検索画面を消す
検索画面を消す
live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

投稿詳細ページ

三大パンクバンドの中で最も後のハードコア勢に影響を与えたダムド(The Damned)の1stアルバム。 本作のサウンドを聴いていると「ボーカル」「ギター」「ベース」「ドラム」というミニマムな形式で「エッジの立った激しい音楽を作ろう!!」とイマジネーション通りに好き勝手にやったところ結果的に「パンク」的な音楽になったという印象を受けた。

「ハリネズミ」や「縮毛」を連想するギンギンと歪んだサウンドやアバンギャルドなノイズギターは時代を先取りしており、ハードコア勢だけにとどまらず「USオルタナティヴ」にも多大な影響を与えていると思われる。「12 I Feel Alright」の終盤で聴くことができるアヴァンギャルドなノイズプレイは狂気的でソニック・ユース(Sonic Youth)のようだ。

また「12 I Feel Alright」におけるアヴァンギャルド・サウンドだけではなく、キャプテン・センシブル(g)のギタープレイは独特なものであり曲ごとに「多重人格」のように様々な側面を見せる。「7 New Rose」のギターリフに関しては日本のバンド/ボウイ(BOØWY)の名曲「IMAGE DOWN」に似ているし「10 1 of the 2」における終盤の「眩しく鋭角的なギターサウンド」はまさかのV系風である。

ダムド(The Damned) は日本のアーティストにも多大な影響を与えているのであろう。

    「要点」

  • ・「エッジの立った激しい音楽を作ろう!!」とイマジネーション通りに好き勝手にやったところ、結果的に「パンク」的な音楽になったという感じ
  • ・キャプテン・センシブル(g)のギタープレイは独特なものであり曲ごとに「多重人格」のように様々な側面を見せる

「曲解説」

1 Neat Neat Neat

「暴走」するバイクのような質感のアグレッシヴなギターサウンドが唸りを上げるパンクチューン。強弱をうまくつけたギターサウンドとビートがシンプルでファストなこの曲に緊張感を与えている。
2 Fan Club

マイナー調の哀愁を感じるアルペジオが印象的な曲。「沈む」ようなイメージのギターとは対照的にドラムプレイは手数が多いものとなっている(1:50〜)ギターソロは「パニック」のように乱れたものとなっているが同時にカラフルなサイケ感もある。最後は「爆竹」のように騒がしいラフなギターサウンドが鳴り響く。
4 Born to Kill

「ハリネズミ」のように尖った質感のギターサウンドが印象的なファストチューン。この曲も「1 Neat Neat Neat」同様にうまく強弱をつけたアレンジが施されており、シンプル極まりない曲ではあるが非常にダイナミズムを感じるサウンドとなっている。
6 Feel the Pain

「チープなヘヴィメタル」のようなアルペジオを中心に展開されるダークバラード。「コン、コン、コン、コン」というパーカッションが曲がもつポジティヴな意味でのチープさを強調している。終盤はタイトルである「Feel the Pain」というフレーズが何度もリフレインされる。歌詞は和訳を読んでも「一体何の痛みなのか?!」全く理解ができないシュールなものとなっている。
7 New Rose

ギターリフが少しだけ日本のバンド/ボウイ(BOØWY)の名曲「IMAGE DOWN」に似ている疾走感抜群のパンクチューン。ギターは当時の感覚で言えば「強烈に歪んだ」サウンドとなっており、ベースラインはギターとユニゾンする形で曲を分厚くしている。
9 See Her Tonite

全てのパートが強烈に自己主張するミニマムなパンクチューン。キャプテン・センシブル(g)のギターリフに関してはもはや「効果音」と言っていいレベルにミニマムであり「凶暴」という表現がピッタリの曲となっている。最後はヘヴィメタルバンドもビックリの 「手数の多いテクニカルな高速ドラムプレイ」で締めくくられる。
10 1 of the 2

「縮れた」ノイズギターと原始的なパーカッションを思わせるドラムが印象的な曲。終盤は後の「二ューウェイブを予見している」かのようなキャプテン・センシブル(g)の眩しく鋭角的なギターサウンドが大暴れする。このフレーズは日本のV系にも通じるものがあると筆者は感じる。
12 I Feel Alright

「強烈なボディーブロー」のようなビートの上で「縮れたギターサウンドが空間を引き裂く」シンプルなパンクチューン'(1:45〜) 「アヴァンギャルドな悲鳴」のようなギターソロはこの時代においては「シュールを超えて不気味」ですらあったはずである。一体どのようなエフェクターを使ってこの音を作ったのだろうか?!(2:55〜)「タガが外れた」ようにビートが無秩序な暴走を始め「ボタンのかけ違い」のようななんとも言えない違和感を感じる「ある意味プログレ」な展開となり、キャプテン・センシブル(g)のノイズギターは無秩序なビートに全く負けていない「狂気的でジャンクなサウンド」を出している。このジャンクなサウンドはソニック・ユース(Sonic Youth)を思わせる。

このレビュー記事をSNSでシェア