「曲解説」
1 Dreamin'
「ファンファーレ」のようなサックスサウンド(シンセかも?!)で幕をあける華やかロックチューン。「サラリーマン的人生を真っ向から否定する歌詞」を前面に押し出しているが、ファーストアルバム「MORAL」に収録されているパンクソング的な痛さは感じられない。痛さを感じない理由は何かを否定しているだけではなく、自分自身の熱い願望(「I 'm only dreaming' = 私はただ夢を見ているだけ」)を歌っている前向きさがあるからであろうと思われる。そう「他者を否定・批判するだけ」ならそれこそ「居酒屋で無駄な熱量を発するサラリーマンと変わらない」というパンク的な矛盾に彼らはいち早く気づいてしまったのだろう。
2 黒のラプソディー
「路地裏」のようなダークさと「繁華街」の華やかさが同居した曲で「花束」のようなサックスサウンドを大胆にフィーチャーしている(1:50〜) 布袋寅泰(g)のギターソロは「ガラス細工」のようなエッジを感じさせる音質となっており、松井常松(b)のベースラインは「点をピンポイントでメカニカルに突く」ようにイメージであり存在感を放っている。
3 Baby Action
「散歩のようなヴァース」と「疾走感全開のサビ」との対比が面白いミニマムなギターポップ。歌詞は「軽い遊びのつもりだったけど、あいつにハマってしまって忘れられない。もうイヤだ」という内容。イントロとアウトロだけ何故か?!「パキッ」としたゴージャスなインダストリアル風サウンドとなっている。
5 ホンキー・トンキー・クレイジー
「タップダンス」のようなリズムとキャッチーなサックスが印象的なポップチューン(2:30〜)曲のクオリティーを劇的にあげるソウルフルな女性コーラスが登場して曲に「パーティー」のような開放感と華やかさを与えている。タイトルは意味不明だが、おそらくデヴィッド・ボウイ(David Bowie)のアルバム「Hunky Dory」からヒントを得ていると思われる。
6 BAD FEELING
著名ギタリストに多大な影響を与えた名ギターリフがスペーシーな音響の中で踊るニューウェイブ・ファンク。筆者もこの曲のギターリフのコピーにトライした事があるが、この曲のギターリフはシンプルなフレーズではあるのだが布袋寅泰(g)特有のリズム感に慣れるまでが非常に難しかったと記憶している。サビ前に登場する「イマジネーション通りに腰振るのはやめてくれ」という「イマジネーション溢れるライン」はヒムロック以外のシンガーからはまず出てこないラインであろう。サビは「アッパッパーなladyに対する嫌悪感」を淡々と吐き出すという内容であるが、初期のような「パンク的なオラオラ感」はなく「大人の対応」というクールさがある。またこの曲でも「5 ホンキー・トンキー・クレイジー」同様に「タップダンス風」のリズムが存在感を放っている。
8 DANCE CRAZE
ミニマムなロックンロールリフが「ねずみ花火」のように同じところをクルクルとループする冒頭から徐々に近未来的にカラフルで壊れた展開に移行する実験的なサウンドで「クラフトワーク(Kraftwerk)とT・レックス(T. Rex)」が共演したようなイメージの曲となっている。作詞は「ジョナ・パシュビー」という外部クリエイターが手がけており、ボーカルは布袋寅泰が担当している。
9 ハイウェイに乗る前に
イントロからノリノリのテンションを感じさせるロックンロールチューン。サウンドは実際に「ハイウェイに乗っているような疾走感を判じるパート」と「都会をすり抜けたようなナイーヴな開放感を感じるパート」が主となり構成されている。歌詞の内容は「アッパーな上にいい女であるオマエを忘れる為に強がってハイウェイを走り抜ける男の心情」と言ったところだろうか。
10 CLOUDY HEART
「機械仕掛け」のような緻密さと「ガラス越し」のようなフィーリングを感じる曲でバラード調から疾走感溢れるサビに移行する展開となっている。歌詞は「軽いはじまりだったけど、案外長く続いた恋の終わり」をテーマにしており「若すぎて無責任であった2人の日々」を氷室京介(vo)が切なく振り返っている。終盤はスペーシーなシンセサウンドが存在感を放ち、主人公の「CLOUDYな心情」を表現している。