グランジの影響が非常に強く性急で畳み掛けるようなギターサウンドが特徴だった1stアルバムからまるで別人のような進歩を遂げた2ndアルバム「The Bends」1stアルバムの延長線上のような曲はほとんどなく、静と動はもちろん喜怒哀楽の全てをダイナミックに表現できてしまうトリプルギターサウンドが冴え渡る。
本作こそがレディオヘッド(Radiohead)の最高傑作というファンも存在する程のクオリティを誇る。ピクシーズやソニックユースに影響を受けたと思われる壊れた質感を持つ重厚なギターサウンド、アコースティックな響きを持つ新機軸、グランジ・オルタナを経たゴスのような曲など収録曲はバラエティーに富んでいる。トム・ヨーク(vo ,g)という人は明らかに「ジョンレノン」や「カート・コバーン」同様に選ばれた人間だけが持つ声をしている。
「曲解説」
1 Planet Telex
上空を連想するSEからはじまるオープニング曲。前作にはないミニマムな電子音が鳴り響きギターロックと並行。空を飛んでいるかのような浮遊感を感じる事ができるサウンドになっている。
3 High and Dry
レディオヘッド(Radiohead)の曲の中でも屈指の名曲。歌詞の内容は「人と繋がるために偽りの自分を演じている主人公がいつか自分は見放されるのでは?」と怯えている曲。SNS登場以降の「人にどう思われるか?」を過剰に重視する現在人を皮肉っているかのような歌詞だが本作が発売されたのは95年。
4 Fake Plastic Trees
シンプルなアコギのストロークと微かなにあかりを灯すような電子音の上をトム・ヨーク(vo)がエモーショナルに歌い上げる名曲。
5 Bones
「踏切の音のようなギターフレーズがリフレインされ淡々と進行するパート」と「エモーショナルでダイナミックなギターロック」が交互に繰り返される曲。やはりこの曲でも空を飛んでいるかのような浮遊感を感じる事ができる。歌詞の内容は「以前、当たり前に出来ていた事が出来なくなった主人公の喪失感とそれを他人事だと思っている人たちに対する警告」のような内容。
6 Nice Dream
ノスタルジーな雰囲気のする軽やかなアコギのストロークとストリングスを中心に展開される。本曲のハイライトは(2:30〜)始まるギターソロで最小限の手数で見事なアクセントとなっている。
7 Just 8 My Iron Lung
「静」→「動」でダイナミズムを強調するオルタナ的展開は完全にマスターしたと言わんばかりの2曲。事実、このアルバムを最後に彼らはオルタナ的展開を一切使わなくなった。ジョニー・グリーンウッド(g)による壊れまくったオルタナギターソロは必聴。
12 Street Spirit (Fade Out)