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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果27件

タグ「V系」のレビュー

「秋が近づく夏の海」のようなメランコリックな空気感と内省的な歌詞を持ち「ポップ」に対する挑戦を感じれられる3rdアルバム。

メランコリックではあるがポップでもあるという不思議なバランス感覚があり鳴っているサウンドは異なるがルナシー(LUNASEA)のアルバム「EDEN」に近いものがあると感じる。

「2 Vivid Colors」「7 夏の憂鬱」などには日本人の琴線に触れる歌謡性がありこれまでのラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)の曲に比べてメロディーが非常に頭に残る。ラルクサウンドのキーマンであるken(g)のギターサウンドは前作のような透明で耽美的な質感ではなく、コクがある哀愁感漂うサウンドを聴かせるがやはり煌びやかで曲に豊かな色彩を与えている。

気になるのはラストに収録されている「10 The Rain Leaves a Scar」の存在でアルバム全体に流れるメランコリックな質感もありつつもダイナミックに突き刺さる勢いを感じる曲となっている。このダイナミックな勢いは次作を暗示するものなのだろうか?

    「要点」

  • 「秋が近づく夏の海」のようなメランコリックな空気感と内省的な歌詞
  • メランコリックではあるがポップでもあるという不思議なバランス感覚

「曲解説」

1 Still I’m With You

後にリリースされるヒットシングル「DIVE TO BLUE」とも共通する軽やかさを持つポップソング。「空間を舞う」ようなギターワークとは対照的にベースラインはスローで「地を這う」ような質感である(2:12〜)タイトルである「Still I’m With You」というワードが「子守唄」のようにリフレインされる間奏パートを挟み、そのままギターソロに突入する。終盤はサビが何度も何度もリフレインされ、アウトロではken(g)が得意とする透明なディレイサウンドが登場して曲に彩りを与える。
2 Vivid Colors

エモい歌詞と「ライ麦畑」を連想する哀愁漂うサウンドが印象的なヒットシングル。(1:15〜 , 2:10〜 , 3:28〜)サビは知らない風景がビビッドに広がる歌詞を歌うボーカルラインと「田舎道を走るような列車」を思わせる軽やかでビビッドに歪むカッティングギターが絡む展開。前作までにはないポップネスを感じるサウンドと日本人の琴線に触れる「切なさ」「哀愁」を持つ歌詞が印象的でセンチメンタルな失恋をテーマにしていると思われる。インディーズアルバムのような密室感が嘘のように開放的な雰囲気を醸し出している。
3 and She Said

煌びやかなギターサウンドと連打されるオルガンが60年代サイケのようなロックチューン。wikiにはビートルズを意識した曲と書かれているがサウンドというより「迷いのない突き抜けたポップネス」がビートルズ的であると感じる。
4 ガラス玉

「真夏の夜の海」のような質感のセンチメンタルなバラードから「大空を羽ばたく鳥」のようなエモーショナルロックに移行するインパクト大の曲。「難解なパズル」のようなプログレ的な響きを持つつもメロディックなギターソロは、90年代ギターキッズにとってテクニカルの一つの基準にもなった名ソロである。終盤は「誰もいない海辺に静かに佇む男のつぶやき」のようなhyde(vo)のボーカルが存在を放つ。
5 Secret Signs

「黄金の宮殿」を連想する煌びやかサウンドとエロい歌詞を持つオリエンタルな質感の曲。シンセサウンドを大胆に導入しており、サビのバックではボーカルラインと「呪文」のようなシンセフレーズが並行し曲をミステリアスをしている(1:52〜)シンセによるソロパートまで飛び出す。
7 夏の憂鬱

日本人の琴線に触れる歌謡性を持つメランコリックソング。歌詞は過去の恋愛を引きずる男のナイーブな心情を歌っており、美化された過去に浸っている主人公が「もう秋が来るから」と強がって前に進もうとするが、やはりあなたを失った僕に降り注ぐ「夏の憂鬱」には抗えないという内容となっている。後に「夏の憂鬱 time to say good-bye」なるシングルがリリースされるが、筆者としてはアルバム収録されているオリジナル版「夏の憂鬱」のほうが素晴らしいと思う。
8 Cureless

キュアー(CURE)の耽美な曲をビートロックにアレンジしたような曲(0:40〜 , 1:46〜)愛し方を知らない主人公による嘆きが「交錯」のように響き、まるで「鏡の中の世界にいる」ような錯覚をおぼえる。サビの歌詞は「あなたを救いたいが傷つけてしまう」というなんとも切ない内容。
10 The Rain Leaves a Scar

ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)が得意とする流れるような旋律を持つ耽美チューン。ザ・スミス(The Smiths)のような80年代UKギターサウンドをダイナミックに演奏したような曲で本作の中で最もストレートでアグレッシヴである。

「秋が近づく夏の海」のようなメランコリックな空気感と内省的な歌詞を持ち「ポップ」に対する挑戦を感じれられる3rdアルバム。 メランコリックではあるがポップでもあるという不思議なバランス感覚があり鳴っているサウンドは異なるがルナシー(LUNASEA)のアルバム「EDEN」に近いものがあると感じる。 「2 Vivid Colors」「7 夏の憂鬱」などには日本人の琴線に触れる歌謡性がありこれまでのラル

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インディーズアルバムに存在したダークで密室的な雰囲気が後退して「耽美」「メロウ」などの形容詞がよく似合う2ndアルバム。キュアー(CURE)などの耽美派UKアーティストからの影響をラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)流に消化したサウンドを聴かせてくれる。

前作同様にken(g)のギターサウンドは「眩しすぎる光」を感じるものとなっており様々な情景をリスナーに連想させ、また今作から歪んだギターサウンドも導入されておりセンチメンタルな展開から歪んだパートに切り替わる曲も存在している。

hyde(vo)のボーカルラインは「耽美」「メロウ」なサウンドとは対照的に「大空」や「天空」を連想する伸びやかなものとなっている。前作的な響きをもつ曲はsakura(dr)作曲の「6 Inner Core」位であり、彼らの挑戦的な姿勢がしっかりと音に反映されている作品となっている。

    「要点」

  • インディーズアルバムに存在したダークで密室的な雰囲気が後退
  • 「耽美」「メロウ」などの形容詞がよく似合うサウンド

「曲解説」

1 In the Air

「空を舞う」ような浮遊感と「太陽」のような光を感じる空間系ギターポップ。hyde(vo)の美しい高音を活かした伸びやかなボーカルラインは、どこか「密室」のような雰囲気があった前作には見られなかったものである。イントロとアウトロで登場するアルペジオは「誰もいない早朝のビーチ」のようにメロウだ。
2 All Dead

「鏡の中の世界」のような揺らめきを感じるボーカルがインパクト大の曲。イントロ・アウトロでは「波紋のような質感の美しいピアノ」と「頭の中をグシャグシャとかき乱す歪みギター」が絡みつく。曲の中で透明感のある様々な音色のギターサウンドが登場しまるで「油絵」のような深みを感じる事ができる。時折挿入されるグランジ的なうねるギターリフが曲に締まりを与えており(2:10〜)ギターソロは前作の箱庭的な世界には収まりきらない程に叙情的で確かな熱を感じる。
3 Blame

「センチメンタルでメルヘンな思い出のような質感のパート」と「突き刺さるように疾走するパート」の対比が印象的な曲で「静」→「動」を強調した展開はある意味グランジ的である。終盤はアグレッシヴな展開で真っ白なイメージのサウンドレイヤーが存在感を放ち「宙に浮く」ような浮遊感を曲に与え、 最後は自由に弾きまくるken(g)のエフェクティヴなギターワークが「爪痕」のように刻まれる。
4 Wind of Gold

耽美的でメランコリックなUKギターポップのような曲で「誰もいない早朝のビーチ」のような雰囲気を醸し出している。淡々と鳴り響くアコギと「ガラス瓶」のようなキラメキを持つクリーンサウンドを中心に展開される(2:18〜)サビのボーカルラインの後ろで「限りなく透明なベール」のようなストリングスが鳴り響く。その後は「ガラス玉」を連想する木琴のような音がミニマムに鳴り響きアクセントとなっている。
5 Blurry Eyes

「レトロなヨーロッパの街並み」を連想する流れるようなギターサウンドがあり、強烈なサビのボーカルラインが一発で頭に刻まれるシングル曲。サビでは「センチメンタルな思い出」のようなオルゴール風のフレーズが鳴り響き曲にポップネスを与えている。アウトロは「巡る思い」のようなメロウなギターフレーズによって締めくくられる。
6 Inner Core

地下室のようなダークな質感が他の収録曲とは一線を画する異色曲(0:46〜 , 4:42〜)インディーズアルバムに収録されていても違和感がないミステリアスで歪んだ語りがルナティック。ダークで密室的な雰囲気をもつ曲ではあるがサビのhyde(vo)によるボーカルラインは密室的な質感とは対照的で「天空」のように伸びやかである(2:25〜)ギターソロはプログレバンドのように手の込んだもので「油絵」のような透明感と揺らめきを感じテクニカルである。アウトロでは「恐怖すら感じる壊れた質感の笑い声」が空間を歪める。
7 眠りによせて

「牧歌的な雰囲気を持つボサノヴァ調パート」と「グランジーに歪んだパート」が交互に展開されるラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)流グランジソング。ギターソロが終わった後は「歪んだパート」と「ボサノヴァ調パート」がミックスされたようなイメージで、ハードではあるが牧歌的な雰囲気も失われず存在するという凝った展開を見せる。
8 風の行方

「真夏の青空」のような眩しい光を感じるメロウなギターチューン(2:05〜)サビの裏ではボーカルライン以上に目立つベースラインがミステリアスに踊る。「比喩に比喩を重ねられた歌詞」はシュールな印象だが「次の恋を期待する」メランコリックな休日のようなイメージである。
10 White Feathers

「曇り空」のようなどんよりとした空気感を持ち最小限の音数で構成される空間系ギターバラード。サビのボーカルラインは「卒業式」のようなセンチメンタルと光を感じるものとなっており、悩みながら迷いながらでも少しでも前に進もうという希望をリスナーに与えてくれる(4:45〜)ギターソロはアバンギャルドで曲をズタズタに引き裂くような質感である。

インディーズアルバムに存在したダークで密室的な雰囲気が後退して「耽美」「メロウ」などの形容詞がよく似合う2ndアルバム。キュアー(CURE)などの耽美派UKアーティストからの影響をラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)流に消化したサウンドを聴かせてくれる。 前作同様にken(g)のギターサウンドは「眩しすぎる光」を感じるものとなっており様々な情景をリスナーに連想させ、また今

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「ハードコアパンク、ヘヴィメタルからの影響を全く感じさせない空間的なサウンド」「神秘的でマニアックに尖っている歌詞」などが印象的で、本人たちが望む望まないは別としてルナシー(LUNAEA)の伝説のインディーズアルバム「LUNASEA」と共にV系クラシックとして後続のアーティストに多大な影響を与えたインディーズアルバム。

「眩しすぎる光」のようなken(g)のギターサウンドは他のダーク系バンドでは中々聴けない類のものであり曲に不思議な開放感を与えており、ニューウェイブ的なミステリアスさやダークさを強調したサウンドであっても閉ざされた感があまりしないのはken(g)のセンスによるところが大きいと思われる。

93年リリースのインディーズアルバムではあるが後のラルクサウンドの原型が砂漠の砂に埋もれて存在している、そんなアルバム。

    「要点」

  • V系クラシックとして後続のアーティストに多大な影響
  • 神秘的でマニアックに尖っている歌詞

「曲解説」

1 Shutting from the sky

「これぞラルク!」という煌びやかさと浮遊感を感じるオープニングソング。ユートゥー(U2)からの影響を感じさせるイントロのディレイサウンドは、 ルナシー(LUNASEA)の名曲「MOON」と並びディレイを活用した名フレーズであると思う。歌詞の内容はネガティブにダークに塞ぎ込んでいた主人公が 光の世界の美しさに惹かれ「もう過去には戻れない」というニュアンスの内容。「高速のメトロノーム」のようなディレイサウンドが奏でるモノトーンな響きと 「光が降り注ぐ」ような伸びやかなギターサウンドの対比が印象的でインディーズアルバムの1曲目からして既にken(g)サウンドが完成されている。
2 Voice

耽美的なギターフレーズが空を舞うニューウェイブチューン。マイナー調のコードストロークは「酸性雨」のような煌びやかさがあり(2:55〜)ミステリアスな響きのアルペジオのバックで「天に届く光」のようなアンプのハウリングが鳴り響く。
3 Taste of love

「夜の砂漠」のような雰囲気をもつダークなギターポップ。歌詞の内容はとにかく強烈で濃厚なMの匂いがするものとなっており、絶対的な美を持つ者に対する狂おしい愛情というところだろうか(2:50〜)ギターソロは「闇を舞う紫色の蝶」のようにダークな質感で曲のミステリアスさを助長する。
4 Entichers

メランコリックで「雨が降るパリの街」のような質感の曲(1:15〜)「狂おしい」というワードの登場と共に「脅迫観念」のような黒い影が現れ転調がはじまる。中間部では不気味さを演出する鐘の音が鳴り響く。「メロウなシャンソン」のようなサウンドが不穏な音を更に強烈に引き立てている。
5 Floods of tears

「比喩に比喩を重ねた意味が分かりそうで分からない歌詞」が美しいサイケな曲。終始「ガラスの破片」のような質感のアルペジオがリフレインされ、ベースラインは「うねる波」のような存在感を放つ。ギターソロは「夕暮れの海辺」を連想するようなメロウさと輝きを放つ(4:14〜)コーラスをかけ多重録音されたクリーンなギターサウンドは「終幕」のように退廃的である。終盤は「二度と戻れない夏」のようなセンチメンタルさをもつストリングスが登場して 最後はサビのメロディーを奏でるオルゴールが静かに流れる。
6 Dune

砂の街を舞台にした禁断の愛をテーマにした耽美ギターチューン。「月」「砂丘」「宴」という言葉がリスナーの想像力を強く刺激。歌詞の内容はhyde(vo)以外のシンガーが歌うのは許されない「灼熱の恋」のようなイメージ。サウンドはザ・スミス(The Smiths)のサウンドにロック的なエッジを効かせたようなイメージで流れるような旋律が見事である。
7 Be destined

「神」「園」「十字架」というフレーズがミステリアスではあるが、サウンドはサクッとしたハードなニューウェイブといった感じの曲(2:31〜)tetsuya(b)による早弾きベースラインは「長い蛇」のような存在感がある(2:41〜)現実と空想の境目がグチャグチャになっているようなhyde(vo)の語りはルナティックで恐怖すら感じる。
8 追憶の情景

「古いアルバムをめくりセンチメンタルな思い出に浸る昼下がり」のような質感のアコースティックバラード。後の名曲「Singin’ in the Rain」と同様に「しっとりと雨が降り注ぐ街角」を連想する雰囲気がある(3:47〜)「迷子」のような質感のスパニュシュなギターソロから空間的でエフェクティブなコードストロークが鳴り響く展開に移行。終盤はtetsuya(b)のベースラインがhydeのボーカルラインに「黒蛇」のようにディープに絡みつく。
9 As if in a dream

hyde(vo)が「ラルク史上最高の曲」だと言い(wiki)、グレイ(GLAY)のリーダーTAKUROに多大な影響を与えたラストソング。「退廃的な世界に僅かな光が差し込む」というV系なら誰もが目指すサウンドを最小限の手数で描いている(1:25〜)「海面に浮かぶ光」のようなディレイサウンドがセンチメンタルな質感の曲に光沢を与えている。終盤に登場する「ネオンカラー」のような電子音には彼らの音楽的な懐の深さを感じる。

「ハードコアパンク、ヘヴィメタルからの影響を全く感じさせない空間的なサウンド」「神秘的でマニアックに尖っている歌詞」などが印象的で、本人たちが望む望まないは別としてルナシー(LUNAEA)の伝説のインディーズアルバム「LUNASEA」と共にV系クラシックとして後続のアーティストに多大な影響を与えたインディーズアルバム。 「眩しすぎる光」のようなken(g)のギターサウンドは他のダーク系バンドでは中

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90年代の日本の音楽シーンの中で圧倒的な異彩を放ったルナシー(LUNA SEA)の4thアルバム。前作「EDEN」の開放的な空気感をルナシー(LUNA SEA)独自のダークで神聖かつ浮遊感の伴うサウンドに反映させて、とんでもない化学反応を起こした90年代を代表する神作。

また今作からオルタナやインダストリアルなど各メンバーがリアルタイムで影響をうけた音楽の要素を楽曲に反映するようになっており、これまでのルナシー(LUNA SEA)の作品にはない「モダン」な質感がある。

本作リリース以降、世の中にはルナシー(LUNA SEA)のコピーバンドが大量に発生しメンバーモデルのギターやベースが飛ぶように売れた。ロック的なパンチ力を持ちつつも既存のサウンドとは明らかに異なるサウンドは当時とんでもなく斬新であり、V系(ビジュアル系)という言葉がまだ一般に存在していなかった時代にルナシー(LUNA SEA)サウンドをカテゴライズできるジャンルは存在しなかった。

    「要点」

  • これまでのルナシー(LUNA SEA)作品にはない「モダン」な質感
  • 当時カテゴライズできなかったサウンドはまさに「V系」
  • 空間的に絡み合うツインギター

「曲解説」

1 LOVELESS

「空の上にある神殿」のような浮遊感と熱風のような熱さが同居するオープニングソング。耽美でアンビエントな質感のアルペジオと上空を優雅に飛び回るコンドルのようなロングトーンのギターサウンドが空間を構築し、重いリズムの上をミステリアスで不穏なベースラインが踊る。ボーカルラインは派手なメロディーを歌うわけではないが強力に耳に残る。これがソロでアルバムを300万枚セールスするシンガーの魔力だろうか。終盤はSUGIZO(g) のロングトーンのギターサウンドがこれまで以上に輝き最後は乱反射のようなサイケな音の洪水に包まれ終わる。
3 FACE TO FACE

全ての音から「宇宙を感じる」ミドルテンポの名曲。ヘヴィだが「2mmほど宙に浮いている」かのような浮遊感を感じるリズムの上を小さな惑星のように輝くアルペジオが彩り、空間を支配するSUGIZOのギタープレイは非常にディープで曲に深みを与えている。少しだけナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)的なインダストリアル感も感じ取れる曲なのだが完全にルナシー(LUNA SEA)独自のサウンドとなっている。2:50〜 この曲の最大の見せ場、RYUICHI(vo)の低音ボイスが「泉から次々と湧き出る」ように現れ「宇宙に雪が降った」ような奇跡のハーモニーを聴かせてくれる。
4 CIVILIZE

近未来でサイバーさと原始的なリズムアプローチが混在しているニューウェイブソング。ギターソロを境に左右非対称なサウンドが展開されるクセのある曲だが不思議なポップネスも感じる。ヴァースはトーキングヘッズ(Talking Heads)のようなアフリカンなリズムアプローチの上をサイバーでメタリックなノイズの断片が踊る近未来なサウンドだが(0:57〜)サビになると「真っ白な空間」を思わせるサウンドに切り替わる(1:30〜)透明感のあるノイズソロはアバンギャルドで曲にアクセントを与えている。94年にこのサウンドは新しすぎる。
5 GENESIS OF MIND 〜夢の彼方へ〜

残響が心地よい耽美的なアコギのコードストロークを中心に展開されるが、所々でセンス抜群の様々な音の断片が鳴り響き、様々な切ない情景を連想させる。4:48〜 ブレイクの後、独り言のようなアルペジオだけが響く展開になるが、そこに夕暮れのようなバイオリンと天使の羽ように柔らかいストリングスが絡み熱量を高めていく6:12〜 RYUICHI(vo)の感情を解き放つような渾身のボーカルラインから天まで昇るような熱量でピークを迎える。最後は「夕暮れの街に佇む鳥」のような孤独感を感じるギターサウンドが静かに鳴り響く。
7 IN FUTURE

オルタナからの影響をダイレクトに反映したファストチューン。歪んだツインギターは全く別々のフレーズを弾いており「渦巻き曇」のように上空を乱している。1:55〜 サビのボーカルラインはベタを拒絶するかのような「語り調」でIN FUTURE。2:08〜 ミニマムでメタリックな電子音が挿入される、このあたりのセンスはノーマルなバンドにはないセンスだろう。
9 TRUE BLUE

削ぎ落とされたLUNASEA流スリーコードロック。ミニマムなリフとシンプルなビートで構成されているが、これぞLUNASEAという雰囲気になっている。
10 MOTHER

荒涼とした大地に吹く北風のような荒涼感を持つ曲。全編を通して神聖な雰囲気があり、特にサビのボーカルラインはこれまで聴いた事がないタイプでまるで「神からの恵み」のようだ。(2:58〜)天を乱すような少しヒステリーなバイオリンソロが曲をよりミステリアスにしている。最後は「誰もいない荒涼とした大地に風だけが流れる」ような静けさで幕を閉じる。

90年代の日本の音楽シーンの中で圧倒的な異彩を放ったルナシー(LUNA SEA)の4thアルバム。前作「EDEN」の開放的な空気感をルナシー(LUNA SEA)独自のダークで神聖かつ浮遊感の伴うサウンドに反映させて、とんでもない化学反応を起こした90年代を代表する神作。 また今作からオルタナやインダストリアルなど各メンバーがリアルタイムで影響をうけた音楽の要素を楽曲に反映するようになっており、これ

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インディーズシーンで伝説を残した「X」が1989年にリリースしたメジャーデビューアルバム。まるで「全てのパートが歌を歌っている」かのような美しい旋律を感じることができる内容となっている。

インディーズアルバム「Vanishing Vision」はハードコアの影響が大きい激しくエッジのたったサウンドを聴かせてくれたが、今作はそれがよりクラシカルに洗練された形で表現されており、「2 BLUE BLOOD」「5 X」「7 紅」などの激しく疾走する曲であってもどこか哀愁と静けさを感じる。

彼らの音楽のキーとなっているのは間違いなく「旋律」でありそれはサウンドがハードコアであろうとスラッシュメタルであろうと関係なくリスナーの脳裏に刻まれる。また歌詞の内容も素晴らしく所々に究極の自己啓発のようなフレーズが散りばめられている。本作で強烈なインパクトを残した「X」はあっという間にロックシーンの頂点に向けて駆け上がる。

    「要点」

  • 激しさをクラシカルに洗練された形で表現したメジャーデビユー作
  • 全てのパートが歌っているような美しい旋律

「曲解説」

2 BLUE BLOOD

初っ端からMAXスピードで全力疾走するYOSHIKI(dr)の強烈なドラムプレイで幕を開ける、これぞ「X」というクラシカルな旋律を感じるハイスピードなメタルチューン。疾走するツインギターはザクザクした質感でヘヴィメタルしているが確かなメロディーを感じる事ができ、「give me some more pain!!」というコーラスが当時の彼らの尖りっぷりを象徴している(2:08〜)ボーカルラインを強調したメロディックな静かなパートが挿入され(2:27〜)ツインギターによる流麗なハモりソロが鳴り響く、USヘヴィメタルと比較すると顕著だが「歌心」を感じる旋律となっている。アウトロはただでさえ強烈なYOSHIKI(dr)のドラムが最後の追い込みとばかりに畳み掛けるプレイを聴かせる。
3 WEEK END

スローテンポなX流ロックンロール。イントロはでは「しっとりと降る雨」のような透明感あるアルペジオが鳴り響くが、その合間を縫うに登場するウォームでコクのあるギターリフとベースラインがこれから起こるカオスを予感させる。BPMは「X」にしてはスローテンポといえるものになっている(1:35〜)「2 BLUE BLOOD」同様にボーカルラインを強調した静のパートが挿入されロックンロール調の曲にアクセントを与える。歌詞の内容は「幻覚」そのものである。
4 EASY FIGHT RAMBLING

シャフルビートに乗せて展開される元気の良いハードロックソング。TAIJI(b)によるワイルドな掛け声コーラスは色んな意味で「X JAPAN」では聴けないものである。アウトロではサイレンのようなギターサウンドと早弾きベースソロが炸裂する。
5 X

「X」というアーティストの魅力が凝縮されている彼らの代表曲。相変わらずドラムプレイは強烈なものになっており「屈強なサラブレットの足音」のようだ。筆者の見解としては歌詞の内容は「究極の自己啓発である」と感じる。「見慣れた愛に流される」のか、それとも「刺激に身をさらす」のかをYOSHIKIは我々に問いかけてくる(3:18〜)静けさの中でスタイリッシュに響くTAIJIのベースラインは秀逸で「激しい雨が降り注ぐ中、ふと冷静になり夜空を見上げタバコを吸う」ようなイメージが浮かぶ。
6 ENDLESS RAIN

「しっとりと優しい雨が降る街角」のような雰囲気の名バラード。TOSHIが美しいボーカルラインを歌い上げる。歌詞の内容は「消えない傷跡」について。底でひっそりと佇むながらも存在感を示すベースラインが曲にうねりを与えている(3:22〜)サビの後に用意されている「大サビ」が登場しそのままギターソロになだれ込む。やはりギターソロには歌心があり「ボーカルが歌わないボーカルライン」を代理で歌っているような旋律であり、バックでは大波のようにベースラインがうねる。終盤はサビの美しいボーカルラインが繰り返し歌われ、「悲しさを引きずりながらも生きていく」という強い熱量を感じる。
7 紅

「孤独」そのものな静かなパートから突如スラッシュメタルに変貌する代表曲。冒頭はアルペジオとTOSHIの語り調の物悲しいボーカルラインのみで構成されるが(1:58〜)これからの狂騒を予感させるようなシンバルの音は輝度が狂ったネオンのようだ。この曲のアレンジはおそらくではあるがメタリカ(Metallica) の「Fight Fire with Fire」あたりを参考にしているアレンジだと思われるがそれにしても素晴らしい展開である。(2:03〜)激しい風が吹く街のようなスラッシュメタルに変貌するが、ボーカルラインは美しくメロディーというより旋律という言葉がぴったりである。また激しいサウンドの中で「ふと冷静になった」ような感覚を与えてくれるTAIJI(b)のベールラインがやはり圧倒的な存在感を放っている(3:20〜)「これまでの激情が走馬灯のように頭の中を走り抜ける」ような間奏〜ギターソロのラインは日本音楽史に残る名演だと思う。サビのボーカルラインはもちろん素晴らしいのだが、それ以上に少年時代に「誰でも一度は感じた事がある疎外感」を歌った歌詞に意識がいく。夏の甲子園で「紅」が演奏されるのも納得である。
8 XCLAMATION

「いにしえの宴を描いた油絵」のような実験的なファンク。不規則でパーカッショナルなリズムと冷たいジェルのようなベースラインが躍動しギターサウンドは音響的でオリエンタルなムードを醸し出す。彼らのインディーズ時代のアルバム「Vanishing Vision」に収録されてる「GIVE ME THE PLEASURE」の延長線上のような曲といえる(3:04〜)宴は最高潮のところでガラスが砕けたようなピアノの音と共に遮断され、不穏な静けさを残したままそのまま終わる。
9 オルガスム

とんでもないBPMで駆け抜けるメロディックなハードコア。サウンドは「初期X」らしい狂乱そのものな内容となっている。歌詞の内容は刹那的な快楽を歌っているように聴こえるがリスナーに行動を促すような「時の檻はやぶれない」というラインが強烈。
11 ROSE OF PAIN

残虐な歴史を音楽化したドラマティックな大作。序盤は「ゆったりと雄大に流れると大河」のような展開だが(2:20〜)激しい雨のようなドラムの登場とともに急速に熱量を帯び始める。その後は恐怖すら感じるダークなオーケストラとハードなメタルサウンドが、タペストリーように絡み合うような展開に移行する(5:48〜)ヒステリーな歌詞の登場を境にソリッドなスラッシュメタルに変貌して、これまで抑制されていたhideとPATAのツインギターが檻から出てきたライオンのように暴れ、リズム隊は悲劇的な歌詞の内容と相まって一層激しく鳴り響く(7:48〜)砂漠に現れた蜃気楼のように揺らめくベースソロとYOSHIKIのヒステリーな語りが登場してそこからギターソロになだれ込み曲は最高潮を迎える。終盤は空気を引き裂くような歪んだツインギターと「タガが外れた」ドラムが鳴り響く中、TOSHI(vo)がヒステリーな詞の世界観に入り込んで全力で歌い上げる。曲全体から強烈な旋律を感じる事ができ、各パートでひとつのメロディーを奏でているようだ。

インディーズシーンで伝説を残した「X」が1989年にリリースしたメジャーデビューアルバム。まるで「全てのパートが歌を歌っている」かのような美しい旋律を感じることができる内容となっている。 インディーズアルバム「Vanishing Vision」はハードコアの影響が大きい激しくエッジのたったサウンドを聴かせてくれたが、今作はそれがよりクラシカルに洗練された形で表現されており、「2 BLUE BLOO

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