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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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「1 Automatic」
90年代に隆盛を極めたJ-POPサウンドには希薄であった本格派R&Bテイストを全面に打ち出した宇多田ヒカルのデビューシングル。

サウンドや歌のスキルの高さは勿論だが、それ以上にこの洗練されたモダンな音楽を若干15歳の少女が作り出したという事実に多くの人が驚愕した。「キャンドルの灯りだけが揺らめくダークな部屋」のようなクールでモノトーンな音響、ディープで機能性抜群のシンプルなビートなという必要最低限の音だけで構築されたトラックは「ミニマリスト向けのモダンな建物」のようであり「何かと過剰」であった90年代J-POPとは実に対照的である。

「7回目のベル」「受話器」「チカチカしている文字」などのワードは「現在の感覚」で聴くと昭和的ですらあるが「大人ぶって背伸びしている普通の10代」の恋愛を歌ったこの曲のインパクトは凄まじかった。98年は宇多田ヒカルや椎名林檎などこれまでの音楽シーンには存在しないタイプのアーティストがデビューを果たし音楽業界の勢力地図が明らかに変わり始めた分岐点とも言える1年であった。

「2 time will tell」
「冷たい雨の街角」のような雰囲気を感じるディープな曲で名曲「1 Automatic」と同レベルのクオリティーを誇り、ダブルA面なのも伊達ではないと感じる。宇多田ヒカルの声は「泣き止んだ後」のような湿り気を帯びており15歳らしい幼さを感じるられる。「隠れ家バー」のような渋いカッティングギターとディープなベースラインを中心に展開されるサウンドにのせて「泣き虫な友達を慰める」ような歌詞を眩しい太陽のように歌い上げる。

    「要点」

  • ・「1 Automatic」「7回目のベル」「受話器」「チカチカしている文字」などのワードは「現在の感覚」で聴くと昭和的ですらあるが、 「大人ぶって背伸びしている普通の10代」の恋愛を歌ったこの曲のインパクトは凄まじかった。
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