to Ask♪」というコミカルな女性コーラスが挿入され曲に開放感とポップ感を与えている(2:30〜)ギターソロはビンテージでコクのあるノイズプレイという感じで「海中の泡」のように煌びやかに揺らめく。ギターソロ後はサンプリングされた歓声が挿入されリズミカルでリラックスしたフリーのベースフレーズで曲は幕を閉じる。
5 Suck My Kiss
これぞレッチリというファンキーな曲だが微かなオルタナ感もある。輪郭のはっきりした太い音色でプレイさせるミニマムなギターリフとタイトで躍動感のあるリズムアップローチが絡む(2:25〜)ギターソロは壊れた質感のノイズプレイとった趣で歪んだトランペットのようにも聴こえる。
6 I Could Have Lied
「雨上がりの早朝」のような透明感とメランコリックな雰囲気を感じるアルペジオと「冷静な語り」のようなアンソニー・キーディス(vo)のボーカルが中心となり展開される。時折、挿入される透明でタイトなコードストロークがアクセントになっている(1:57〜)「梅雨」のような湿った質感と枯れた音色が同居しているかのようなギターソロが聴ける。
9 Give It Away
レッチリクラシックなファンクソングに電子音で色彩をつけてポップなテイストを加えている曲。「舌がもつれそうな早口」で連呼される「Give it away give it away give it away now」というフレーズは不思議なキャッチーさがあり(1:44〜)浮かんでは消える蜃気楼のようなサイケな電子音が少しオリエンタルな雰囲気を醸し出している。
11 Under the Bridge
哀愁漂うブルージーさと透明感が同居した雰囲気の曲。そこにアンソニー・キーディス(vo)のしっとりした歌声が絡み、過去の自身の過ちに対する後悔とそれでも自分を見捨てないでいてくれた天使の街(LA)に対する愛情を歌っている。